歌丸ジェノサイド

「山田君、全員の座布団全部持っていきなさい！」

「ええ～！」

歌丸ジェノサイドとは、笑点の大喜利において、桂歌丸による回答者全員の座布団没収である。

概要

大喜利において以下のような回答があった場合、回答者の座布団を大量（概ね3枚以上）ないし全部没収とさせる場合がある。

• 歌丸の悪口（ジジイ、ハゲ、死亡ネタ）（主に六代目三遊亭圓楽）
• オカマネタ（主に林家たい平）
• 花火ネタ（主に林家たい平）
• 延々と時代劇のものまねをやったり歌謡曲を歌ったりする（主に林家木久扇）
• 司会は俺のものだという（主に三遊亭好楽）
• あきらかな下ネタをいう（主に三遊亭小遊三）
• なぜか回答した人と別の人が座布団没収される（没収されるのは主に春風亭昇太）

個人に対する座布団全没収自体は三波伸介司会時代と五代目三遊亭圓楽司会時代にもあったが、桂歌丸司会時代は回答者のみならず全員の座布団が没収されることが何回かあった。
以下、「円楽」は六代目三遊亭圓楽のことを指すこととする。

例外として、ごくまれにだが、逆パターンや特定の人物（主に六代目三遊亭圓楽）以外に座布団を与えるということがある。

第2029回（2006年8月13日）放送

全てはここから始まった。

童謡「靴が鳴る」の歌い出しの行き先を変えて歌い、歌丸の「どうなったの？」に一言、というお題。
楽太郎（当時）：全員で手をつないだ後、「お手々～つないで～お通夜に行けば～♪」「どうなったの？」→「遺体がしゃべった！」

第2060回（2007年4月8日）放送

熊本での収録回、八代出身の八代亜紀の名曲「舟歌」の「〇〇でいい」を生かして替え歌のお題。
たい平「花火は広場でやればいい、広場が無ければ部屋でいい～。」→花火のものまね、全員釣られる。

第2158回（2009年3月29日）放送

「笑点・町内花見の宴」。ほろ酔い気分で隣のメンバーを紹介、紹介されたほうが繰り返したあと、紹介したほうがもう一言。
初代木久蔵が木久扇を襲名して最初の事例。
好楽がその木久扇を「雨が降ると喜ぶ傘屋」「アルバイトで雨乞いの先生もやっている」と振る。木久扇が雨乞いのネタをやる（当時ほぼ毎週やっていたため）。
木久扇「アンブレラーあぁぁーあああー…ほにゃほにゃほにゃ…」→座布団没収（毎週毎週△※○＃＠～！馬鹿みたいに。）→楽太郎「あの方が理不尽なくそじじいです」歌丸「私が理不尽なくそじじいです」木久扇「それでハゲチャビンです」全員「バンザーイ」

第2205回（2010年2月28日）放送

吉田茂が「バカヤロー！」と叫んだことからこの日は「バカヤローの日」。「何々のバカヤロー！」と叫び歌丸が続けて「バカヤロー！」と言ったあともう一言、というお題。
楽太郎が六代目圓楽を襲名して最初の事例。（この回は圓楽を襲名して最初の放送である。）
その円楽が「これ歌丸師匠じゃなくて皆さん一緒に」と回答者に振り「歌丸のバカヤロー！」「「「「「バカヤロー！」」」」」」と言わせた。
しかも言わせたあと「こいつらこんなこと言ってますよ！」と続け、好楽に「お前がいわしたんじゃねぇか！」と反論されている。

第2223回（2010年7月4日）放送

仙台での収録回。名将伊達政宗、きっと家来も優秀だったことだろう、ということで歌丸扮する殿様に家来となってなにか報告、歌丸の「あっぱれあっぱれ」に続けてもう一言、というお題。
たい平が「南アフリカからの土産」と称しブブゼラを吹くものまねをする。全員がそれに便乗する。（ブブゼラは2010年のFIFAワールドカップで話題となっていた）

第2237回（2010年10月17日）放送

「秋の夜の　酒は静かに　飲むべかりけり」という歌にちなんでコップ酒片手に隣のメンバーに大声で話しかけ歌丸の「静かにしてよ！」に更に一言、というお題。
円楽が五代目圓楽一周忌で献杯ネタ。円楽「もうすぐ歌丸送りますから！」→全員「そーだ！そーだ！」

第2283回（2011年9月25日）放送

野田佳彦の「どじょう発言」、どじょうといえば安来節。そこで何かをすくう仕草をして歌丸の「やってるね！」に一言、というお題。
円楽が全員にやらせる→円楽「誰だ～、この川に歌丸を散骨したのは～？」→全員全没収→歌丸「大喜利は仲良く行きましょうね」

第2292回（2011年11月27日）放送

"笑点三人お詫び"。両隣と合わせて三人（端の小遊三とたい平は隣の隣までの三人）で歌丸に詫びを入れ「それだけじゃないだろう！」にもう一言。
たい平「師匠の愛車に三人でキズを付けてしまいました」「円楽さんはブレーキに細工までしていました！」→全員がうんうん頷いていた。
なおその後締めの挨拶では「今日は座布団の大サービス。あげるとは言いません、取るのもサービスの1つですから」と発言している。

第2293回（2011年12月4日）放送

お坊さんが走るお題。全員に振り、円楽「歌丸が死んだんです」

2週連続の発動。このエピソードは後に「人生が変わる1分間の深イイ話」でも紹介された。

なお、この回のちょうど5年後の第2541回（2016年12月4日）放送でも全く同じお題が出題され、同じく円楽が回答者全員に振った上、司会者となっていた昇太にも「あんた（昇太）も走って！」と振った上で「横浜のおじいさんが…真金町のおじいさんが…！南～無～」と回答して全員の座布団を1枚ずつ没収されている。（なお没収後に円楽は「俺は"横浜のおじいさんが"っつっただけだよ、誰とは言ってないよ」と主張したが昇太に「どう考えても特定のあのおじいさん指してるでしょ！」と突っ込まれている。そこで円楽が「どのおじいさん？言ってみ？」と反撃したところ昇太は「え～と～…」と動揺し、結局「笑点また来週！」と番組を締めて逃げている。

第2343回（2012年12月9日）放送

歌丸に札束を渡すというお題。円楽による「香典の前渡しだ」などの回答にフラストレーションを溜め、最後の好楽による「これで次の司会は俺だな…！」によって怒りを爆発させ、全員の座布団を全て没収させる。
なお、ジェノサイド宣言後、円楽が全員分の札束を集め歌丸師匠の元に持っていき、歌丸はそれを手に取りながら「これっぽっちの金でもってそんな…冗談じゃねえよ…」などと言いながら自然な流れで札束を懐に入れ、締めの挨拶をし回答者がお辞儀をしている隙にこっそり取り出して数える仕草をしていた。

第2354回（2013年3月10日）放送

引っ越しシーズン、隣に越してきた有名人を奥さん役の回答者が夫の歌丸に告げさらに一言、というお題。
円楽「お隣に越してきたの、落語の名人の桂歌丸師匠よ」「『忌中』って札がかかってたわ」→全員がそれに笑いながら反応。
「引っ越して死んじゃう人いないよねぇ（木久扇）」「いきなり葬式！？（昇太）」「死体が引っ越してきたのかよ（好楽）」「死にながら引っ越してきたんだよ（小遊三）」「着いた途端に死んじゃったんだよ（木久扇）」「やっぱり霊柩車で来たんだ（小遊三）」など言いたい放題、たい平も（具体的な発言こそしなかったが）終始笑っていた。
更に没収直後に強制指名された円楽は歌丸師匠に向かって合掌した上、笑いながら「せめてみんなでお焼香に行こうね」と答えている。
生前の六代目円楽師匠が「神回」と自称していた。

第2384回（2013年10月13日）放送

警察官に扮し立入禁止のテープを張りながら状況を説明、というお題。
円楽が「歌丸の留守中に家族がハワイ旅行に出かけ、その間に歌丸が一人で餓死していた」というネタを長く披露。その間全員が笑っていた。
歌丸が全員の座布団を全部没収することを「おもてなし」と呼んだのはこの回。

ちなみに、翌週の放送で歌丸は誰にも座布団を与えなかったため、最初から最後まで全員が板の間に座ったままとなった。

第2442回（2014年11月30日）放送

福岡での収録回。門司港がバナナの叩き売り発祥の地ということで何かをたたき売りするお題。
たい平が「天候不良で花火大会が中止になったので花火が安い」「試しに一発上げてみよう！」という流れで花火ネタ→全員それに釣られて持っていたハリセンで花火大会。
なお没収時に歌丸は「こっちから見てるとドタンバタンドタンバタン、あのへんがホコリでもうもうとしてる」と言っている。
円楽は途中からたい平の尻を叩いており、ジェノサイド宣言のあと昇太も「おま、お前…ｗ」とたい平の尻を数発叩いていた。

第2445回（2014年12月21日）放送

2014年最後の放送。冬場ということで布団から出るのがつらい季節、枕を持って一言、歌丸の「どうしたの？」に更に一言、というお題。
たい平「わっしょいわっしょいわっしょい！」歌丸「どうしたの？」「秩父まくら祭です」「正調・枕音頭」という民謡を歌う→円楽が真っ先に便乗しそのまま全員釣られ、「かついだ枕を隣に回す～」等の歌詞に合わせ最終的に歌丸の目の前に枕を積み上げる。さらに円楽は｢そのまんま寝られますよw｣と追い討ちをかける発言をし、歌丸に｢てめぇら、座れホラ！｣とキレられている。

なお、秩父ではないが「まくら祭」という祭自体は大阪の泉州地方にある日根神社に実在する年中行事であり、「枕音頭」という唄自体もたい平が歌ったものとは差異があるが存在する。

第2448回（2015年1月18日）放送

剣道は寒稽古の季節。師範に扮した歌丸の「かかってこい！」に一言、というお題。
円楽「みんなかかってこいにして」歌丸「皆、かかってこい！」と言わせる→円楽「よしみんな立て立て」「（食い気味に）やるかじじい！」

また、円楽はジェノサイド宣告後回収に出てきた愛楽を「えいっ」と言いながら竹刀で叩き、愛楽は持っていた座布団を取り落している。
その後続いて来た山田に「やめろよ！」とたしなめられていた。

第2498回（2016年1月17日）放送

警察官になり、指名手配犯の写真（歌丸）を掲げて容疑を紹介するネタ。案の定、歌丸の悪口ばかりになり、最後の円楽の回答(「このジジイ指名手配にしてもなかなか捕まらない」「もうホトケになってるかもしれません」)の後に全ての座布団を没収される。

ちなみに、これとほぼ同じ内容の問題（西部劇の保安官）が五代目三遊亭圓楽司会時代の第1609回（1998年3月29日）放送で出題されており、この時は歌丸による「何処の馬の骨だかｗ」等ほぼ全ての回答でその回答者の座布団が全て没収されていた。

第2505回（2016年3月6日）放送

左右のメンバーと3人で指を差すというお題で全員にやらせて「煙が上がってる」と言う→円楽「灰になっちゃったんだね」
なおその直後にたい平が全員にやらせて「あれ円楽じゃねえか」→「みんなに後ろ指さされてる」と回答した結果、円楽を除いて全員に1枚づつ座布団、更に強制指名された円楽が「飲みに行くものこの指とまれ！」→即座に昇太・たい平とも指を引っ込めつつ顔を背ける反応をした結果、更に昇太・たい平にそれぞれ+1枚となっている。

これらの実例から、主に「歌丸をコケにするシチュエーションに他の回答者全員が同調した場合」にジェノサイドを発動していたと評されることが多いが、それに加えて主にたい平起点のとにかく騒々しいネタなども対象になっていたようだ。

番外編

以下のようなパターンも過去に存在したが、本項の対象外にあたる。

• 回答者の1人の命令で、当人以外の座布団を全て没収させる。（→イッツ昇太イム）
• 歌丸休養離脱時の代理司会者が、自分以外の座布団を全て没収させる。
• 2回答以上を跨いで、結果的に全員の座布団が無くなる。

終焉

2016年4月30日、同年5月22日の放送を以て歌丸が笑点の司会を引退することを発表。
“歌丸司会時代の名物”とされてきた「歌丸ジェノサイド」も終焉を迎えることとなった。

通常放送では最後となった同年5月8日の放送では昇太が座布団10枚を達成。
賞品（笑点50周年にちなんで1本50万円の箒で50周年SPの舞台を掃除する）が発表された直後から、円楽，たい平，木久扇に対して10枚に達するよう座布団を与え（本当は全員に10枚与えようとしたが座布団と放送時間が切れた）、その場に居た毒蝮三太夫は「座布団の大安売り」、OAを観ていた円楽の息子・三遊亭一太郎こと会一太郎はTwitterで「ウタマルリザレクション」と呼称した。

しかし、後にまさかの事態が起こってしまう。

歌丸ラスト大喜利スペシャル（2016年5月22日放送）

タイトル通り歌丸最後の司会の放送、そして最後の問題。
「歌丸に何か贈る言葉を送り、歌丸は『ありがとう』と答えるので、さらに一言返す」という内容。

このお題の最後の回答は小遊三であった。
小遊三「お疲れさまでした。お礼に湖畔の宿を予約しておきました。」
歌丸「小遊三さん、ありがとう。」
小遊三「師匠、これが最後です。抱いてください♡」
歌丸「山田君！山田君！気持ち悪いから全員の全部持っていきなさい！！！」

最後の最後に全視聴者の期待に応えて頂いた歌丸師匠に拍手。

ちなみに

笑点の音声収録は舞台にスタンドマイクが設置されており、たとえ座布団がなくてもマイクを目印にして新たに座布団を配置することができる形だった。しかし初めてジェノサイドが発動した2006年当時は出演者にピンマイクを取りつけて収録する形になっており、スタンドマイクが撤去されていた。そんな状態でジェノサイドが発動されたものだから新たに座布団を置く目印が分からず微妙にズレた配置になってしまったという。

そして次回の収録以降、舞台上にスタンドマイクが改めて設置された。ジェノサイド後の目印として再設置されたのは言うまでもない。ジェノサイドを禁止するのではなくいつでも再発動できるようにしたスタッフGJ。

没収された座布団の枚数

放送日時	発端	小遊三	好楽	木久扇 （木久蔵）	昇太	円楽 （楽太郎）	たい平	小計
2006/08/13	楽太郎	2	3	2	7	1	3	18
2007/04/08	たい平	3	4	1	3	0	1	12
2009/03/29	好楽	4	4	3	5	0	4	20
2010/02/28	円楽	4	6	5	2	3	3	23
2010/07/04	たい平	3	3	2	1	2	1	12
2010/10/17	円楽	2	2	1	3	2	1	11
2011/09/25	円楽	4	4	3	4	4	4	23
2011/11/27	たい平	5	3	2	4	4	5	23
2011/12/04	円楽	1	1	1	5	2	3	13
2012/12/09	好楽	2	2	1	5	1	6	17
2013/03/10	円楽	3	1	5	0	2	2	13
2013/10/13	円楽	2	2	2	5	2	4	17
2014/11/30	たい平	4	2	1	6	2	1	16
2014/12/21	たい平	3	2	2	2	0	2	11
2015/01/18	円楽	2	1	2	1	0	2	8
2016/01/17	円楽	2	1	1	4	3	2	13
2016/03/06	円楽	2	0	0	2	0	3	7
2016/05/22	小遊三	3	6	3	8	6	9	35
総没収枚数		51	47	37	67	34	56	292

昇太ジェノサイド

司会が春風亭昇太になってからはジェノサイドの頻度は減ったが、2017年8月13日の阿波踊りの回（→Facebook）や、2023年1月1日の元日特番の東西大喜利、同年12月17日のたい平が歌丸ジェノサイドについて言及した回などで発生している。

関連動画

コ　ラ　ム

この記事で述べた回が投稿されている。

• 第2029回（2006年8月13日）放送
  
• 第2223回（2010年7月4日）放送
  
• 第2237回（2010年10月17日）放送
  
• 第1609回（1998年3月29日）放送(第2498回（2016年1月17日）放送とほぼ同じ内容の問題)
  
• 第2354回（2013年3月10日）放送　第2384回（2013年10月13日）放送
  第2442回（2014年11月30日）放送　第2445回（2014年12月21日）放送
  第2498回（2016年1月17日）放送　第2505回（2016年3月6日）放送
  歌丸ラスト大喜利スペシャル（2016年5月22日放送）のジェノサイド部分のみ
  

関連項目

• 笑点
• 桂歌丸
• 三遊亭圓楽(6代目)
• 林家たい平
• 三遊亭好楽