B級映画(びーきゅうえいが)とは、英単語の「B movie」の和訳である。
短期間・低予算で作成された映画。
概要
日本では、なんだか、安っぽい映画・短期間撮影&低予算で撮られた映画の事などを指す。
転じて、単に質の悪い映画、脚本や演出が薄っぺらい映画を指す場合もあるが、その定義は曖昧である。
B級映画の歴史
1920年代後半、音声と映像を同期させたトーキー映画(現在の映画の形である)の商業化が始まり、映画会社が撮影所の拡築を行う中、20世紀フォックス社(当時のウイリアム・フォックス社)も撮影所を新築する。それまで使われていた旧撮影所は『B撮影所』と呼ばれ、前座用の低予算映画が撮影される場所となった。
当時のアメリカでは映画は2本立てで公開されるのが常で、その1本目の映画がこの『B撮影所』で作られた映画という事から、前座用低予算映画を「B映画」と呼ぶようになった。この呼称が他会社でも浸透し、後の「B級映画」になったと言われる。ちなみに映像がカラーになった50年代以降から、アメリカの2本立て興行は徐々に廃れ、今では行われていない。
なお、『スターウォーズ エピソード4 新たなる希望』や『未知との遭遇』も「製作当時」という背景を考えれば、当時はB級扱いで、現在のような大ブーム、不朽の名作という扱いではなかった。これらの作品が正当な評価を得るに至ったのは、「B級でありながらも決していい加減な造りではなかった」という点が大きい。
現代のB級映画
無論、現在でも短期間・低予算の映画は続々と作られ続けている。Wikipediaによれば撮影期間は約2週間程(通常の映画撮影期間の約2/3)、予算は作品によって異なるが、相場はA級と呼ばれる大作映画の約1/10程度とされているようだ。
低予算であるが故に無名・新人の俳優や監督を起用する事が多く、そこから新たな才能が見出されていく。流石に超大作映画ばりの収入は見込めないものの、興行的に大ヒットとなった作品や、好評を博し、続編が超大作へと化けるケースもある。
言うなればB級映画は、映画界の人材を育てる環境であり登竜門でもあるのだ。
とはいえ、やはりそこは低予算。チープな演出やしょーもないシナリオの作品にブチ当たる確率も高い。日曜洋画劇場でかつて放映された『宇宙から来たツタンカーメン』、アメリカのテレビ会社がクソ過ぎて安く買い叩いた『プラン9・フロム・アウタースペース』などはその最たる例であろう。
有限会社フォワードがWHDジャパンに製作依頼して発売しているDVDは、その殆どがしょーもない演出かつ誰も見ないであろう超カルト映画であり、ジャケットすらショボイ。もし、過去のB級作品に興味があれば、この会社のDVDを買えばきっと満足(?)いただけるだろう。
ちなみに、この会社はこの試みが逆に珍しいと評価されて、関西テレビ「よ~いドン!」の名物コーナー隣の人間国宝さんに取り上げられて人間国宝さん認定を受けたりしている。
また、多くの予算を費やした大作映画をS級、A級映画と呼んだり、B級映画の更に下、C級、D級…更にはZ級映画というランクまである、時もある。ただし、こういったランク付けはB級映画という言葉を前提にしたもので、単にネタとして使われる場合が多く、使われる場面も少ないようだ。
B級映画の視聴は一種のギャンブルでもあるのだ。そういった面が時として強調され「B級映画とは質の悪い映画のことである」とも思われがちである。しかし、肩肘張らずに気楽に見られる娯楽作品や、監督の趣味が強く現れたマニアックな作品も多い為、この手の映画を愛するファンは多い。
才能の片鱗を探すもよし、チープさに呆れ爆笑するもよし。玉石混淆であるが故に、その楽しみ方も様々である。
B級グルメ
日本ではB級映画にちなんで、一流ではないが庶民的でそこそこ凄いものを『B級〇〇』と称することがある。
その最たるものが「B級グルメ」であり、1980年代の日本ではグルメ雑誌などで既に使われていた。
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関連項目
- 映画の一覧
- 木曜洋画劇場
- 水曜シアター9
- Z級映画
- 映画秘宝(B級映画も取り上げるイカレた映画雑誌)
- アルバトロス(B級映画を多く取り扱う映画配給会社)
- アサイラム(B級映画を多く取り扱う映画製作・配給会社)
- エド・ウッド(史上最低といわれた映画監督)
- ロジャー・コーマン(B級映画の帝王)
- クエンティン・タランティーノ(B級映画フリーク)
- 死霊の盆踊り(伝説のB級映画)
- ファイナルファンタジー(映画)
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