『怪盗スライ・クーパー』(かいとうスライクーパー、Sly Cooper)とは、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE) が発売、主にサッカーパンチプロダクションズが開発したアクションゲームのシリーズ、またはその主人公の名前である。動画のタグは「怪盗スライクーパー」「スライクーパー」など様々であるが、正しくは「怪盗スライ・クーパー」である。
概要
代々「義賊」を生業としてきたクーパー家の末裔であるアライグマの青年「スライ」が、仲間の「ベントレー」「マーレー」などと協力しながらフィールドを進んでいくアクションゲームである。公式サイトでは、ゲームジャンルを「怪盗アクションゲーム」としており、主人公のスライが特有の動き「怪盗アクション」を駆使して物語を進めていくスタイルを売りとしている。また、ムービーシーンはすべて昔ながらのアメコミ調で描かれていることも特徴の一つである。
2002年(日本では2003年)に発売された第1作目は、クラッシュ・バンディクーやラチェット&クランクなどの作品のように「ゴールに向かってルートを進む」傾向が強く、いわば「怪盗」という肩書の正義のヒーローが悪を討つといったゲーム内容であった。
2004年(日本では2005年)に発売された第2作目と、2005年に発売された3作目では、ゲームシステムが大きく異なる。エピソードごとに1つの街が箱庭のような形式で作られており、そのステージで課せられたミッションを遂行していく、というものである。ミッションには、敵のアジトに潜入して盗撮や窃盗を行うなど、「怪盗」らしさを強調したものが多くなった。その他に、ベントレーやマーレーなどの仲間が操作キャラクターとして使用できるようになり、操作キャラクターには体力ゲージが設定されるようになったのも1作目との革新的な変更点である。
そして2010年(日本では2011年)、上記の3作品をプレイステーション3向けの移植、収録した『スライ・クーパーコレクション』が発売された。『怪盗スライ・クーパー3』がこの作品で日本初登場となったことに伴い、後に述べるが『1』『2』でも担当声優と和訳が変更された。なお、今回の移植には、サンザルゲームズが手がけており、シリーズ4作目(日本での発売は未定)の開発も行った。ちなみにこの4作目にはステージの一つに日本がある。
シリーズ作品およびキャラクターが登場するゲーム作品
本編シリーズ
スライおよびシリーズのキャラクターが登場するゲーム作品
登場キャラクター
前述の通り、『怪盗スライ・クーパー3』は日本で未発売だったため、PS3用に移植された『スライ・クーパーコレクション』で日本初登場となり、それに伴って、キャラクターの名前の一部と、『1』『2』で担当していた声優が全て変更された。ここでは、キャラクター名の右に担当声優を(PS2→PS3版)の順に掲載する。
クーパー・ギャング(スライと仲間たち)
- スライ・クーパー・ラクーン(CV:関智一→草尾毅)
- 青いジャケットと帽子がトレードマークのアライグマの青年。代々続く義賊の家系「クーパー一族」の末裔で、一族が開発・改良した盗みの技術を子孫に伝えていくために書き記した「ラクーナの秘伝書」を幼いころから読んでおり、その一族の誇りを学んでいた。父親から秘伝書を受け継ぐことになった9歳の誕生日の晩、謎の5人組の集団によって、父の命と秘伝書を奪われてしまう。身寄りのなくなった彼は孤児院に引き取られるが、そこで出会った「ベントレー」「マーレー」と共に「クーパー・ギャング」を立ち上げ、父の敵討ちと秘伝書の奪還のため、泥棒稼業を営みながら5人組の行方を追う。
代々受け継がれた一族の血によって、「乗ることが出来る足場や隠れることが出来る場所を青い光として感じることが出来る」特殊な能力を持つ。父がもう一つ守っていた家宝の杖「セプター」を駆使して多彩なアクションを行う。
怪盗として一流の腕を持つが、プレイボーイな気質がややあり、特にカルマリータに対してはシリーズを追うごとに特別な感情を抱くようになる。
- ベントレー・ワイズタートル(CV:真殿光昭→岸尾だいすけ)
- タマゴの時から孤児院に預けられ育った、カメの青年。子供の時からずば抜けて頭がよく、そのIQは255を誇るとされている。コンピュータプログラミングの達人で、一味の拠点となるアジトや車「クーパー・バン」に搭載されているスーパーコンピュータと衛星回線につなげることで、世界中のあらゆるネットワークにハッキングできる。その他に様々な機器・道具に関しても常識人顔負けの知識・技術を持つ。
作戦の立案と指揮は全て彼の担当であり、キャラクター操作時には多くの場面で彼のナビゲーション・サポートによって進められる。
スライには「相棒」と呼ばれ、絶対の信頼を置かれている。
PS2版では一人称は「私」で、語尾に「~です。」とつけるなど、基本的に誰に対しても丁寧語を用いるが、HD版ではスライと同年齢の青年らしい話しかたに変更され、一人称も「僕」になっている。
- マーレー・ザ・ヒッポ(CV:長嶝高士→飯島肇)
- スライが引き取られた孤児院で知り合い、それ以降はスライを兄のように慕う、力持ちのカバ。とても食いしん坊で、食べ物に関することでよくトラブルに巻き込まれるちょっとドジな性格だが、ここぞという時にはとんでもない根性を見せる。スライも彼を「憎めない弟分」として大事に思っている。
(HD版ではスライは「どちらかというとお荷物」と紹介しているが、前述の方が正しい解釈であろう…。)
国際A級ライセンスを所持しており、見かけによらず、超一流のドライビング技術を持つ。ストーリーにおける車での移動は彼の担当であり、ブルドーザーやクレーン車、回転砲台など、あらゆる乗り物の運転もばっちりこなす。
「2」以降は操作キャラクターとして出番が増え、「キャプテン・マーレー」を自称し、その怪力ぶりを発揮する。
「3」では、「2」の終盤にベントレーを自分の所為で大怪我をさせてしまったことに責任を感じ、スライたちの元から去ってしまう。オーストラリアで呪術師のグールーに弟子入りし、修行の一環でイタリアのベネチアに徒歩旅行していたところでスライと再会する。スライ達の説得とベネチアで起きた事件を解決したことにより、再び仲間に加わる。
修行により、新たに「ボールフォーム」の技を習得している。
PS2版では一人称は「ボク」で、少年のような話し方をするが、HD版では一人称が「俺」で話し方も変更されている。
- グールー(CV:なし)
- 3で初登場した、オーストラリア出身のコアラの呪術師。
マーレーに「ボールフォーム」の技を伝授した師匠。
「ドリームイーター」と呼ばれる呪術の使い手で、動物や心の弱い者を「マインドコントロール」で操ったり、
瞑想にふけっている者の思念に介入する「チャネリング」を行うことができる。
ビジョンゴーグルを持たないため、プレイヤーが彼を操作する際、
ビジョンゴーグルの画面がスライ達のものと異なり、念力で作られたようにまわりが歪んでいる。
- ペネロペ(CV:白石涼子)
- 3で初登場。ネズミの少女。クーパー・ギャングの初の女性メンバー。
頭脳派のベントレーさえも超越したラジコン(RC)の技術を持っている。
インターポール
- カルマリータ・モントーヤ・フォックス(CV:真琴つばさ→園崎未恵)
- シリーズを通して、スライ一味をしつこく追い続けるキツネの女警部。
「怪盗」を主人公とする創作作品ではお馴染みの「警部」のキャラクター。
スライを逮捕することを生きがいとしており、スライが標的に決めた敵組織を同じく狙うことが多く、
スライを追って敵のアジトに乗り込むが、逃げられ、その手柄を譲られることはシリーズのお約束となっている。
互いに窮地を助けたり助けられたりするので、スライのことは互いに憎からず思っている節があり、
シリーズが進むにつれて特別な感情を互いにいつの間にか持つようになっていく。
銃弾を必要とせず、長い射程を持つ特殊銃「パラライザー・ショックガン」を愛用・携帯している。
- ナイラ(CV:小林沙苗→山田みほ)
- 2に登場する、若い女性のホワイトタイガー。
警察という立場でありながら、スライに助言やサポートをするなど、謎めいた行動をとることが多い。
彼女の登場するミッションは、彼女を追いかける、というものが多い。
デアボリック・ファイブ(1)
スライがクーパー一族に伝わるラクーナの秘伝書を引き継ぐ晩に、スライの父を殺し、秘伝書のページをちぎって奪っていった謎の五人組の集団。PS2では名前の後に「ザ・○○マスター」と付くが、HD版ではこれは省略して呼ばれる。また、「ローリー」が「ライレー」と再翻訳されている。
- ローリー・ザ・ストームマスター(CV:亀山助清)→サー・ライレー(CV:樫井笙人)
- ステージ1「ストームアイランド」のボスであるカエル。裕福な家庭に生まれ、贅沢な生活を退屈して過ごしていたが、海で難破船を襲撃してから犯罪に快感を覚えるようになり、一味のメカニック担当となった。イギリス・ウェールズ地方の島で嵐を発生させる小型の飛行船を造り、人為的な嵐で船を難破させ、部下に船から金品を奪わせている。
- マグショット・ザ・ギャングマスター(CV:廣田行生→天田益男)
- ステージ2「サンセットカジノ」のボスのブルドッグ。幼少の頃はいじめられっ子だったが、ギャング映画をよく観ていた影響で自分もギャングになる目標を掲げ、ハードなトレーニングによって強靭な肉体を手に入れた。ハードボイルドなストリートファイターとして生まれ変わった彼は、自分をいじめていた者を見返し、アメリカ・ユタ州の架空の町「メサ・シティ」でイカサマカジノを経営するギャングの大ボスとして君臨している。彼とのバトルでは、鍛えぬいたボディと2丁拳銃を駆使して闘う。
原語版でアメリカ英語の方言を話しているためか、PS3のHD版では日本語が近畿方言(大阪弁)で訳されている。
- ミズ・ルビー・ザ・マジックマスター(CV:磯辺万沙子→根本圭子)
- ステージ3「ミステリアスジャングル」のボスのワニ。ブードゥー信者の家系の出身で、幼少の頃から霊感が強く、死者を甦らせるほどの才能を開花させた。しかし、その頃から周りに怖がられて避けられていたことを一味に加わった後でも根に持っており、メキシコを征服することで復讐しようとしている。最近ではハイチの密林にアジトを作り、墓石から霊を実体化させる装置「ゴースト・ジェネレーター」を使って、霊や奇妙な生き物を生み出している。
- パンダ・キング・ザ・カンフーマスター(CV:茶風林→小杉十郎太)
- ステージ4「スノーマウンテン」のボスのパンダ。子供の頃に、お金持ちの家が正月に打ち上げる花火に感動して花火職人を目指して修行していたが、花火を売る時の最初のお披露目で大失敗し、地元から追放されてしまった。なお、PS3のHD版では、お金持ちたちが、貧しい家の出身である彼をみすぼらしい身なりだけで判断して、彼の花火の技術を受け入れなかったことが原因とされている。屈辱を受けた彼は、自分の火薬技術を用いた拳法「ファイヤー・カンフー」を編み出し、彼を見下した者たちに復讐を行い、その腕を買われて一味に加わる。物語では、彼のアジトは雪の降り積もる中国西部の山奥にあり、表向きは拳法の道場とされているが、その実態は花火を利用して近辺の村を雪で下敷きにする違法な火薬工場になっている。
PS2版では語尾に「~アル」と付けて喋るエセ中国人のような口調で話すが、HD版ではそれと異なり、声に迫力の籠った口調をしている。
- クロックヴェルク・ザ・イビルマスター(CV:楠見尚己→安井邦彦)
- 最終ステージ「デス・ビーム・マシン」で待ち構える、このゲームのラスボス。ロシア北部の活火山にある彼のアジトで密かに建造された破壊兵器「デスビームマシン」で世界征服を企む、全身が機械仕掛けの巨大なフクロウ。昔は生身の肉体の持っていたが、クーパー一族との争いに敗れる度に体を機械化させることで自らの体を強化し、ついに完全なサイボーグとなってしまった過去を持つ。その結果、2000年以上に渡って、原理が理解不能な部品と回路、積み上げた機械技術によって生き続けた。ラクーナの秘伝書に残るいくつかの写真には黒い鳥の影が映っているが、その正体は全て彼である。クーパー一族に対する揺るぎない嫉妬と憎しみの心を持つ。バラバラのパーツになりながらもその執念は消えないのか、エンディング後にパーツは自動的に修復され、これがスライたちの次の冒険のきっかけとなる。
クロー・ギャング(2)
自動修復機能を持つクロックヴェルクの残骸を奪い、そのパーツを使って裏で悪事を働く組織。
- デミトリ(CV:いずみ尚→小森創介)
- ステージ1「ブラック・シャトー」のボスであるウミイグアナ。スライ一味の地元であるフランスで活動している。
上流階級向けのアートサークルとナイトクラブのオーナーという表の顔と、贋作師という裏の顔を持つ。
若い頃は希望あふれるアーティストの卵だったが、彼の斬新なスタイルは世間に受け入れられず、無理解な者たちへの復讐として、闇の犯罪に手を染めるようになる。
クロックヴェルクのフェザープレート(尾羽のパーツ)を所持しており、それを使って偽札作りを行っている。
- ラジャン(CV:土師孝也→咲野俊介)
- ステージ2・3で登場するベンガルトラ。
カルカッタで路上生活をしていた幼少期に、違法な「気持ち良くなるスパイス」を売り始めたことで犯罪の手を広げるようになり、クロー・ギャングに加入してからは、「ラジャン」と名乗り、自分は王族の一員だと周りにふれこむようになる。得られた富で巨大な城をインドに築き、手に入れたクロックヴェルク・ウイング(翼のパーツ)を自慢するために、豪華なダンスパーティーを開く。(ステージ2)
クーパー・ギャングにウイングを奪われたあと、ジャングルの奥深くにある自らのアジト(忘れられた寺院を「スパイスファクトリー」に改造したもの)に逃げ込む。(ステージ3)
クロックヴェルク・ポンプ(心臓のパーツ)の片方をスパイスの急速な栽培に、もう片方を無限に電撃を放つ自分用の武器として利用している。
- コンテッサ(CV:高島雅羅→根本圭子)
- インターポールで不動の地位に立つクモの女性。
犯罪心理学を学ぶ学生だった頃、特権階級の男と恋に落ち結婚するが、その男を毒殺し、自らの学歴と受け継いだ遺産を生かし、プラハに犯罪者を対象とした更生施設を立ち上げる(ゲームでは、その夫は謎めいた死を遂げたとされている)。催眠セラピーを用いて、犯罪者に「更生」という名目で盗んだ物の在り処を自白させ、それを横取りしている。(ステージ4)
クロー・ギャングの元メンバーだったため、クロックヴェルク・アイ(両目のパーツ)を所持しており、囚人を洗脳させる機械に搭載している。(ステージ5)
- ジーン・バイソン(CV:飯塚昭三)→ジャン・バイソン(CV:浦山迅)
- カナダにある秘密のスパイス出荷基地で活動するバイソン。
1850年代のゴールドラッシュの時期に一山当てるためにカナダを旅行していたところ、雪崩に巻き込まれ氷の中に閉じ込められる。しかし、急激な体温の低下で冬眠状態になっていたため、数百年後、地球温暖化により氷が融け、奇跡的に息を吹き返す。
クロックヴェルクの3つのパーツ(胃と肺)をスパイス運搬用の機関車「特急アイアンホース」(ステージ6)に搭載し、24時間走らせ続けることで巨万の富を得る。
カナダの巨大なランバーキャンプでも活動しており、そこの製材工場では自分の武器にクロックヴェルクの爪のパーツを取り付け、大量の樹木を伐採している。(ステージ7)
- アルペジオ(CV:清川元夢→樫井笙人)
- クロー・ギャングのメインのエンジニアであり、今回の事件の黒幕であるオウム。
一流の航空学校に通っていた頃は、優秀な成績を収めていた学生だったが、空を飛べず、あまりにも小さい体格だったために体力だけは他の生徒に敵わず、そのハンディに怒りを覚え、イタリア・ルネッサンスの巨匠達の作品を完成させることでさらに奮い立つようになる。
クロックヴェルクを完全復活させることで、強靭なパワーと不老不死を手に入れようとする。
3のボスキャラクター
クーパー一族
スライの先祖たち。先祖代々から義賊を生業としており、磨き上げた盗みの技術を「ラクーナの秘伝書」に書き記し、子孫に伝えられてきた。
第一作はこの「ラクーナの秘伝書」を取り戻すことがゲームの目的の1つであり、ページを取り戻すことで、そのページを書いたスライの先祖の名前がムービー中のスライのナレーション、またはベントレーのコメントで紹介される。
また、第四作では、クーパー一族(または、先祖たちのコスチュームを着てその能力を身に着けたスライ)を操作するゲームになっている。
宣伝
第一作「怪盗スライ・クーパー」(PS2版)のCM、および主題歌として、
東京スカパラダイスオーケストラの「BLACK JACK」が使用されている。
これは当バンドの2003年に発売された23枚目のシングル「銀河と迷路」のB面に収録されている曲である。
関連動画
映画
2016年に映画の公開が決定している。日本は不明。製作はBlockade Entertainment とRainmaker Entertainment。
関連コミュニティ
怪盗スライ・クーパーに関するニコニコミュニティを紹介してください。
関連項目