雪の進軍とは、明治28年に永井建子(ながい・けんし、陸軍軍楽隊第6代隊長)によって作詞・作曲された軍歌である。
概要
日清戦争に第二軍司令部付軍楽隊員として従軍した永井が、威海衛の戦いで陸戦や海戦を見聞し、また軍人の内面的生活に触れて、その情景を忌憚なくスケッチしたのがこの歌である。
この歌には軍批判ともとれる表現があり、歌の最後に「どうせ生かして還さぬ積もり」とあり、これの主語を上官や軍ととらえると、上官や軍自体によって結局は死に追いやられる、と解釈することも可能である。
またこの歌は長らく将兵に愛されていた(陸軍大将大山巌元帥〈日清戦争時の第二軍司令官〉もその一人で、病床についてもなお臨終の最後までこの歌を聴いていたという逸話がある)が、「勇壮でない」という理由から支那事変の頃には歌の最後を「どうせ生きては還らぬ積もり」に改訂させられ、大東亜戦争突入後は歌唱禁止となる(あくまで建前なので終戦まで歌われることはあった)。
ちなみに、ガールズ&パンツァーの9話で、秋山優花里とエルヴィンが偵察で口ずさんでいたのは改訂後の方である。
歌詞
一.
雪の進軍氷を踏んで
どれが河やら道さえしれず
馬は斃れる捨ててもおけず
ここは何処ぞ皆敵の国
ままよ大胆一服やれば
頼み少なや煙草が二本
ニ.
焼かぬ乾魚に半煮え飯に
なまじ生命のあるそのうちは
こらえ切れない寒さの焚火
煙いはずだよ生木が燻る
渋い顔して功名噺
「すい」というのは梅干一つ
三.
着の身着のまま気楽な臥所
背嚢枕に外套被りゃ
背の温みで雪解けかかる
夜具の黍殻しっぽり濡れて
結びかねたる露営の夢を
月は冷たく顔覗き込む
四.
命捧げて出てきた身ゆえ
死ぬる覚悟で吶喊すれど
武運拙く討死にせねば
義理にからめた恤兵真綿
そろりそろりと頚締めかかる
*どうせ生かして還さぬ積もり
*どうせ生きては還らぬ積もり
関連動画
関連静画
関連コミュニティ
関連項目
- 5
- 0pt