ノミバエとは、小型のハエの一種である。ここでは屋内性の種を中心に述べる。
概要
双翅目ノミバエ科。後脚が太くノミのような形態を示す。いわゆるコバエの一種で、屋内害虫として有名。虫の死骸や残飯、野菜くずなど様々な有機物を餌にして増殖する。そうした汚いものを好むため、不快害虫どころか衛生害虫である。それもゴキブリなんて目じゃない最悪のチート害虫である(後述)。
野外には寄生種や羽の無い種もいる。アリに寄生して、幼虫が最後にアリの首を落とすものが一部で有名であり、2017年にはヒアリに寄生する種がゾンビバエなどと呼ばれた。あからさまにメディアが捏造した名前である。
性質
飛ぶのも歩くのも速い
イエバエのような典型的なハエ同様、飛行速度は速く方向転換などの能力も高い。蚊のようなふらふら飛行ではない。
また体長は約1~5mmで通常は2mmであるが、2mmのノミバエが1秒間に10cm歩くことができる。1秒間で体長の50倍の距離を歩くことができるのである。しかも、ゴキブリは普段ゆっくり歩くがノミバエは常に走る。立ち止まっていることも少ない。
増殖も速い
双翅目は全体的に成長が速いが、ノミバエも例外でなく、卵から成虫になるまでの期間は2週間である。クロゴキブリは1年~それ以上かかるのに。
食性が広い
概要で述べた通り、様々な有機物を餌にできる。生ゴミだけでなく、家のどこかに虫などの死骸が溜まっていたらそれが発生源になるのだ。
人に寄ってくる
ゴキブリは通常は人から逃げるが、ノミバエは逃げないどころか寄ってくる。蚊のように耳元に来ることもある。他のハエ同様、汗などを求めてくるのだろうが、こいつが発生している場所では作業に集中できない恐れがある。人を恐れないので食べ物に止まることだってある。
生命力が高く、市販の殺虫剤が効きにくい
蚊やユスリカは、食器用洗剤入りの水を噴射すればそれだけで死亡することがあるが、ノミバエは飛んでいない状態でそうした液体に水没させなければ死なない。打撃するにしても体は丈夫で、ガッチリ潰さないと無傷同然。死亡を確認しないと絶対に生きているというほどしつこいのである。
なぜか市販の殺虫剤の効き目も薄く、節足動物絶対殺すスプレーとして有名な蚊がいなくなるスプレーを使っても平気で飛んでいる。これは世代交代が速いため耐性持ち個体が出現しやすいのであり、実際はノミバエが多数いる空間にスプレーを噴射すれば死亡率は高い・・・はずである。
そして、こんなに悪質な害虫なのにノミバエ向けの殺虫剤は市販されていない。どんな判断だ。
まとめ
つまり、歩くのがゴキブリぐらい速いコバエがちょっとした餌ですぐに増殖して、汚い虫なのに人にまとわりついたり食べ物に止まったりするのである。インチキ性能もいい加減にしろ!
弱点と対策
コーヒーに誘引される
果たしてこのチート害虫に弱点はないのか?
ある。コーヒーの匂いがフェロモンと似ているため、誘引されるのだ。いらない容器に水とコーヒー少量、食器用洗剤少量を入れたトラップを設置すれば次々と水没する。
洗剤やアルコールを噴射
昆虫は全般的に、食器用洗剤を少し入れた水を噴射すれば気門が詰まって死亡する。ノミバエが少数であればこれで全滅させられる。
電撃殺虫器
ノミバエは光にも誘引されるため、光に集まる昆虫を駆除する電撃殺虫器も効果的。
ハエ取りリボン
ノミバエは無駄に動き回るので、ハエ取りリボンを設置すれば一応そこそこ駆除できる。
そもそも発生源を作らなければ増えない
小型の害虫全般に言えるが、発生源がない状態を保てば大発生には至らない。生ゴミなど餌になりそうなものは、ゴミ捨ての日まで冷凍庫に保管するなどの対策をとろう。
関連項目
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