冨樫義博 単語

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トガシヨシヒロ

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冨樫

冨樫義博とは、日本漫画家1966年4月27日生まれ。デビュー以来、現在まで『週刊少年ジャンプ』のみで作品を発表している。

冨樫だ! 二度と間違えるな! わたしの名は冨樫というんだ! 富樫でもフガシでもない!」

概要

ジャンプ作品のコミック総売り上げTOP10に「HUNTER×HUNTER(第8位)」「幽☆遊☆白書(第10位)」と自身の作品が2作品もランクインしている[1]作家。また、「レベルE」も含めマニアック人気を博している。

成年漫画で活動している冨樫冨樫秀昭)、妻は「美少女戦士セーラームーン」の作者である武内直子。ちなみに、このカップルはそれぞれ少年漫画少女漫画ビッグネームであり、大な印税・版権収入を持つことから「二十億円カップル」と呼ばれた。よく『富樫』と間違われる。

1989年に「てんで性悪キューピッド」で連載デビュー。ところがこれは1年と持たず打ち切りの憂きに遭い、本人としても黒歴史となっている。しかし翌年の1990年から連載開始された「幽☆遊☆白書」が大ヒット。「DRAGON BALL」や「SLAM DUNK」と共に、ジャンプ黄金期を支えた。

が、「幽☆遊☆白書」連載後期では週刊連載の務と編集部からのプレッシャーによって心身の疲労が蓄積し、休載や下絵同然の掲載が発生。同作の終盤はかなり駆け足・唐突な展開が多い。このこともあり、一時は「消えた漫画家」扱いされることもあったが、約1年の充電期間を経て、「レベルE」の連載を始める。

週刊誌なのに一連載、アシスタントを使わず本人だけで全て描く、少年誌にしては対年齢の高い内容などで話題になった。1998年からは現在も連載が続く「HUNTER×HUNTER」の執筆を開始している。

上記の通り、アンケート至上義を掲げており、熾な連載争いが行われていることで有名な『週刊少年ジャンプ』において、(多少休みがちとはいえ)20年以上に渡って連載し続け、しかも連載作4作品中3作品がアニメ化しているという実績、「H×H」単行本一冊当たりの売上が「ONE PIECE」「NARUTO」に次ぐ第3位という人気の高さから、『週刊少年ジャンプ』を代表する漫画家の一人といえるだろう。

一方で、時には1年以上に長引くこともある休載や、下描き状態での雑誌掲載はプロ漫画家としてあるまじき不実な行為であるとし、その行状を糾弾するも少なくない。現在休載の多さそのものがネタになっている部分があり、「H×H」の連載再開が各種サイトニュースとして報じられることもあるほど。

これらの作のため、ニコニコ動画では、「H×H」や「幽遊白書」など冨樫関連のものが動画内で出てくると、「冨樫仕事しろ」とネタまじりにコメントされる。

2022年5月24日、突如Twitterを開設。たった数日でフォロワー数が日本漫画家のTiwtterアカウントの中でトップとなり、初ツイートのいいね数が2021年で最もいいねされた有吉弘行氏のツイートえる数となった。

漫画製作に関する話

話作り

村田雄介著『ヘタッピマンガ研究所R』のインタビューで分かる通り、色々とこだわりがあるようだ。「ネーム真理に最も近い男」という異名を持っているほど。あまりに真理に近いのでネーム状態での掲載が許される。

冨樫の話作りは基本的には漫才

ネームにする前にキャラ達のセリフの掛け合いを描き出し、その中でキャラ同士がキャラらしさを守った上での最良の一手をボケツッコミのようにバンバンかぶせていき、「論理展開」させていって、最後は主人公がそのずっと上を行く解を打ち出すといった感じ。
HUNTER×HUNTER』の序盤は特に意識してそういう作り方をしていた。
レオリオクラピカが登場する回やドキドキ2択クイズなど)

この「論理展開」とはキャラクターと相談することをし、例えばキャラが2人いて、片方が「はこっちに行って戦う」と言い、もう一方は「はこっち」と言ってそれぞれ別行動する展開にしたいとすると、作中では省略されていてもそういう展開になるまでの経緯をセリフの掛け合いとしてに書き出してみて、「本当にそんな結論になるのか?」という検証作業を行うようだ。
その過程で、「このキャラの性格だとこっち行きたいとは言わないな」となったら、その展開はボツにしてしまうらしい。

その理由は、「キャラがちゃんと生きていて自分で判断しているように思えないと不安で、全員が死を尽くしている感じを大事にしたいから」とのこと。

ジャンプ流 vol.21』によれば、そういう作り方をしていった結果、『H×Hキメラアント編もあらかじめ想定していた終わり方とは随分変わってしまったとか。

少年ジャンプ+』の石田スイとの対談では、キャラクターコントロール出来ていない時の方が漫画は面くなると冨樫る。おおよそのストーリーを考えていたのに、実際にキャラクターを描きだすとそのストーリーラインとは全く違う台詞を喋ってしまう事があり、その台詞の方が「こいつに合ってる!」と思うと最初に考えていたストーリーは捨てるしかないが、そういう事が起きた時の方がやっぱり面いのだという。

冨樫同人誌『'98社会復帰宣言』によれば、冨樫仕事で一番好きなのはネームを考えている時であり、特にストーリーの流れが頭の中でいくつかに分かれた時、どのに進むか悩んでいる時間が一番楽しいようだ。
いわく、冨樫はいつもすぐトリップして頭の中でネームを切っているらしい。

また、『黒子のバスケ』のインタビューでは、あるキャラが勝つとわかりきっていても、あえて負ける場合のネームを作ってみることも推奨している。そうすることで、ネームを作ったことが必ず本編に生きてくるのだという。

ジャンプGIGA』での岸本との対談では、冨樫は自分の中に話作りのセオリーがあるが、その中に収めて描くというのがどうしても出来ず、結末の見えない方向に話を進めたいとっている。話の傾向としては、人が減っていく系の話が好きらしい。

また、ファンタジーを描く時のポイントは、自分の体験や経験をエッセンスとして加えることであり、これによってストーリー読者との距離がグッと縮まるのだという。(例:『幽白戸川純に関する発言)
幽白』で現実世界を基にした話をやってしまったため違うパターンの『ハンター』を始めたが、基本的にはファンタジー世界を作るにしても理をせず、自分が過ごしてきた何歳ぐらいの世界をもとにするかという感じで、どこか現実リンクさせておくとっている。
ちなみに『ハンター』の連載当初は自分の小~中学生時代をベースに描いていたが、連載を続けているうち今の自分とリンクしていって、携帯を出したり、次はスマホを出したりと変化していったようだ。(『ジャンプGIGA2016年2号 冨樫岸本の対談より)

制作裏話

能力バトル

ルール内でハメ技みたいなものが起きないように考えるのが、また難しいんで。あの、どんどんその、ネット考察されてしまうんで…。 考察を楽しんでくれているファンがいることも理解した上で、たまに考察すら「気にしない、見ない!」って話を進めたりもするんですけど。そうすると自分のストーリーは本当に褄が合っているのか?という恐怖と戦いながら描くという、そんな状態ですね。バトルは時代的にだいぶ難しくなってきている。

-『ジャンプGIGA2016年2号 冨樫岸本の対談から抜

バトルは基本的には勘で描いているらしい。その勘は読書量で培われたものであり、それによって既出アイデアアレンジや、逆張りもできるので、選択肢が増やせるという。(これはストーリーキャラにも言えることらしい) また、自分の中でに対するツッコミを全部やっておいて、それを全部拾った上でどれだけ対処できるかというのが大事な部分であるとのこと。

絵柄

強いて言えば「自分の絵を持たないことがこだわり」。その時に描いているシリーズを一番活かせる絵柄に、その都度近づけるようにしているとのこと。 

あとは、その週に見た映画なり漫画なりが面いと試したくなってしまうので、ブレーキをかけるという意味で「縛り」を設けて、絵柄がブレないようにしているようだ。
(例:『幽白』では迫を出し、『レベルE』はリアルに、『HUNTER×HUNTER』はトーンを使わない、等)

(『ジャンプ流 vol.21』より)

また、喜怒哀楽が入り混じった微妙な表情(アルカイックスマイル)の描き方にもこだわりを持っているらしい。

巻忠俊著『黒子のバスケオフシャルファンブック キャラクターバイブル』のインタビューより)

キャラクター作り

私への質問で「登場人物のに似てますか?」というのが来ますが、性格的にはこれから出てくるも含めて、悪役全員の悪い所を全て足すと私です。つかまるのが嫌なので実際に行動には出しませんが。

-『幽☆遊☆白書』単行本9巻から抜


キャラは最初から深く描かなくても良いじゃないですか。後から付けしていく方がはやりやすい。主人公側だと、始めにきちんとキャラクターを出したうえで皆に乗っかってもらわないといけないので、難しいんですけど。それにキャラが好きだから肩入れが半端ない(笑)。極論で言い方は悪いですが、敵キャラは殺しちゃえば出さなくていいじゃないですか(笑)。登場期間が短いほど装とか細部までこだわることができるし。

-『黒子のバスケオフシャルファンブック キャラクターバイブル』から抜


漫画を描く上でのポリシーを聞かれて)の場合はバトル漫画を描いているというのもあるんですが、「いつでも主人公を殺してやるぞ」という気構えですね(笑)。「主人公だからって安心してんなよ」といつも思うようにしています。キャラだろうが、ここで殺したいから殺すと(笑)

 -『黒子のバスケオフシャルファンブック キャラクターバイブル』から抜


オレ補するって信用できないんですよ。だから政治にも政治家にも根強い不信感があって、立補するような性格のが共通して持っている「何か」が結局諸悪の原因だという気がしてならないわけですよ。(中略)「決まったことだからがんばる」っていう性格だったり設定だったりが好きなんですよ。オレ自身にないものなので。オレだったら意に沿わずに決定されたら無視するかふてくされてダレるんですけど、がんばっちゃう人ってすごいなぁと思うわけです。

-『HUNTER×HUNTER 0巻』から抜

冨樫作品には、主人公要人物に片など複雑な環境キャラクターが多いのが特徴。(冨樫自身はよくある環境で育ったが、漫画を描く上では、主人公のやることに反対する立場の人間で邪魔だから、とのこと)また、『湘南爆走族』の主人公で、オールバックキャラを下ろすのが格好良くて好きだという。(『少年ジャンプ+石田スイとの対談より)

キャラ名前に関してはその時見ていたTVで決めてしまうこともある。鳥山明が好きとのことで、ブルマトランクスといったノリも良しとしているらしい。(『ジャンプGIGA2016年2号 岸本との対談より)

キャラ設定を考えるときには性格をぼんやりした設定にはしないようにしており、例えば「短気、怒りっぽい」で決めてしまうのではなく「何々って言われると怒る」と具体例を先に決めておくと動かしやすいと言う。未完成キャラでも、なるべく具体的なシチュエーションに放り込んでみて、その中でどんな行動をするのか?というシミュレーションをなるべくやっておかないと、後で詰まることが多いらしい。また、冨樫は基本的には作ったものをどんどん壊していきたいと言い、「キャラクターの性格にそぐわないシチュエーションに置いたらそのキャラがどう行動するか」といった事を試してみたくなるという。キャラクター極限状態に置いて、普通は取らない行動を起こすよう追い込むことは、ついやりたくなってしまうらしい。(『ジャンプGIGA2016年2号 岸本との対談より)

キャラ装に関しては、その時その時の感覚で描いていたためあまりデザインを決めていなかったようだ。ところが装を思い出しながら描くのが大変な上、それまではの模様も全部自分で描いていたところ『H×H選挙編で初めて腱鞘炎になってしまったため、ようやくデザインなどの設定画である「キャラ表」を作ることを思い付き、以後はキャラ表のおかげでの模様等をアシスタントに任せられるようになったという。ちなみに、選挙編で腱鞘炎になるほどの模様等を描き込んだ理由は、選挙編は票数など文字だけで済むコマが多くて嬉しくなって別の所にを入れようとした為らしい。(『ジャンプGIGA2016年2号 岸本との対談より)

キャラクターは基本的には想像だが、実在人物のイメージを自分なりに膨らます事もよくやるようだ(『霊界紳士録』より)。また、冨樫は『ヘタッピマンガ研究所R』にてキャラの人柄は作者の人柄」「教わってどうにか出来るものではない」という格言を残している。

キャラクター人気投票

これまでに『幽☆遊☆白書』は2回、『HUNTER×HUNTER』は3回、キャラクター人気投票が行われている。

以下は、人気投票における各作品の要人物4人の順位を表にしたものである(幽☆遊☆白書は第2回を参考)。なお、4人以外の名前は薄くしている。太字が主人公

幽☆遊☆白書 HUNTER×HUNTER ポジション
1位 飛影 キルア=ゾルディック 小柄なツンデレ
2位 蔵馬 クラピカ 女顔の美形
第3位 浦飯幽助 ゴン=フリークス 直球主人公
第4位 桑原和真 ヒソカ 長身の三枚
第5位 コエンマ レオリオ

いかに主人公が一番人気である必要がない、読者人気の高いキャラ属性萌え要素)は作品が変わってもほとんど一緒というのが分かる。少なくともハンターキャラクターを意識していたに違いない(でなければ被りすぎ…)。

ちなみに、『幽☆遊☆白書』第2回投票総数は5万越え。組織票含めても今ではありえない投票数である。某アイドル総選挙とは違うのだよ!

まあ、嫁の作品は17万票とかいうバケモンだけどね

カラー原稿

カラートーンは多分もう死ぬまで使わない。面倒だから。」
エアブラシ自体がオレの性格に合わなかった。もう使うことはないだろう。」
「コピックってやっぱありがたいよね。」
色の所要時間10分。けどやる気になるまで10時間。」
「マーカーでさえ塗りむらを作ってしまう作者の技術不足たるや、他の追随をみじんも許しはしない。」
「おそらく何色もパレットに出すことすら面倒だったのでは…。」
適当なものが手元になく、結局つるっつるのケント色してる。画材屋くらい探せ。」
「色に反抗してた、あの頃。色?色って何だよ!?的な。」
とにかく色は嫌い。いいのかこんな事ここで言って。

-『幽☆遊☆白書画集解説から抜

このように、カラーに関してはかなりの面倒くさがり苦手意識がある様子。

ジャンプ流vol.21』付属DVD「体感!カラー作画」では、冨樫カラー原稿を描いてみせながら「配色・混色。そのどれにも才がない」とこぼしている。

画材はに付いたものを適当に使うため、メーカーは特にないそうだ。色を決めるのも全然決まりがなく、その時なんとなく使いたいと思ったものを適当に出す感じだという。

とにかく色には本当にこだわりがなくて、主人公髪の色ですらあまりちゃんと決まっていないらしい。というのは、一応髪の色を決めてはいるつもりだが、途中で飽きてしまうのか別の色で塗ってみたい時があるようで、「その登場人物のは何色ですか」と聞かれても自信を持って「これです」と言えないんだとか。(『ジャンプ流vol.21』付属DVDより)

画材は基本的には幽白の頃と変化しておらず、製図用インクカブペンを使っているが、『HUNTER×HUNTER』になって色に少しだけMacを使うようになった。(『霊界紳士録』より)

カブペン用している理由は、筆圧が高すぎてを削るように描いてしまうため、Gペンだと強弱をつけようとした時に曲がってしまい、滴がバッと飛んでしまう。または、面倒くさがってを回さずに描こうとした時に、ペンが引っかかってやはり曲がってしまうのだという。色々使ってみて最終的にカブペンが一番使いやすかったとのこと。(『ジャンプ流vol.21』より)

絵具はアクリルが一番使いやすいらしく、何回も重ねて塗れるのと、ちょっと失敗した所も修正でき、失敗を恐れず使えるかららしい。 基本は汚い色が好きなので、鮮やかな部分をどんどん混ぜて度を落としていきたいが、やりすぎるとただ汚いだけになってしまうので、なるべくそうなる前にやめるようにしているそうだ。その点、アクリルだとくと使えなくなってしまうので、ききる前にやめられるのが長所だという。だからなるべく少しの量を出して、く前に描き終えるというのが冨樫の中での決まりだという。「足していきながらもどんどんクオリティ的には落ちていくのが自分の」らしい。(『ジャンプ流 vol.21』付属DVDより)

ジャンプ流 vol.21』付属DVDによれば、冨樫カラー原稿の手順は、下書き→プレペン入れ→色→ペン入れとなっている。

他の漫画家だとペン入れをしてから色するのが一般的だが、冨樫は最近では色してからペン入れしているのだという。理由は、冨樫は物凄く筆圧が強く、ペンを相当傷つけてしまうことにより、他の漫画家よりも(恐らく)色が滲むことになってしまうかららしい。以前は先にペン入れをしていたが、そうすると濃く載せたところがどうしても線がぼやけてしまい、上からペンを入れ直す作業が入るので、どうせだったらもう最後にやってしまった方が全体的にシャープになるので、ペン入れは最後という結論に達したようだ。

ところで、冨樫カラーに苦手意識を持つ一方、武内直子カラー原稿の美しさに定評がある。「これがまたキレイで上手い」と冨樫も認めており、『H×H』のカラー原稿を手伝ってもらったこともあるようだ。(『HUNTER×HUNTER』1巻より)

というわけで、『HUNTER×HUNTER』のカラーがやたら綺麗な時は、が手伝っている説を唱える人もネットにはちらほら出たりする。

作画

は、「絵を描いてる自分を、別のところから見ているもう一人の自分」がいて。「もっとうまく描ける」とか「これじゃダメ」っていうのを細かく摘してくるんですよ。しょうがないから消しゴムをかけてますよ。だから、もしが自分本位のまま絵を描いていたら「もうこれでいいや」ってなっているんです。でもうしろのほうで「あ、いまこの絵ダメ」って言うんですよ…。そいつは自分を客観的だと思ってる。ただ、のそいつは子どもなんで、ストレスに弱いんですよ。(中略)もうほんと、泣きながら消してますよね。

-『ジャンプGIGA2016年2号 冨樫岸本の対談から抜

対談にて、冨樫岸本斉史にミドル(引きの絵)の作画逃げずにきっちり描いていることを称えられている。しかし、冨樫いわくミドルを描いている時は自分が本当に強い時であり、これだけ下手だから出来ればミドルは1コマも入れたくない、顔のアップ連発の方が楽だが「もう一人の自分」が邪魔をする、と複雑な様子である。

下描き掲載

私は画力で人をひきつけたいという絵が好きな人ならでも少しはもっていそうな野心を極おさえてもらっていました。新人時代、萩原一至さんの原稿を当時の担当から見せてもらったからです。正直言って、絵では絶対かなわないと思いました。しかし「できれば全部一人で描きたい。」という理想は捨てられませんでした。

幽☆遊☆白書』の連載中、何回か一人で原稿を上げたことがあります。全てストレスピークに達している時です。
理解してもらえるかわかりませんが、原稿が満足にできないことによって生じるストレスを解消する方法が「一人で原稿を上げること」なんです。
その結果その週の原稿は惨々たるものでした。背景も人物もなぐり描きです。

読み切りのツーショットVS蔵馬幽助VS仙水幽助が対面する回はほとんど一人で描きました。後半の2話は、あるハガキ批判の通り、落ちる寸前の半日で19枚上げたものです。プロ失格かもしれませんがそれでも自己満足してました。

すでにその時「人がどう思おうがどんなに荒れた原稿になろうが一人で描きたいもんは描きたいんだ」という気持ちを抑える理由が失くなっていたのです。

冨樫本人の幽白同人誌『よしリンポン!』から抜


私の頭の中には、田所さんと今井さん(どちらも仮名)という二人の人物がいる。田所さんは絵を描くのが専門で今井さんは企画や話を考える。田所さんは自尊心が強く根性なし今井さんは軽薄で節操がない。

-『レベルE』単行本3巻から抜



「かけ出しの頃担当さんにヘタって言われたのが悔しくってねー。それプラス昔はネームの絵に原稿の絵が全然及ばない事が多くてそれもまた悔しくて、それをバネに作画の時直しまくったのが今思えば練習になってたかな。ホラ、ネームの時のテンションが一番高いもんでしょ?イキオイがあるってゆーか

-『ヘタッピマンガ研究所R』 冨樫インタビューより抜


(『HUNTER×HUNTER』53話「ダブル」について)反省を踏まえて置いているのかな?っていう感じの。
基本的にネットがざわつく感じの仕上がりになっている絵のやつです。
半日ぐらいで多分原稿を19枚上げていた時のやつですね。
ネームを考えるのが好きなもので、とにかくそっちの方に時間を割きたいと思ったら、どんどんどんどん原稿の方に使う時間がなくなった結果、「もうここまでしか待てません」って言われるギリギリまで時間を頂いて、その結果ここにあるミリペンで上げたっていう感じの回です。
その時のテンションやらそういうふうなことを大事にしてそのまま載せてたりもするんですけど…どうなんだろう?って思って今ちょっとここ(仕事場の)に置いている感じです。

-『ジャンプ流vol.21』付属DVDより抜

(『幽白』後半からその傾向が見られたが)『HUNTER×HUNTER』はたまに下描きのような荒れた作画のまま『ジャンプ』に載ることがある。

これはネット上では下描き掲載・ネーム掲載などと呼ばれ、厳しく批判されることもある。

そのため、単行本収録にあたって加筆修正をする羽になってしまってたりする。(→冨樫は二度描くの記事参照)

冨樫いわく「ジャンプと併せてお楽しみいただければ幸いです。」だそうだ。(『HUNTER×HUNTER』25巻より)

一応、最近は『ジャンプ』掲載時も作画が一定の準を保っており、近年では単行本はど修正されていない。

アニメ

声優さんの選択には関わってません。私の中でな登場人物にの設定がなかったからです。作業工程もTVの裏事情も知りませんから、出来ること出来ないこと、やりにくいことの区別もできません。故にあまりアニメには関わってません。思い入れのある方からすれば、はがゆいかもしれませんが、原作アニメは別物漫画家になる前から思っていました。

-『幽☆遊☆白書』 単行本10巻から抜


自分のキャラクターイメージって作ってます?、全然つけてなくて…。何回かアニメ化してるんだから、いい加減つけろよって話ですけど(笑)

-『黒子のバスケオフシャルファンブック キャラクターバイブル』から抜


昔は自分の作品が違う人の手で再現されているのが気恥ずかしかったけど、年を重ねる毎に「うまい形で参加したいな」と思うようになりました。

-『黒子のバスケオフシャルファンブック キャラクターバイブル』から抜


(『HUNTER×HUNTER映画化で)「作品は子供と同じ」的な事を言う人がいますが、初めてその感覚が少しわかった気がします。この落ち着かない感じは子供の発表会を見に行く時とよく似てますね。私の場合自分のマンガ子供じゃなくて私そのものなので、どんな評価されようが何とも思わないんですけど、映画TVアニメは、なんかソワソワします。

-『HUNTER×HUNTER 0巻』から抜

幽遊白書』の頃は自分の事で手一杯で、アニメには本当にノータッチだったらしい。しかし、桑原役の千葉繁演技に関しては「よりも桑原というキャラを理解して下さっていた」と大絶賛している。そのため、本当はアニメを見て冨樫自身も相乗効果を受けたかったようだが、自分の作品のアニメを見ると「うわぁ」となってしまうらしい。(=アニメはろくに見ていない??)

巻忠俊著『黒子のバスケオフシャルファンブック キャラクターバイブル』のインタビューより)

関連動画

冨樫巡回済み(?)動画

gifアニメなるものを視ました。迫と労に圧倒です。面かった。<義博>

-『週刊少年ジャンプ』 2011年47号巻末

外部リンク

関連項目

脚注

  1. *集英社メディアガイドexit
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