あおなみ線とは、愛知県名古屋市を走る名古屋臨海高速鉄道の鉄道路線である。
実際は西名古屋港線という名だが、案内上は「あおなみ線」に統一されている。
概要
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あおなみ線の沿線となる名古屋西南部地域は、これまで鉄道サービスが不十分で、自動車やバスなどの路面交通により移動せざるを得ず、交通渋滞が著しい地域であった。
あおなみ線は、その状況を改善すべく東海道本線の貨物支線である西臨港貨物線を全面改良し、旅客化させた路線である。
そのため荒子駅~中島駅間には名古屋貨物ターミナルがあおなみ線の横に広がっており、荒子駅以北ではJR貨物の列車も多く通過する。
1997年12月に名古屋・金城ふ頭間の第一種鉄道事業免許を取得。2000年2月には工事に着手し、2004年10月6日に全線開業した。
名古屋駅と名古屋港の金城ふ頭を24分で結び、全駅にホームドアがつけられている。
2011年2月にmanacaを導入。翌年、TOICAとの相互利用に参加。
2013年3月よりSuicaも使用できるようになるが、同日開始の10種ICカード相互利用(PASMO・ICOCAなど)には対応しなかった。
2016年3月12日、10種ICカード相互利用が可能となった。
運行方式は全車4両編成によるワンマン運転である。運行間隔はラッシュ時は毎時6本、日中は毎時4本で全線通しの各駅停車が基本ではあるが、稲永駅を始発・終着とする列車が一日数本存在する。
また、2017年4月に金城ふ頭駅を最寄り駅とする「レゴランド・ジャパン」が開業するのにあわせ、土休日を中心に名古屋~金城ふ頭をノンストップで運行する列車を運行している(所要時間は17分)。車両も1編成をレゴランド使用にラッピングされている。イベント時には荒子川公園駅に臨時停車することがあった。
2020年にコロナ禍に入ると運行日数が減少し、数年ほど運行していない時期があったが、2022年10月から運転再開となった。
なお、途中駅で追い抜きができないため、普通列車と比べるとそこまで速達性は無い。
利用状況
鉄道空白地帯を埋める路線であること、それに沿線に名古屋競馬場など娯楽施設が存在することから、当初は大いに期待され、日66,000人の利用があると見込まれていた。
しかしながら開業当初は、日26,000人程度の利用にとどまり、累積赤字が蓄積、運営会社の名古屋臨海高速鉄道は2011年に経営破綻した。愛知県と名古屋市による公的資金が投入されており、現在は再建途上にあるといえる。
その後金城ふ頭駅を中心にリニア鉄道博物館やレゴランド、駅直結のポートメッセなごや新第1展示館の建設などが行われ2019年には日44,000人の利用に向上し、黒字化を達成したが、当初の予想利用にはまだまだ届いていない。
鉄道空白地帯に出来た路線であるにもかかわらず、利用が低迷している要因として、
- 名古屋市を始め中京圏は、首都圏や京阪神圏に比べると車社会であり、自動車通勤者の鉄道通勤への移行が進んでいない。
- 中川区・港区では野跡以北のほぼ全区間において、従来から名古屋市営地下鉄東山線・名港線、それに名古屋市営バスによる公共交通機関網が構築されており、あおなみ線開業後もそれらからの移行が大きく進んでいない。
- 起点である名古屋駅は、用地の都合から太閤道側南端に設けられており、JR以外の各鉄道路線、名鉄・近鉄・市営地下鉄や市バスとの乗り継ぎが不便である。
- 名古屋~野跡間では、東におよそ1kmほど離れているとはいえ、あおなみ線と並行する市バス路線(幹名駅2系統)も存在する。市バスは210円(小児100円)の均一料金であり、(大人の初乗りを除けば)あおなみ線より割安である。
ことなどが上げられる。ただし、金城ふ頭には競合交通機関はなく、ポートメッセなごやで大規模なイベントがある時は混雑することが多い。
2022年にポートメッセなごや・新第1展示館が完成すると、大規模なライブイベント・コンサートが開催できるようになった影響であおなみ線に人が乗り切れず、金城ふ頭駅で入場待ちの長蛇の列ができると言った悪影響が見られるようになった(増発は行われるが、4両編成しかないので乗車できる人数に限度がある)。あおなみ線開通前は金城ふ頭に市バスが乗り入れていたのだが、開通後は市バスが撤退したことであおなみ線を利用するしかなくなったためこのような状況になっている。このため、地元住民の中では金城ふ頭に向かうなら自家用車一択としている人もいるとか。
SL
平成23年3月14日、沿線の金城ふ頭に、JR東海が運営する鉄道博物館「リニア・鉄道館~夢と想い出のミュージアム~」が開館した。同館の開館式に出席したメダルかじり虫河村たかし名古屋市長は、祝辞の中で「動く博物館」構想をかかげた。
誰もが実現する気がないだろうと思っていた矢先、同年7月1日に河村市長は市議会の質問の回答内で、あおなみ線にSLを走らせる構想を明らかにした。
そして平成25年2月16日・17日には、周辺環境への影響などを調査するため、名古屋~荒子(名古屋貨物ターミナル)間で「SLあおなみ号」6往復が試験運行された。
名古屋でのSLの運転は1986年5月の「SL一世紀号」以来である(奇しくも今回と同じ牽引機であった)。JR西日本からC56 160[梅]+12系客車3両[近ミハ]+DE10 1118[梅](両終点で機回し・転車台設備がないための措置)を借り受けて使用した。
一般公募により乗車を受け付けたが、定員200人×6列車に対し全国から12万人以上から応募があったという。
駅一覧
駅番号 | 駅名 | 接続路線 | 駅周辺 | 所在地 |
AN01 | 名古屋駅 |
■東海旅客鉄道:東海道新幹線、東海道本線、中央本線、関西本線 |
JRセントラルタワーズ、名古屋ルーセントタワー、名鉄百貨店本店、近鉄パッセ、名古屋鉄道本社 | 中村区 |
AN02 | ささしまライブ駅 | マーケットスクエアささしま、米野駅(近畿日本鉄道名古屋線)、愛知大学名古屋キャンパス、ZEPP NAGOYA | ||
AN03 | 小本駅 | 鳥森駅(近畿日本鉄道名古屋線)、JR東海名古屋工場、ジェイアール東海バス本社 | 中川区 | |
AN04 | 荒子駅 | 高畑駅(名古屋市営地下鉄東山線)、荒子観音、中川区役所・保健所、中川図書館 | ||
AN05 | 南荒子駅 | 富士権現社、太平温泉 | ||
AN06 | 中島駅 | ラウンドワン中川1号線店、スーパージャンボ、愛知運輸支局 | ||
AN07 | 港北駅 | 名古屋入国管理局、土古商店街 サンアール名古屋(旧名古屋競馬場) |
港区 | |
AN08 | 荒子川公園駅 | 荒子川公園、中部盲導犬協会 | ||
AN09 | 稲永駅 | 名古屋市港環境事務所、名古屋臨海高速鉄道本社事務所、十一屋緑地 | ||
AN10 | 野跡駅 | 稲永公園、名古屋港セントグレース大聖堂、潮凪車庫 | ||
AN11 | 金城ふ頭駅 | リニア・鉄道館、名古屋市国際展示場(ポートメッセなごや)、テバオーシャンアリーナ、ファニチャードーム、レゴランド・ジャパン |
関連動画
関連項目
外部リンク
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