養老鉄道とは、岐阜県大垣市(西大垣駅そば)に本社を構え、三重県桑名市と岐阜県揖斐郡揖斐川町を結ぶ「養老線」を経営する鉄道事業者である。
近畿日本鉄道100%出資のが筆頭株主となる子会社。
概要
養老鉄道は2007年設立。近鉄養老線の経営状態が悪くなったことをきっかけに、運営は養老鉄道側(第二種鉄道事業者扱い)が行い、線路や車両は近畿日本鉄道側(第三種鉄道事業者扱い)が保有するというスタンスに切り替えた。同年10月より、養老鉄道名義で運営が開始され、切符・運賃等も養老鉄道専用のものに切り替わった。
2017年に沿線自治体が出資する一般社団法人である養老線管理機構に、近畿日本鉄道から路線を移管することが決まり2018年1月1日に移管されている。方式は今までと同じ上下分離方式(公有民営方式)で、線路の部分は養老線管理機構が維持管理する第三種鉄道事業者となっている。
2017年10月1日、いすみ鉄道と姉妹鉄道協定を締結した。2019年1月には初代養老鉄道創業者であり、京急電鉄創業者でもある立川勇次郎が創業し、開業120周年を迎える京急電鉄との相互連携を発表している。
歴史
この養老鉄道という鉄道事業者は、実は二代目にあたる。養老鉄道(初代)は、京急電鉄創業者でもある立川勇次郎と2代目四日市市長である井島茂作によって1911年7月に設立され、1919年4月に全区間が開業した。その後は揖斐川電気に合併されて電化が進められ、さらに四日市までの延伸を目指して免許も取得した。名古屋進出を目指す伊勢電気鉄道にこの免許が譲渡された後、養老電気鉄道として一旦切り離され、1929年10月に伊勢電気鉄道に合併された。
その伊勢電気鉄道も、過剰投資が祟って経営危機に陥る。伊勢電気鉄道が参宮急行電鉄と合併するのに先立ち、1936年5月に養老電気鉄道として一旦独立するが、1940年8月に参宮急行電鉄に合併された。そして、上述のように2007年まで近畿日本鉄道(参宮急行電鉄→関西急行鉄道→近畿日本鉄道)の路線として営業されていた。
サイクルトレイン
サイクリング観光や地域交通の利便性を図るため、本鉄道では進行方向の前から2両目の車両に自転車を積載できるスペースを設けている。持ち込みは無料で、平日は9時から帰りの学生が多くなる15時までの指定列車で実施。土日は終日全ての列車がサイクルトレイン対応車両となる。
全ての駅で利用可能だが、桑名駅の近鉄線連絡改札と大垣駅のJR乗換改札口は通れない。多度、駒野、養老、西大垣、揖斐、池野、広神戸の駅に有料レンタサイクル施設があるので、対応駅で自転車を借りて別の駅で返却、と言う事も可能。さらに、池野、揖斐駅には養鉄トレクルという電動アシスト自転車を借りることも可能。いずれも先着順のため、全て出払っていることもあるため、可能な限り自前の自転車を持ち込むと良い。
薬膳列車
ちょっと高めの薬膳付きクルーズトレイン。専用車両ではなく貸し切り列車という形式で運行されている。また、1日フリーきっぷを兼用もしている。料理内容は[1]
- 食前酒(13種類の生薬入)
- 牛テールスープ
- 手作りハンバーグ
- 青野菜
- かぼちゃサラダ
- 白身魚の香草ムニエル
- トマト100%のゼリー
- 夏野菜オムレツ
- タコのマリネ・モロヘイヤソース
- ティラミス・スギナティー
- ふすまパンとジャム、自家製黒ニンニク
- デザート(手作りラスク&クッキー+玄米炭ティー)
徹底した健康食指向のメニュー構成となっており、食材はもちろん現地の素材を中心に作られている。また食後に薬膳体操がある。興味がある人は乗ってみることを推奨する。
ラッピング列車
2022年6月からハローキティのラッピング列車が運行されている。(11月末まで)
駅一覧
全線単線で普通列車(各駅に停車)のみの運行でワンマン運転を行っている。
路線名は桑名駅~揖斐駅がを通して養老線である。しかしながら大垣駅はスイッチバック駅となっており、全ての営業列車はこの駅で折り返しとなり直通運転は無い。
そのため地元では、大垣駅~揖斐駅間は揖斐線と呼ばれることもあり、一部地図では括弧書きで揖斐線と書かれていることもある。
1067mm軌間の狭軌路線である。線路の規格が低いのと駅間距離が短めな為、運行速度は全体的に低めであり、最高速度は65km/hに設定されている。
駅名 | 備考 ■のりかえ○周辺施設 |
---|---|
桑名駅 | |
播磨駅 | |
下深谷駅 | |
下野代駅 | |
多度駅 | |
美濃松山駅 | |
石津駅 | |
美濃山崎駅 | |
駒野駅 | |
美濃津屋駅 | |
養老駅 | |
美濃高田駅 | |
烏江駅 | |
大外羽駅 | |
友江駅 | |
美濃青柳駅 | |
西大垣駅 | |
大垣駅 |
■JR東海・東海道本線、樽見鉄道 |
室駅 | |
北大垣駅 | |
東赤坂駅 | |
広神戸駅 |
無人駅だが、乗車券類の販売を駅前の観光交流館が行っている。 |
北神戸駅 | |
池野駅 | |
北池野駅 |
○池田町役場 |
美濃本郷駅 | |
揖斐駅 |
車両
車両は南大阪線から転属or名古屋線から転属したものに狭軌用台車を履かせたものが採用されている。また2019~2020年にかけて東京急行電鉄との間で車両譲渡が行われ、7700系の2両編成と3両編成3本ずつの15両+部品取り1両が譲渡された。
600/610/620/625系
元名古屋線1600系、1800系、南大阪線の6000系、6800系の増結用の余りを組み合わせて出来たキメラ的編成。2両or3両編成で運転される。4ドア。 2019~2020年に7700系に置き換えられ、6編成15両が廃車、625系は形式消滅している。最近運賃箱が新しくなってたりデジタル表示の運賃表示板が付けられてたりする(一部車両のみ、2021/03現在)。大垣駅での乗車位置は青丸印1~3。(2両編成の場合は2~3)
7700系
610/620/625系から置き換えられた車両。オールステンレス製であることと、電気系統等が7700系に改造された際のもので比較的経年が浅い等の理由で今後30年間(~2050年くらい)のしようが見込まれている。3ドア。運賃箱が新しくなってたりデジタル表示の運賃表示板、車椅子スペースがあり、3両編成は中間車に転換クロスシートを8席設置している。養老鉄道初のVVVFインバーター搭載、ワンハンドルマスコン車両でもある。大垣駅での乗車位置は赤三角印1~3。(2両編成の場合は2~3)
フリー切符
養老鉄道全線が1日何度でも乗り放題になる切符。大人1500円、小児750円。通年発売。
発売箇所は大垣・桑名・下深谷・多度・駒野・養老・西大垣・揖斐の各駅と、池野駅構内にある「池田町まちづくり工房霞渓舎」と広神戸駅前にある「ごうど観光交流館ひよしの里」。
モバイル版もある。スマホアプリ「QUICK RIDE」で購入可。クレジットカード決済のみ。乗降時は駅係員または運転士、検札係にアプリのフリー切符画面を見せて利用する。価格は上記の通りだが、お試しキャンペーンが実施中であり、大人1000円、小児500円で購入可。(3000名分発売終了まで実施。3000名分に達しない場合でも2021/03/31に終了)
関連動画
関連項目
脚注
- 2
- 0pt