うたばんとは、1996年~2010年にTBSテレビ系で放送されていた音楽バラエティ番組である。
概要
とんねるずの石橋貴明とSMAPの中居正広が司会の音楽バラエティ番組。
『歌番組(うたばんぐみ)』の略からとられているように音楽番組ではあるが、バラエティ色が強い番組であり、特にアーティストをいじる事には定評があった。
1時間枠の中で放送されるゲストの歌はたったの3~4曲しかなく、単純に曲数だけを比較するならかつてのTBSを代表するバラエティ番組『8時だョ!全員集合』と同等というほどの少ない曲数で、音楽番組というよりは「歌手やアーティストをゲストに招くトークバラエティ番組」のような放送内容であり、従来の歌番組とは明らかに一線を画す構成であった。
その反面、普段テレビの音楽番組にあまり出演することのないアーティストや無名のアーティストを出演させる、スタッフがよく画面に映りいじられる、トークだけの総集編を流す、芸人をゲストに呼んでネタを披露する(この時は「うたばん」ではなく「ねたばん」になる)などいろんな意味で斬新な音楽番組と言える。
また、モーニング娘。は「うたばん」最多出演。飯田圭織や保田圭はよくいじられていた他、石川梨華の事が「抱きしめてチューしたい」程大好きなスタッフ・化学くん(当時アシスタントプロデューサー)の暴走などもあった。他にもEvery Little Thingの伊藤一朗もかなりいじられ、「いっくん」というあだ名で定着した。
ゲストからのお土産については石橋の場合はその地域にまつわるもの(酒、松茸、備前焼)で中居の場合は必ず小さめの提灯(またはペナント)であり、不機嫌になるお約束があった。しかも、大抵のゲストは「中居の好きなものだと聞いて」という触れ込みで持ってくる。元々は石橋が広島のお土産として提灯を中居にあげた際の様子がウケたため、それ以降のゲストからのお土産の鉄板となった。ちなみに広島、ワルシャワ、バンコク、ロシア、メンフィス、東京、韓国の提灯を持っている。
よく多用した演出の一つとして、深夜0時のスタジオ消灯によるブラックアウトがある。
これは、TBSの労働組合での規定で「事前申請のない場合、深夜0時になったらスタジオのライトの電源を落とす」という取り決めがあり、これを意図的に利用した演出である。
特番時には「とくばん」というタイトルになる。なお、木曜20時の頃は同曜日の19時台がローカル枠であった為に毎日放送などは「とくばん」であっても20時台(=2時間分を1時間に編集した分)しか放送しなかった。
アイキャッチも多種多様であるうえ、他番組と同じように10秒程度で終わるものもあれば、数分かけたアニメーションのもの、うたばんのマスコットキャラクター・うたまるくんによるもの、男性スタッフが便足される瞬間をスローモーションにしたものなどもあった。このうたまるくんはキャラクターデザインは薮内省吾、アニメーション制作はタツノコプロが担当していた。
下剋上コント
嵐がゲストで登場した時によく行っていたケンカ風コント。「ジャニーズ下克上」、「下剋上バトル」、「中居VS大野」とも呼ばれる。
事の発端は2002年10月17日のゲスト出演の際にミニゲームで中居が惨敗し、寿司を食べ損ねたことで中居が拗ねてしまい、嵐の曲紹介を拒否してSMAPの曲を流すよう要求した時に大野智が「中居大人気ねーよ」と毒を吐き、中居が激怒したことが始まりである。ジャニーズ事務所は上下関係が厳しいという掟があり、その掟を上手く利用した内容である(ただし、目上でも「さん」ではなく「くん」と呼ぶのは事務所ルールである)。
その後は
「中居と4人がトークに花を咲かせる→大野は参加せずに石橋と何かしている(ここで石橋が耳打ちでネタを吹き込む)→中居がトークに参加していない大野に話を振る→(´・∀・`)みたいな顔をしながら気だるい感じに生意気な発言をする→中居が激怒して大暴れするも4人が抑える。大野は逃げて石橋の後ろに隠れる。」
というのが基本であるが、「大野とやると必ずこうなる」となり、席替えをするも、結局全員が生意気な発言をしては中居が激怒するという結果となってしまった。
盛大に暴れたり、マットがあるのにその横に倒されたり、持ち込みの水鉄砲をぶちかますなど、絵的には美味しい反面かなり疲れてしまうので中居本人としてはやめたかったらしいが、最後までこのコントはやっていた。更にネタの途中に笑ってしまうなどしてしまうことから中居からの(バラエティをやっていくための)教育的指導も入り、嵐がバラエティ慣れする一つの経験となった。
嵐ファン以外からも結構人気であったらしく、うたばん終了後も「ミュージックステーション」や「音楽の日」でも下剋上コントを復活させている。
CGとテロップ
番組で恒例であったのが、CGとテロップである。テロップは基本的に右下に出され、ゲスト情報やスタッフからのコメント、さらにはボヤキなど多様な言葉が発出されていた。
また、出演者の発言をなぞるように文字起こしをする「なぞりテロップ」も多用。色・フォント・サイズなどを多用しながら使用されていた。
CGも多く使われ、前述したモーニング娘。や伊藤一朗など、番組で弄りの対象となっているとそれは顕著であった。投げキッスをしてハートや鳥が飛び出したり、石橋が凍り付いたり、スライムのように溶けるもの、マトリックスのような演出などもあったが、この演出を行うのに予算が割かれた結果赤字となったうえ、中居が「CGでお金掛かんの!」と苦言を呈したり、石橋が「(CGを多用しすぎて番組予算が)赤字になったことを俺のせいにされたんだぜ!」とキレたこともある。
番組の放送時間の変遷と終焉
1996年10月に放送開始。当初は火曜21時台に放送していた。うたばん以前にはとんねるず司会のバラエティ番組『ねる様の踏み絵』『とんねるずのカバチ』が放送されていた時間帯であり、石橋貴明はそのままスライドする形でうたばんの司会者となった。この頃は生放送もあった。
1999年4月の改編でMBS制作枠であった『ジパング大決戦!』と制作枠ごと交換しにより木曜20時へ移動。この時間帯で10年間放送されることとなり、人気番組となった。
しかし、うたばんは思いもよらない理由によりその人気を落とすこととなる。
2009年4月、TBSが社運を賭け【TBS第二の開局】と銘打った大改編を行う。この改編では3本の帯番組をスタートさせたが、このうち平日18時台から19時台をまたぐ大型帯ニュース番組『総力報道!THE NEWS』を開始させるにあたり、月曜19時台に放送されていた『関口宏の東京フレンドパークⅡ』が木曜20時に移動させられることとなった。これによりうたばんも枠移動を余儀なくされ、日曜20時台へ移動することとなる。
このTBS日曜20時台というのがクセモノであった。日曜20時は元々大激戦区であり、『大河ドラマ』(NHK)、『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)がトップを争い、さらにそれを『ジャンクSPORTS』(フジテレビ)と『大改造!!劇的ビフォーアフター』(朝日放送製作・テレビ朝日系)がしのぎを削り合うほどに人気番組が乱立する時間帯である。実際、日曜20時の前番組『どうぶつ奇想天外!』以前のTBSの同枠は何をやっても番組が続かない魔の時間帯として有名な時間帯であった(フジやテレ朝においても『どうぶつ奇想天外!』期など苦しめられていた時期もある)。
しかしこの大型改編により視聴者の層が変わってしまったために、深夜番組並みの低視聴率を記録することが珍しくなくなる。これによりうたばんの人気は一気に低迷することとなり、結果として番組寿命を縮めてしまう。
最後の起死回生として、日曜日に移動してからわずか半年の2009年10月には番組開始時に放送していた火曜21時へ再び移動する。しかし、一度離れた視聴者が再び帰ってくることはなかった。
2010年3月23日の『とくばん』で無期限の活動休止(実質的な番組終了宣言)と後継番組『ザ・ミュージックアワー』の開始を発表。これにより『うたばん』としては13年半の歴史に幕を閉じた。
この『ザ・ミュージックアワー』はMCとして中居正広・石橋貴明を続投させるなど、あくまで『うたばん』のリニューアルという位置づけであったため、この回の放送では新聞のテレビ欄等に最終回マークは付かなかった。
『ザ・ミュージックアワー』に衣替えしたもののこれも往年の人気を取り戻すには至らず、番組開始後 わずか半年後の2010年9月をもって打ち切りとなった。
これによりうたばんは完全に終了した。
その後
中居はこの9か月後の2011年4月より、月曜深夜放送の音楽番組『カミスン!』でMCとして復帰。のちに火曜21時枠で『火曜曲!』、月曜深夜に戻って『Sound Room』→『UTAGE!』→『Momm!!』に至るまで17年間音楽番組のMCを務めた。
一方、石橋は日曜20時枠でビートたけしと『日曜ゴールデンで何やってんだテレビ』を開始するもやはり裏番組に歯が立たずに終了。
『うたばん』でのコンビは復活を望む声も多く、2018年には『UTAGE! 秋のサプライズ祭り』にて中居へのサプライズという形で石橋が登場、さらに2021年には『中居正広の金曜日のスマイルたちへ 2時間スペシャル』で再びサプライズ登場している。
出演者
- MC
- 準レギュラー
- 個性豊かな番組スタッフ達
(余談だが、うたばんの前チーフプロデューサー中鉢功は突然報道記者となり2009年10月より「イブニングワイド」のチーフプロデューサーとなった。その為、番組内でも時々「突然報道に行った人」「中鉢功(但し、読みは報道)」とネタにされる事がある。なお、番組スタッフ時代は夏になると「冷やし中鉢はじめました」とスタッフロールで表示されていた)
関連動画
関連項目
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