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サスペリア

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サスペリアとは、

  1. イタリアホラー映画
  2. 秋田書店1987年に創刊・発行していた日本少女漫画雑誌。名前は1.に由来。2012年休刊。

本項では1.について記述する。

概要

サスペリア (Suspiria) とは、イタリアホラー映画1977年製作開。
ダリオ・アルジェント監督の作品。通称魔女三部作」の第一作
アルジェントの代表作として数えられる。

阿片用者の告白」を執筆したトマス・ド・クインシーが発表した続編「深き淵よりの嘆息」所収の、「レヴァナと悲しみの淑女」に登場する魔女(あるいは女神「三人のモチーフとしている。

嘆息の(マーター・サスピリオルム)
(マーター・テネブラルム)
(マーター・ラクリマルム)

嘆息のは「サスペリア」に、暗は「インフェルノ」に、は「サスペリア・テルザ~最後の魔女~」に黒幕として登場している。

日本開時には「決して一人では見ないでください」という宣伝文句で一躍有名となり、その凄惨かつ妖美な内容で大ヒットした。
どれくらいヒットしたかというと行収入は12億円。このジャンルでは異例の成績で、1977年日本開された洋画では第5位にランクインしている。ちなみに1977年洋画1位は「キングコング」の30億円、邦画1位は「八甲田山」の25億円だった。

どぎついくらいの原色を多用した美しい映像と、プログレッシブ・ロックバンドゴブリン(The Goblins)」による音楽により、怪奇かつ芸術的ホラー映画となっている。
人体破壊描写でも抉られた心臓が露わになり、降ってきたガラスに顔面をっ二つにされ、喉をナイフで切り裂かれる様が接写で映し出されるなど、当時としては過かつ画期的だった。
とは言え単なるグロではなく、針に落ちてもがき苦しむ美少女プールで何者かに監視されているかのようなカメラワークなど、恐怖と不安を煽る映像は一見の価値あり。

リメイク

2018年リメイク
監督は『君の名前を呼んで』のルカ・グァダニーノ、音楽レディオヘッドトムヨークが担当。日本開は2019年1月25日

設定を大幅に変更して、時代は東西冷戦っただ中の1977年舞台フライブルクから西ドイツベルリンバレエ学校は伝統あるモダンダンスの舞踊団になった。

主人公スージーをダコタ・ジョンソン、舞踊団を率いるマダムブランティルダ・スウィントンが演じる。オリジナル版のスージーを演じたジェシカ・ハーパーも出演した。
更にティルダは特殊メイクによって老男性レンラーと、終盤に登場するあるキャラクターの3役をつとめており、を疑う変貌っぷりを見せる。クレンラーを演じた俳優プロフィールまで作る念の入れようであり、撮終了まで気づかなかったスタッフもいたという。

脚本も大きく変わっており、スージーよりもクレンラー眼が置かれている。またオリジナル版では描かれなかった冷戦当時のドイツの、テロに揺れる不穏な状況も描かれている。
オリジナル版の極色の映像と異なり、色調はかなり落ち着いている。殺シーン呪術的な要素が強くなっており、ラストオチも全く異なる。

なおリメイクに際し、オリジナル版とあまりに異なる内容、およびグァダニーノの「オリジナル版では時代設定的にドイツは政情不安定だったのに描かれてないよね、おかしくね?(意訳)」という発言にアルジェントはカンカンになったが、映像の美しさについては評価している。
一方でクエンティン・タランティーノは本作を絶賛しており、往年のファンの間でも評価が分かれている。

あらすじ

バレリーナ志望の少女スージー・バニオン彼女は己の技術を向上させるため、アメリカを離れてドイツフライブルクのバレエ名門校に入学する。
到着したのは半で、しいに見舞われる中タクシーを呼び止めたスージーは猛の中で学校に向かう。玄関に辿り着いた時、入れ違いに一人の少女が飛び出し、中に向かって叫んだ。

秘密が、に、アイリスが三本、を回して!」

そのまま豪雨の中を走り去る彼女を訝しみながらもスージーはベルを鳴らすが、インターホン越しに応対した女性は「聞いていない、帰りなさい」の一点り。やむを得ずスージーは乗ってきたタクシーに戻って一夜の宿を探す。

一方、先程の少女パット友人ソニアアパート逃げ込んでいた。ソニアのとりなしにも応じず、何かにひどく怯えていたパットだったが、不安げにの外を見た直後、を突き破って襲い掛かる。
ナイフで滅多刺しにされ、心臓を抉られ、首をられて惨殺されるパット。助けをめて逃げ出したソニアもまた、パットを突き破った際に落ちてきたガラスに貫かれて死を遂げるのだった。

一夜明け、スージーは問題なくバレエ学校に迎えられる。校長出張で不在だったが、教師・タナーや副校長ブランシュが優しくをかけた。しかし昨殺人事件の捜刑事が出入りするなど、学内は物々しい雰囲気になっている。
パットを最後に撃したスージーは素直にその事を言、学校生活スタート。しかしその後、次々と不可解で不気味な出来事が彼女を襲うのだった……

トリビア

アルジェントのパートナーダリアニコロディによると、彼女祖母が幼い頃にバーゼル音楽学校入学したが、実はその学校黒魔術を教える「魔女学校」だった。その学校は一度は火事で焼失し、その後再建されたという。
この話を聞いたアルジェントが身分をせて彼女と共に音楽学校を訪れ、取材は断られたものの生徒の一人に頼み込んでレッスンの様子を見学した。
その帰り道に「持ち手がのステッキをついた女」に遭遇。名乗る前から名を呼ばれ、更に「おばあ様はお元気かしら?」と聞かれ、ゾッとしたという。
この奇妙な体験を元にアルジェントは構想を開始。舞台バレエ学校変し、実際の「魔女」と呼ばれる人々に取材を重ね、本作が制作されるに至った。

が印的な学校セットで、外見はフライブルクの「の館(Haus zum Walfisch)」がモデル哲学者・エラスムスが住んでいた邸宅で、現在銀行になっている。
序盤の惨劇の舞台となるソニアアパートミュンヘン実在する建物だが、アールデコ調のな内装はセットである。
中盤でスージーサラが泳ぐプールミュンヘンの「ミュラー公衆浴場(Müllersche Volksbad)」。1901年に建設された歴史的建造物で、アール・ヌーヴォーの内装は評価が高い。現在でも利用が可

1980年アルジェントは続編インフェルノ製作
舞台ニューヨークに移し、新たなる魔女による惨劇を描いたが、難解な内容もあって行的に失敗してしまう。特にアメリカでは開そのものがなくなり、お蔵入りという屈辱を味わうに。
その後、三部作ラストを飾る「サスペリア・テルザ~最後の魔女~」制作されるまで、実に27年の歳を要した。「でも筆者は好きだよ。

監督の作品に「サスペリアpart2」があるが、実は本作以前に撮された全く別の作品である。要するに「サスペリア」のヒットに便乗した邦題で、「サスペリア」本編どころか魔女とも関係がない。
過去に起きた犯罪がきっかけで始まる連続殺人事件を追うジャーロの名作で、評価は高い。近年では原題Profondo Rossoを踏まえてい深淵」というサブタイトルが入っている。

日本で大ヒットした要因に、配給会社・東宝東和による宣伝戦略が挙げられている。
先の宣伝文句は言うに及ばず、ショック保険なるものを用意。万が一映画を見てショック死したら1000万円支払いますというブッ飛んだ代物だった。
また「サーカム・サウンドなる音響システムについても宣伝。ポスターによると「5分間に1回。あなたを直撃する恐怖超音波とあるが、ひらたく言うと複数のスピーカーを使用したサラウンド方式の音響である。名誉のために言及すると、当時映画館での臨場感はそれなりにあったそうな。

冒頭のタクシー内のシーンで、苦の表情を浮かべて叫ぶ男の顔が映っている。
心霊だとして当時大騒ぎになったが、実はアルジェントによる仕込みで、ちゃっかり本人が演じている。まあ普段から幽霊みたいに血色の悪いおっさんだけど。

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最終更新:2024/03/29(金) 18:00

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