モズアスコット(Mozu Ascot)とは、2014年生まれの日本調教の競走馬である。栗毛の牡馬。
米国産、栗東・矢作芳人厩舎所属、馬主はキャピタル・システム(モズの冠名を使用)
主な勝ち鞍
2018年安田記念(GⅠ)、2020年フェブラリーステークス(GⅠ)
2020年根岸S(GⅢ)
生い立ち
父のフランケルは当該記事が非常に詳しい。マイル~中距離において圧倒的なパフォーマンスを見せ、現代欧州競馬史上最強馬の候補に上がる優駿である。モズアスコットはそのフランケルの初年度産駒にあたり、同期にソウルスターリングやCracksmanがいる。母は現役時代重賞2勝。母父のヘネシーは本邦輸入種牡馬で、国内ではサンライズバッカス、国外で*ヨハネスブルク、*ヘニーヒューズを出している。
近親には米GⅠ馬To Honor and ServeやAngela Renee、更に遡れば*ブライアンズタイムも近親にあたる、米国の牝系出身である。
1歳時に米国のセリ市に上場。後に管理することになる矢作師もセリに参加しており、血統と馬体の良さから注目していたものの、100万ドル以上の値段がついてもおかしくないことから予算の関係上諦めていたところ、膝と喉の不安があり値段が上がらずに主取りになってしまったという。これを絶好のチャンスとみた矢作師は「モズ」の冠名で知られるキャピタル・システムのオーナーに本馬を推薦して資金提供を受け、27万5千ドルで購入してマル外として日本で走ることとなった。
競走生活
安田記念に至るまで
上述の通り体質の不安があったためデビュー戦は3歳6月と非常に遅れ、ここで武豊を鞍上に迎えるも4着。もう1戦4着を挟んで中京のマイル戦で勝ち上がる。
その後順調に500万下、1000万下、1600万下と連勝を重ねて初重賞の阪神Cに挑むとここを4着に入り、続く阪急杯、読売マイラーズCと続けて2着に入る。上がり馬として意気揚々と安田記念に参戦...
が、事案発生。出走登録を行った段階で優先順で19番目だったのである。フルゲートは18頭。
つまるところ除外対象であり安田記念に出られない!
という訳で急遽矢作師の愛弟子たる坂井瑠星を乗っけて京都の安土城Sへ出走。直線入口で大外に持ち出して追い込むが、一緒に伸びてきたダイメイフジにクビ差及ばず2着。瑠星ェ!!!...と言いたいところだが斤量1.5kg余計に背負ってるしなぁ
このままじゃ出られない...という所に藤沢厩舎4頭出しのうちサトノアレスを除く3頭が回避。とりあえず安田記念に出ることは出来た。
昨今中々見られない連闘でのGⅠ初挑戦は9番人気、単勝15.7倍に支持された。1番人気は大阪杯を制してやってきたスワーヴリチャードである。モズアスコットの鞍上は阪急杯、読売マイラーズCで騎乗していたルメール。
安田記念本番。レースではスタートすると中団の後ろ寄りにつけて追走。直線に入ると馬群が横にズラっと並び、ルメールは馬群をさばいて抜け出すと、先に好位から抜け出していたアエロリットを捉えてゴール。GⅠ初挑戦初制覇となった。モズアスコット!モ~ズアスコットだゴーーールイン!!!by小林アナ
速いペースでレースが推移したこともあり1分31秒3のタイレコードを記録し、更に平成最初の安田記念勝ち馬バンブーメモリーと同様に、平成最後の安田記念勝ち馬が連闘で挑んだ馬という珍記録も出来た。
なお、レース後ルメール曰く、「連闘でむしろ反応が良くなっていた」との事。
低迷
休養を挟んでスワンSから復帰するものの、ゴール手前で交わされて2着。続くマイルCSは1番人気に推されたが4コーナーでごちゃつく不利もあり伸びず13着に大敗。続いて香港マイルに出走し7着であった。
5歳となるも3戦連続で掲示板を外し、スワンSで2着に入り復調気配を見せるもマイルCSは14着に大敗。
色々と歯車が噛み合わなくなった時、陣営はある決断を下した。
6歳:矢 作 最 強
ダート路線への挑戦である。血統的な背景から言えば、アメリカのダートで活躍馬の多い母系であり、陣営からも期待のコメントも見られた。ついこの間タイムパラドックスの近親である芝GⅠ馬のタイムフライヤーがダートで復調傾向にあった事もあったか、初ダートとなる根岸Sでは3番人気に推された。鞍上には昨年のマイラーズC以来となるルメールが戻ってきたあたり、陣営の本気度が窺える。
するとスタートで出負けしたものの中団につけて追走し、直線で追われると脚を伸ばして先に抜け出していたコパノキッキングを捉えて1馬身離して勝利するという、何ならダートの方が強いんじゃないかという走りぶり。
そしてフェブラリーステークスへ向かう。前年王者インティ以上の支持を集めて単勝1番人気に推された。
元々芝馬なので芝スタートも問題なく、発馬を決めると中団で待機。レースはワイドファラオが逃げ、地方組複数が後方待機と縦長の展開となる。しかしそんな事お構いなしに直線に入り、好位の内目から追い出すと、粘るタイムフライヤーを交わして尚伸び続け、追い込むケイティブレイブを2馬身半差突き放してゴール。史上5頭目となるJRAの芝・ダートGⅠ両制覇となった。矢作師はJRAのGⅠ出走機会3連勝を達成し、次は豪州遠征と息巻いていた。
のだが、折からの新型コロナウイルス流行に伴い、豪州への遠征が非常に困難になった為にドンカスターマイル参加を取りやめ、高松宮記念に脚を向ける事となった。ルメールがドバイからの帰国に際してJRAから自宅待機を指示されたため、鞍上はデムーロとなった。
初スプリント戦(1400mは何度か走っている)ながらも雨予報かつ重馬場という事もあり5番人気に推されたが、最後方から全く伸びず13着に敗れた。
その後再びダートに挑戦し、初の地方となるかしわ記念に出走。ここでは長期休養明けのルヴァンスレーヴを抑えて1番人気に推されたがスタートで躓き、道中中段を追走していたが3コーナー前からのペースアップでついて行けなくなり、直線でも全く伸びず7頭立て6着(下は地方馬ナンヨーオボロヅキ)に敗れた。
その後休養に入り、秋シーズンは南部杯から始動。ここでは前年の勝ち馬サンライズノヴァが1番人気でモズアスコットは2番人気も中央馬7頭の単勝は3.5~6.9倍に収まるなど混戦模様を呈していた。ルメールがゴールドドリームに騎乗する為、目下関東リーディングの横山武史に乗り替わった。
レースではインティを見る2番手につけると4コーナーで早め先頭に立ち、そのまま押し切りを図るところにゴール前でアルクトスに交わされ2着となるも、ワンターンのダートマイルで復調を果たした。
南部杯後に武蔵野Sへ出走したが、インコースから直線に入って追い上げはしたものの前を捉えられず7着。次走のチャンピオンズカップでは初となるダート1800m戦で11番人気にまで人気を落としたが、後方待機から直線を外目から追い込んで5着に入線した。
チャンピオンズカップ後、12月11日を以て競走馬登録を抹消、引退となった。引退後はアロースタッドで種牡馬入りする予定である。
血統表
Frankel 2008 鹿毛 |
Galileo 1998 鹿毛 |
Sadler's Wells | Northern Dancer |
Fairy Bridge | |||
Urban Sea | Miswaki | ||
Allegretta | |||
Kind 2001 鹿毛 |
*デインヒル | Danzig | |
Razyana | |||
Rainbow Lake | Rainbow Quest | ||
Rockfest | |||
India 2003 栗毛 FNo.4-r |
*ヘネシー 1993 栗毛 |
Storm Cat | Storm Bird |
Terlingua | |||
Island Kitty | Hawaii | ||
T.C. Kitten | |||
Misty Hour 1995 鹿毛 |
Miswaki | Mr. Prospector | |
Hopespringseternal | |||
Our Tina Marie | Nijinsky II | ||
Java Moon |
クロス(5代内):Miswaki 4×3(18.75%)、Northern Dancer 4×5×5×5(15.63%)、His Majesty=Graustark 5×5(6.25%)
関連動画
関連項目
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