東方儚月抄～月のイナバと地上の因幡とは (トウホウボウゲツショウツキノイナバトチジョウノイナバとは) [単語記事]

東方儚月抄～月のイナバと地上の因幡とは、上海アリス幻樂団の同人STG「東方Project」を題材とした4コマ漫画作品。三誌平行で展開された『東方儚月抄』の一部。通称「うどんげっしょー」。

概要

原案：ZUN、漫画：あらたとしひら。一迅社の月刊萌え 4コマ雑誌「まんが4コマ KINGS ぱれっと」にて、2007年 8月号から2010年 2月号までの2年半連載された。全30話＋おまけ2話。単行本は上下巻発売中。他にイベントなどで配られた小冊子に掲載された4コマなどがある。

鈴仙・優曇華院・イナバを主人公に、永遠亭の愉快な日常を描いた4コマ漫画。

「東方Project」の商業作品のうち、この作品のみZUNは原作ではなく「原案」としてクレジットされている。
そもそも4コマを出すこと自体、出版社の方からの要望だったらしい。
誰を出すか、などの大まかな指示はZUNが出していたそうだが、内容は作者のあらたとしひらにほぼ一任されていた。
そのため、公式作品のひとつではあるが、内容のノリは二次創作に近い。

作者のあらたとしひらは本作以前にも、『東方文花帖』（書籍）において文々。新聞紙面上の4コマを担当している。

漫画および小説の『東方儚月抄』のストーリーとも若干リンクしている（後述）が、何しろ本編で永遠亭組がほぼ蚊帳の外だったこともあって、基本的には本編の難解さはどこへやら、フリーダムにはっちゃけている。

本作の最大の特徴はなんといっても輝夜の使い方が奇跡的に上手いことである。基本ぐーたらなところはやや二次設定寄りだが、好奇心旺盛で身内想い、妹紅とじゃれ合い皆を振り回す姫様はとてもかわいい。

前述の通り、商業誌で連載された同人作品に近い立ち位置なので、ただでさえ難解な儚月抄本編を読み解くための資料として本作を用いるとますます混乱するおそれがある。綿月姉妹がQYA（急に八意様に会いたくなったので）幻想郷に来ていたり、変化を拒絶する蓬莱人であるはずの妹紅や輝夜が太ってダイエットしたり、毒も薬も効かないはずの永琳が風邪をひいたり毒キノコでラリったりしているが、どのへんまでがZUNの指示なのかはよく解らない（少なくとも綿月姉妹の登場自体はZUNの指示である可能性が高いが）。あまり細かいことは考えずに楽しむのがいいだろう。

東方三月精で登場したカラーうさぎの屋台、非想天則の会話で魔理沙が言及した高速成長する筍など、のちに他の公式作品に拾われたネタがいくつか存在している。

単行本の限定版には、上巻は鈴仙、下巻はてゐのフィギュアが附属したが、びっくりするほどの小ささが話題になった。
なお特別版と通常版はカバーが異なり、特別版の表紙は料理（上巻は鍋、下巻はフカヒレ）にフィギュアが載っている写真になっている。これはZUNの希望だったらしく「何でも言ってみるもんですね。」とのこと。

登場キャラクター

メインキャラクター

鈴仙・優曇華院・イナバ
主人公。永琳に日々こき使われ、てゐと輝夜に振り回される永遠亭の苦労人。
優柔不断で、物事をはっきり口にするのが苦手。優柔不断ゆえに引きこもったこともあった。
行く先々でも囮にされたり喰われそうになったり、当然のようにひどい目に遭っている。でも酒に酔うと独壇場。
因幡てゐ
地上のいたずら兎。鈴仙をからかい騙し振り回す担当。鈴仙より年上であることはたまにネタになる。
普段はイナバたちと遊び呆けている。商才は抜群。腹黒なことは永遠亭内の共通認識。
第3話の合羽姿がかわいい。
八意永琳
鈴仙のお師匠様。鈴仙をこき使いおしおきする担当。鈴仙には厳しいが輝夜には甘い。
基本的には良識派（？）だが、薬の実験で巨大魚や高速成長する筍を生み出したりしている。
蓬莱山輝夜
永遠亭のお姫様。割とぐーたらだが好奇心旺盛で、様々なことに興味を示しては鈴仙たちを振り回す。
永琳が風邪をひいたときには自分から看病するなど身内想い（結果はともかく）。
妹紅に対しては常に上手をいっている。なんだかんだ言って仲良し。
イナバ
永遠亭に暮らす兎たち。儚月抄本編ではてゐと同じような姿だったが、こちらでは普通の兎の姿をしている。
てゐと一緒にフリーダムに遊び回っている。ボール代わりにだむだむとドリブルされたり屋台で売られたり。
とにかくかわいい。おまけに輝夜に湯たんぽがわりに使われたりしている。かわいい上に羨ましい。

準レギュラー

藤原妹紅
輝夜の宿敵。何かにつけて輝夜にちょっかいをかけてくるが、だいたい逆に輝夜に振り回されている。
イナバが迷っていると永遠亭まで連れていってくれるなど根はお人好し。輝夜とも一緒にダイエットしたりしている。
お料理姿も見せてくれる。意外と家庭的。私にデレ期はないのポーズ！
レイセン
2号。こっそり永遠亭の様子を伺いに終盤で登場するが、鈴仙にもポンコツ認定されてしまう。でもそこがかわいい。
鈴仙とともに依姫に稽古をつけられることになり、最後は置いていかれそうになった。やはり彼女もレイセンである。
綿月豊姫
QYA（急に八意様に会いたくなったので）永遠亭に現れ、依姫とともにしばらく滞在する。
本編ではあまり目立っていなかったが、こちらでは天然キャラで妹より目立っている。特技は早寝早食い。
何かにつけてイナバを月に連れていこうとするがてゐに見破られている。
綿月依姫
豊姫の思いつきに仕方なく付き合って登場。でも本心は自分も八意様に会いたかったツンデレ。
鈴仙とレイセンに稽古をつける。本編ではあれだけ無双したのに、こっちではてゐの罠にかかってＫＯされた。

ゲストキャラクター（作中で名前が表示されたキャラ）

森近霖之助
第3話と第5話に登場。雨宿りする鈴仙とてゐの相手をする。本作で最初に登場した永遠亭以外のキャラクター。
射命丸文
第5話で輝夜の社会見学をスクープする。他に第19話、第23話、第29話に登場。第8話でも背景にいる。
博麗霊夢
第5話に登場。輝夜の社会見学先として取材を受けた。29話、30話でもチョイ役で出演。
紅美鈴
第8話に登場。紅魔館のパーティに招かれた永遠亭の面々の招待状チェックをしていた。
十六夜咲夜
第8話に登場。が、これといった活躍はない。
上白沢慧音
第10話、第18話に登場。鈴仙の解りにくい説明を諫めたが、自分の授業が解りにくい件については「反面教師？」。
18話では妹紅の世話を焼く姿が描かれている。
稗田阿求
第10話に登場。妖怪兎の記述を増やすために鈴仙に協力を求めたが、何か間違った知識を仕入れていた。
洩矢諏訪子
第13話に登場。雨の日に永遠亭に遊びに来たが輝夜に潰されそうになったり永琳に解剖されそうになったりする。
リグル・ナイトバグ
第15話に登場。輝夜の仕掛けた罠に引っかかった。学習能力はない。30話の背景にもいる。
アリス・マーガトロイド
第16話に登場。鈴仙たちと一緒にキノコを探すが、お化けキノコに襲われると鈴仙を容赦なく囮にした。
第30話では酔いつぶれた姿で一瞬だけ背景にいる。
パチュリー・ノーレッジ
第22話に登場。鈴仙たちに本を貸す代わりに図書館内の整理を手伝わせる。8話の背景、12話の新聞紙面にもいる。

チョイ役（名前表示なし）

霧雨魔理沙（第5話、第29話、第30話）　ほぼ背景のみの出演。29話で一言だけ台詞がある。
ミスティア・ローレライ、秋姉妹（第8話）　美鈴をスルーして通り過ぎている。
レミリア・スカーレット（第8話）　紅魔館でのパーティでロケットの解説をしている。
フランドール・スカーレット（第8話）　シルエットのみ。迷いこんだ鈴仙たちを追い回す。相変わらず扱いが悪い。
チルノ（第12話）　新聞の写真。
小野塚小町（第14話、第30話）　14話は最後の1コマのみ。30話は背景。
河城にとり（第17話）　輝夜の運動用の服のマーク。
レティ・ホワイトロック（第21話）　永琳の台詞の中に登場。
小悪魔（第23話）　新聞の写真。なぜか図書館の話（22話）には出てこない。
伊吹萃香（第30話）　背景のみ。
魂魄妖夢（第30話）　背景のみ。第8話の背景にも足だけ映っている。
橙（第30話）　背景のみ。

その他のキャラ（？）

人里の人々（第1話）　薬でアイキャンフライした鈴仙に驚いていた。
寺子屋の生徒（第10話）　慧音の授業を受けていた子供たち。ほとんどが寝ていた。
茸の親玉（第16話）　貴重な茸を採りにきた鈴仙たちに襲いかかった巨大茸。粘液は骨まで溶かすらしい。
鈴仙の両親（第20話）　引きこもった鈴仙を部屋から出すためにイナバ2匹が扮した。
かみつく本（第22話）　パチュリーの図書館の蔵書。かみつく。例によって鈴仙は食べられそうになった。
月都メカ（第29～30話）　月都万象展で輝夜が作った謎のメカ。変形したらしい。

各話紹介

上巻（第1話～第15話）

第1話　…　永遠亭のキャラ紹介と例月祭。8ページ中6ページが単行本でもカラーになっている。
第2話　…　夏の暑さをしのぐ方法について。4ページが雑誌でカラーだったが単行本ではモノクロ。
第3話　…　鈴仙とてゐが香霖堂で雨宿り。ゲストは霖之助。合羽姿のてゐがかわいい。
第4話　…　雨の例月祭。4ページしかない。
第5話　…　輝夜の社会見学。ゲストは文と霖之助と霊夢。本作では貴重な霊夢の出番がある。
第6話　…　「永琳が丸くなったのかどうか」についての鈴仙とてゐによる検討。
第7話　…　風邪を引いた永琳を輝夜が看病。
第8話　…　紅魔館のパーティに招待される。紅魔館組が登場。永琳による輝夜の着せ替えがかわいい。
第9話　…　初夢と新年の抱負。
第10話　…　人里に薬を売りにいく話。眼鏡輝夜。ゲストは慧音と阿求。
第11話　…　妹紅登場回。私にデレ期はないのポーズ！
第12話　…　霧の湖での輝夜 vs 妹紅の魚釣り対決。
第13話　…　雨の永遠亭に諏訪子が遊びに来る話。
第14話　…　中有の道の縁日に遊びに行く話。カラーうさぎの屋台ネタはのちに東方三月精に拾われた。
第15話　…　虫さされ対策のための虫退治。ゲストはリグル。
おまけ　…　永琳が残していった箱の中身は何？

下巻（第16話～第30話）

第16話　…　魔法の森での貴重なキノコ探し。ゲストはアリス。
第17話　…　輝夜と妹紅のダイエットの話。
第18話　…　妹紅が輝夜につっかかる理由を鈴仙が探ろうとする話。妹紅の他に慧音が登場。
第19話　…　永遠亭の大掃除の話。
第20話　…　イナバたちがストライキを起こす話。
第21話　…　雪の中で鈴仙が（てゐに騙されて）寒さに耐える訓練をする話。
第22話　…　紅魔館地下の大図書館へのおつかい。ゲストはパチュリー。
第23話　…　「海が見たい」と言い出した輝夜のために海を作ろうとする話。鈴仙と輝夜の水着姿あり。
第24話　…　消えた輝夜を探す話。高速成長する筍はのちに非想天則で魔理沙が言及した。ラストでレイセン登場。
第25話　…　レイセンと綿月姉妹の来訪。
第26話　…　依姫に稽古をつけられる鈴仙とレイセン。
第27話　…　綿月姉妹が月へ帰る直前のどたばた。
第28話　…　月都万象展への前フリ。エアビワー。
第29話　…　月都万象展の準備。
第30話　…　月都万象展の顛末。
おまけ　…　輝夜が女流作家を目指す話。

東方儚月抄（本編）とのリンク

第5話で輝夜が社会見学に出たのは、小説儚月抄2話での永琳の台詞「もしやりたい事が無ければ、やりたい事を探す事を仕事にしなさい」を受けてのこと。
第8話で招待された紅魔館のパーティは、漫画本編第9話でのパーティ。ただし本編ではその直前に永琳と鈴仙が紅魔館に忍び込んでロケットに細工をしているが、こちらでは鈴仙が本物のロケットのことを知らないという矛盾がある。
第22話で永琳が「館の主は未だ留守」と言っているのは、レミリアたちがロケットで月に行っているため。
第23話の新聞に出ていた「幻想の海」は、本編最終話の宴会場所となった紅魔館のプール。
第27話で豊姫がなくした扇子は、漫画本編第18話で豊姫が紫に突きつけた扇子。
第29話で綿月姉妹が話す幽霊の噂の正体は、本編で古酒を盗むために忍び込んでいた幽々子。永琳は小説儚月抄最終話でそのこと（紫が幽々子を差し向けて古酒を盗んできたこと）を知っているため、その話を受けて「教訓、ゆめゆめ警備は怠るなかれ」と発言している。
儚月抄とは無関係だが、第30話で霊夢が「神社が壊れるとかありえないから」と言っているので、第2回月都万象展は少なくとも緋想天より前のことであるらしい。

東方儚月抄～月のイナバと地上の因幡単語

概要