Ζガンダム(MSZ-006 Zガンダム)とは、アニメ『機動戦士Ζガンダム』に登場するモビルスーツである。
主な搭乗者はカミーユ・ビダン、ルー・ルカ、ジュドー・アーシタなど。初登場時はアポリー・ベイが操縦していた。
機体設定
型番 | MSZ-006-1 |
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頭頂孔 | 19.85m |
重量 | 28.7t(本体) / 62.3t(全備) |
出力 | 2,020kw |
推力 | 112,600kg |
搭乗者 | カミーユ・ビダン |
装甲 | ガンダリウムγ |
兵装 | バルカン砲 |
XBR-M-87A2 「ビーム・ライフル」 |
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A.E.BLASH XB-G-35/Du.105 「ビーム・サーベル」 |
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FXA-03M2 「ハイパーメガランチャー」 |
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グレネード・ランチャー | |
FF-XV-SH-609Z 「シールド」 |
エゥーゴがアナハイム社に開発を依頼したフラッグシップとなる可変機の開発計画『Ζ計画』で結実した可変MS(TMS)。
アナハイム・エレクトロニクス社で開発中だったMSZ-006X「プロトタイプΖガンダム」にムーバブルフレーム技術やカミーユ・ビダンの試案を取り入れて設計された。
MS形態から「ウェイブライダー」と呼称される高速巡航形態に変形可能であり、ノンオプションでの大気圏突入も可能。
ウェイブライダー形態はMS形態時のFXA-01「フライングアーマー」を下面に配置する事によって極超音速飛行時にショックウェイブを形成し、熱を緩和させる。
従来のバリュートシステムでは降下シーケンスに手間取り、展開後の隙で撃墜される機体も少なからず存在した。この問題は大気圏突入の流れを簡略化し、かつスムーズに行うためFXA-00型フライングアーマーの改良型を機体に織り込む事で解決を見せたのである。
こうした自由度の高い突入は宇宙から地上基地への強襲任務に適しており、後の時代でも高く評価されている。
その上、ウェイブライダー形態は1G重力下でも飛行可能というバカみたいな汎用性を誇る傑作機。更にサブフライトシステム代わりにMSを乗せて飛ぶことまでできる。
後のガンダムシリーズにおける高速巡航形態といえば大体こいつを参考に作られていることが多い。
フライングアーマーは交換が可能で、FXA-01K系のフライングアーマー(ウェイブシューターユニット)を装備することもあった。フライングアーマー付近のロング・テール・スタビレーターはAMBACモジュールとスラスターを兼ね、緊急時における加速や急な方向転換などにも使われる。
タイトルネームになっているガンダムでありながら、登場は作品中盤と言う遅れてきた主人公機。さらに後のZZガンダムも遅れての登場であったため、こちらでも初期の主人公機を務めている。主人公機の交代はザブングルやダンバインなどで既にあったものの、タイトルネームの機体が途中まで出てこないというのはレアだった。
グリプス戦役時のロールアウトでありながら、後の第1次ネオ・ジオンでも第一線で活躍し、ZZガンダムのパイロットになったジュドー・アーシタも大気圏突入時のミッション及び砂漠地帯でのオアシス探索に使用していた。また、『逆襲のシャア』におけるアムロも当初はZガンダムの配備を上申している(連邦上層部がアムロにこんなもの預けちゃいかんということで却下。このためリ・ガズィが生まれた)など、後の時代でも十分通用する高性能機だった。
前期型・中期型・後期型
『マスターアーカイブΖガンダム』の設定では、Ζガンダム試作1号機(カミーユ搭乗機)には前期型、中期型、後期型の3つの段階が存在し、これらは戦役中に改修されたものとされている。
前期型はΖガンダムMk-IA(『ウィリアム・A・ブリッジマンの手記』で設定された機体)の改良型で、0087年7月から存在した初期の仕様とのことである。1号機を使用した01K型フライングアーマーのテストもこの時期に行われた。
中期型は0087年12月以降の仕様で、打ち上げ後に初期型のデータを基にしたパッケージに換装。フライングアーマーは大気圏内をより想定したFXA-01B型にアップデートされている。
後期型は『ZZ』登場時の仕様で、フライングアーマーをFXA-01C型に換装したほか、実は胸部サイズや腕部フレームに仕様策定中のZプラス系からのフィードバックがあったという設定になっている。キュベレイMk-IIを載せて降下した時にはすでにこの状態だった。
バイオセンサー
コックピット部に組み込まれた準サイコミュもしくは簡易サイコミュの一種。AE社はNTと目されるパイロットが乗る機体に秘密裏に組み込み、利用法を模索していたと言われている。
ハイパー化
『機動戦士Ζガンダム』の終盤ではカミーユの高まったニュータイプ能力に呼応して“ビームを弾く(バリア状のフィールド)”、“敵モビルスーツの動きを止める”といった仕様外の超常現象を起こした。
この現象は「機体周囲のミノフスキー粒子の不可測挙動を制御する実験のために秘密裏に装備されたサイコミュによるもの」という節もあり(旭屋出版フィルムブック 機動戦士Ζガンダム PART2より)、サイコミュ通信やミノフスキー物理学が関わってくるものと推測される。
バリアについてはメディア展開では「バイオフィールド」、もしくは後の小説「機動戦士ガンダムUC」で設定された「サイコフィールド」として扱う作品も見られる。
Ζ計画
可変機の開発計画であるΖプロジェクトは、エゥーゴのフラッグシップとなるモビルスーツ(ガンダム)を開発するという名目で始動したと言われる(G計画と呼ばれている)。
→Ζ計画
以下はモデルグラフィックス別冊『ガンダムウォーズ2 MISSION ΖΖ』に収録されている設定を参考にしたもの。エプシィについては一時期忘れられていたが、近年では『マスターアーカイブ』『MG S/EX-Sガンダム』『モビルスーツバイブル』などでも言及され復権しつつある。
- 本計画ではアクシズからもたさらされた技術を基に、まずブロックビルドアップ構造というアクシズの可変機「ガザ」系の技術を採用した「プロトタイプリック・ディアス」(コード:γガンダム)が開発。
- δは可変技術の未熟さが原因となった「変形時のムーバブルフレーム強度不足問題」が発覚。δガンダムを可変機とするのは諦め、一度非可変機として再設計した。これが「百式」である。また、可変機構の検証機として可変MS「メタス」が誕生する。
- 百式をベースにMSZ-006X1、後に「プロトタイプΖガンダム」と呼ばれる事になる機体が開発。そこにガンダムMk-Ⅱで得たムーバブル・フレーム技術を導入し、ついに完全な可変機体MSZ-006「Ζガンダム」の開発に成功する。これがAE社における可変機開発のブレイクスルーとなった。
以後もアナハイムでは可変機の開発が続けられた。これを見ても分かる通り、Ζ計画を祖とする「開発コードにギリシャ文字を採用したMS」が特別、可変機というわけでない。開発当時の最新かつ革新的な技術を導入した試作機…あるいは高級機であり、Ζはその結晶というべき「時代が生み出した歴史的名機」なのである。
ゼータ量産計画
ゼータの量産を試みる動きは多かったが、可変MSは専用部品が多いため高コストになりがちの上に変形する構造上フレームと関節部分が脆く、可動部が多い分整備性に欠けるといった問題点から量産化はしていない。
ただしゼータをベースとした機体も多くモデルグラフィックス別冊『PROJECT Ζ』を初出とする「Ζプラス」、映画『逆襲のシャア』に登場した「リ・ガズィ」、『機動戦士ガンダムUC』の「リゼル」等が代表的な派生機に挙げられる(一部機は量産化に成功したモデルとなったが結局MSZ-006自体の完全量産には至らなかった)。
外伝的な作品ではZ系列の機体が主人公機を担っていることも多い。ただし、Zプラス自体は派生機の項にもあるが幾つか特化したバリエーションが存在するので仕様変更機、もしくは限定仕様機とも言える。
「Zフェイス」とも呼ばれるフェイスカバーにスリットが存在しない面長の頭部が特徴。また、大抵のガンダムに付属しているオプチカルシーカーが赤くない。そのため歴代ガンダムタイプをずらっと並べてもこいつだけは一発でわかる。
バリエーション
- Zザク
(機動戦士ガンダムZZ)
- ネオ・ジオン軍との戦闘で破壊されたゼータの頭部をザクタイプに換装した現地改修仕様。応急処置に過ぎず、この状態で出撃した際には不具合が生じた。その後、普通に修理してノーマルヘッドに戻された。某魔法少女系ガンダム作品には50km級の超大型機「ザクZ」が登場するが本機とは無関係。
- ウェイブシューター装備型(HG 1/144 MSZ-006 Zガンダム)
- ゼータ自体、まだまだ改良の余地を残した初期型のため、機体設計の見直し等は継続して行われていた。ウェイブシューターユニットはVG翼型フライングアーマーであり、大気圏内飛行時の航続距離や安定性の他、宇宙でのAMBAC能力の向上を実現しており、後のZプラスシリーズの祖型となった。なお本仕様のWR形態は通常型と区別する為にウェイブシューターと呼ばれる事が多い。
- 漫画『機動戦士Ζガンダム Define』において、ウェイブシューター仕様のゼータが登場する。
- FA-006ZG フルアーマーΖガンダム(ガンダムマガジン,超戦士ガンダム野郎)
- ガンダムマガジンに掲載されたフライングアーマーを外してフルアーマー化したZ。機体保護のためにフルアーマー化…までは良いのだが、フライングアーマーはZの変形プロセス・機能の重要な部分でもあり、Zの存在意義をなくしかねない本末転倒の案。超戦士ガンダム野郎にもデザインが違うフルアーマーZが登場する。
- MSZ-006X1 プロトタイプZガンダム
(Z-MSV)
- プロトタイプZという名称だが、実際には攻撃型非可変MSとして設計された。可変型Zがこの機体のフレーム、アビオニクスを流用したため後々プロトZと呼ばれるようになった。1~3号機が作られ、頭部ユニットはそれぞれネモ、百式、リック・ディアスの物で構成されている。
- MSZ-006-2 Zガンダム2号機(Zガンダム大事典,マスターピース Zガンダム)
- 暫定的にZの2号機とされている機体。Zガンダム大事典の赤い機体と、マスターピースのレドームを装備したカラーリングの異なる電子戦仕様この二つが同一機なのかも定かではない。
- MSZ-006-3 Zガンダム3号機
(グリーンダイバーズ,ガンダムイボルブ)
- カラバが有するMSZ-006の3号機。単機の筈だが作品によっては複数生産設定。「第3ロットもしくは第3バージョンのZガンダムを3号機と呼ぶ」という説まである謎多き機体。
バリエーション:ストライク・ゼータ、ホワイト・ゼータ、グレイ・ゼータ、レッド・ゼータ - MSZ-006A1 Zプラス
(PROJECT Z,ガンダムセンチネル)
- カラバとAE社が共同で開発した初のZ系可変量産機。ウェイブシューター仕様から着想を得たVG翼型のフライングアーマーを採用している。
バリエーションが豊富で、大気圏内仕様のA1型と宇宙仕様のC1型はシリーズの標準モデルである。 - MSZ-007 量産型Zガンダム
(Z-MSV)
- 該当記事を参照。一応Z系量産機。可変機ではない上に頭部もバイザー型デュアルセンサー、一体これのどこがゼータなのかと突っ込みたくなるが、プロトタイプのコンセプトと一部設計を継承した正真正銘のZである。
百式系MSと競合したが敗れる。第二次ネオ・ジオン戦争後、試作機が特殊部隊に配備された。なお、近藤和久の漫画やその設定に連なるPC9801のゲームには、可変系の量産型Zとその派生機が登場する。
バリエーション:ZETA、Zイージィ、ZARG - MSZ-007 ΖレイピアⅠ
(PROJECT Z,ガンダムセンチネル)
- 開発コードはηガンダム。Z計画でリック・ディアス開発チームがZプラスを参考に作った可変MS。
元は模型オリジナル機だが、ガンダムセンチネルのアナハイムガンダム一覧表にも機体名称とスペックが記載されている。Z-MSV版の量産型ゼータと型式番号が同じだが理由は不明。 - MSZ-008 ZⅡ(Z-MSV)
- ゼッツーと読む。Zにメタスの技術を導入した機体。大幅に構造を簡略化して生産性を高めているが、時勢に乗れず計画段階であえなく廃案。実機が第一次~第二次ネオ・ジオン戦争時に2度実戦へ投入されている。
- RGZ-91 リ・ガズィ
(機動戦士ガンダム 逆襲のシャア)
- Z系の量産モデルであるRGZシリーズの1機。名称はRe-fine GUNDAM Zetaの捩り。
ΖプラスR型の構想を基にしたBWS(バック・ウェポン・システム)の実証機で、素体MSは可変構造ではないが、オプションを装着することによりウェイブライダーモードに形態移行が可能。交戦中にオプションを切り離してMSモードになることは出来るが、再装着してウェイブライダーモードに戻ることは出来ないという片道の変形機構となっている。オプション未装着時は高価な非可変機に過ぎないため量産は見送られた。
バリエーション:リファインゼータ改、リ・ガズィカスタム - RGZ-95 リゼル
(機動戦士ガンダムUC)
- これまでのZシリーズの集大成。名称はRe-fine Zeta-gundam Escort Leaderの略称。その名の通り主力機であるジェガンのサブ・フライト・システムとしても扱われるなど幅広い運用が為される。
メタスの構造を導入したZⅡの可変構造を継承しつつ、ジェガン系とのパーツ共有化によってコストの大幅削減を達成している。可変機ではZプラスシリーズと並んで量産に成功したZ系となった。 - AMX-107 バウ / ヒリュー(機動戦士ガンダムZZ)
- ネオ・ジオン軍が開発した分離合体構造を備える可変機。ヒリュー(飛竜)は試作段階の名称で原型機。Z計画の技術者も関わっている。
- MSZ-010 ΖΖガンダム
(機動戦士ガンダムZZ)
- 『機動戦士ガンダムZZ』の主人公機。パイロットはジュドー・アーシタ。
開発コードはθガンダム。Ζガンダムの発展型とされているが、本体は分離合体構造で高火力の第四世代機でもあるため、運用思想が根本的に異なる。Zを遥かに上回る強力な火器を搭載。 - MSA-012 ΖΖΖガンダムユニット
(A.O.Z Re-Boot ガンダム・インレ 黒うさぎのみた夢)
- ティターンズが開発したガンダムTR-S[ヘイズル・フレア]をエゥーゴが接収し、AE社が改修を加えた機体。Z計画を超える事を目指した「ADVANCE OF Z計画」に組み込まれている。
型式番号はΖ計画機の「λガンダム」と同じだが、2017年6月時点でλガンダムとの関係は不明。 - ハーフゼータ
(機動戦士Ζガンダム1/2)
- AE社が開発した可変試作機をゼータガンダムに似せた機体。名称はかつて存在したという「ハーフガンダム」の名称に肖っている。
- ガンダムディフォルティータ
(強化人間物語)
- アナハイム社がプラン「ディフォルティータ」のもとに開発した試作MS。高度な人工知能を搭載しており、パイロットである強化人間の少女とシンクロすることで性能を高められる。
バリエーション:ガンダムアイロティア、ガンダムディフォルティータNo.2、ガンダムディフォルティータNo.6 - ΖガンダムMk-ⅠA(ウィリアム・A・ブリッジマンの手記)
- 初出はマイアニメ1985年10月号。ウィリアム・A・ブリッジマンがテストパイロットを担当した可変機。
ガンダムMk-ⅣBを経て開発された一連の実験機の最終型で、ガンダムMk-ⅣBは変形構造に不安を残していたが、本機において構造上の不安は払拭されている。カミーユ機の初期試作型でもある。 - TMS-007X Ζグスタフ(サイド・ストーリー・オブ・ガンダム・Z)
- ア・バオア・クーのガンダムの残骸を回収して得たデータと、フラナガン機関のニュータイプ技術を結集して作り上げた最新鋭の可変型ガンダム。ただし、本作はエゥーゴがジオン残党の組織などif設定全開である。グスタフはゼータのパラレル機に相当する機体でモノアイがヘッドに採用されている。詳細は不明。
その他のバリエーション
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