エスタークとは、ドラゴンクエストシリーズに登場する地獄の帝王である。「進化の秘法」を生み出した張本人。
概要
ドラゴンクエストⅣ
初めての登場はDQⅣの中ボスとして。アッテムト奥の神殿で眠っている。ファミコン版では玉座で眠っているエスタークの前に立つと会話無しで即戦闘に突入するが、リメイク版では戦闘前に「なに…やつだ……。 わが眠り… さまたげる者は……。」というわずかな台詞が追加されている。
戦闘に入っても最初は眠っていて、起きると不完全なローテーションで行動する。眠っているときは防御以外でダメージ軽減できない全体攻撃のあやしい光を必ず発動してくる。また、このときの彼の色は青色である。
高い攻撃力と強力なこごえるふぶきを扱うが、ラリホーマが高確率で効くという特徴がある。しかし、眠っている時のあやしい光連打の方が下手すれば起きているときより激しい攻撃になるため、素直に起こしておいた方がいいかもしれない。
天空城にある図書館にはエスタークについて書かれた本があり、その内容を天空人が語って聞かせてくれる。それによると元々エスタークは魔族の王であり、「進化の秘法」を作り出して自らを究極の生物に進化させた。このとき「黄金の腕輪」が不足していたために進化の秘法は完全ではなかったという。そして、マスタードラゴンや天空人たちがエスタークと戦い、エスタークを地下深くに封じこめたのだという。
だが作中の第5章においてアッテムトの鉱山でエスタークの眠る神殿が掘り当てられてしまい、エスタークが復活することになってしまった。
デスピサロら魔物たちはエスタークを「地獄の帝王」と呼び、復活後に自分たちの城に迎えようとしていた。また、エスタークが実際に復活する前にも「帝王」「地獄の帝王」といったフレーズは魔物たちが時々会話に出している。「地獄の帝王が復活する」「地獄の帝王を倒すことができるのは勇者のみ」という予言があったとのこと。第1章で子供がさらわれていたり、第5章で勇者の生まれ育った隠れ里がデスピサロらに襲われるのもこの予言のためである。ただしこの予言について、具体的に誰がもたらしたものなのかは作中では語られない。
勇者ら導かれし者たちは、地獄の帝王エスタークが完全に目覚める前に戦いを挑み、これを討ち果たす。ここに「勇者が地獄の帝王を倒す」という予言が成就したかのように見えた。だがその後、「進化の秘法」によってまた新たな「地獄の帝王」が誕生するのだった。
なお、倒れたエスタークを調べると、「へんじがない。 ただの しかばねのようだ。」のメッセージが表示される。ただしDQ4では「ただのしかばねのようだ」のメッセージが表示されたのに生存していたキャラクターが他に存在しており(オーリン)、後述のようにDQ5でも登場するため、「実はこの時にエスタークは滅びてはいなかった」と解釈されることもある。
小説版では、数万年前に天空の神(マスタードラゴン)に戦いを挑んだ魔族の帝王。「進化の秘法」が不完全だった為に神に敗北し、地の底深くに封印された。
その後、「黄金を自分の身体の近くに引き寄せる」という特性により、黄金の殻の中に閉じこもったままマグマの中で眠り続ける。皮肉な事にこの黄金を掘り当てた人間達によってアッテムトの町が作られ、更に噴き出した瘴気によって多くの人々が犠牲となっていった。
物語の終盤近くで、アッテムトの坑道奥でエスタークが発見された事がデスピサロから告げ知らされる。デスピサロ、エスタークと叫び、「死(デス)」と「闇(ダーク)」を奉じて歓喜に沸く魔物達が大挙してアッテムトを目指し、それを追って勇者一行もアッテムトへと急ぐ。
しかしエスタークの復活直前、人間達に愛するロザリーを連れ去られた事を知ったデスピサロが封印の間を去り、入れ違いに勇者一行が到着。最悪のタイミングでエスタークは復活を果たし、圧倒的な強さで勇者たちを苦しめた。
焦燥する勇者だったが、エスタークの様子を観察したトルネコが「まるで目が覚めたばかりでぐずっている赤ちゃんのようだ」と気づき、いちかばちかで子守唄を歌って眠らせる事に成功。ブライの渾身のマヒャドが動きを止めたエスタークを凍りつかせ、残る全員が一気に打ちかかる事で粉々に破壊された。
封印されていた気球で勇者一行は脱出に成功するが、直後にアッテムトの坑道は崩壊し、多数の魔物が巻き添えとなった。ロザリーばかりか部下のほとんどを死なせてしまい、絶望の淵に立たされたデスピサロだったが、探索を命じていた「黄金の腕輪」が届けられた事で、全てを失った自らを「進化の秘法」に捧げ、第二の、そして完全なる「地獄の帝王」へと変貌する事となる……
攻撃パターン
ドラゴンクエストⅤ
ラスボスのミルドラースより圧倒的に強いため、彼の影をさらに薄くした。
HPと攻撃力が極めて高い上、かなりの頻度で凍てつく波動を放ち、攻撃を一人に集中して行うなど、レベルが低いと瞬殺されることもあったりする(特に 波動→かがやくいき のコンボは強烈)
色が青から茶色に変わっている(DQⅣの変身前デスピサロと同じ)
ヒャド系の武器がよく効くことでも知られており、早く倒すためには吹雪の剣や氷の刃を装備できる仲間モンスターおよびキャラクターが求められる。
ちなみにIVの時と同じく、いつも寝ていたためかラリホーマがよく効く。しかもVではあやしい光のような行動がないため、このことを知っているプレイヤーには眠らされた挙句フルボッコにされることも少なくない。ただし2回攻撃のため起きるのも結構早い。
SFC版では、撃破後に「この私がたった○ターンでやられてしまうとは・・・。」という言葉を残し、掛かったターン数を教えてくれることから、一定ターン以内に倒すと仲間になるといったデマが出回った。リメイク版ではこのデマを受けて、本人こそ仲間にならないものの、『プチターク』という彼の息子が仲間になる。
ちなみに、彼が居る洞窟の中にあるすごろく場が密かな楽しみなようである。
上記のように、裏ボスながら妙に親しみの持てるキャラクター付けがされている。また台詞でも「名前しか思い出せない」「自分が善なのか悪なのかそれすらもわからない」と語っており、戦いになるのも「私を ほろぼすために やってきたのか?」という問いに「はい」と答えたときのみであって言わば正当防衛ともとれる。これらのためか、シリーズのファンからはあまり「悪」といった印象で見られることが少ない。初登場したDQ4でほとんど台詞が無く、本作での印象の方が強いこともこの傾向に影響しているかもしれない。
攻撃パターン
ドラゴンクエストⅧ(3DS版)
なんと3DS版Ⅷにも出張。さらなる隠し要素「追憶の回廊」の最終ボスとして登場する。相変わらず眠っており、目覚めたと同時にいつもの質問を行い戦闘となる(ただし今回は「いいえ」を選択し続けると「意味もなく我を目覚めさせたのか」と逆上して結局戦闘になる)。
本作の裏最終ボスにふさわしくレベル99かつ全スキルマスターでも苦戦するほどの異様な強さ。通常攻撃は300~500ほどのダメージを弾きだし、イオナズンやメラゾーマはエスタークのみの特別仕様で通常の倍以上の威力(例:イオナズンで全体350ほど)。灼熱もこの直前に戦う追憶のドルマゲス同様特別仕様で、全体に400以上のダメージ。それに加え、地獄の竜巻(バギ系、290~360ほどのダメージ)、剣を突き立てる(ギラ系、全体460~550ダメージ)ととにかく全体攻撃が非常に激しい。
さらに必殺の一撃という特殊攻撃があり、これは必中かつ1000以上のダメージという即死技。
素早さはなんとメタルキングを超えており(メタルキング:255、エスターク:333)、特定の装備を整えたゲルダやゼシカくらいしか先手を取れない。攻撃が激しいためベホマズンが欲しいがⅧ主人公の素早さが低めのためピオリムはほぼ必須(Ⅷの素早さは回避にも関わるので重要)。
攻撃力は当然のようにカンスト999である、しかし上記した全体攻撃の数々の方が厄介である上に回避可能なため、通常攻撃の方がよほど有情である。
幸いなのはここまでの追憶ボスで多かった3回行動ではなく、完全2回行動止まりな点か。
正攻法で戦うのならとにかく超威力のブレスや呪文への対抗策が必要。特に呪文耐性は地獄の竜巻や剣を突き立てる対策にもなるためこちらを優先しよう。幸いこの時点でブレス・呪文半減の女神の盾が2つ入手できるので、ゼシカやゲルダにぜひとも装備させること。この他、軽減系は「○ダメージ軽減」よりも「2/3に軽減」といった装備を選ぶ方がいい(はぐれメタル鎧等)。前者はもはや焼け石に水になっている。
フバーハやマジックバリアもかけたいところだが、最優先でピオリムをかけ、先手を取れるようにしよう。凍てつく波動も頻繁に行うのでテンション溜め戦法は得策ではない。
…と、ここまで正攻法で戦った場合の攻略法を書いたが、実はこいつには致命的な弱点がある。
そう、シリーズをプレイしている人なら察しは付くと思うが、ラリホーが弱耐性止まりなのだ。ゲルダ、ゼシカとラリホー(ラリホーマ)を使えるキャラが複数いるためハメ倒しも十分可能。どうしても勝てないと思ったらこの戦法でジワジワと嬲ろう。
ただし2回行動なため割とあっさりと目を覚ます。油断は禁物である。
勝利すれば初回は「帝王の腕輪」を入手。これはダメージ2倍という恐ろしいチートアイテム…なのだがもう使う相手は少ないためオマケのようなもの。
以上のように歴代のボスの中でも屈指の強さを誇るが、攻略法が確立した現在は(帝王の腕輪装備が前提だが)最短2ターンで撃破可能となった。
その他
- ドラゴンクエストⅦではエスターク自体は登場しないが、クリア後の隠しダンジョンに『エビルエスターク』という彼によく似たモンスターが登場する(姿はエスタークを模した紫と金色の鎧の腹にデスピサロの顔がくっ付いた感じ)。
- 「ドラゴンクエストIV」が発売されてしばらくしてからエニックスより出版された短編小説集的な書籍において、「エスタークが意外なことに元々は魔族ではなかったことはよく知られている。だが魔族でなければなんだったのかというと、天空人であったとか人間であったなどの諸説があり、はっきりしない」という要旨の短い記述があった。ただし、たとえエニックスから出版された書籍の記述でも、そういった小説等での記述は基本的には公式の設定ではない。
- その書籍の記述に影響されたのかもしれないが、エスタークの「素性」「正体」について、DQⅥで登場したテリーである、ダークドレアムと関係がある、などと噂したり、幾つかの根拠を元に様々に考察するファンもいる。ただし、どれもこじつけや憶測の域は出ていない。公式設定の範囲内では、彼の素性については「かつての魔族の王で、進化の秘法を使って強大な存在となった」というドラゴンクエストIVの作中で語られたことが全てである。
- なお、体色の違いからIVとVのエスタークは別人で、Vのエスタークは記憶を失ったデスピサロではないかという推測もあるが、モンスターズではエスタークの体色が茶色で統一されているし、リメイクでのデスピサロの最期や6章の存在からその可能性は否定されていると見ていい(一応6章はパラレルのようなものと公式でも説明されているが)。
- 前述どおり、DQVの有名なデマで、「とあることをすればエスタークが仲間になる」というものがあった。これはエスタークを倒すと何ターンで倒したかをわざわざ教えてくれること、Vは仲間モンスターという新しい概念が出来たばかりの作品だったことがデマが出来た原因である。なおデマの内容は地域によって違い、「規定ターン以内に倒す」「とあるアイテムを使って規定ターン以内に倒す」など多種にわたる。Vの発売から数年経った後もまだ広まっていたため、ついには公式が「エスタークが仲間になるというのはデマです」と発表したほどであった。このデマを公式が採用した結果できたのが、VIでのダークドレアムさんによる大魔王フルボッコ、リメイクVでのプチタークである。
- モンスターズシリーズでも当然他の魔王たちと同様に登場しており、1・2ではデスピサロとキングレオ(ともに進化の秘法つながりのモンスター)を配合することで誕生。さらにゴールデンスライムと配合でミルドラースが、2ではデスピサロとの配合でサイコピサロが誕生する。
- またジョーカーシリーズからはクリア後の裏ボスとして登場しており、10ターン以内に倒すと仲間になる(元ネタはもちろん上記のデマ、無印ジョーカーのみターン制限なし)。ジョーカー2以降はギガボディの3枠の巨大モンスターとして登場している。ちなみにジョーカー2では3枠中HPは最高ながらも、攻撃力は最低という今までの見た目と威厳を覆すような設定になっていたためネタにされていたが、プロフェッショナル(完全版)からは新たな特性の追加や能力値の強化により大幅に強くなった(その代り今度は素早さが最低クラスまで落ち込んだが)。なおジョーカーからは配合方法が変更され、作るのはかなり難しくなっている。
- またジョーカー2プロフェッショナルでは裏ボス版のエスタークもものすごく強化されており、HPは9999、各ステータスは味方版の上限の2倍近くまであり、特に攻撃力1500という恐るべき攻撃力でプレイヤーを屠る最強のボスとして君臨していた。しかも特性「ウトウト」によって開幕時に寝ていることがあるが、さらに特性「ねがえり」があるため寝ている状態でも攻撃してくるため、「貴様らなど眠っていても勝てる」という台詞通りにやられることもしばしば。
- ジョーカーの流れを受け継いだテリワン3Dおよびイルルカ3Dでも登場。テリワン3Dでは200種類以上のモンスターを集めると扉が解放されるため、頑張ればクリア前でも戦える。イルルカ3Dでは裏ボス撃破後に貰える鍵の世界のボスを務めており、いずれもジョーカーシリーズ同様10ターン以内に倒せば仲間にすることが可能(イルルカ3Dの場合はとあるテクニックから仲間にすることは推奨されていないが)。さすがにジョーカー2プロフェッショナルよりは弱体化しているものの、相当な強さを誇る。
亜種一覧
デスピサロ
ドラゴンクエストⅣのラスボス。
魔族の王となり人間を根絶やしにすべく、エスタークと同じ「進化の秘法」を自身に使う。その結果、デスマウンテンで導かれし者たちが見たその姿はエスタークそっくりになっていた。
詳細は個別記事を参照→デスピサロ
エビルエスターク
ドラゴンクエストⅦの隠しダンジョンに出現するモンスター。
魔界に君臨する邪神とされており、両手に剣を持った鎧ずくめの姿をしている。色違いモンスターに「てっこうまじん」と「デスマシーン」がいる。鎧の腹部に顔があり、エスタークよりは頭部が再生する前のデスピサロに近い姿をしている。
エスターク自身とは直接関係ないが、モンスターパークでは「自分が善なのか悪なのか、そもそも何者なのかさえも分からない」と、本家エスタークのパロディ台詞を言う。
異常とも言える高い攻撃力を持ちながら痛恨の一撃を放ち、さらにイオナズンや凍える吹雪による全体攻撃、挙句の果てには凍てつく波動まで使う強敵。
グランエスターク
ドラゴンクエストモンスターズ2 イルとルカの不思議なふしぎな鍵に登場したモンスター。
本編クリア後の裏ストーリーに登場する。元々は裏ボス「狭間の闇の王」に対抗すべく賢者ミラクレアが魔族たちの協力を得て作らせた大魔神像。
最初は剣を持っていないエスタークの石像でしかないが、かつてのミラクレアの同志であり、異世界の主である「オリハルゴン」が剣に、「リバイアさま」が盾 に、「マンモデウス」が鎧となり、最後にミラクレア自身が大魔神像と融合することで完全体となる。その姿は全身が赤く輝くスーパーロボットのよう。
超ギガボディのモンスターであり、「ひん死で会心」と「会心出やすい」の特性を持つことから、対戦においては新生配合で「亡者の執念」の特性を与え、死亡時に自動復活する「リザオラル」とコンボし、会心を連打する型が流行した。
凶エスターク
ドラゴンクエストモンスターズジョーカー3で登場したモンスター。
「ブレイクモンスター」の一種で、かつて勇者に敗れてバラバラになったエスタークが強力なマ素の影響で繋ぎ直されたものであるという。ブレイクモンスター の例に漏れず、全身がマ素に浸食された禍々しい姿をしている。「地獄の遺伝子」と呼ばれるアイテムを集めることでこいつを出現させることができるように なる。
災厄の王
ドラゴンクエストⅩに登場したモンスター。
世告げの姫が予言した災厄の正体で、目覚めた直後にガケっぷち村を半壊させる。PVで先行公開されたその姿がエスタークそっくりであり、シリーズファンの度肝を抜いた。
詳細は個別記事を参照→災厄の王
ファラオ・カーメン
ドラゴンクエストⅩに登場した、上記の災厄の王の色違いボス。もちろんエスタークそっくり。全身が黒ずんでおり、ところどころに金色の装飾がある。「ピラミッドの秘法」の「第九の霊廟」のボスで、王朝が最も栄えた時代の偉大な王であったが、同時に孤独な生涯を送った王でもあったと言う。
攻撃力は高いがモーションが長い技が多く回避しやすい。霊廟を攻略し続けた実力があれば倒すのはそう難しくない。
ちなみに当初は「ファラオ・エスタ」という名前を付けられていたが、あまりにそのままなせいかスタッフからダメ出しを食らい、現在の名前になったという経緯がある(DQ10TVでのコメント)。
関連動画
左:DQⅣ版エスタークのBGM。 右:DQ9でのエスターク。
エスタークの姿。
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