いつもの採石場とは、怪人の処刑場である。
概要
『科学戦隊ダイナマン』を例に挙げるまでも無く特撮ヒーロー番組に於いて爆発は欠かせない要素である。戦いの中でビームが飛び交えば爆発、火球が炸裂すれば爆発、そして悪役の最期を飾るには爆発が定番であり様式美なのである。
しかしながら撮影の為であっても街中で派手な爆発は起こせるものではない。そこで周辺に人がおらず迷惑のかからない採石場の様な場所が特撮ヒーロー番組のアクション場面で撮影に使われる事が多かった。
中でもスーパー戦隊シリーズを筆頭に東映製作の特撮ヒーロー番組でそれこそ毎週の様に使われた採石場が、視聴者にも馴染み深くなりいつしかいつもの採石場と呼ばれる様になった。
世代や作品によってこの語が指し示す場所が異なるが、代表的なのが埼玉県大里郡寄居町の大英興業であろう。80年代から90年代にかけて多くの作品で多用された。
戦闘のクライマックスでこの場所を使う兼ね合いで、それまで全く別の場所で戦っていたのがジャンプして着地したらいつもの採石場だったり、戦闘の最中に吹き飛んだらいつもの採石場だったり、カットが替わったら何時の間にかいつもの採石場に移動している事が多々あった。この傾向はこの場所に限らず、『仮面ライダー』でもジャンプによる戦場移動を頻繁に繰り返している。
また劇中で具体的な名称を挙げて待ち合わせ場所が指定されるが、いざその場所が画面に映ったらいつもの採石場そのものだったり、或いは地名に纏わる装飾を施しただけのいつもの採石場だったりする事も多い(例えばモアイ像を置いてモアイの丘など)。
但しこの場所は近年の作品で見かける事は先ず無い(現在は撮影に使えなくなったと言う説あり)。現在は採石場と言うと栃木県栃木市の岩舟山採石場跡が使われている。
近年は火薬を使った本物の爆発がCGによる爆発で代用出来る様になり街中での撮影が増え、採石場が撮影に使われる頻度が以前に比べて激減している。その為に特撮ヒーロー番組に採石場と言う馴染み深い定番の組み合わせも、徐々に過去のものとなりつつある。ただ本物の爆発はCGには出せない迫力があり、特撮ファンを中心に本物の爆発を望む声は根強い。
爆発がCGで処理されるとしてもロケ地には様々な制約や撮影許可の問題があり使われる場所は限られる。その為に一口に街中と言っても自然と同じ場所が何度も使われる事になる。就中平成ライダーシリーズではさいたまスーパーアリーナの周辺が頻出する。採石場ではないがこれも一種の“いつもの採石場”であろう。
また、劇中で悪の組織による大規模な爆撃が都市部に行われる事があるが、まさか本当に爆撃する訳にはいかない。そんな事をすれば東映が劇中に登場する様な平和を乱す悪の組織そのものとなってしまうからだ。その場合は廃墟を表現する為に茨城県高萩市安良川の日本加工製紙高萩工場跡地が利用されている(円谷プロのウルトラシリーズでも同様に利用されている)。
類似表現
イワヤマトピア
ウルトラ広場
言葉の意味合いや目的が全く違うので類似と呼ぶには無理があるのだが。
第2期ウルトラシリーズに顕著なのが、建物が乱立する市街地に、建物も何も無いウルトラ戦士と怪獣が格闘する為に用意されているとしか思えない空間がある。これがファンから俗称としてウルトラ広場と呼ばれる。不自然極まり無いので賞賛の意味で使われる事は少なく、無理のある様を揶揄した表現である。
因みにこのような空間自体は着ぐるみの巨大怪獣が登場する特撮作品には製作会社、年代を問わず存在しており、殆どの場合は写らないアングルで撮影されている。
関連項目
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