警察24時とは (ケイサツニジュウヨジとは) [単語記事]

概要

「警察24時」という正確な種類名があるわけではないが、多くの警察密着番組の番組名に「警察」「24時」を含む類似した表現が用いられることから、慣例的にこの手の番組をそのように呼ぶことが市井で広まった。

この企画の元祖的存在は、「水曜スペシャル」（テレビ朝日）の一企画として放送された「警視庁潜入24時!!」と言われる。1978年 1月に第一弾が放送されて以降この企画が高視聴率をマークし好評を得たことから、競合他局でも1980年代以降同様の企画を特番として放送するようになり現在に至っている。

主にキー局編成の改編期となる四半期毎に期首特番として放送されることが多く、放送時間は2時間～4時間前後が一般的である。1990年代前半までは2時間程度の特番であることが多かったが、1990年代以降に始まった特番枠の長時間化の流れに乗る形で「警察24時」も長時間化していった。

主な内容

内容は、警察の捜査活動に密着取材したVTRが中心である。取材対象は捜査、地域、生活安全、交通など各部門にわたるが、監察、警備、公安などはまず取り上げられない。密着ドキュメントは取材対象者の協力が不可欠であり、それらの部門の多くが秘匿性を重視していることを考えれば、また視聴者の野次馬根性を考えても、取り上げられる可能性は低いと言えるだろう。

概ねどの番組でも見られるのは、交番の定点観測、自動車警ら隊や機動捜査隊などのパトカーの追跡取材、白バイ隊員の取り締まりや訓練への取材、飲酒運転検問の観測、暴走族取締の密着、違法風俗店を取り締まる生活安全課捜査員への密着、など。交番に酔っ払いがやってきて警官に絡む、飲酒運転で取締りを受けた運転手が悪あがきの言い訳をした挙句に居直る、ヤクザみたいな顔の刑事が出てくるといったことは、定番化したパターンと言えるだろう。また複数の部署を取り上げるのではなく、例えば交通部門にだけ密着するような、特化した番組もある。

構成はVTRのみのものと、VTRとスタジオでのタレントと司会者のやりとりを交えるものの二つがある。1990年代頃までは後者もままみられたが、最近では前者の割合も高い。スタジオパートを排除することで制作費を抑えられることが2000年代以降のテレビ業界に見られる制作予算の削減の流れと相まったものと見られる。

類似番組

類似番組としては、海上保安庁密着ドキュメントというものもかつて放送されたことがあった。文字通り、海上保安庁の沿岸警備活動に密着するものである。

内容は密漁船の取締る巡視船、地上での密漁や密輸捜査などが取り上げられていた。

前者では、韓国の密漁船に巡視船が強制接舷、密漁船に移乗した海上保安官が日本語で「海上保安庁だ！出てこいや！」と操舵室のドアをガンガン蹴飛ばし、中から船長を引きずり出して正座させると言った迫力ある映像が流れた。また、ポンコツ巡視船を騙し騙し動かしながら、密漁船を追い詰めていく様子も流された。
後者では、私服の海上保安官が覆面パトカー(?)を使い港で張り込みを重ね、密漁船とその船長及び売却先を捜査、歴戦の兵である海上保安官が冷徹に捜査を重ねて逮捕に至る様子がお茶の間に届けられた。

海外の「警察24時」

日本において最も有名なのは、アメリカのFOX テレビで放映されているリアリティショー「COPS」(邦題：コップス～全米警察24時)であろう。全米各地の自治体警察官、郡保安官代理に密着取材し、その活動の様子を伝えている。日本のものと異なるのは、ナレーションが一切入らないこと、また番組の始まりと終わりのテーマ曲以外に音楽も入らない。ただ警察官がパトロールし、トラブルを処理し、時に「Fx xx!!」と叫ぶ犯罪者をパトカーの後部座席に押し込む様子を流している。

ポップカルチャーへの影響

タレントの柳沢慎吾のネタの一つに、この警察24時のものがある。「ウ～ウ～」とサイレンの音や、タバコの箱のビニールの音を利用して警察無線の割れた音を再現するなどだ。柳沢自身がこの手の番組のファンであることから、その再現度はきわめて高い。

番組への批判

この番組は警察の許可の下で取材が行われていることから、警察と放送局の癒着である、公平な報道を妨害する御用番組であるとの批判が存在する。

この批判は、警察と言うのは暴力手段を有する権力機関であり、放送局は権力を監視する社会装置であるとの前提に基づいている。これを踏まえると、監視装置が監視対象は常に適切な緊張関係が必要になる。しかし許可を得て密着するのであれば、この二つの法人の間で適切な緊張関係が得られるのかというのが、批判の骨子となっている。。また警察官が不祥事や不当捜査を行う場合を考えれば、その活動を単純に正義の味方とするのは危険であるという考えもあるようだ。