「筋肉」は信用できない ライフルは「骨」でささえるとは、筋肉万能説に異を唱える論理である。
「立て逃げ」は信用できない 大百科は「概要」でささえる
漫画「ジョジョの奇妙な冒険」Part6「ストーンオーシャン」に登場する、ジョンガリ・Aの台詞。
主人公である空条徐倫をグリーン・ドルフィン・ストリート刑務所に収監させた黒幕は、かつて空条承太郎に倒された吸血鬼DIOの手下であるジョンガリ・Aの陰謀であった。DIOを失った「恨み」を晴らす為に徐倫に罪を被せ、承太郎をおびき出したのだった。
承太郎がやって来た面会室は女子監にあり、ジョンガリ・Aのいる男子監からは遠く離れている。しかし、ジョンガリ・Aは現在白内障でほぼ盲目となっているものの、元軍人で風速20mの中でも仕事をこなした狙撃手。さらにスタンド能力「マンハッタン・トランスファー」は気流を読んで動き、このスタンドに狙撃すれば銃弾を中継して標的にヒットさせる『狙撃衛星』である。この能力を使って入り組んだ監獄の室内への狙撃を可能にしているのだ。
そして、偽装した杖をライフルに組み替えてジョンガリ・Aはこうつぶやく。
「筋肉」は信用できない
皮膚が「風」にさらされる時 筋肉はストレスを感じ微妙な伸縮をくり返す
それは肉体ではコントロールできない動きだ
長距離射撃において、銃身がブレてしまっては狙った標的に銃弾をヒットできない。それを回避するためには筋肉だけで構えるのではなく、骨を土台とした支えとして銃身を固定させる事が重要である。実際のライフル射撃の立った状態の狙撃でも「ボーンサポート」という骨盤で左肘を支える構えがある。まさに、ジョンガリ・Aが狙撃のプロである事を表した台詞である。
その後、面会室を脱出た徐倫を狙ったものの「マンハッタン・トランスファー」を捕らえられてバラバラにされたが、一瞬のうちに徐倫が逃げ込んだ秘密の通路の部屋に現れ攻撃してきたが、そいつはジョンガリ・Aではなく看守であり…
ドロ…
ドロ…
何よ これはーーーッ!?
全ての出来事のつじつまが合わないッ!!
実はこの台詞、幻覚の中で言った台詞であり、実際には言っていない台詞である。
このジョンガリ・A戦では実はもうひとりのスタンド使いによるスタンド攻撃で承太郎と徐倫は面会室内で眠らされたまま幻覚を見せられており、大蛇の胃袋の中のようにゆっくりと肉体を溶かす攻撃をしていたが、徐倫はこの攻撃に会う前にエンポリオ・アルニーニョから渡された「溶かされた母親の仙骨」を握った際の痛みでようやく目が醒めたのである。
ジョンガリ・Aという元軍人狙撃手の男囚がおり、承太郎によって、彼がかつてのDIOの手下で徐倫を収監させる陰謀の張本人である事を語るまでは現実だったのだが、不自然なタバコの煙に気づいた以降は全て幻覚の中の闘いだったという非常にややこしいスタンドバトルという事もあって、第6部「ストーンオーシャン」を読み始めるにあたって読者が非常に躓きやすいエピソードとなっている。
この幻覚の中の闘いで唯一真実なのは、ジョンガリ・Aのスタンド能力が幻覚の中で見た通り、気流を読んで弾丸を中継する「マンハッタン・トランスファー」である事。これは幻覚を見せたスタンド「ホワイトスネイク」がわざと幻覚の中で見せており、現実でジョンガリ・Aが看守に変装し直接承太郎と徐倫を銃撃する際にマンハッタン・トランスファーを出したことで、「これも幻覚か」という一瞬の判断力を鈍らせる事が狙いであり、これによって選択の余地なく徐倫を銃撃から庇うために「スタープラチナ」で時を止めさせ、連続して時を止められない『一手』の遅さが無敵と謳われた承太郎の隙であり、この隙によってホワイトスネイクは承太郎から『記憶』と『スタンド能力』のDISCを奪い取ったのである。
全ては、面会室の幻覚から脱出された際の第二の手として入念に計画されていたホワイトスネイクの罠であるのだが、それ故に思い返してみれば「男子監から狙撃していたジョンガリ・Aの描写はいったい何だったのか」という疑念が読者に過るだろう。ジョンガリ・Aは承太郎と徐倫から300m以上も離れた場所にいるため、本来であればジョンガリ・Aの様子など完全に窺い知れないはずである。それなのにジョンガリ・Aの仕草や独り言まで描写するという事は、ホワイトスネイクは見えない所まで手を入れるタイプなのか、それとも読者にまで完全に幻覚を見せたという事なのだろうか…。
しかし、幻覚の中でとはいえ無敵ともいわれた空条承太郎を苦戦させ、スタンドの性能よりも自身のライフル狙撃の実力で勝負するというストイックさから来る発言は読者に説得力とインパクトを残しており、「「筋肉」は信用できない ライフルは「骨」でささえる」はジョンガリ・Aを代表する名台詞となっている。実際には言っていないけど。
余談
本作「ストーンオーシャン」のTVアニメ版において空条徐倫役を務める声優ファイルーズあいの趣味のひとつは筋トレで週に3回ジム通いする程のトレーニーであり、初主演作品も筋トレをテーマにした作品である。一方、悪役サイドではDIOの骨というキーアイテムが登場し、ジョンガリ・A役を務める声優日野聡は全身骨のキャラクターを演じた事もある。
つまりこれはジョースター家とDIOサイド間で行われる、「筋肉」VS「骨」のかたちになるな…
…というのはコジツケか。
関連動画
本編内で「ライフルは骨で支えるもの」という発言がある。
関連商品
関連コミュニティ
関連項目
- 2
- 0pt
https://dic.nicovideo.jp/t/a/%E3%80%8C%E7%AD%8B%E8%82%89%E3%80%8D%E3%81%AF%E4%BF%A1%E7%94%A8%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%AA%E3%81%84%20%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%95%E3%83%AB%E3%81%AF%E3%80%8C%E9%AA%A8%E3%80%8D%E3%81%A7%E3%81%95%E3%81%95%E3%81%88%E3%82%8B