サスペリアとは、
本項では1.について記述する。
サスペリア (Suspiria) とは、イタリアのホラー映画。1977年製作・公開。
ダリオ・アルジェント監督の作品。通称「魔女三部作」の第一作目。
アルジェントの代表作として数えられる。
「阿片服用者の告白」を執筆したトマス・ド・クインシーが発表した続編「深き淵よりの嘆息」所収の、「レヴァナと悲しみの淑女」に登場する魔女(あるいは女神)「三人の母」をモチーフとしている。
嘆息の母(マーター・サスピリオルム)
暗黒の母(マーター・テネブラルム)
涙の母(マーター・ラクリマルム)
嘆息の母は「サスペリア」に、暗黒の母は「インフェルノ」に、涙の母は「サスペリア・テルザ~最後の魔女~」に黒幕として登場している。
日本公開時には「決して一人では見ないでください」という宣伝文句で一躍有名となり、その凄惨かつ妖美な内容で大ヒットした。
どれくらいヒットしたかというと興行収入は12億円。このジャンルでは異例の成績で、1977年に日本公開された洋画では第5位にランクインしている。ちなみに1977年の洋画第1位は「キングコング」の30億円、邦画第1位は「八甲田山」の25億円だった。
どぎついくらいの原色を多用した美しい映像と、プログレッシブ・ロックバンド「ゴブリン(The Goblins)」による音楽により、怪奇かつ芸術的なホラー映画となっている。
人体破壊描写でも抉られた心臓が露わになり、降ってきたガラスに顔面を真っ二つにされ、喉をナイフで切り裂かれる様が接写で映し出されるなど、当時としては過激かつ画期的だった。
とは言え単なるグロではなく、針金の海に落ちてもがき苦しむ美少女、プールで何者かに監視されているかのようなカメラワークなど、恐怖と不安を煽る映像は一見の価値あり。
2018年にリメイク。
監督は『君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノ、音楽をレディオヘッドのトム・ヨークが担当。日本公開は2019年1月25日。
設定を大幅に変更して、時代は東西冷戦真っただ中の1977年、舞台はフライブルクから西ドイツ・ベルリン、バレエ学校は伝統あるモダンダンスの舞踊団になった。
主人公のスージーをダコタ・ジョンソン、舞踊団を率いるマダム・ブランをティルダ・スウィントンが演じる。オリジナル版のスージーを演じたジェシカ・ハーパーも出演した。
更にティルダは特殊メイクによって老境の男性クレンペラーと、終盤に登場するあるキャラクターの3役をつとめており、目を疑う変貌っぷりを見せる。クレンペラーを演じた俳優のプロフィールまで作る念の入れようであり、撮影終了まで気づかなかったスタッフもいたという。
脚本も大きく変わっており、スージーよりもクレンペラーに主眼が置かれている。またオリジナル版では描かれなかった冷戦当時のドイツの、テロに揺れる不穏な状況も描かれている。
オリジナル版の極彩色の映像と異なり、色調はかなり落ち着いている。殺害シーンも呪術的な要素が強くなっており、ラストのオチも全く異なる。
なおリメイクに際し、オリジナル版とあまりに異なる内容、およびグァダニーノの「オリジナル版では時代設定的にドイツは政情不安定だったのに描かれてないよね、おかしくね?(意訳)」という発言にアルジェントはカンカンになったが、映像の美しさについては評価している。
一方でクエンティン・タランティーノは本作を絶賛しており、往年のファンの間でも評価が分かれている。
バレリーナ志望の少女、スージー・バニオン。彼女は己の技術を向上させるため、アメリカを離れてドイツ・フライブルクのバレエ名門校に入学する。
到着したのは夜半で、激しい雷雨に見舞われる中タクシーを呼び止めたスージーは猛烈な雨風の中で学校に向かう。玄関に辿り着いた時、入れ違いに一人の少女が飛び出し、中に向かって叫んだ。
そのまま豪雨の中を走り去る彼女を訝しみながらもスージーはベルを鳴らすが、インターホン越しに応対した女性は「聞いていない、帰りなさい」の一点張り。やむを得ずスージーは乗ってきたタクシーに戻って一夜の宿を探す。
一方、先程の少女・パットは友人・ソニアのアパートに逃げ込んでいた。ソニアのとりなしにも応じず、何かにひどく怯えていたパットだったが、不安げに窓の外を見た直後、謎の影が窓を突き破って襲い掛かる。
ナイフで滅多刺しにされ、心臓を抉られ、首を吊られて惨殺されるパット。助けを求めて逃げ出したソニアもまた、パットが天窓を突き破った際に落ちてきたガラスと鉄骨に貫かれて死を遂げるのだった。
一夜明け、スージーは問題なくバレエ学校に迎えられる。校長は出張で不在だったが、教師・タナーや副校長・ブランシュが優しく声をかけた。しかし昨夜の殺人事件の捜査で刑事が出入りするなど、学内は物々しい雰囲気になっている。
パットを最後に目撃したスージーは素直にその事を証言、学校生活がスタート。しかしその後、次々と不可解で不気味な出来事が彼女を襲うのだった……
アルジェントのパートナー、ダリア・ニコロディによると、彼女の祖母が幼い頃にバーゼルの音楽学校に入学したが、実はその学校は黒魔術を教える「魔女の学校」だった。その学校は一度は火事で焼失し、その後再建されたという。
この話を聞いたアルジェントが身分を伏せて彼女と共に音楽学校を訪れ、取材は断られたものの生徒の一人に頼み込んでレッスンの様子を見学した。
その帰り道に「持ち手が銀のステッキをついた女」に遭遇。名乗る前から名を呼ばれ、更に「おばあ様はお元気かしら?」と聞かれ、ゾッとしたという。
この奇妙な体験を元にアルジェントは構想を開始。舞台をバレエ学校に改変し、実際の「魔女」と呼ばれる人々に取材を重ね、本作が制作されるに至った。
真っ赤な壁が印象的な学校はセットで、外見はフライブルクの「鯨の館(Haus zum Walfisch)」がモデル。哲学者・エラスムスが住んでいた邸宅で、現在は銀行になっている。
序盤の惨劇の舞台となるソニアのアパートもミュンヘンに実在する建物だが、アール・デコ調の豪華な内装はセットである。
中盤でスージーとサラが泳ぐプールはミュンヘンの「ミュラー公衆浴場(Müllersche Volksbad)」。1901年に建設された歴史的建造物で、アール・ヌーヴォー風の内装は評価が高い。現在でも利用が可能。
1980年にアルジェントは続編「インフェルノ」を製作。
舞台をニューヨークに移し、新たなる魔女による惨劇を描いたが、難解な内容もあって興行的に失敗してしまう。特にアメリカでは公開そのものがなくなり、お蔵入りという屈辱を味わう羽目に。
その後、三部作ラストを飾る「サスペリア・テルザ~最後の魔女~」が制作されるまで、実に27年の歳月を要した。「でも筆者は好きだよ。
同監督の作品に「サスペリアpart2」があるが、実は本作以前に撮影された全く別の作品である。要するに「サスペリア」のヒットに便乗した邦題で、「サスペリア」本編どころか魔女とも関係がない。
過去に起きた犯罪がきっかけで始まる連続殺人事件を追うジャーロの名作で、評価は高い。近年では原題「Profondo Rosso」を踏まえて「紅い深淵」というサブタイトルが入っている。
日本で大ヒットした要因に、配給会社・東宝東和による宣伝戦略が挙げられている。
先の宣伝文句は言うに及ばず、「ショック死保険」なるものを用意。万が一映画を見てショック死したら1000万円支払いますというブッ飛んだ代物だった。
また「サーカム・サウンド」なる音響システムについても宣伝。ポスターによると「5分間に1回。あなたを直撃する恐怖の超音波」とあるが、ひらたく言うと複数のスピーカーを使用したサラウンド方式の音響である。名誉のために言及すると、当時映画館での臨場感はそれなりにあったそうな。
冒頭のタクシーの車内のシーンで、苦悶の表情を浮かべて叫ぶ男の顔が映っている。
心霊現象だとして当時大騒ぎになったが、実はアルジェントによる仕込みで、ちゃっかり本人が演じている。まあ普段から幽霊みたいに血色の悪いおっさんだけど。
掲示板
11 ななしのよっしん
2019/01/12(土) 15:49:30 ID: BkLl+0tVhc
https://
【公式】『サスぺリア』1月25日(金)公開/本予告
今年リメイク版が日本公開なんだ…歳食ったせいかこの手の情報に鈍くなったな。
12 ◆CBGbQXRNEo
2022/04/29(金) 17:59:54 ID: iavB/sh3hw
13 ななしのよっしん
2024/03/03(日) 17:44:11 ID: +BLcBm6zki
アマプラに来ていたリメイクを見たけど
これはハマる人はハマると思う
「踊って……踊って……美しいわ……」
の場面は悍ましいけど確かに美しかったよ
アルジェントではないからこその良さみがあった
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最終更新:2024/03/29(金) 18:00
最終更新:2024/03/29(金) 18:00
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