ネオジオCDとは、1994年にSNKが発売した家庭用ゲーム機である。家庭用ネオジオの廉価版・普及モデルに相当する。
概要
1990年に発売されたネオジオ(NEOGEO)は、初めてアーケード基板との完全互換を持つ家庭用ハードとして魅力が多分にあったものの、その高価さもあって「高嶺の花」と言われていた。
それを打開するために、SNKはPCエンジンのアーケードカード専用ソフトにてネオジオ作品を移植するにあたり、移植条件として、PCエンジンの開発した内の1社であるハドソンから、CDへの移植のための技術を手にいれる。そしてその技術を以って作られたのがこのネオジオCDであった(以下よりネオジオCDを「CD版」、本家ネオジオを「カセット版」と記す)。
発売日は1994年9月で、同年のSNKのキラータイトル「THE KING OF FIGHTERS '94」のTVCMでも取り上げられているなど、ネオジオがある程度稼動し且つ1990年代の格闘ゲームブーム中期に発売されたハードだった。
この廉価版ハードネオジオCDの登場により、ネオジオ作品がより幅広いコンシューマー市場に普及されると思われた。しかし、発売後に問題が発覚してしまう。
- 赤字を避けるがためにできるだけコストを抑えた結果、なんとCDドライブは等速を採用することに(ちなみに同世代のゲーム機であったプレイステーションとセガサターンは倍速ドライブである)。
- カセット版と同じように、ソフトに収録したデータを未圧縮のままにしてしまったことも災いし、ロードが異常なほど長くなるという仕様に陥る。これはネオジオCD本体がソフト媒体にカセットを採用しているネオジオ本体をベースに設計されている為である。そもそも元となったネオジオ本体自体がソフト内にある未圧縮のデータに直接アクセスするという構造であったため、CD版のクオリティも同等になるよう、ほぼ同様の構造にせざるを得なかった事が挙げられる(スーパーファミコンなど他のカセット媒体のゲーム機の場合、圧縮されたデータは一旦取り入れた後、解凍してから展開させる構造になっている)。
- 内蔵RAMは54メガビット(=7メガバイト)であり、同世代の多機種よりも多い(拡張RAMを組み合わせた状態のセガサターン本体を含む)ものの、当時はソフトの容量が新作がリリースされるに従って内蔵RAMの倍以上に膨らみ続けてしまう状況であった。それに対応しようにも、ネオジオCD本体はセガサターン本体のようにRAMを拡張させるための外部スロットなどは装備されていなかった為ロード時間の短縮も見込めなかった。結果、大容量となったソフトの直接プレイに関係の無い一部のデータを削除せざるをなくなってしまった。その問題のおかげで、CD版に移植されなかったネオジオ作品も幾つかある。
この為1995年12月にはロード問題を多少改善した後継上位機種「ネオジオCD-Z」も発売されたが、根本的な解決には至らなかった。
以上により、CD版を買ったユーザーからは多くの苦情が寄せられてしまう。ハッキリ言って、ネオジオを普及させることや利益を上げることを急ぎすぎてしまい、且つ光ディスク特有のデメリットやCD媒体を採用したネオジオを開発する際の問題点を考慮せずに製作されてしまったと思わざるを得ない。
結局本家ネオジオよりも早く、1999年を最後にソフトのリリースが終了したのだった。
それでもこのスペックで一応5年間もソフトを供給していたのだから、ある意味SNKの執念で長らく保ったと言える。前述の通りCD版に移植されていないネオジオ作品がある一方、ファンディスクの類ではあるものの「KOF96ネオジオコレクション」「ADKワールド」といったCD版限定の作品もあったりする。またカラーエディット機能やデモ鑑賞機能、ボス専用のストーリーデモの追加、致命的なバグの修正など、本家には無いサービス要素や修正も加えられている等、全くいいところのないハードという訳ではない。
猿のお手玉(ロード画面)
ネオジオCDの代名詞と言えば、何と言っても「猿のお手玉」であろう。
ネオジオCD発売年の1994年当初にリリースされたタイトル(前述の「KOF94」をはじめ、「リーグボウリング」「サムライスピリッツ」など)にて、共通のロード画面に登場していたのが「now loading」の文字にタイムバー、そしてこの「猿のお手玉」の動画であり、それを刮目した当時のファンの落胆とトラウマの象徴として語り継がれている。
なにしろゲーム本編と関係ない猿が延々お手玉をするという様は、多くのユーザーを怒り爆発させ、奈落に叩き込んだのであった。
本体と同時に9月に発売された約20作品およびその後の約10作品はこの共通ロード画面を使用していた。しかし同年年末の「ワールドヒーローズ2JET」以降の作品からは、文字やタイムバーは同じにもかかわらず猿だけが去り、SD風のキャラクターに置き換わっている(特に「痛快GANGAN行進曲」でのキサラのSDは可愛いのでお勧めである)。SNKに対する猿への阿鼻叫喚の反響が伺い知れよう。その後はタイムバーなどがなくなり公式の一枚絵が使われる例もあった。
この「猿のお手玉」はファンの間に強烈な印象を残したためか、現在のSNK公式キャラグッズにも登場していたり、果ては「SAMURAI SPIRITS(2019)」のロードアイコンにも、ネオジオCDのそれを意識したと思われる猿のお手玉が登場するなど、ネオジオCDはおろか旧SNKの倒産以降に至ってもネタにされ続けている。
関連動画
- 右の動画は上位機であるCD-Zでのプレイだが、CD-Zはハードは倍速ドライブを採用し、且つコンパクトになったものの、肝心のソフト自体はCDドライブが等速の通常版に合わせてあるので、ロードがちょっと速くなっただけである。やはりロード時間の短縮は、ソフト側にどれだけの工夫が凝らしてあるかに掛かっていると言える。
- この動画では家庭用専用作品(カセット版を除く)である『真説サムライスピリッツ武士道烈伝』を取り上げており、同じCD媒体であるPS版とのオープニング画面を比較するシーンもある。うp主によると、PS版の場合、圧縮を行っている影響で画質が劣化しているとのこと。
- もちろん当機種以外の機種でも、工夫によっては素晴らしい移植度を誇るものもある。特にゲームのるつぼが手がけた、以下2作品のセガサターン版は高く評価されている。プレイの際は、『KOF'95』は当作専用のツインアドバンスROMシステムのカセットを、『ファイターズヒストリーダイナマイト』は拡張RAMカセット(1メガバイト及び4メガバイトの両方とも使用可能)を、それぞれ併用しなければならない。
- また、PCエンジン版のアーケードカード専用であるスーパーCD-ROM2の4作品や、どの拡張ツールも併用していないセガサターン版『ワールドヒーローズパーフェクト』も素晴らしい移植度を誇る。ちなみにCD-ROM2本体のドライブ速度は等速である。
- CD版には「人類には耐えられないロード時間」を有する移植作品も多く存在し、その中でも『月華の剣士』シリーズの2作品は代表格として有名である。
- CD版のBGMはアレンジ率が高く、特に人気だった格ゲーのほとんどがアレンジ版である。これは移植元であるオリジナル(ネオジオ)との差別化を計るためのものであると推測される。BGM自体は全てCD-DAで収録されているため、一般のCDプレイヤーにかけてBGMの視聴のみを楽しむことが可能になっているが、一部プレイヤーでは、最初のトラックにただのデータが収録されているおかげで、データCD扱いされて再生することができない。以下2作品のアレンジBGMは記事作成主オススメである。
関連商品
- 3種類の本体の中で、一般的に普及されたのが通常版のトップVer.である。フロントVer.は、パナソニックが発売した3DOのフロントVer.によく似ている。
- スティック型コントローラであるコントローラプロは、ネオジオ版に標準付属されているスティック型コントローラよりは遥かに扱いやすいのでかなりオススメ。HORIが発売した専用のファイティングスティックがあるが、それでなくてもコチラで十分に楽しめる。現在は中古でかなり安価に売られているが、裏のゴムが付いているか、擦り減りすぎてないかを確認して買うべし。このコントローラもCD版に標準付属のパット型コントローラと同様にネオジオでも使用可能である。
- ソフトはご覧の通り、こんな感じである。ほとんどのソフトの帯に書かれているキャッチコピーの内容がなかなか格好良い(異論は認める)。一部のソフトには限定版仕様も存在し、「ART OF FIGHTING 龍虎の拳外伝」の限定版はロバートのコインやシールセット、小冊子同梱の専用パッケージで発売されている。
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関連項目
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