昼がなくなってしまう現象で、極地の付近で見られる。北極点付近では10月下旬~翌年2月中旬に見られ、南極点付近では4月下旬~8月中旬に見られる。極点に近い(緯度が高い)ほど観察できる期間が長い。1日中太陽が沈まない「白夜」と対照的な関係にあり、北極で極夜が観察できる間は南極で白夜が観察でき、南極で極夜が観察できる間は北極で白夜が観察できる。
なぜこんなことが起こるのか簡単に説明すると、「地球の自転軸が公転面に対して傾いているから」「極地の近くは、太陽に対する位置関係が自転してもあまり変わらないから」である。下に図を用いたちょっとだけ詳しい解説を載せようと思う。
なお、白夜よりも一般的には知名度が低いと思われ、ニコニコ市場の検索も白夜が1000件余り出るのに対して極夜だと1件だけである…というのも今は昔で、2011年12月現在「極夜」で検索しても1件もヒットしなくなってしまった。絶対に許さない。
極夜が観察できる間はオーロラがよく見えることで知られている…と思う。オーロラというのは北極付近と南極付近(緯度64~70度)に同時に現れ、形もそれぞれ対称になっているが、極夜だと暗いからよく見えるというわけである。なお、オーロラを観察しに行くに当たっては、死ぬほど寒いので注意されたい。特に迂闊に6月~7月の南極大陸に行くと、リアルに凍死する危険が大きいので覚悟を決めよう。安全にオーロラを観察したいなら夏のシベリアかアラスカかスカンジナビア半島あたりで済ますのが吉である(別に極夜になってないと見えないってわけじゃないし)。
なお、極夜が観測される地域の中には、メキシコ湾流のおかげで北極圏内にありながら冬季の気候が北海道中央部並みに温暖であるトロムソという都市がノルウェー北部にあり、オーロラ観測にはうってつけの場所と言われている。
図1は、北半球が夏至の時期の地球を、自転軸が画面上になるように見た図である(当然地球は球体なので、円として見えているのは輪郭線だと思ってもらいたい)。このとき太陽は画面と同一平面上ではるか遠く右側にある。太陽光は右側から公転面と画面に平行に飛んでくる。公転面に垂直な面(面a)から右側の地球表面には太陽光が当たるので昼、面aから左側は太陽光が当たらないので夜である。
地球は、1日で自転軸(図中の青い線)を焼き鳥の串みたいに軸として1回転する。このとき、地表面に軸が出てくる点が2点できるが、この図では上を北極点、下を南極点としている。図のとおり、地球の自転軸は地球の公転軌道を含む平面(公転面)に垂直な線に対して23.4度傾いている。
さて、夏至というのはちょうど北半球を太陽のほうに向けているような格好になっているということが分かるだろう。ここで南極点付近のピンク色で斜線を引いたゾーン(南緯66.6度より南)に注目してもらいたい。この地域は、地球を自転させても面aよりも右側にいかない。つまり、1日中つねに太陽の光があたらないことになる。極夜はこの地域で観察することができる。
このとき北極点付近では1日中面aよりも左側にでない地域(水色で斜線を引いた地域)ができる。この地域では白夜が観測できる。
図1から太陽の位置だけ左に変えてやれば、真逆の季節である冬至を表現できる。そうすると今度は南極点付近のピンク色で斜線を引いた部分が白夜を観察できる地域になるわけである。そして水色で斜線を引いた部分で極夜を観察できる。
極夜の間は太陽光が当たらない分地上の気温が低くなる。特に、南極付近は陸地であるため、北極よりも遥かに寒くなる。この気温低下は極渦という極地付近に吹く上空の風とともに、オゾンホールの原因と考えられている。
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最終更新:2024/04/26(金) 02:00
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