ケープペンギンとは、ペンギン目ペンギン科フンボルトペンギン属のペンギンの仲間である。和名はケープ地方に由来。学名はSpheniscus demersus、種小名のdemersusは「飛び込み・沈没」を意味する。
別名として、アフリカペンギン・アフリカンペンギン・ジャッカスペンギン・足黒ペンギンとも呼ばれる。英語名はAfrican Penguin。
フンボルトペンギンやマゼランペンギンと似ているが、生息地が違うペンギンである。フンボルトペンギンは南米のチリに生息しマゼランペンギンは南米大陸先端付近に生息しているが、ケープペンギンはアフリカのナミビア頭部から南アフリカ沿岸部を繁殖地としている。
大きさもフンボルトペンギンと同じくらいで模様も似ているため、素人目にはなかなか見分けが付きにくい。両種は種類的にも近く交雑可能なほど近縁だが、交雑種が子孫を残せる可能性は限りなく低い。
フンボルトペンギンとケープペンギンとマゼランペンギンの絵であるが、どれがどれだか分かるだろうか。
正解は、左から、マゼランペンギン・フンボルトペンギン・ケープペンギンである。こうして並べてみると分かりやすいが、ケープペンギンは首の線が1本で細く、顔の白い部分が大きく目の周りのピンクの部分が小さいのが特徴的である。
ちなみに、腹部の斑点模様は個体毎に違うらしい。
アフリカに生息する唯一のペンギンであり、都市の海岸付近にも生息するペンギンでもある。喜望峰やインド行き航路を発見したヴァスコ・ダ・ガマ一行が同ペンギンについての記録を1499年に残しており、歴史上で初めて人に記録されたペンギンでもある。
ペンギンといったら寒い場所に生息するイメージがあるが、フンボルトペンギン属のペンギンは暖かい気候に生息する種類であり、むしろ寒い気候は苦手な部類である。ケープペンギンも南国ムード漂う・海水浴が気持ちよい海辺を闊歩するペンギンである。羽毛に包まれた暖かそうな見た目は冷たい海中に入るためであるため(ケープペンギンはベンゲラ海流という寒流に潜る)、暑いのが特別得意というワケでもない。そこらへんの生態もフンボルトペンギン・マゼランペンギンと似ている。
体長は70cmくらい・体重は2.4~5㎏程度・翼の長さ18.6㎝ほどとなる、中型のペンギン。カタクチイワシといった小型の魚類やタコ・イカなどの頭足類やエビなどの甲殻類を食べる。
天敵はオットセイ・シャチ・サメなど。卵や雛はヘビ・野良猫・野良犬・マングース・カモメとより多くの敵に狙われている。
130mも潜った記録が残るほど潜水能力・遊泳力に優れている。ジャッカス(オスのロバを意味する)という別名通り、大ボリュームでよく鳴く。
強い定住性を持ち、一生のうちで繁殖地から12㎞以上離れる事は殆ど無い。たとえ住処が住宅地になろうとも離れず、人為的に遠くへ連れてきたとしても海に放てば元の住処へと戻っていってしまう。
性格は攻撃的で人に対しても臆さない。繁殖期は2~5月と11~12月でこの時期は特に好戦的になるが、基本は人間と同じく一年中交尾・繁殖可能。敵やライバルが現れた際には嘴で突き・噛み付き攻撃と翼でのビンタ攻撃で果敢に戦い、相手が逃げ出すまで攻撃を続ける。
1年に1回の頻度で換羽が行われる。換羽期間は21日ほど。基本は繁殖コロニーで繁殖シーズン後に発生する。
巣作りに関しては中々に要領が良い。巣は地面を掘って穴を作るか、藪の中や岩や人工物の下・物陰に穴を掘ったり、漂流物の中に直接設けるなどして築く。適した場所を見つけられなかった場合は地面に小石や羽毛などを使って直接作る。巣の材料は他の個体の巣から盗み出す事もある。
結ばれた個体同士の絆は強く、常にペアで行動する。夫婦はエサの豊富さなどを考慮しながら、1回目の育児の成否に関わらず2回目の産卵に突入し、1・2回目が失敗した場合は3・4回と何度も繁殖を試みる(回を重ねる毎に育児成功確率は低下するという)。1回の産卵で2個の卵が産み落とされる。抱卵期間は38~41日くらい。
育児は夫婦が協力して行われ、一方がエサを取りに向かいもう一方は雛と巣を守る。約40日ほどして雛が大きく成長すると共に親鳥は両方ともエサ取りに出発するようになり、雛は巣に隠れたりクレイシ(雛同士が集まって形成する群れ)を構成して互いに身を守り合うようになる(クレイシに加わる個体は地表に作られた巣出身の雛が多い)。
およそ12週ほどで巣立ちとなり、立派に成長した若ペンギンは親元とコロニーを離れ独力で自然界で生きていかなくてはいけなくなる。無事に生き延びた個体は1年後に自身が生まれ育った場所に戻って繁殖活動に入るが、そこまで生き残れるのはほんの一握りなのは言うまでもないだろう。
寿命は飼育下で15~20年・野生では10年ほど。ただし、野性下で22年以上生きた個体も記録されている。
前述した通り生息地にはケープタウンなど大都市が点在しているため、民家の庭や軒下や海水浴場など街中に生息していたりする。生息地が含まれる都市では朝にケープペンギンが海へエサ取りに出勤する光景が見られ、家の目の前でペンギンがよちよち歩くという光景も繰り広げられる。ケープペンギンの方も人に馴れているのか特に逃げるなどの行為に移る事は無く(ただし攻撃する事はあるらしい)、ボルダーズビーチという観光地ではペンギンと一緒に海水浴も出来る(ただし触れる・エサやりは禁止・コロニーに近付くのも禁止)。一番人との距離が近いペンギンかもしれない。
日本の水族館ではフンボルトペンギンと同じように飼育可能で、見ることのできる水族館は比較的多い。池袋サンシャイン水族館や横浜八景島シーパラダイス、アドベンチャーワールドや長崎ペンギン水族館など。数が多いということもあって、ニュース番組でも取り上げられるペンギンでもある。
本ペンギンは個人が飼育出来る動物である。ただし、購入費は100万円以上もする上に設備やエサ代もかかり(食欲旺盛でエサもよく食べる)、鳴き声は煩くよく突いてくると、飼育はとても大変。見てくれる動物病院も少ないため、あらかじめ診断可能な病院を把握しておく必要もある。
どうしても飼いたい!という強い気持ちなどが無い限りは動物園・水族館に行って観察しているほうがいいだろう。
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最終更新:2024/04/26(金) 00:00
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