パリ・ダカール・ラリー・スペシャルとは、CBS/ソニー製作のファミコンソフト。1988年2月1日発売。
かの有名なパリ・ダカール・ラリーを題材にしたレーシングゲーム……かと思いきや、その実態はミリタリーバトルアクションゲーム(後述)。
BGMは良曲が揃っている。特に、タイトル画面・ステージ5・エンディングの三場面で演奏される曲はこのゲームのメインBGMとも言える扱いを受けており、人気も高い。
何よりもまず、パリダカに出場するためのスポンサーを探すという所から始めなければならないという、妙にリアリティのある内容。
スポンサーからお金を貰わないと出場のための車さえ買えない。無一文である。
無事スポンサーを見つけ車を買ったら今度はパートナーとなるナビゲーターの選出である。
ナビゲーターも確保したら無事パリ・ダカールラリーへと出場する事になる訳だが……。
「すばらしいなにかがまっている」と言うよく分からない煽り文句を見せられた後、唐突にどこかの街中に放り出される。
「いろいろじゅんびしなければならない」とは言われるものの、具体的に何をすればいいのかの説明も全く無い。
とりあえずそこら辺の建物に入ると、質問の選択肢が「ラリー」やら「くるま」となっている。どうやらラリー出場のための準備をする必要があるらしい。
カーショップに行くと車を売っているが、もちろんお金が無いので買えない。
カーマニアクラブ(カーショップとは別の店)へ行くと、惜しげもなく最近儲かっている会社の事を教えてくれ、初対面のはずのプレイヤーにいきなり紹介状を書いてくれる。
これを持って紹介された会社に行くと、受付でスポンサーになる事を即決される。恐るべしカーマニアクラブのコネ。
かくしてスポンサーを決定した後は車の調達であるが、お金の事をスポンサーに尋ねるといきなりキャッシュカードを渡される。暗証番号を知っている課長を自分で見つけて聞き出してくださいとの事である。
そう言われてからマップの外に出ると突然課長らしき人物が大量に出現する。実際全て課長であるが、暗証番号を知っている課長「いけだ」はその中の一人だけである。ちなみに建物を出てすぐ右上に行くといけだ課長に当たる。
課長から暗証番号をゲットしたら次は銀行であるが、ご丁寧に銀行もフェイクが用意されており、スポンサーの会社が使っている銀行を見つけないといけない。
無事現金を手に入れたらようやく車の購入である。
4WDカーとスポーツカーの2種類が売られており、どこかの建物で聞く事ができる情報によると「丈夫な車の方が有利だ」なんて事を言われるが、性能差が発揮されるのは最終ステージのみ。スポーツカーの方が4WDカーよりも最高速が速いのだが、一定以上の速度で壁にぶつかると残りライフに関係なく即死してしまうのでタイムアタックでもない限りは4WDカーを選ぼう。
と言うか、後述の通りタンクローリーとかで出てくる奴がいるくらいなので、ぶっちゃけ軽自動車でも優勝の目があるんじゃないかと思える。ただし、水陸両用の走破性能と、戦車を一撃で破壊できる対地・対空兵器があればの話であるが(理由は後述)。
車を手に入れたらカーマニアクラブにてナビゲーターを探さなければならない。
ナビゲーターを探していると伝えると、反射神経テストをやらされる。何故反射神経テストとナビゲーターが関係あるのか全く不明だが、とにかくこのテストの成績によってナビゲーターが決まるらしい。
テストの内容は、8×8のマス目のどこかに現れるAもしくはBのマークに反応してコントローラーのAorBボタンを押すと言うもの。AかBかを間違えればもちろんお手つきだし、あまり遅すぎると次のマスへと行ってしまうためポイントを獲得し損ねる。
テストが終了するとナビゲーターが決定する訳だが、殆どの人は一番下のランクのナビゲーターをあてがわれる。成績の良い人はたまに下から2番目の人を、ごく一部の達人クラスならば下から3番目の人を獲得出来る(多分)。なお成績表は全部で5段階ある。一番上とかはCPU並の反応速度が無いと無理な領域である……が、ナビゲーターは誰でも殆ど変わらない。
一部では、後述のナビゲータの唯一の出番ポイントにおける行動の早さが変わると言う説もあるが、正直差があるのか無いのか良く分からない程度である。
ナビゲーターと車を揃えたら、いよいよラリー協会へ行って登録である。
ステージ0の飛行機による旅立ちシーンが終了すると、突然スタートラインに車が配置されている画面に切り替わる。
スポーツカーと4WDはいいとして、タンクローリーのトラックが横に並んでいるのはさすがと言ったところであろうか。
ステージ1はオーソドックスな縦の直線コースでのレースゲームである。
(オーソドックスと言うのはあくまでこのゲームの他のステージに比べたらであり、世に存在する他のレースゲームと比較してではない)
他の車に触ると即クラッシュ(こちらだけ)なので、慎重に他の車を避けて走っていかなければならない。
また道中は何故か障害物としてドラム缶が置いてある。ぶつかればもちろんクラッシュである。しかもたまに置いてあるだけでなく横から投げ入れられる。
さらには途中で道幅が狭くなり、他車の回避が難しくなる。
ライフが3与えられているので、2回まではクラッシュしてもその場で復帰して再スタート出来る。3回クラッシュしたらゲームオーバー画面になり、パスワードを表示して中断するかリトライするかの選択を迫られる。
コンティニューするとそのステージの最初からになるが、コンティニュー自体は回数無制限で出来る(以降全てのステージで同じ)。
このような、ミニ四駆のバトルレースがごときサバイバルレールを走りぬくとめでたく第1チェックポイントである。
チェックポイントに辿り着くと、次のステージが始まる前にミニゲームが始まる。
内容は、車の上部に取り付けられたトランポリンを使ってプレイヤーを跳ね上げ、空中にある(G)や(T)のアイテムを取るというもの。
Gはガソリンアイテムで、次のステージのガソリン残量が少し多い状態で始められる。
Tはタイムアイテムで、次のステージの残り時間が少し多い状態で始められる。
ぶっちゃけ、どっちも元々余るくらいのものであるため、取らなくても全く問題が無い。物理法則を無視したトランポリンゲームを楽しみたい人だけどうぞ。
ちなみに、これ以降の最終ステージ以外の全てのステージのクリア後にこのゲームが挿入される。
迷路。
レーシングゲームで迷路とか前代未聞にも程がある、と言うか多分後の世まで含めてもこれぐらいであるが、とにかく迷路。
強いて言えば「マリオカート64」のヨッシーバレーに迷路っぽいような部分はあるが、あれはあくまで「選択したルートによって走りやすさが変わる」もの。こちらはどの道を選んでも走りやすさが変わったりしない。
もっとも、構造自体は簡単なパターンの繰り返しであるため迷う事は無いが、道幅が車1台分しか無い為、他の車に出遭ったらバックして戻らないといけない。もちろん触ったらこちらだけ即クラッシュである。
しかも他の車は明らかに殺意を持ってこちらの車を追いかけてくる。うまく撒いてゴールまで駆け込まないといけない。
このステージの特殊操作として、Aボタンで謎の黒い塊を道路上に設置出来る。
この黒い塊、置いた自分は自由に上を通過出来るが、他の車はぶつかると跳ね返って反対方向に進み始める。これを駆使して追っ手を振り切るのである。黒い塊は1度に2個まで画面上に出す事が出来、それぞれ一定時間経過するか他の車を2回跳ね返すと消える。
この黒い塊は他の車を2回跳ね返して消えるとガソリンアイテムに変化するため、どうやらオイルかガソリンか何かの塊らしい。
なお迷路の左端はゴール直前まで続く一直線の通路になっているためここを走るとかなりタイムを短縮出来るが、定期的にタンクローリーが物凄いスピードで突進してくる。黒い物体の設置で跳ね返す事は出来るが、かなりの反射スピードが必要であるため、大抵の人は大人しく迷路の方を進む。
ちなみにこのタンクローリーは他のNPC車も轢いて破壊していく。プレイヤーの車が迷路側に居る場合、それを追いかけて迷路に入ってくるためたまにしか起こらないが、NPCの車が爆発するとライフアイテムが出現する。
今度のステージはサイドビューである。
レースゲームなのに、左右のハンドル操作も無く前進か後退かしか存在しないサイドビューとは新感覚過ぎる。
当たり前だが車はジャンプ出来ないので、本当に前進するかバックするかの2つしかない。その代わりのこのステージの特殊操作としてAボタンで何かの弾を撃てる。このショットで敵を撃退しながら進むのである。
危険な地域を通る時のために猟銃などを車に積んでおくというのはあり得るのかも知れないが……。
敵は木の根、ネズミ、カラス、落石。
どういう訳か木の根の切れ端も殺意を持ったかのように車を目がけて地面から突き出てくるため、敵である。
空を飛んでいてショットが当たらないカラス以外はショットを1発当てれば撃退出来る。その代わり敵に触るとやっぱり1発で車がクラッシュする。木の根に引っかかって車が横転した、と言うパターンはありえなくも無いし、落石にぶつかればタダではすまないのは当然だが、ネズミやカラスの糞に触っただけでクラッシュする車がパリダカのレースを走り抜けられるのだろうか。
敵にぶつからないように要所要所でブレーキをかけつつ進んでいくと、障害物の仕掛けに出くわす。
障害物の向こう側にあるスイッチを押せば通れるようになるが、車では向こう側に行けないため、ドライバーが車を降りてスイッチを押しに行く。
そのために地下道を通って下から潜るわけだが、この地下道が何故か地下5階くらいまであり、最初に一番下に落下する。そして上から転がってくる岩をジャンプで飛び越えたり、なぜか下から噴出する炎を避けつつハシゴを登って地上に戻るのである。どう見てもドンキーコングです。ありがとうございました。
また、橋の通過した部分が崩落していくトラップもあるため、プレイヤーよりも後ろの参加者は谷を渡れず全員脱落すると思われる。あるいは崩落した橋を再び架け直すスイッチが出現するギミックでもあるのだろうか……。
再びサイドビューステージである。Aボタンでショットが撃てるのも同じ。
ステージ3に比べて河の橋のような場所を走って行くような背景になっている事、実際に川をボートで渡ってスイッチを押しにいく仕掛けがある事以外はステージ3とほぼ変わらない内容……かと思いきや、少し進むと下り坂が海の中へと続いている。
海の中へ突っ込むと画面が切り替わり、なんと海中を横スクロールシューティングで進むステージであった事が判明する。
地上を走るためのものであった車で水中に潜り、上下左右に移動しながら迫り来る敵を撃退する。
小魚やらエビやらがいるのはいい。それに触るだけでクラッシュするのもいい。
サメが襲ってくるのも良しとしよう。地理的に恐らくこの海は地中海だが、地中海には実際サメがいる。
途中で海底火山が大量の岩を噴出しているのも、地中海に海底火山はあるのであり得ない事ではない。
しかし前方から謎のミサイルが飛んできたり、上空からヘリが爆雷を投下してくるのは何故だろうか。
このゲームはパリ・ダカールラリーを題材にしているはずであり、パリ・ダカールラリーは車のレースであって戦争ではない。
理不尽な、まるで戦争状態のような地中海を抜けると再び地上に戻り、少しだけまたサイドビューで走って行った後にチェックポイントがある。
トップビューのレースゲームっぽいゲームにようやく戻る。
舞台としては砂漠っぽい場所。Aボタンのショットは相変わらずまだ発射できる。
例によってラクダやサソリと言った現地の生物が殺意を持ってこちらに襲い掛かり、そして1発で車をクラッシュさせてくるのでショットで撃退せねばならない。
ちなみにラクダは撃つとこちらの位置をサーチして突進してくるので撃たずに避けたほうがいい場合もある。
なおこのステージに登場する敵のうちに、謎のモグラのような何かが存在するが、こいつはその場で頭を出すだけの純粋な障害物である。
ショットで撃てば引っ込むため、通常ならショットで適当に撃って素通りするが、2発同じ奴に打ち込むとライフアイテムに変化すると言う特徴がある。しかもこの謎のモグラ、ステージ全体で10匹以上登場するため、こまめにライフを回収していけばクラッシュではまずゲームオーバーしないようになる。
ステージ中ごろに差し掛かると、大きな谷の上にかけられた橋を渡る場面がある。崖に落ちるとライフがいくつ残っていても即死であるため、ブレーキをかけてゆっくり確実に渡らなければならない。
さらに進むと今後は橋のかかっていない河に出くわす。橋が無い代わりと言ったようにイカダが設置されている。
イカダは乗ると勝手に動くので、乗ってイカダが動き出したらじっとしていなければならない。……が、本当に最後までじっとしているとイカダは向こう岸に着かないので河に落とされてしまう。途中ですれ違うイカダに車ごと飛び移れという事らしい。
2度ほどイカダの乗り継ぎを成功させると向こう岸である。ゲームでも有数の難所であるイカダでコントローラーを投げたプレイヤーは少なくない。
そして終盤。突然竜巻が発生する。
例によってこの竜巻もこちらに近づいてくるので回避しなければならない。他の敵キャラと違って、流石に竜巻は何発ショットを撃ち込んでも倒せないので、物理的に避けていくしかない。
竜巻の回避に成功して先に進むとようやくチェックポイントが見えてくる。
恐らくこのゲームで最も特徴のあるステージであり、最も問題のあるステージ。
形式としてはステージ5と同じトップビューであり、強制スクロールとなっている点が異なるくらいである。
このゲームは各チェックポイントの到達タイムの合計で順位を決めるラリーだったはずだが、画面が動く速さが固定される強制スクロールである。
ステージ開始からまもなく、最初の敵キャラが出現する訳だが、その敵とはなんと戦車である。
殺意を持った現地の生き物とかそう言うレベルではなく、本物の兵器が襲ってくる。もちろん弾を発射してくるので、避けないとクラッシュしてしまう。
敵は戦車だけではなく、蛇行運転しながら弾を撒いてくる戦闘ヘリ、八の字や逆八の字型に飛行しながら爆雷を投下してくる2機1組の爆撃機が登場する。
ラリーに出場しているだけの車と陸軍・空軍の混成部隊では誰がどう見ても蟻と象以上の戦力差があるのだが、こちらにも対抗できるだけの武装がある。従来のショットに加えて「対空ショット」がBボタンに追加されており、地上の戦車には対地ショット、ヘリや爆撃機には対空と使い分けることで敵を撃退できるのである。
撃っているのはどう見てもミサイルや榴弾の類でもレーザーのような光学兵器でもなく、ただの銃弾にしか見えないのだが、ただの銃弾で戦車を一撃で破壊できると言う事は、これは恐らくレールガンクラス以上の何かなのだと思われる。2021年現在でも実用化されていない兵器を搭載する必要があるラリーなんて聞いた事も無い。
戦車や爆撃機を撃墜しつつ、途中不意に空いている穴に落ちたりしないよう気をつけつつ最後まで生き残るとゴール。
最終エリア。
海岸の崖のようなところにある天然のコースのような場所をひたすら走り抜ける。戦車や爆撃機と激しい戦闘を繰り広げたステージ6と打って変わって、真面目なレースゲームである。
ステージ1のような直線のみのコースではなく、それなりに左右に曲がる。加えて強くハンドルを切るとドリフトのような動きをする演出まで入る。道中で横からドラム缶が転がってくるなんて事もなく、障害物はたまにいる他の車くらいである。
あとは強いて言えば途中川になっているところがあり、減速してきちっと橋を渡る必要があるくらいか。河に落ちれば一発でアウトなのは変わらない。
ステージ6までの内容からすると、拍子抜けすらしてしまうほど真面目なレースゲーム風のステージ7を走り抜けるとようやくエンディングである。
ちなみにこのステージ、崖(海岸でない方)のくぼみの横で停止し、壁の方向を押し続けていると壁に車がめり込んで行き、画面外に出て行ってしまう。画面外に出て行っても、行き過ぎて反対側から出てこない限りはがけ下に落ちた扱いにならない。それどころか普通に走る事が出来るので、障害物の無い直線コースを走ってゴールに到達出来るという裏技がある。
ゴールを迎えるとタイムの集計が始まる。
途中にタイムも何もあったもんじゃないステージがあったような気もするが、とにかく集計である。
実際にCPUの車も同様に走ってタイムを出している訳ではないので、予め設定されているクリアタイムを下回れているかどうかで決まる。
「せいせきはぴょう!」と言うどこかの外国人の日本語のような出だしで合計タイムの順位が表示される。
クリア目標タイムを上回っていた場合、めでたく優勝という事で表彰と優勝パレードが始まる。
パレードを終えると、車は地平線の向こうへと走って行き、見えなくなったところですさまじくデカい「END」の文字が出て終わる。
クリアタイムを切れていなかった場合、優勝できなかったルート(?)のエンディングが始まる。
海岸から、水平線に沈む夕陽をナビゲーターと二人で眺めて終わる。
結局「すばらしいなにか」とは何のことだったのか不明なままであった。
優勝できなかったEDではナビゲーターと二人で夕陽を眺めていたので、かけがえの無い友情を育めたとかその辺だったのだろうか? この戦場から生還しただけでも素晴らしい事ではあるが……。
掲示板
41 ななしのよっしん
2023/07/22(土) 23:12:03 ID: ltk4sNSn+a
このゲームからダカールラリー知ったけどあれだねF1とかは頭のねじが外れてるけどラリーはねじがそもそも無い人たちが走ってる…現実と比べたらクソゲーじゃなかった
42 ななしのよっしん
2023/08/22(火) 14:32:31 ID: wuGT013uAg
>>39
キャラの挙動とか面の構成が変で笑えるゲームをクソゲーって言う人けっこういるんだよね
変だとしてもゲームとしてクソであることとは直結しないのに
43 ななしのよっしん
2024/02/29(木) 19:45:02 ID: eWUIQjRBTd
というか本来のクソゲーはそっちの意味だったのだ
このゲームだって「お前ほんとにパリダカのこと調べたんか」という意味では大いにクソ企画であるわけで、全くクソでないわけではないのだ
急上昇ワード改
最終更新:2024/03/29(金) 00:00
最終更新:2024/03/29(金) 00:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。