危機管理 単語

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キキカンリ

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危機管理(ききかんりCrisis management)とは、「将来生じうる問題」もしくは「現に生じている問題」に対する対応のことである。特に前者を「リスクマネジメント:Risk management後者を「クライシスマネジメントCrisis management」と区別して取り扱うこともある。

概要

今更だが世の中には危険がいっぱいである。

人間であればでも「やったら/起きたら嫌だなあ」とか「やっちまった/起きちまった」と後悔していることの一つぐらいあるはず。そんな望ましくないことが「将来起きた/起きている」時にどうするか?を考えるのが危機管理である。

余談だが上記の3つの言葉はいずれも"management"という言葉を使っており、"control"を使っていない。前者には「何とかして対応する」という意味があり、後者には「制御する」という言葉がある。危機管理が必要な状況では想定外が付き物なので、ある意味当然のことであろう。

危機管理の必要性

先人たちは「備えあれば嬉しいな憂いなし」「臨機応変」という二つの言葉を残している。

「備えた上で、実際に起きたことに合わせて柔軟に対応する」これが危機管理である。

先人たちは暗に「どちらかが欠けたら失敗するよ」と警告しているのかもしれない。

リスクマネジメントの必要性

リスクマネジメントは泥縄式の対応を減らすために必要である。

例えば「スマホの電池が切れた。だけど予備のモバイルバッテリーに置いてきた。充電器もない」なんてことはいだろうか?お金が有り余っていればその辺のコンビニモバイルバッテリー買いまくるのもありだろう。しかしながら事前バッテリー切れを予測してモバイルバッテリー充電器を用意しておく方が効率的である。

もっといえば、危機管理が必要な場合、例えば地震では運べる物資にも限度がある。「地震が起きたら、その時にありとあらゆる物資を買って運ぶ」なんてことは出来ないのである。予めリスクマネジメントをしておく必要がある。

クライシスマネジメントの必要性

クライシスマネジメントは「その場を乗り切るため」に必要である。

例えば「スマホの電池が切れた。だけど予備のモバイルバッテリーに置いてきた。充電器もない」なんてことを想定しよう。急用で予想以上にスマホを使えばそんなこともあるだろう。この場合は「予備のバッテリーを購入する」「充電器を借りる」…と色々なことを考えることになる。その一方で「何もしない」と割り切ることも選択肢に入ってくる。これが危機管理である。

実際に危機管理が必要な現場、例えば地震では下記のような特徴があるため、更に対応が難しくなる。

1)予防できない

当たり前のことである。時間を元に戻すことは出来ない。壊れた機械は壊れたまま、傷ついた体は傷ついたままである。多くの場合はその場で対応を考えないといけない。

2)放置すると状況は悪くなる(ことが多い)

大体の場合起きてしまったことは何もしなければ被害が拡大していく。そのため、何かしらの対応を期にすることが望ましい。

3)対応の是非が対応を打った直後には分からない

 「何かやらないといけない」と思って打った対応がむしろ悪手になることがある。そのため、下手な対応は打てない。

以上の点を考えると「即で」「下手な手を回避しつつ」「うまい手を考えて打つ」ということになる。これがいかに難しいかについては、災害対応は言うに及ばず、ネットにおける炎上不祥事の釈明会見を見ると分かるかもしれない。

危機管理の考え方

1)やれることは事前にやっておく(リスクマネジメント

 マニュアルがあるのとないのとでは対応が全然違うし、マニュアル限界を知る意味でもやれることは事前にやるに越したことはい。ただし、必ず想定外が発生することを想定しておかなければならない。

2-1)起きたこと、被害状況を把握する。

正確な情報がなければ妥当な判断は出来ない。そのため、何が起きたか?どのような被害が発生しているか?を把握する必要がある。なお、大抵の場合初期の情報は集まらないし当てにならない。例えば地下鉄サリン事件の第一報は「爆発事故」だった。

2-2)被害状況を情報収集する、想定する。

最初の情報は集まってこない。しかしながら、「情報がないから対応できない」では被害が拡大する。情報がないならば「情報を取ってくる」か「起こっていそうなことを想定する」かのどちらかである。情報がない部分は想像で補うしかないのである。その際には「最悪に備えよ」という格言が参考になる。要は「過小評価するな」ということである。

3)対策を考える、実行する

被害状況の想定が終わったら、それに応じて対応を考えないといけない。考えたら実行である。リスクマネジメントをしていれば対応を考える手間を省くことが出来る。但し、リスクマネジメントの想像をえる場合はその場で対応を考えないといけない。マニュアルに固執して想定外無視すれば危機管理は失敗する。

4)対応後の状況を把握する

対応したらそれによってどの程度変化したかを確認する。やりっぱなしでは被害が悪化しているかもしれないし、別の問題が発生するかもしれない。ここで2-1)に戻る。

身近な危機管理

簡単な例として例えば寝坊を基に考えてみよう。

o)寝坊しやすいかどうかを把握しておく。

世の中「1回も寝坊したことがない人」もいれば「遅刻魔」だっているだろう。あるいは夜更かしが必要な作業をしていれば寝坊の可性は高まる。その程度に応じて「対策なし」から「覚まし5個」や「かに起こしてもらう」「謝罪メールの準備」まで準備をしておくとよいかもしれない。

1)寝坊したと理解する

 「寝坊した」と理解しなければ何も考えることはいだろう。寝坊した事実を知ることが大切である。人間知りたくないことは理解しにくいのである。

2)寝坊の程度を評価する。

寝坊に気付いたら、今度は寝坊の程度を評価する。1の寝坊なら、何もしなくても多分多分大丈夫だろう。それでは1時間の寝坊であればどうだろうか?

3)起きそうなことを考える。

寝坊したら何が起こるだろうか?遅刻かもしれない。遅刻したら何が起こるだろうか?という具合に色々想定する。もしかしたら何も起きないかもしれないが、普通は何かが起こるだろう。

4)対応を考える。

起きそうなことを想定したら、今度は対応を考える。謝罪の電話をするかもしれないし、タクシーを拾うかもしれない。

5)実行する。

対応を考えたら実行する。シンプルだが、実行できないこともあるだろう。実行できなければ2)か3)に戻って考えよう。

リスクマネジメントが失敗するとき

リスクマネジメントは「想定の範囲内」か「想定外」かで「成功/失敗」を評価することが不可能ではない。次章のクライシスマネジメント事後評価しにくいことと較すると対的である。

1)事例の調を怠った。

過去に起こったか?」「現在何が起こっているか?」を調べることは重要である。大学生なら過去問や授業中のヒント、工事なら過去事故事例や価である。その中から漏れてしまうと想定外になってしまうだろう。

危機管理の現場では「調したかどうか」はもちろん「どのように調したか」も問題になる。例えば「過去にこんな大きな津波が来たなんて知らなかった(東日本大震災における福島第一原発)」という発言は「過去国会議員から追及を受けていたにも関わらず、これを無視した」ことで厳しく批判された。

2)事例の見積もりを誤った。

杞憂」という言葉がある通り、何事にも適当な規模の対応がある。例えば「デッドボールによる重大事故を防ぐためにバッターの前にを作る」なんてことをすれば野球にならない。代わりに重大事故を起こしやすい頭部にヘルメットをかぶっている。あるいはF1カーシートベルト一般車両のシートベルトは全く異なる。

一般的には(事例の見積もり)=(発生する確率)×(発生した場合の被害の程度)で計算することが多い。

しかしながら「何が起きるか?」の想定を甘くした結果「対応しないといけないこと」と「対応しなくてよいこと」を混同して無視してしまうことがある。特に「対策にコストがかかる場合」や「発生する確率が著しく低い場合」は無視することが多い。前者の例としては「既存不適格の建造物の耐震工事」後者の例としては「福島第一原発大津波」がある。

なお、「対策にコストがかかる」の「コスト」は必ずしも銭のみではない。例えば「建物を取り壊して建て替える時間」もあれば「耐震工事をすると『危険だ』と揚げ足を取って騒ぐ集団の存在」もある。

クライシスマネジメントが批判される時

 そもそもクライシスマネジメントに満点は存在しない。建物は壊れたら元に戻らないし、死んだ人は生き返らない。マイナスからのスタートである。そのため「起こった以上に被害を拡大しない=満点」である。

 但し、ほとんどすべての事例では起こった以上に被害が拡大していくことを忘れてはならない。例えば地震であれば「地震で死ぬ人」もいれば「地震以降:火災クラッシュシンドロームエコノミークラス症候群…で死ぬ人」も出てくるだろう。現実的にはクライシスマネジメントはすべて失敗する。「俺なら失敗しない」とする人間馬鹿詐欺師なので相手にしてはいけない。

 加えて言えば「対応が正しかったかどうか」は難しい話である。「どう見てもむちゃくちゃだけど結果オーライ」なラッキーマンもいれば「やることなすこと全て裏に出る」アンラッキーマンもいるのである。

そのため、以下の事例では「正しい/誤り」ではなく「批判を浴びやすい」という表現を使用する。

1)情報を軽視した。

対応を考えて決めるためには情報が重要である。にもかかわらず「情報いのに取ろうともしない。挙句そのまま対策を考え始める」事例が散見される。例えば「音信不通自治体があるにもかかわらず連絡員を派遣しない」ような行為は批判を受けやすい。

2)情報の解釈に問題があった。

正しい情報を貰っても解釈を誤るとそれ以降の判断・行動に問題が発生する。情報の分析や対応する優先順位を適当に考えた場合に発生しやすい。例えば「一部地域の停電状況を見て、それで復旧の見込みを判断する」場合は批判を受けやすい。

3)判断に問題があった。

「へぼ将棋 王より飛を 可がり」なんて狂歌がある通り、判断に問題があると誤った行動をしてしまう。例えば「現場の復旧作業を中断させて視察する」「準的な企業帰宅難民が大勢いるのに『業務終了だから』と建物のシャッターを閉じる」というような行為は批判を浴びやすい(もちろん行為の法的な妥当性とは別問題である)

4)対応に問題があった。

クライシスマネジメントの現場では対応が不十分になるのは仕方がない側面がある。例えば壊れた病院いつもの業務をやるなんてこと自体不可能な話である。その一方で「どう考えても実現不可能な対応」や「効果が期待できない対応」をやることは批判を浴びやすい。もっとも「どう考えても実現不可能な対応」や「効果が期待できない対応」と判明するのは後日になることも多いのだが。

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