『WORLD'S END UMBRELLA』とは、2010年02月06日に投稿された、ハチ作詞・作曲の初音ミクオリジナル曲である。
概 要
前作「恋人のランジェ」から約2ヶ月振りとなる、通算10作目のオリジナル曲。PVは南方研究所が作成。
THE WORLD END UMBRELLAのリテイクであり、THE VOC@LOiD M@STER11にて発売された、「花束と水葬」の中に収録。(通販でも発売予定)
週刊VOCALOIDランキング #123において初登場1位。
(但し再up前の動画での集計結果であったため、ランキング本家では映像にモザイクがかかるという異例の事態となった。)
2010年02月11日午後9時頃にVOCALOID殿堂入りを達成。
2014年01月09日16:03にVOCALOID伝説入りを達成。
歌 詞
地を覆う大きな傘。
中央に塔が一本建ち、それが機械の塊を支えている。
当然 真下にある集落には陽が当たらず、機械の隙間から洩れる「雨」に苛まれている。
人々は疑わない。
それが当たり前だったから。
何て事はない。
ただの「掟」なのだから。
あの傘が騙した日 空が泣いていた
街は盲目で 疑わない
君はその傘に 向けて唾を吐き
雨に沈んでく サイレンと
誰の声も聞かずに 彼は雨を掴み
私の手をとりあの傘へ 走るの
二人きりの約束をした
「絵本の中に見つけた空を見に行こう」
刹那 雨さえも引き裂いて
もう 悲しむ事も 忘れたまま
降り頻る雨と共に、二人は傘の塔へとたどり着いた。
閉ざされていた両開きの扉は、押せば呆気なく開き、二人を拒みはしない。
誰も入ろうとはしないのだ。
鍵などあってもなくても同じだろう。
その扉の向こうの、
崩れ出し 何処へ行く 螺旋階段は
煤けて響いた 滴り雨
泣きそうな私を そっと慰める様に
君は優しく 私の手を
白い影に追われて 逃げた先に檻の群
理由を探す暇も無く 気も無く
震えた手を 君が支えて
私はそんな背中を ただ見守るの
闇に溶けた 歯車は笑う
ホラ 微かに風が 頬を撫でる
「風が、ながれてるわ」
女の子は言った。
男の子は小さく相槌を打った。
足を止める事はなかった。
とても遠くまで来た様な、或いはまだ走り始めて間もない様な。
絶望的に小さな二人を、誰が見つける事も無かった。
誰が見つける事も無かった。
白い影はもう追ってこなくて
とても悲しそうに消えた
錆びた匂いも煤けた黒さえも
やがて色を淡く変え
何処からか声が聞こえた様な
気がした様な 忘れた様な
螺旋階段の突き当たりには
とても小さな扉が
埃を纏い待っていた
「開けるよ」
「うん」
そこには 何もかもがある様に見えた
色とりどりに咲いた花 深い青空
滲んだ世界に二人きり
もう 何もいらないわ
絵本の中 とじ込んだ空を
在るべき場所に返した 忘れない様に
君がくれた 拙い花束を
笑いながら そっと 肩を寄せた
世界の最後に傘を差す
ずっとこんな世界ならば よかったのに
悲しくないわ 君の側で…
花の咲いたその傘の上には
とても幸せそうな顔で
小さく眠る二人がいた
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