ネイティブアメリカン (Native American) とは、アメリカ先住民のことである。中南米のインディオを含めていう場合もある。
概要
かつてはインディアンとも言われたが、これはインド人という意味であるので今は普通ネイティブアメリカンと呼ぶ。これはアメリカ大陸を発見したコロンブスがアメリカをインドだと思い込んでいたため。ただしネイティブアメリカン自身の中には「インディアン」と呼ばれる方を好む人々も居る。
大昔シベリアとアラスカがつながっていた時代に、シベリアから渡ってきたと言われている。このため人種的には、日本人やモンゴル人などのアジア人と近縁な人種である。ネイティブアメリカンと言ってもアパッチ族やチェロキー族などさまざまな部族の総称であり、いくつかの部族に分かれて農耕や狩猟を行って暮らしていた。現在私たちも食べたり吸ったりしているトウガラシやタバコ、トウモロコシなどは元々ネイティブアメリカンが栽培していたものである。また、髪型のモヒカン刈りもモヒカン族から来ているし、どこか神聖なイメージや勇敢なイメージから、米軍の軍用ヘリの名前にインディアンの部族名や酋長の名前が使用されたり、タバコ「アメリカンスピリット」のパッケージに書かれたりしている。
アメリカ大陸が発見されて以降、中南米のインディオが悲惨な末路をたどったように、ヨーロッパからの入植者と対立することが多くなり、時に戦闘となり、時に迫害され虐殺され、数を減らしていった。また、ネイティブアメリカンには梅毒などのヨーロッパから持ち込まれた病気に対する免疫がなかったので、ヨーロッパから持ち込まれた病気によって死んでいった。入植者が先住民を殺すためわざとそういった病気の患者の毛布を与えた記録もある。また、先進的な武器もなかったため、土地や資源を奪いに来た入植者に対抗することができなかった。
また、アメリカ建国前の列強の植民地争奪戦時にはその戦争に巻き込まれ、建国後は土地や資源を奪うために強制移住や虐殺をされることになってしまった。
しばしば昔の西部劇では、先住民は悪者として襲撃してくる存在であったが、なぜ先住民が襲撃してくるのかなどは描かれることはなかった。しかし実際は、このような仕打ちに対する抵抗であったのである。
1800年代にはインディアン絶滅政策がとられたが、このときにこの政策を支持した人々はインディアンを「我々に敵対する、野蛮で滅ぼすべき者たちである」と見なしていた。また、当時はアメリカの「未開拓地」を「文明化」していくことは神の定めたマニュフェストディスティニー(明白な使命)とされており、先住民の文化は「まだ文明化されていない」ものであると見なされていた。
こういった背景から、先住民が虐殺されることが大して問題にならなかった時代があった、と考える者も居る。確かに16世紀ごろのキリスト教神学者の中には、異教徒について「生来の奴隷」と見なして征服されるのが当然であると主張していた人物も実在する。ただしそういった意見に他のキリスト教神学者が反論した記録もまた実在する。またネイティブアメリカンの虐殺事件として名高い1864年の「サンドクリークの虐殺」についても、その悲惨な実態を告発して非難する同時代の新聞記事などが存在していた。少なくとも「虐殺しても問題視されることは無かった」と一概に言えるような状況でもなかったようだ。
1970年代以降は先住民の人権が見直されるようになった。しかし、いまだに貧困率が高いという話もある。また、近年ではその精神性や暮らしが見直されつつある。アメリカ先住民モチーフのキャラクターが漫画アニメに登場することもある(シャーマンキングのシルバなど)
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関連項目
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