超流動とは、ヘリウムを−270.98℃以下に冷やした時に起きる現象である。
えっ?なんでかって?
これを説明するには量子力学が必要になってくるので興味のある人は大学で物理を学ぼう!
最初の画面で下にたまっているのが超流動の性質を持たない普通の液体ヘリウム(He I)で、その上には気体のヘリウムがある。He Iがもやもやと動いて見えるのは沸騰しているため。ここでヘリウムガスの圧力を下げていくと沸点が下がる(高い山の上だと低い温度でお湯が沸くのと同じ)。だんだんと温度を下げていくとある点(2.17K、0.05気圧)で沸騰が止む。液体ヘリウムが超流動の性質を持つ状態(He II)に変化した瞬間である。これをλ転移という。
沸騰が止まっても液体の表面から静かに気化は続いている。沸騰は液体の温度が場所ごとに不均一になっているせいで起こる。He IIは通常の液体に比べて異常に熱をよく伝えるので、全体で温度が均一になっていて沸騰しない。例えばHe IIの中に高温に熱した金属を入れても金属の周囲には気体の層ができるが、周りの液体は静かなままでいる。
次に底が白いビーカーが出てくるが、この白い部分は素焼きのセラミックで、微細な穴がたくさんあいている。最初ビーカーにはHe Iが入っている(沸騰している液体)。λ転移が起こってHe II(沸騰がやんだ状態)になると下からぽたぽたと液体が漏れているのが見える。粘性のある流体はとても小さい穴を通ることができないので、この実験はHe IIが粘性抵抗なしに流れることを示している。
次につり下げられた容器が出てきて、He IIが壁をよじ登って外にこぼれていくことが説明されている。ヘリウム原子は容器との引力(ファンデルワールス力)によって容器の側面に吸着して薄い膜を作る。この膜の厚さは液面からの高さによるが、だいたい1nm程度、原子数個の厚みである。He IIは粘性がないのでこのような薄い膜状でも流れることができて、サイフォンの原理によって外へこぼれていく。これをフィルムフローという。
最後に噴水効果の実験をしている。動画だとわからないが中央の筒は下に細かな粉がつめてあって粘性のある流体では通れなくなっている。筒の中のHe IIを熱すると下からHe IIが流れ込んできて噴水が起きる。このように温度差が流れを作る現象を熱機械効果(thermomechanical effect, 熱-力学効果)という。
上に述べたHe IIの性質のうち、フィルムフローや細かい穴を通れることは粘性がゼロになった結果の現象だが、熱伝導が異常にいいことや熱機械効果はそれだけでは説明がつかない。
また、He IIの粘性も計り方によってはゼロでない値をとる。液体の中に円盤を入れて回転させ、液体からの抵抗によって動きが鈍るのを計測する方法だと、He IIも有限の粘性を示す。
こういったHe IIの性質を説明するための模型として二流体理論が提唱された。He IIは粘性を持った流体と、粘性を持たない流体の2成分からなるというもの。前者を常流体、後者を超流体という。He IIが実際に二種類の流体の混合になっているというよりも、このように考えるとうまく説明がつく、と理解してほしい。これらの物理的実体が何かという説明には量子力学が必要になってくる。
超流体の密度と常流体の密度の和はHe IIの密度に等しい。低温になるほど超流体の占める割合が大きく、絶対零度では全て超流体となる。超流体はエントロピー0である。温度を上げていって、常流体が100%になる温度がλ転移の温度である。常流体と超流体の二つ流体は互いに妨げられることなく独立に流れる。
上述のHe IIの振る舞いは二流体理論では次のように理解できる。
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最終更新:2024/03/29(金) 21:00
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