Cupheadとは、Studio MDHRが1936年から81年後の2017年9月29日にPC、Xbox One(後にNintendo Switch)で発売したインディーゲームである。
ストーリー
インクウェル島に暮らすカップヘッドとマグマンの兄弟はある日、ケトルじいさんの忠告を破り、ガラの悪い地域にある『デビルのカジノ』を訪れてしまう。
カジノで兄弟が連戦連勝していると、カジノオーナーのデビルが登場し「次のゲームに勝ったら、カジノの金は全部やる。ただし、負けたらお前達のタマシイを貰うぞ」と賭けを持ちかけられる。
躊躇するマグマンとは対照的に、金に目がくらんだカップヘッドはサイコロを振り敗北してしまう。
命乞いをする兄弟にデビルは、カジノから逃げた債務者達の名が記載されたリストを渡し、奴らのタマシイを回収してくれば見逃してやると提案する。こうして二人は債務者達のタマシイを回収しに行くのだった。
概要
Cuphead | |
基本情報 | |
---|---|
ジャンル | 2Dアクション |
対応機種 | PC(Win/Mac) Xbox One Nintendo Switch PlayStation 4 |
開発元 | Studio MDHR |
発売元 | Studio MDHR |
発売日 | PC:2017年9月29日 Xbox:2017年9月29日 Switch:2019年4月18日 |
価格 | 1980円 |
対象年齢 | CERO:A |
ゲームソフトテンプレート |
1930年代のカートゥーンを、線のブレや画面のノイズまで拘り再現した、手書きのアニメーションがウリのアクションシューティング。基本はすべてアナログでの手書き。制作に7年かけた。制作に専念する為に仕事を辞めた。資金調達の為に家を抵当にした……ともはや狂気すら感じる工程を経て開発された[1]。
使用されているセル画は合計で45000枚以上であり、「ゲーム制作に使われた最も多い手描きセル画の枚数」としてギネス世界記録にも認定されている[2]。
しかしその甲斐もあって、あのMicrosoftから開発資金や宣伝の援助を得ることができ、発売後2週間で100万本を売り上げた話題のソフトである。
また、その後も売れ続け200万本に到達し[3]、現在は500万本を突破している[4]。
その人気はゲーム本編にとどまらず、楽曲にも及んでいる。今作の楽曲はクリストファー・マディガンにより作曲され、13人編成のビッグバンドと10人編成のラグタイム・アンサンブル、さらにはタップダンサーが参加して録音されており、合わせて3時間にも及ぶサウンドトラックとなった。これらの楽曲は、英国アカデミー賞で最優秀音楽賞を受賞するなど、各方面から絶賛を受けており、iam8bitよりリリースされた『カップヘッド/CUPHEAD 2枚組レコードセット』は、2019年9月11日付けの米ビルボードのジャズ・チャートで初登場1位を獲得した[5]。
開発元は、世界中の学校やコンサートで演奏されることを願い、サウンドトラックの楽譜をリリースしている[6]。
The Game Awards 2017 では「Best Art Direction」「Best Score/Music」「Best Action Game」「Best Independent Game」「Best Debut Indie Game, presented by Schick Hydro」の5部門にノミネートされ、「Best Art Direction」「Best Independent Game」「Best Debut Indie Game, presented by Schick Hydro」の3部門を受賞した[7]。
2019年3月21日、「Nindies Showcase Spring 2019」にて、今作がNintendo Switchで同年4月18日に発売されることが判明した。長らくSteamとXbox Oneのみでの発売だったため、多くのファンに驚きと歓喜の声で迎えられる発表となった。さらに無料アップデートも発表され、1人プレイ時のMugman操作やアニメーションの追加、そして待望の日本語ローカライズが実装された。
ローカライズにあたっては、韻や慣用句などの言葉遊びを他言語でも理解してもらうため、慎重に行われたとのこと。クオリティを重視し、複数のローカライズ会社と契約した上で、納品された翻訳を別の会社にチェックしてもらい、レビューを元の会社に戻して再評価してもらうなど、二重三重のチェック体制が敷かれた[8]。
日本語・韓国語・中国語のローカライズは、発売前から連絡を取っていたというGameTomo社が担当。複数のカリグラファーと契約し、昔のアニメ作品をイメージしたタイトルをデザインしている。その結果、今作の雰囲気とマッチしたフォントデザインとなっている。
2019年7月9日、CupheadがNetflixにて「The Cuphead Show!」としてアニメ化されることが判明した。Netflixのアニメーション部門であるNetflix Animationが制作し、原作通り1930年代風のアニメーションになるとのこと。スタッフには「ミッキーマウス!」「スポンジ・ボブ」などに携わった人々が集結している。主人公のCupheadがインクウェル島を舞台に物語を進めていくコメディ・アドベンチャーだが、ゲームとは別の物語が描かれる[9]。そして2022年2月18日にNetflixで全3シーズンが配信された。
2020年7月29日、PlayStation 4での発売が発表され、当日中に配信された[10]。
2022年6月20日、DLC「The Delicious Last Course」が配信。霊廟にいた「伝説の聖霊チャリス」がプレイアブルキャラクターとなるほか、新たなボス、ショット、チャームが追加された。開発には、かつてディズニーアニメに携わったベテランアニメーターも参加している[11]。
登場人物
Cuphead(カップヘッド) / Mugman(マグマン)
インクウェル島で暮らす仲良し兄弟。左側のミッキーマウスに似たデザインのキャラがカップヘッドで、右側のオズワルド・ザ・ラッキーラビットに似たデザインのキャラがマグマンである。
デビルのカジノでゲームに敗北してしまった二人は、債務者のタマシイの契約書を集めるため奔走することとなる。
インクウェル島でカップヘッドとマグマンを見守りながら暮らす、物知りなおじいさん。
債務者のタマシイを回収することになった二人のために、カップの中身をぶちまけないポーションを作るなど、二人のサポートを行っている。
「デビルのカジノ」の支配人。
旅の途中、ダイハウスと呼ばれる場所で何度か出会い、カップヘッドたちがちゃんとタマシイを回収しているかチェックしている。
ダイハウス内で流れているのは、キングダイスのテーマ曲「Mr. King Dice Theme(キングダイスのテーマ)」である。
各地の霊廟に囚われている精霊。
霊廟内の幽霊を全てパリィで退治する度に新たな必殺技を授けてくれる。
DLCでついにMs.Chaliceとしてプレイアブル化。お守り「幽界クッキー」を装備することで使用でき、2段ジャンプ&突撃パリィ&無敵ロールを使えるうえ、HPも4である。
債務者たち
冒険の道中、兄弟の前に立ちはだかる債務者は、いずれも個性豊かで手強い相手ばかり。詳細は各個別記事を参照。
DLC追加ボス
DLCにて兄弟に立ちはだかる新たな悪党たちで、こちらも個性豊かで手強い相手ばかり。詳細は各個別記事を参照。
Glumstone The Giant 山男イワフマン |
Moonshine Mob 虫魂トリースカ組 |
The Howling Aces 咆哮飛行隊 |
Mortimer Freeze 凍尋坊モーティマー |
Esther Winchester エスター・ウィンチェスター |
システム
ゲーム内容はロックマンやメタルスラッグを彷彿とさせるが、それらと違いボス戦と横スクロールステージ、通称ラン&ガンの比率が4対1と非常に偏っている。また、難易度が高く、ステージ中にライフ回復アイテム、チェックポイント等は存在せず、ゲームクリアまでに100回死ぬのはよくある話。
また、ゲーム全体にわたる良質なジャズ調の音楽も特徴。ステージごとにBGMは全て違う力の入り具合。
ローカルプレイに対応しており、2Pで協力してゲームを遊べる。友情崩壊要素は無いのでご安心を。Nintendo Switch版ではJoy-Conのおすそわけプレイに対応している。
難易度
難易度はシンプルとレギュラーの二通り。シンプルはイージーに当たる。(エキスパートからが本番だが)
ただし、レギュラーでクリアしないとボスのタマシイは回収できず、最終面に挑むにはレギュラーでのクリアが必須。ただし一部ボスはシンプル限定のアニメーションがある為、それを探してみるのも一興。
英語が読めないからと、初回シンプルクリア時の忠告を聴かず全シンプルすると実質2周するハメに。
また、手書きである事を最大限に生かした、ボスの形態変化や攻撃は初見殺しとして十二分に機能する。
ただしハイクオリティなアニメーションは見ているだけでもプレイヤーを楽しませ、また死亡時にステージクリアまでの残りを表記すると言った方法で、クリアへの意欲を刺激する。
アクション
横スクロールステージで拾ったコインを使い、武器の購入やチャームによるカスタマイズが可能。
ショットは2つ、必殺技とお守りは1つ装備することが出来る。
攻撃をヒットさせる、パリィする(後述)事により、画面下隅の必殺ゲージであるカードが5枚まで増え、その枚数分だけゲージ技を発動できる。5枚ストックした状態で発動すると、必殺技が発動する。
ピンク色の攻撃やオブジェクトはジャンプ中にもう一度ジャンプボタンを押す事でパリィ出来る。その際に必殺ゲージが溜まる為、攻撃を避けるかパリィするかの判断も重要になってくる。また、2Pプレイ時に味方死亡時、タマシイをパリィすることで蘇生することが可能。回数制限はないが画面上部に消えるとそのステージでは復活不可になり、復活してもライフ1で復活するので気は抜けない。
ステージクリア後はリザルトになり、クリアタイム、被弾回数(3~0回)、パリィ回数(0~3)、必殺技を当てた回数(0~6)、難易度の5項目によって評価される。
ショット
名前 | 通常弾 | EXショット | 備考 |
ミズデッポウ (EX:メガブラスト) |
直進弾 癖のないまっすぐな軌道で、中程度の威力。 |
3ヒットする巨大な弾を前方に発射する。 | 初期装備。 |
スプレッド (EX:シホウハッポウ) |
5WAY弾 扇形で短い射程。高めの威力。 |
プレイヤーを中心に8WAY弾を発射する。 | 敵との距離が近いほど高いダメージを与えられる。 |
チェイサー (EX:カオスオービット) |
ホーミング弾 一番近い敵に向かってホーミングする。低めの威力。 |
プレイヤーの周りを旋回する弾を4発発射する。 | 威力は低いが命中率が高いので、ザコ敵の処理や回避に専念したい時に最適。 |
オトシダマ (EX:シャボンダマ) |
バウンド弾 地面を2回跳ねて消滅する。高めの威力。 |
何かに当たると破裂する弾を発射する。 | 射程と連射性能は短いが、威力とDPSが高い。 |
チャージ (EX:爆裂ショット) |
チャージ弾 ショットボタン押しっぱなしでチャージし、離すかダッシュで発射。高い威力。 |
プレイヤーの近くで爆発し、広範囲にダメージを与える。 | 強すぎてアップデートで弱体化されたが、それでも撃つ時だけ敵を狙えば良い利点は変わらない。 |
ブーメラン (EX:ジャンボリバウンド) |
ブーメラン弾 発射後に反対方向に向きを変える。高めの威力。 |
プレイヤーに当たるか8ヒットしない限り消えない巨大な弾を発射する。 | 威力がそこそこ高く、後ろ側もカバーできるので弾を当てやすい。EXショットを上手く当てるのにコツがいるが、それを除けばクセも少ない。 |
DLC追加ショット
名前 | 通常弾 | EXショット | 備考 |
パラパラショット (EX:P・ランチャー) |
ホーミング&直進弾 一番近い敵に高速かつ一直線でホーミングする。 |
上記の弾を数発発射する球体を放ち、パリィすると一直線に発射される。 | チェイサーより命中率が若干低いが威力とDPSが高い。 |
ビリビリショット (EX:デンゲキボルト) |
3WAY弾 奥まで届く細長いレーザー。 |
一直線に太めのレーザーを一瞬だけ発射。 | ロックボタン長押しでレーザー間の間隔短縮。 |
クルクルショット (EX:タツマキサクロン) |
斜め上に小型の竜巻を大量放射。 | 渦を描くように大型竜巻を画面外まで発射。 | 上向きに撃つと後方に飛ぶ |
必殺技
名前 | 説明 | ||
必殺技I エナジービーム |
前方に幅の広いビームを発射。 発射が終わると当たり判定が復活するので注意。 |
||
必殺技II ムテキ |
5秒間無敵になる。 | ||
必殺技III ジャイアントゴースト |
ムキムキのゴーストが出現し、触れたものにダメージを与える。 プレイヤーの操作に対応して動く。消滅するとパリィ可能なハートを残す。 |
チャリスの必殺技
名前 | 説明 | ||
必殺技I きりもみシューター |
自分を起点とした上下方向に幅の広いビームを発射。 | ||
必殺技II おねがいシールド |
一度だけダメージを肩代わりしてくれるシールドを召喚。 複数召喚も可。 |
||
必殺技III あやかしボンバー |
左から右に向かって大量の霊を放ち、画面全体を攻撃する。 技が終わるとパリィ可能な槍が発生する。 |
お守り
名前 | 説明 | ||
ハート | HPが1増える代わりにショットダメージが減少する。 | ||
コーヒー | 時間経過でスーパーショットのゲージが溜まる。 | ||
ピンクシュガー | ジャンプしている間、1度だけ自動でパリィする。 | ||
ツインハート | HPが2増える代わりにショットダメージが減少する。 | ||
ケムリ玉 | ダッシュ時に無敵状態になる。 | ||
シャープナー | パリィに攻撃判定が付いてダメージを与えられる。 |
DLC追加お守り
名前 | 説明 | ||
幽界クッキー | チャリスを代わりに使用可能。 | ||
呪われし器物 | 様々なお守りの効果を持つがHPが1になる。 ある条件を満たすと… |
||
ハートの指輪 | 1、3、6回目のパリィ成功時にHP1増加。 |
そしてスマブラへ!
2020年1月16日、任天堂公式チャンネルにて「ベレト / ベレスのつかいかた」が公開され、その中で「カップヘッド」がMiiファイター(射撃)のコスチュームとして配信されることが発表された。配信日は同年1月29日、価格は81円(税別)。購入すると、キャグニー・カーネーションの戦闘BGM「烈花の如く」が付属する。
ついに大人気対戦アクションゲームへの参戦を果たした。今度は任天堂にタマシイを賭けたのだろうか?
関連動画
トレーラー
実況動画
関連商品
関連リンク
- 公式サイト
- StudioMDHR公式ツイッター
- GameTomo公式サイト
- Cuphead Japanese Translation Index《カップヘッド日本語訳 目次》 - ロビンソン商会 歌詞対訳works(ローカライズに協力したRobin96氏のブログ)
関連項目
- インディーゲーム
- ゲームのタイトル一覧
- Xbox One
- Steam
- Steamで販売中のゲームの一覧
- Nintendo Switch
- Nintendo Switchのソフト一覧
- ロックマン(オマージュしていると公言している。2Pの名前とか、緑色のドラゴンのボスとか)
この記事は第579回の今週のオススメ記事に選ばれました! よりニコニコできるような記事に編集していきましょう。 |
このゲームはSteamアワード2017に選ばれました。 受賞:「ベストサウンドトラック賞」「期待以上によかったで賞」 |
脚注
- *高難易度アクションゲーム『Cuphead』が売り上げ100万本を達成。発売からわずか2週間強で大台を突破(2017年10月14日)
- *「Hello! インディー」第25回 開発者が語った「覚悟」と「こだわり」『Cuphead』(後編)(2019年4月24日)
- *Studio MDHRのツイート(2017年12月21日)
- *『Cuphead』の売り上げが500万本を突破。発売から2年経過も3か月で100万本積み上げる(2019年9月30日)
- *『Cuphead』のサウンドトラックがビルボードのジャズ・チャートで1位を獲得! テレビゲームのサントラとしては史上初の快挙(2019年9月26日)
- *『Cuphead』の開発元がサウンドトラックの楽譜をリリース、学校のバンドで演奏してほしいと奨励!(2019年8月28日)
- *“The Game Awards 2017”全アワードの受賞作品を紹介【The Game Awards 2017】(2017年12月8日)
- *『Cuphead』Nintendo Switch版が実現した背景や、日本語ローカライズへのこだわりなどについて開発者が語る(2019年3月22日)
- *『Cuphead』がNetflixで『The Cuphead Show!』としてアニメ化決定!(2019年7月10日)
- *CUPHEAD PlayStation 4 Launch Trailer - YouTube
- *『Cuphead』のDLC開発に、ディズニーアニメに多数携わった経験を持つベテランアニメーターが参加(2019年6月22日)
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