内部留保 単語

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ナイブリュウホ

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内部留保とは、企業が獲得してきた利益のうち、投資にも配当にも回していない利益のことである。

実務的には利益剰余金等のことをす。

概要

商売を始めるためには、まず商売を維持するために必要な資産である資本(しほん・もとで)を集める必要がある。そして、資本を集めて商売を始め、その商売が上手くいくようであれば利益(りえき・もうけ)が蓄積されていく。ここで得た剰余は資本の提供者に配当(はいとう)することもできるし、ただちに更なる投資に振り向けることもできる。しかし、剰余を得たからといって、それをすべて使ってしまうのは考えものである。将来に大きな投資を考えているのであれば時間をかけて蓄積する事が必要であるし、将来被るかもしれない大きな損失に備えておく必要もある。配当や投資はいつでも可である、と思えば、とりあえず剰余を積み上げておくのもよいだろう。このようにして、企業が蓄積してきた剰余のうち、配当にも投資にも回されず繰り越すことになったもの、これを内部留保(ないぶりゅうほ)と呼ぶ。

会計的に説明し直すと、企業資本金により事業を行い利益を上げ、それを配当ないし再投資に振り向けるが、将来の投資や損失に備え、あるいは用途を保留することにより、利益剰余金を積み上げることもある、となる。

さて、ならば、企業財務諸表を読んだ時、資本金=事業投資利益剰余金=内部留保、と理解すればいいのかと言えば、そうではない。というのも、企業資産とその用途は常に変化しており、事業の資本と内部留保を区別することは困難である。また、留保利益を事業投資に投じるならば、理論上・制度上は利益剰余金から資本金への組み入れべきなのだが、それには株主総会決議が必要となり面倒である。そのため、財務諸表上は利益剰余金とされていながら、その一部が実質的には資本として運用されているのがむしろ一般的なのである。

よって、内部留保をる際には、本来の定義による内部留保をすのか、往々にして実態とはズレている利益剰余金しているのかについて注意をしなければならない。

内部留保の会計上の扱い

内部留保の実務的な定義は一定ではない。内部留保を、利益剰余金の総計に加え、資本剰余金やその他の包括利益(評価換算差額等)、負債ではあるが計上済みの将来の費用である引当を含むとするもある。とはいえ、一般的には内部留保=利益剰余金と覚えておけばいいだろう。

内部留保は的別に区分けすることも行われる。それが法定の留保である利益準備金と会社が自由に定める留保である任意積立である。任意積立の名称は的により自由であり、技術研究積立、新築積立、配当均積立、偶発損失積立修繕積立といったものがあるが、そもそも的である別途積立なるものも設定される。内部留保の意味を極端に狭く解釈するのならば、企業が使いが思いつきません、としている別途積立のみがの内部留保といえるのかもしれない。

なお、この場合、任意積立の残りである繰越利益剰余金は配当原資もしくは端数ということになる。

(参考)資本金の法的保護

資本と内部留保は実際上の区別が曖昧な一方で法的扱いは全く異なる。企業財産を配当として確保する際、内部留保(繰越利益剰余金と任意積立)を取り崩す場合は株主総会普通決議(1/2)のみで済む一方、資本金を取り崩す場合は株主総会特別決議(2/3)がめられ、さらに債権者保護手続が必要とされており、企業債権者の債権回収を困難とするような資本金の取り崩しは実質的に不可能となっている。すなわち、事業資産や運転資本に振り向けられている資本が悪意により持ち出されないように、資本金に対する強な保護制度が設けられているのである。

(参考)過去の資本金組み入れに対する課税

現在止されているが、以前は利益剰余金の資本組み入れが行われた際に、税務上、一度に配当したものがそのまま出資として会社に戻されたものとし、みなし配当として課税されるという制度があった。この場合、会社内外で全く資産負債の移動もないにも関わらず課税関係が発生してしまうため企業利益剰余金の資本組み入れに消極的であった。

この制度が止されたのは経営者が無視な課税制度よりも、企業資本金確保を推奨し事業投資を取り崩すような実質的な違法配当から会社債権者を守るほうが社会的利益が大きいと考えられたからである。

よくある不毛な論争

内部留保は設備投資に使われている!
内部留保を「会計上の利益剰余金等」とするならば、正しい。利益剰余金は、事業の資本に流用されている事がむしろ一般的だからである。 内部留保を、字句通りに留保されている利益と捉えるならば誤りである。事業に投じられているのであれば、資本金に組み入れられるべきだからである。

また、左系の一部の議員がよく言う「内部留保を取り崩して従業員の給与に回せ」というも、不毛である。給与を増やしても減るのは現であって、いくら給与を増やしたところで内部留保の額は一切増減しないからである。要するに内部留保は資本の一種であるから、企業お金を出して内部留保が減る現が起こるのは「へ支払う配当を増やしたとき」である。
つまり企業が給与として支出することと、配当として支出することは全く性質が異なることであるのに、その区別がついておらず、混同していることにより誤解しているものであると言えよう(このあたりの話は簿記を勉強していればわかる話)。

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