「人間か・・・・・・」
「この記事をよみな・・・ ニコ僧!」
うしおととらとは、藤田和日郎により1990年から1996年まで『週刊少年サンデー』に連載された妖怪アクション漫画である。
概要
普通の少年だった主人公蒼月潮と、あらゆる化け物を打ち滅ぼす獣の槍、金色の大妖とらたちの戦いと出逢いの軌跡を描いた物語。
荒々しくも迫力があるグロ描写。独創的な妖怪のデザイン。そして少年マンガの王道を守りながらも高いストーリー性から、文化庁メディア芸術マンガ100選で20位に選ばれるなど高い評価をされており、未だに数多くの根強いファンを持つ。
一方でマイナーな作品であると認識されることも多いが、単行本全33巻(+外伝1巻)で累計3000万部超の発行部数は、連載時にTVアニメ化されなかった作品としては上は数える程しかない大ヒット作といえる。代わりに連載時からOVA全10話、ゲーム(FC、SFC)、小説4冊が発売されている。また1996年のサンデー連載終了後、次回作からくりサーカス連載までの実に32回、連載を振り返る特集記事うしおととら風雲録が設けられた(完全版に再収録)。
2009年には画集「藤田和日郎魂」刊行。2013年、東日本大震災の復興支援プロジェクト「ヒーローズ・カムバック」の一環として、「うしおととら」新作が『週刊少年サンデー』2013年4・5号及び6号に前後編「火炎特急『不知火』」が掲載された。連載終了から数えて、実に17年ぶりの新作である。この番外編は後に「ヒーローズ・カムバック」の単行本に収録されているが、うしとら単体の単行本には現在も未収録のままで完全版の収録対象からも外れている。
2015年、連載終了から19年目にしてTVアニメ化された(詳しくは後述)
登場人物
- 中村麻子(なかむら あさこ)
- CV:天野由梨 / 小松未可子
潮の幼馴染の少女。気が強く、うしおに対しては憎まれ口を叩いてばかりだが、普段は明るく人見知りしない優しい少女である。人の前では素直になれないが、うしおへの想いを本人は自覚している。 - 井上真由子(いのうえ まゆこ)
- CV:冬馬由美 / 安野希世乃
麻子の親友で潮の幼馴染。読書が趣味で化粧やアクセサリーには無頓着。明るい性格で、麻子をよくからかっている。また、とらのことを気に入っており、とらちゃんと呼んでいる。自分の痛みより他人の痛みが気にかかる優しさを持つ。 - 蒼月紫暮(あおつき しぐれ)
- CV:青野武 / 藤原啓治
潮の父で、光覇明宗の法力僧。実は光覇明宗でもトップクラスの法力の持ち主である。ギャグもシリアスもいけるイカした親父。うしおが旅に出ている間の学校を休む口実は秀逸である。外伝では若い頃の、獣の槍伝承者に選ばれず尖った荒らくれ者であった一面が語られる。 - 羽生礼子(はにゅう れいこ)
- CV:牧野由依(TVアニメ)
死後もなお鬼と化し取り憑き続けた父の霊から、うしおによって解放された同級生。麻子、真由子の親友であり、刺繍が得意。実は留年しているため、うしおたちより年上である。他のヒロインと違い、彼女には恋人がいるので、うしおの良き理解者というスタンス。部屋には趣味のいい陰陽人形が置かれている。 - 鏢(ひょう)
- CV:若本規夫 / 浪川大輔
「鏢」は字名であり、本名は捨てている。中国人。妻子を殺した妖怪を追って、日本にやってきた符咒師(ふじゅし)。その妖怪がとらとよく似た姿であったため、人違いならぬ妖怪違いのまま、とらに勝負を挑んできた。カムイコタンにて真実を知った後、静かに復讐の時を待つ。妻子を殺された経緯もあり、女子供を襲う妖怪には情け容赦ない。外伝にて、修行前の普通の人だった姿が見られる。 - 鷹取小夜(たかとり さや)
- CV:南里侑香(TVアニメ)
妖怪を見ることのできる白い髪の血筋を引く少女。鷹取家の繁栄のために結界に閉じ込めたオマモリサマ(座敷わらし)をなぐさめるため、彼女もまた家に閉じ込められる人生を送っていた。うしおに解放された後はオマモリサマと一緒にたくましく生きている。 - 秋葉流(あきば ながれ)
- CV:細谷佳正(TVアニメ)
光覇明宗の獣の槍伝承候補者の一人。飄々とした性格で、伝承候補者でありながら獣の槍よりもうしお、とらに興味を持つ。バイクに跨って化け物と戦う姿が印象的。でもそれよりも巻末おまけでバイクに乗る姿の方が印象的。最終決戦にて衝撃的な一面を見せる。 - 関守日輪(せきもり ひのわ)
- CV:水樹奈々(TVアニメ)
光覇明宗の獣の槍伝承候補者の一人。女性であるがゆえに周りに負けたくないと高い自尊心を持つ。そのためろくな修行もせずに獣の槍の使い手となった潮に事あるごとに反発している。乳首を出しても恥ずかしがらない。 - 杜綱悟(もりつな さとる)
- CV:逢坂良太(TVアニメ)
光覇明宗の獣の槍伝承候補者の一人。式神を操り、伝承候補者の中でもトップの実力を持つ。しかし白面の手先の婢妖に精神を乗っ取られるなど、あまり活躍したイメージのない地味な人である。それにトップの実力といっても、秋葉流が実際は… - 杜綱純(もりつな じゅん)
- CV:高垣彩陽(TVアニメ)
杜綱悟の妹。両親がおらず兄と深い絆で結ばれているが、昔、兄が妖怪に襲われているところを助けてくれた時、その兄の姿に泣き叫んでしまったことを強く後悔している。 - 引狭霧雄(いさな キリオ)
- CV:潘めぐみ(TVアニメ)
獣の槍伝承候補者の一人。斗和子という女に育てられた謎の少年。武器としてエレザールの鎌を持ち、ホムンクルスの九印を従える。 - 和羅(にぎら)
- CV:柴田秀勝(TVアニメ)
光覇明宗の宗門の最高位である僧上。お役目様に育てられ、直接お役目様と対面するのは基本的に彼だけである。当初はうしおを獣の槍の使い手として認めておらず、凶羅をうしおの元へ送った。 - 凶羅(きょうら)
- 和羅の兄で、光覇明宗を破門された破戒僧。妖の殺戮だけが興味の対象であり、人を傷つけることを厭わない。うしお、とらを執拗に付け狙っている。アニメ版では出番が全てカットされた。
- お役目様 / 日崎御角(ひざき みかど)
- CV:山崎和佳奈 / 折笠富美子
白面を封じる結界を張り続けた二代目のお役目として光覇明宗を従えている。数百年前に貧しい村娘として生まれたが、突然現れたジエメイに連れられ、夫、子供を残したままお役目となる。白面封印の任を解かれてから百年以上経ち、老化は進行しているが未だ健在である。 - ジエメイ
- CV:花澤香菜(TVアニメ)
獣の槍の秘密を知る謎の幽霊。以下ネタバレを含むため反転表示。 - 古代中国の人間で、ギリョウの妹。白面の手により家族を殺された後、獣の槍を作るために自ら人身御供となって身を投げた。その後日本にて転生し、初代お役目ゆきとして白面と戦い封印する。現在は幽霊としてうしおたちを見守りながら、来たるべき白面との戦いの日を待っている。
- ギリョウ
- CV:宮野真守(TVアニメ)
ジエメイの兄。以下ネタバレを含むため反転表示。 - 名剣の工である父と共に、妖怪を滅ぼす名剣を王宮に献上すべく槌を振るっていたが、白面の者を前に剣は敢え無く粉砕され、両親を失うこととなる。更に、白面の者を倒す剣を作るため自ら死を選んだジエメイを止められなかった無念と自責、憎悪から鬼と化して一つの剣を作り上げ、その剣と一体化し獣の槍そのものとなった。
- 蒼月須磨子(あおつき すまこ)
- CV:坂本真綾(TVアニメ)
うしおの母。うしおが物心つく前に死んだと聞かされていたが、妖怪たちとの戦いの中で、まだ何処かで生きていることが判明する。妖怪たちに強く怨まれており、その謎を知るためうしおは旅に出る。
うしとら妖大全
「だから弱っちくてキレエなんだよ 人間は」
CV:大塚周夫 / 小山力也
金色の毛を持つ大妖怪。500年もの間、獣の槍に封印されていた。強力な雷と炎を放つ能力を持つ。うしおを喰らうために共に行動し、あくまで味方同士ではないと主張するが「二体で一体の妖」と呼ばれるほど息の合った戦いを見せる。人肉を食べるかわりにはんばっかを食べて我慢している。3回あった人気投票ではうしおを押さえ常に1位だった。
古代中国にて白面の者を打ち滅ぼすために生まれた、意思を持った槍。その意思とは、白面の者に対するある者の怨念そのものである。妖に対して絶大な威力を発揮するが、その代償として使い手の魂を削り続け、最後には妖化させてしまうという、扱いの難しい槍。うしお以外の者には力を引き出せない。たまにはムシボシしなきゃね。 |
- 雷信(らいしん)
- CV:速水奨 / 三木眞一郎
鎌鼬三兄弟の長男。人間の世に潜み、生きていくために普段は人の姿をしている。生真面目な性格だが、天然なところもある。十郎の事件後はうしお、とらを深く信頼するようになり、常に味方であり続けた。 - かがり
- CV:鶴ひろみ / 清水理沙
鎌鼬三兄弟の末の妹。人間の姿をしているときの服はボディコン。うしおに取り憑くとらのことを最初は馬鹿にしていたが、十郎の事件後は強く敬愛の念を抱くようになる。セクシーで強気なところと、しおらしい姿のギャップが魅力。 - 十郎(じゅうろう)
- CV:矢尾一樹 / 梶裕貴
鎌鼬三兄弟の次男。本来は優しい性格であったが、自分達の住む土地を荒らされた事で絶望。人間達を激しく憎むようになった。 - イズナ
- CV:永澤菜教(TVアニメ)
イタチのような格好をした、口は悪いがキュートでノリのいい小妖怪。いらんことを言っては、とらに炎で焼かれている。戦闘能力はほとんどないが、人や妖の中に入り込む能力を持ち、ここぞというときに役に立つ。 - 石喰い <第一章 石喰い>
- CV:安元洋貴(TVアニメ)
古本や古道具に棲み、人を自分の世界に引きずり込んで、石に変えて食う妖怪。学校にあった鎧に潜んでいたところにやってきた麻子、真由子が捕らえられてしまう。 - 餓眠様 <第三章 とら街へゆく>
- CV:岸野幸正、萩森侚子、山崎和佳奈、太田真一郎、置鮎龍太郎(OVA)
CV:立木文彦、中博史、津田匠子、嶋村侑、藤原貴弘(TVアニメ)
生首の形をした数体の妖怪。凶暴で執念深い妖怪で、明治時代に日崎御角に捕らえられ封印される際に、その目と鼻と口と乳と尻をしかと覚えた。作品中一番グロイ妖怪かも… - 衾 <第七章 奴は空にいる>
- CV:高木渉(TVアニメ)
ちょっとキモくて不気味だけど、つぶらな瞳がキュートなトラウマ妖怪。飛行機でうしおと知り合ったことを、小夜がみんなに紹介してくれました。アニメの最初に使われたバージョンのオープニングでは毎回登場し、うしおとの激しいバトルを繰り広げていた。 - 白面の者
- 濁った陰の気の塊が一匹の大妖怪となったもの。金色に輝く体と九つの尾をもつ。人の女の姿に化生し、多くの国を滅亡へと追いやった。人や妖の“恐怖”を力の根源としており、それを喰らうことで無尽蔵に強くなり続ける。
モデルとなった白面金毛九尾の狐は、他の作品にも多く使われる有名な妖怪。
あらすじ・抜粋エピソード
この項目は、ネタバレ成分を多く含んでいます。 ここから下は自己責任で突っ走ってください。 この項目を飛ばしたい人はこちらをクリック |
序章 うしおととらのであうの縁
「……やっつけてくれよ…」 「約束は守るさ…」
自宅の寺・芙玄院の蔵に、地下に通じる扉を見つけた蒼月潮。そこには、赤い布を巻かれた槍によって封印された金色の妖がいた。蔵の扉に閉じ込められた妖気を解放してしまったことで小妖怪が引き寄せられ、うしおの幼馴染の中村麻子と井上真由子が襲われる。女を救うために槍を抜けと要求する金色の妖。抜いたら人を食おうとするかもしれない。戸惑いながらも、うしおはその槍を抜いた…
第二章 絵に棲む鬼
「あんたは今まで死にたがっていた、一人ぼっちだからって。でも今はもう一人だなんていわせんぞ」
死にたがりの羽生と呼ばれる同級生の娘がいた。彼女・羽生礼子に近づいた者は、皆奇妙な事故に遭い大怪我を負うという。それ故に他人と交わろうとせず自殺未遂を繰り返す礼子は、うしおの憧れの画家・羽生道雄の娘だった。そして事故の原因が、鬼と化した父・羽生道雄によるものであり、それが彼女の笑顔を奪ったことを知ったうしお。「ごめん、もう、こんなことないから…」死にに向かおうとする礼子を止めるため、うしおは彼女、そして鬼の棲む家屋敷へと走る。
第三章 とら街へゆく
「はい。ハンバーガーっていうのよ。人間よりきっとおいしいよ。」
人が便利に生きていくには手を加える必要がある。それはこの街でも例外ではなかった。道路拡張工事のため、「要石」と呼ばれる大岩を除去する作業員たち…しかし、それは「我眠様」と呼ばれる妖怪を封印するためのものだった。「七度生まれ変わろうと必ず我らが食ろうてくれる」自分達を封印した日崎御門の首を執拗に求める妖怪達は日崎御門によく似た娘、井上真由子に目をつけたのだった。
第四章 符咒師 鏢
香港――九竜。金をもらって妖怪を殺す符咒師の鏢は今日も子供食いの妖怪を殺す。15年前、妻と娘を食い殺した妖怪に復讐するため、バケモノを殺す術を身につけた男。「こいつらでもなかった…」化物を殺す度繰り返す虚無感の中、流れるニュースを眺めた鏢はとらの姿を目にする。こいつだ!こいつだ!!右目の浄眼に復讐の炎が燃え上がる…。
第五章 あやかしの海
「なら…それは、ただのトランシーバーさ。」
夏休み、海に向かううしお達を迎えたのは、子供のいたずらだった。2年前に母親を亡くしてからイタズラばかりするようになったタツヤ。うしおはかつての自分とタツヤを重ね、タツヤの行動にイラダチを覚えていた。その後海に潜む巨大な妖怪あやかしに、、麻子、タツヤ、とらまでもが飲み込まれてしまう。彼女らを救うため、自らあやかしの腹の中に飛び込んだうしおは、怖がるタツヤに語りかけた…
第六章 伝承
獣の槍が引き抜かれました―――。その言葉に光覇明宗の上僧たちは衝撃を受ける。精神力も体力もずばぬけた選ばれた者のみが扱える伝説の槍。「息子が無能にして妖怪が邪悪なら、その始末はわたしがつけましょう。」不適任な者に獣の槍は渡せぬと激昂する上僧に紫暮は己の決意を口にする。間違いは許されない… お役目様の言葉に紫暮は静かに頷くのだった。
第七章 ヤツは空にいる
「わたし…だって泣いてる…ばっかりじゃ…いやだ!」
ひと月前、ある旅客機が墜落した。世間では、自衛隊のジェット機が旅客機に近づきすぎたことが原因と騒がれた。しかし、ジェット機のパイロットである厚沢は見ていた。旅客機に巻き付く巨大なバケモノ「衾」を。
それから一ヶ月後、うしお、厚沢、そして旅客機のパイロットの娘桧山勇らを乗せた旭川行きの飛行機に、再び「衾」が襲いかかる。
第九章 風狂い
「雷信兄さんやかがりとずうーっと、三人で暮らせたらいいなあ」
凶羅を辛くも撃退したうしおととらは、雷信、かがりと名乗る鎌鼬の兄妹と出会う。2人は三兄妹の次男であり、人間の殺戮を繰り返す十郎を殺してくれと依頼する。人間たちに棲み家を追われた悲しい鎌鼬兄妹の境遇と、増え続ける犠牲者。人殺しを止めようとするうしおに十郎の鋭い鎌が襲い掛かる。
第十章 童のいる家
「ご…ごめ… バカね。」
傷を癒すために湯治にふけるうしおととらの耳に入ったのは、綺麗な声の童歌だった。秘湯で出会った白髪の少女小夜は、鷹取家の繁栄のために囚われている座敷わらしのオマモリサマをなぐさめる役割を担っていた。小夜の体からうしおたちの匂いを感じ取ったオマモリサマは、彼らが自分たちを解き放つと予感した。
第十三章 おまえは其処で乾いてゆけ
「なまはげでもない、猿でもない…おまえはそこでかわいてゆけ。」
東北地方で若い女ばかりを狙う連続猟奇殺人事件が発生する。目撃者は近くで「なまはげ」の姿を見たという。同行の大学生香上、片山と青森の旅館に泊まったうしおは、おかみの史代と娘の詩織と触れ合う。その夜、なまはげの姿をした妖怪が現れ、人間に化けるため、詩織の皮を剥ごうとして襲い掛かった。その化け物は、史代の小さなころの唯一の友達だった猿と同じ鈴を付けていた…。
第十四章 鎮魂海峡
「寒戸二等通信士…最後の命令をする…オレたちの分まで生きてくれよ。」
槍をもった少年が来る…その少年と船に乗っておくれ… 船を愛した男がいた…毎晩のように夢に見る、かつて共に海を渡った仲間たち。死者の後悔は迷い出る、ならば生者の後悔は何をなすのだろうか。海に魂を囚われた人々のSOSが霧の中に木霊する。
第十五章 汝 歪んだ夜よりきたる
「おまえは子供を殺した…理由は、それで十分だ……」
40年前、妻と子供を目の前で殺された男がいた。自分の腕の中で体温を失っていく妻と子供。老人は符咒師に懇願する。「あの吸血鬼を殺してください、お願いです。妻と娘を奪ったあいつを――」 金は払ってもらう。そう言い残し鏢は夜の闇に溶けていく。
第十七章 霧がくる
「オレは…オレは…まっすぐ…立ってるか…?」
旭川を目指すうしおは、バスの中で温かい人々の笑顔に一時の平穏を感じる。しかし急停止したバスの前には霧の妖シュムナが立ちはだかっていた。逃げるバスを追いかけるシュムナ。霧でできているため獣の槍が通じない相手に、うしお、東京からきたヤクザ徳野は冥界の門にシュムナを閉じ込めようとする。
第二十二章 時逆の妖
「よい剣を…つくってくださいましね」
獣の槍に魂を奪われたものの、麻子たちの手によって元に戻れたうしお。旅の目的地である旭川に着いたうしおととらは、時逆という妖に連れられ、2290年前の中国へと導かれた。ジエメイ、ギリョウの家族と出逢った2人は、ここに白面の者が現れたという話を聞く。やがて正体を現した白面の者によって招かれる悲劇。そしてうしおは、獣の槍の生まれる瞬間を見る。そして母・須磨子の真実も――
第二十七章 四人目のキリオ
「みんな…仲良うせんと――あかんよ――」
四人目の獣の槍伝承候補者は九印というホムンクルスを連れたキリオという子供だった。光覇明宗の本山が襲撃されたことを紫暮に聞かされたうしおはキリオとともに本山へと向かう。そこで初めてお役目様と対面したうしお。また時を同じくして、白面の者の分身くらぎを前にしたキリオは怪しく笑っていた。
第二十八章 激召~獣の槍破壊のこと
「また、嘘なんだね」
「エレザールの鎌があれば獣の槍はいらない」そう主張するキリオの賛同者は日増しに増えていった。そして赤い布を持ったキリオの手によって獣の槍は奪われ、キリオの住む「囁く者達の家」にて獣の槍破壊の準備が進む。キリオを陰で動かす斗和子という女は何者なのか。うしおは関守日輪と、とらは秋葉流と共に囁く者達の家へと向かった。
第三十章 愚か者は宴に集う
「オバケ…質問に答えるわ。 泥なんて…何だい、よ!」
パーティーの招待状をもらいデパート最上階に出掛けた真由子。しかしその会場は、人の死に興味を持った妖怪『などか』と『たゆら』が問い掛けをするために設けられたものだった。助けに来たとらを階下に叩き落した『などか』と『たゆら』は戯れとして、真由子が一階降りるごとに一人解放することを約束する。「満足する死とは、何だ?」その答えを胸に秘め、真由子はとらと共に階下へ急ぐ。
第三十一章 ブランコをこいだ日
病院で目の見えない少年ミノルに出会ったうしお。ミノルは飛行機事故で父親を失い失明した。しかし事故後発見されるまで、死んでいたはずの父親と森で暮らしていたという。その父親代わりをしていたのは妖怪さとり。ミノルの眼が視えるようになるには彼に適合する人間の目玉が必要だと考えたさとりは、人の眼球を鎌で切り取って集める連続殺人事件を引き起こしていた。「ミノルが笑うと、なんか嬉しいんだ…ヘヘヘ…」 説得に耳を貸さず人を襲い続けたさとりに、うしおは獣の槍を投げた――
第三十四章 西の国・妖大戦
「あなたの山に、お還りなさい。」
日本の西の国の妖怪たちが白面の者への総攻撃を仕掛けようとしていた。うしおの旅により、それが愚かな行為であることを知る東の長は説得を試みるも幽閉されてしまう。助けを求めに来た雷信、かがり、イズナ、一鬼、威吹と共に、うしおととらは九州は高千穂へと向かった。
第三十八章 あの眸は空を映していた
全てを失い、目的もなくキリオは放浪を続けていた。浜辺で偶然キリオと出会った真由子は、いとこが妖に狙われていると彼に助けを乞う。初対面の自分を怪しく思うこともせず必死に頼む真由子にキリオは心を動かされる。その妖は昨晩戦って敗戦した狒狒に違いない。「こよいこんばんこのことは…しっぺい太郎に知らせるな。」狒狒の残した言葉を頼りに、キリオはしっぺい太郎を探すが見つからない。目の前にいるのはタローと呼ばれる、飼い主を失いずっと同じ場所に座り続ける老犬だった。「ねえ、九印。これは…しっぺい太郎じゃないよね。これはぼくさ…」
第四十一章 獣群復活
旅行先で鏢と再会し、共に自宅へと帰ってきたうしお。そこにとらによく似た妖怪4匹が現れる。鏢によるとそれらは皆『字伏』(あざふせ)という妖怪で、とらもその一種であると語った。とらが字伏達と小競り合いをしている最中に、もう一匹黒塗りの字伏が現れる。名を紅蓮。圧倒的な強さを誇る紅蓮を前に、鏢は笑みを浮かべながら語りかけた。「いきがってるじゃないか…捉影…」
第四十三章 風が吹く前 ~ 最終章 うしおととら
「今、オレ達は・・・ 太陽と一緒に戦っている!」
4月。麻子の願い通り、うしおは麻子と同じクラスとなった。礼子の家で教えてもらいながら刺繍した、うしおの名前入りの袋。その帰り道の桜の舞う公園前で、うしおと麻子は偶然会う。最初はいつも通りの喧嘩になってしまう2人。だが白面との戦いを控えた自分にはこの「いつも」がいつまで続いていくかも分からないことにうしおは気づいた。「あ…なんだ…暗いしよ…仕方ねえから送ってやらあ」「…うん!」
…その時、風が吹いた。
巻末のオマケ
本編から離れたところで有名なのが単行本の巻末オマケである。10巻までは人気投票が載った程度のものだったが、11巻よりなぞなぞコーナーがスタート。なぞなぞでは秋葉流から鏢、ギリョウ、白面の者に至るまで多くの者がキャラ崩壊を起こし、ヒーローババーン(©雷句誠)といった謎のキャラが登場するなど爆笑の出来である。
作者本人とアシスタントの登場するマンガもいくつか収録される。断崖絶壁アタマの片山ユキオ、屈託なしの雷句誠、元賽銭泥棒の井上和郎など、キャラの濃いアシスタントが多かったことが伺える。
また印刷による大量製本が主流の現代において、当作品の製本が作者とそのアシスタント達によるハンドメイドであるという、衝撃的な事実もこの巻末のオマケページにて公表された。
これを象徴する事柄として1巻の初版本には一部写植の貼り付けミスがある。
また、単行本以外では1冊毎の収録話数を多くしたワイド版に収録。6巻からなぞなぞコーナー開始。
上記のとおり「文庫版(全19巻)」「完全版(全20巻予定)」には収録されてないので注意。
なお、サンデーコミックスの通常単行本以外の版では一部のコマでトリミングが施されている。
イラストギャラリー(うしお画伯選)
関連動画
テレビアニメ
2015年7月3日からアニメが放送開始。2クール+1クールの全39話で完結予定。アニメーション制作はMAPPA & studio VOLN。クリエイティブプロデューサーには丸山正雄、監督に西村聡、シリーズ構成に井上敏樹というマッドハウス時代から付き合いの長い面々が集結している。
全39話とあってカットされる原作エピソードはあるものの、アニメ化される話の選択は原作者の藤田が選んだ、とインタビューで答えている。
後にアニマックスでも全話放送されているが、その際に原作者自ら番宣CMに登場し「ひとつもイメージが違わない、とっても面白いアニメ」と太鼓判を押している。
放送局
放送局 | 放送開始日 | 放送時間 | 備考 |
---|---|---|---|
TOKYO MX | 2015年7月3日 | 土曜 22:30~23:00 | |
サンテレビ | 2015年7月6日 | 月曜 24:00~24:30 | |
KBS京都 | 月曜 25:30~26:00 | ||
テレビ愛知 | 月曜 26:35~27:05 | ||
BSフジ | 2015年7月7日 | 火曜 24:25~24:55 | |
配信サイト | 配信開始日 | 配信時間 | |
バンダイチャンネル | 2015年7月8日 | 水曜 12:00 | |
ビデオマーケット | 不明 | ||
楽天ショウタイム | 水曜 12:00 | ||
GYAO! ストア | 水曜 12:00 | ||
DMM.com | 水曜 12:00 | ||
UULA | 2015年7月10日 | 不明 | |
PlayStation(R)Video | 2015年7月15日 | 不明 |
関連項目
- 藤田和日郎
- 獣の槍
- とら(うしおととら)
- 漫画作品一覧
- アニメ作品一覧 / テレビアニメ / 2015年夏アニメ / 2016年春アニメ
- 妖怪
- 妖怪の一覧
- 井上敏樹
- 丸山正雄
- 秋葉流……ツール・ド・フランスに出場していたらしい
- 九尾の狐……白面の元ネタである妖怪
- おまえはそこでかわいてゆけ
外部リンク
さてさて…これにてうしおととらのながぁい記事はおしまいだ。
あん、何?寂しいって!? ニコニコから読むものがいなくなって悲しいと…あんたらはいうのかい…
ふっふっふっ いいかね、よォくお聞き。
ニコ百はネタに生まれてネタに死ぬ…ネタが切れれば、この記事に再び帰ってはこない…
にもかかわらず…… そのネタ切れからさえこの世に立ちかえってくるもの。
それが、ニコ厨なのだよ。
だからさ、ひょっとして…いつの日か…
「行っくぞーっ、とらーっ!」
「うるっせーんだよ、うしおーっ!!」
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