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説文解字

説文解字とは、後漢の許による漢字の字書である。説文と略される。

概要

漢字を字形によってその基本要素(部首)ごとに分類するとともに小篆体を納め、その字義や成り立ちについて解説する。部首や六書の概念を導入するなど、漢字を体系的にまとめた初めての字書であり、後世の漢字字典、漢字研究に多大な影を与えている。

全15巻540部に、漢字9,353字を収録する。

説文解字の序によれば、物の形をといい、文を組み合わせて作ったものをという。説文解字というタイトルは文を説き、字を解しちゃうぞということである。また入れ替えると、文字を説解す、とも読める。オシャレタイトルである。

成立と背景

説文解字は、西暦100年(後漢・永元12年)に許古文学のために作成した。古文学とは漢字の古い字体を研究する学問である。

当時使われていた漢字の字体は、筆記体をもとに代にまとめられた隷書体であり、当時使われていたさまざまな経書も隷書をベースに書かれていた。しかし隷書体以前の字体(篆書体)で書かれたテキストが発見され、当時使われていたテキストと字句が異なるこれらを正しく読むために、後漢のころ古い字体(=古文)の研究、古文学が盛んになっていた。

このような背景のもと許は、隷書体ではなく小篆体を字形を対に研究し、説文解字を記した。

隷書体は書きやすさのために省略や形の変化が多く古文からの字形の変化が大きいが、の時代にまとめられた小篆体はより古い字体である。

当時流行していた陰陽五行説の影を字形・字義の解釈に受けているのも説文解字の特徴の一つである。

後世への影響

説文解字の小篆体は後代において模範とすべき「字」として尊重された。

、六と時代が下るに従って、漢字は筆で書きやすいよう略されるようになり、多くの異体字が生じた。そのため、どの字がもっとも正統かを決める必要性が生まれたが、そうしたとき説文記載の小篆が使われた。活版印刷の発明後も、小篆をベースとしたデザインされた活字が、多く正字とされている。

また説文で導入された部首、六書の概念は、漢字分類の基本概念として現在の字書でも使われている。

構成

説文15巻のうち、14巻に字の解説が、1巻に序と次が載っている。

14巻中は540部の部首に分けられ、から始まり最後は十二支で終わる(始一終)。

説文540の部首をその系統によって並べているのが特徴である。近代以降の部首別辞書の部首が画数で並べられているのと対照的である。また部首の数は現在の一般的な部首の数よりかなり多く(康煕字典の214部首の2倍以上)、現在でも使われている部首もあればマニアックな部首もある。

たとえば第8巻は人部、𠤎部、匕部部、部、北部と部首が続くが、の次にそれを逆さまにした𠤎、右向きにした、左向きの人を2つならべた、右向きの人を2つ並べた、互いに背く2つを並べたと続く。

部構成

巻一
一部 部 示部 部 部 玉部 部 部 士部 丨部 屮部 部 部 
巻二
小部 八部 釆部 部 部 部 部 口部 凵部 部 部 走部 止部 部 部 部 部 部 部 部 部 部 行部 部 牙部 足部 疋部 部 龠部 部 
巻三
部 舌部 干部 𧮫部 部 部 部 部 部 十部 部 言部 部 音部 部 部 部 𠬞部 𠬜部 部 部 部 𦥑部 部 
革部 部 部 部 部 部 又部 𠂇部 部 支部 𦘒部 部 部 隶部 部 臣部 部 部 𠘧部 寸部 皮部 部 部 部 部 用部 部 部 
巻四
𡕥部 部 部 部 部 自部 部 鼻部 部 部 羽部 隹部 部 部 𠁥部 𥄕部 部 部 部 部 部 鳥部 部 𠦒部 部 部 𢆶部 部 玄部 部 部 𠬪部 𣦼部 部 部 部 部 部 部 部 部 部 部 部 
巻五
部 部 部 部 部 工部 部 部 甘部 部 部 部 部 部 部 部 部 部 壴部 鼓部 豈部 豆部 部 部 䖒部 部 部 虤部 皿部 𠙴部 部 血部 丶部 丹部 部 部 皀部 鬯部 食部 部 部 部 入部 缶部 矢部 高部 冂部 𩫖部 部 部 㫗部 畗部 㐭部 嗇部 部 部 部 部 部 韋部 部 夂部 部 桀部 
巻六
木部 部 部 部 部 之部 部 部 𣎵部 生部 乇部 𠂹部 𠌶部 部 𥝌部 稽部 部 桼部 部 㯻部 部 部 部 部 𨛜部 
巻七
日部 部 部 部 部 部 部 部 部 部 夕部 部 毌部 𢎘部 𣐺部 𠧪部 齊部 部 片部 部 部 部 部 秝部 部 香部 部 毇部 臼部 部 𣎳部 𣏟部 麻部 尗部 耑部 韭部 部 瓠部 部 宮部 部 部 㝱部 部 部 𠔼部 部 部 部 部 巾部 巿部 帛部 部 㡀部 部 
巻八
人部 𠤎部 匕部 部 部 部 部 㐺部 𡈼部 部 部 身部 㐆部 衣部 裘部 老部 毛部 部 部 部 尾部 履部 舟部 方部 部 部 兂部 皃部 𠑹部 部 禿部 見部 覞部 欠部 部 部 部 頁部 
巻九
𦣻部 面部 部 首部 𥄉部 須部 部 彣部 文部 部 部 部 部 部 部 色部 卯部 辟部 勹部 部 茍部 部 部 部 嵬部 山部 屾部 屵部 广部 部 部 部 石部 長部 部 部 部 部 㣇部 部 部 部 𤉡部 易部 部 
巻十
部 𢊁部 鹿部 部 㲋部 部 萈部 部 部 鼠部 部 部 火部 部 部 部 部 部 部 大部 部 部 部 部 尣部 部 部 幸部 奢部 部 夲部 部 大部 部 立部 部 囟部 思部 心部 惢部 
巻十一
部 部 部 𡿨部 部 部 部 部 部 𠂢部 部 部 雨部 部 魚部 𩺰部 部 龍部 飛部 非部 部 
巻十二
𠃉部 部 至部 西部 鹵部 部 部 門部 部 𦣞部 手部 𠦬部 女部 部 民部 丿部 𠂆部 部 氏部 部 部 部 部 亅部 部 部 部 部 匚部 部 甾部 瓦部 部 弜部 弦部 部 
十三
糸部 素部 部 率部 部 部 部 風部 部 龜部 部 部 二部 土部 部 部 里部 田部 畕部 部 部 力部 部 
巻十四
部 幵部 部 部 部 斤部 斗部 矛部 部 𠂤部 𨸏部 𨺅部 厽部 部 部 部 部 五部 六部 七部 九部 部 嘼部 部 部 部 部 部 己部 部 部 辛部 部 部 部 子部 部 部 𠫓部 部 部 部 部 部 午部 未部 部 酉部 酋部 部 

字体

説文は本字としての小篆体の用い、その異体のことを重文と呼んでいる。説文が載せている異体字は、籀文、古文体の三種。籀文は春秋戦国時代の周のあたりの篆体で、古文戦国時代以外の六で使われていた字体。一部、本字に籀文、古文を挙げているものものある。

テキスト

説文解字そのものは現存しない。写本、校定本として以下が知られる。

唐写本
唐代に書写された木簡で、木部184字と口部12字のものがある。現在に伝わるテキストとには文に違いがあり、写本の方に誤りが見られるケースもある。また篆文の字形も異なる。
刊定説文
唐のによる。全30巻。大徐本、小徐本以前は広く使われたがその後れた。小徐本に影を与えたという。また現代に伝わる説文の小篆の字体は、によるものと言われている。
説文解字(小徐本、繫
の徐鍇による校定本。全40巻。徐鉉の大徐本と並んで説文の校定本として有名。
新校訂説文解字(大徐本)
の徐鉉による校定本。徐鍇の死後、太宗の命を受けた徐鉉が句中正、葛湍、王惟恭らとともに作った。全30巻。説文に新附の字を加えている。現在に伝わっており、説文解字というと普通大徐本のことをす。

注釈本

説文長箋
明のによる注釈本。104巻。
説文解字
清の段玉裁による注釈本。32巻。段注とも呼ばれる。
説文解字
清の馥による注釈本。50巻。
説文解字通訓定
清の朱駿による注釈本。18巻。
説文釈例
清の王筠による注釈本。20巻。
説文解字注箋
清の徐灝による。段注を補訂するもの。28巻。
説文解字
中華民国の丁福保によるもろもろの注釈をまとめたもの。

という漢字の場合。まずという字が小篆体で大きく載っていて、その下に少し小さい字で意味(なり)、構造(形で尾と尾が似ている)、が部首であること(の属は皆、う)を説明する。

也。形。尾相似。之屬皆

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