ショゴス(Shoggoth)とは、クトゥルフ神話における架空の存在。無機質から造られた“人造召使い”であったもの。別表記: ショグゴス。
初出は1936年に発表されたH.P.ラヴクラフトの小説『狂気山脈(狂気の山脈にて)』。
可塑性の高い、電車大のアメーバのように描写されている。
その体色は虹色の光を映す黒/暗い虹色(iridescent black)で、緑光で輝く一時的な眼に覆われている…のだが、イラストでは体色が全然違うのはご愛敬。
元々は、太古の地球に飛来した「古のもの」によって生み出された奉仕種族だった。しかし次第に自己を確立するようになり、主たちにも制御ができなくなっていった。
古のものは太古の南極に居留区を置いていたが、地球の環境変化と、文明(人類のそれとは異なる)の頽廃によって種としてのポテンシャルが低下。ここにショゴスの叛乱が加わり、残存している個体の大半が人工冬眠の状態にある。
そのため、ショゴスは“ほぼ”野放し状態であり、魔術師の求めに応じて姿を現す事もある。
ゲームなどにモンスターとして登場する事もある(ペルソナ2など)が、本来は人間では太刀打ちできる代物ではないので、遭遇した場合は即座に逃走する事を勧める。
旧支配者(古のものがこう呼ばれる事もあるが、ここでは蕃神=「外なる神々」を意味する)などと違い、その冒涜的な外見を除けば、SAN値に対する影響は少ない。むしろ物理的な脅威の方が大きい。
なお、小説とゲーム(クトゥルフ神話TRPG)では設定が著しく異なり、以下にそれを記す。
大きさ、色、形、硬さ、質感を自由に変えられる可変生物。
ある王子の依頼でショゴスを探していた男はツァトゥグァのペットだったショゴスを盗むが、森に隠しておいて王子に報告している間に暇を持て余したショゴスが森全体と隣接する町全てを一呑みにしてしまった。また、ある女子大生はマリリン・モンローに変身させて町を歩かせたが、周囲からはモンローそっくりな女性としか思われないほどの擬態能力を見せた。人間に変身した時は普通に言葉を話せる。
年を取れば取る程、巨大になる。また自我や知能の発達は個体差がある。
ミスカトニック大学では一般の学生の耳にもその名が入って来る程、オカルト関係では有名な生物となっている。
『狂気の山脈にて』では、、魔道書「ネクロノミコン」において「地球上にショゴスなんていない! あんなのはジャンキーの妄想!(キリッ)」と記述されているという設定が出てくる。アルハザードさんどうしちゃったの…
「ネクロノミコン」を実際に書いてしまったという触れ込みのドナルド・タイスン作『ネクロノミコン―アルハザードの放浪』では、アルハザードがクトゥルフの落とし子から聞き取り調査をした際に「通常の生命体と異なる存在でもショゴスに喰われるとロストする」「クトゥルフの軍勢で取り囲んで数の暴力でバラバラにしないと機能停止に持って行けないほど強力な再生能力」などとんでもない事実を聞かされ、「これがもし本当やったらとっくに世界征服されとるやろ(((;゚Д゚)))」という考えでこういう記述になったという設定。
レイフ・マグレガー『ダイヤー神父の手紙』では、実際にショゴスに殺されて死骸が化石として発見されてしまったクトゥルフの眷属が出てくる。
『インスマウスを覆う影』にも名前だけ出てくる。深きものどもに使役されている個体もいるらしい。
ロバート・ブロック『無人の家で発見された手記』では、黒い紐でできた体と巨大な蹄を持つ怪物が登場し、シュブ=ニグラスとショゴスらしき名を含む呪文を発していた。
リン・カーターが(クラーク・アシュトン・スミス原作だと主張しつつ)書いた『深淵への降下』ではショゴスの祖・クトゥッグオル(K'Thugguol)が登場する。
作中ではショゴスはウボ=サスラの生み出した種族ではないという設定だが、この神を師(メンター)と仰いでいることになっている。どうでもいいけどウボ=サスラとメンターの二語って全然似合わないな
マイクル・シェイの未訳作品『ファットフェイス』では、すごくキモい人間に化けた高知性のショゴス、「ミスター・シャイニー」ことアルバート・シャイニーが登場する。ファットフェイスとは彼のニックネーム。
初出は1987年だが、短編集『Cthulhu 2000』に再録されている。英語で良ければどうぞ。
形は変えられるが、大きさはそのままで変身出来ない。唯一、司令塔に当たるショゴス・ロード(上述のミスター・シャイニーの正体)のみ、人間らしい姿に化けられる。
『マレウス・モンストロルム』においてショゴス・ロードとミスター・シャイニーが別々に掲載されているのは、後者はTRPGのシナリオにNPCとして出てくることがあるため。
ショゴス・ロードはほぼ無限の寿命を持つため、いつの時代のシナリオにも登場させることができる。
『無人の家で発見された手記』の怪物はシュブ=ニグラスの「黒い仔山羊」の設定に流用された、というか怪物の正体が黒い仔山羊だということにされた。作中でショゴスって言ってたやん
『キーパーコンパニオン(改訂新版)』と『マレウス・モンストロルム』では、マプロー(mapulo)という粘液塊を両手にはめてショゴスを操る深きものどもの神官、ショゴス=トゥシャ(Shoggoth-twsha)が設定されている。この塊は生きており、ショゴスが死んだり制御を脱すると、だいたいご想像通りのことが起こる。
死を覚悟した探索者がマプローを自分で装着してショゴスを制御し仲間を救うという熱い展開もセッションによってはあり得るだろう(※『~コンパニオン』設定では、人間が使うと正気度がゴリゴリ減るので常用は論外)。
TRPGシナリオ『療養所にて』(現在は『クトゥルフ・フラグメント』に収録されている)では、人間が生きた人体から作成したショゴスのコピー、原ショゴス(Proto-Shoggoth)が登場した。『狂気山脈』では狂人のうわごと(「ショゴスの原型」)としてしか言及されない。
人体標本をCGモーフィングしたような姿で、普通の人間形態にも、体の一部だけを変形させることもできる。
トンネルズ&トロールズでは、ブロック版に似ていなくもないかな~、という姿のショゴスが登場。
「フルートとかじゃなくてピッコロと関連付けられてるのは何でなの?」「魔術師シャ・ソグ(T&T背景世界におけるショゴスの親)って誰?」といった疑問は考えるだけ無駄である。T&Tだもんね。
ショゴスを扱う上で欠かせないキーワードのひとつ。原文では”Tekeli-li!”
日本語訳では『てけり・り!』とひらがなで表記される事も。
ショゴスが発する音であり、出現の前兆とされる。古のものが出す音をショゴスたちが模倣し、声帯器官を発達させて鳴いている。
元ネタは、エドガー・アラン・ポォの著作『ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語(The Narrative of Arthur Gordon Pym of Nantucket)』に登場する、南極に生息する純白の巨鳥が発する鳴き声。ラヴクラフトがポォの影響を受けていた事もあって、ショゴスの鳴き声として採用したものと思われる。
逆に『狂気の山脈にて』の作中では、ポォが『アーサー・ゴードン・ピム』執筆時に古のもの達に関連したソースを参考にしたのでは?と仄めかすシーンがある。
掲示板
79 ななしのよっしん
2021/11/25(木) 01:33:20 ID: z40gN4sta9
トンネルズ&トロールズの『カザンの闘技場』のショゴスはShoggoxと綴る、という話(https://
『Naked Doom(運命の審判)』や『モンスター! モンスター!』では普通にShoggothなんだけどどういうことなの…>https://
80 ななしのよっしん
2022/03/11(金) 03:20:22 ID: YxA8Zobt1o
>>79
厳密には同じ生物じゃないんだろうね、闘技場のは手足があってモフモフだし
(球体・泥の塊とか書かれてるT&T本は全部執筆者が日本人のもので、おそらく執筆者の早とちり)
5版の闘技場では「旧神の子供」だったのが完全版では「神のごとき魔術師ソ・シャグの子」に変わっている
あと5版の運命の審判にいたショゴスは完全版対応では削除されている
1版MMや5版まではShoggothだったのが、今ではソ・シャグの子のShoggoxに上書きされていると考えるべきか
81 ななしのよっしん
2023/09/12(火) 01:05:25 ID: z824iBuX4h
ラヴクラフトカントリーなる洋ドラに
肉食獣ぽい骨格で巨大な口と体表に目玉散りばめたショゴスくん
主人公に手懐けられるシーンもあるから可愛い…のか?
急上昇ワード改
最終更新:2024/04/25(木) 06:00
最終更新:2024/04/25(木) 06:00
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