『うちの居候が世界を掌握している!』とは、七条剛によるライトノベル作品である。イラストは希望つばめ。
GA文庫より2012年から2017年まで刊行された。全17巻(3.5巻を含む)。
概要
第4回GA文庫大賞優秀賞受賞作品。受賞時の題は「ユーキノカケラ」。
「家族」をテーマにした、アットホーム・ラブコメディ作品。世界的大企業の社長で超ハイスペックな中学生と、かたや赤字経営の町工場の3人娘を中心とした物語。
あらすじ
人工衛星事業の世界最大手企業「オリオンリュート」の創立者であり社長である笠取真哉。彼はなんと中学生。その類まれな才覚をもって栄華を極めた彼であったが、それでも手に入れられなかったものがあった。
それは「家族」である。彼は天文学者であった父親を幼い頃に亡くし、唯一の家族であった母親は彼にある種の洗脳とも呼べるほどの学習を課すばかりで、世間の母親像とはまるでかけ離れていた。
真哉は「家族」を探して、主な仕事場であったドイツから単身日本に帰ってくる。そして父親の友人の飯山士郎が経営し、彼の3人娘とともに暮らしている飯山工務店に居候することになる。
主な登場人物
- 笠取真哉(かさとり しんや) - CV:花江夏樹
- 中学生にして世界的な人工衛星企業「オリオンリュート」の社長。ひょうひょうとしており、つかみどころがない性格で非常に頭がきれる。
社長という立場を利用して、宇宙に浮かぶ自社の衛星を手元のスマートフォンで自在に操り、無双する。 - 飯山桃香(いいやま ももか) - CV:桃井はるこ
- 飯山家の長女で、中学3年生。家事全般は得意だが、勉強はあまりできない。工務店の帳簿をつける手伝いもしている。
- 飯山莉子(いいやま りこ) - CV:上坂すみれ
- 飯山家の次女で中学2年生。クールな黒髪の美少女であり、男子によくモテるが、愛の告白はすべて断っている。中学生でありながらメイド喫茶でアルバイトをしている。
- 飯山優希(いいやま ゆうき) - CV:久野美咲
- 飯山家の三女で、小学4年生。芸術家気質の天才肌。会話の中で、校長先生の演説をわけもわからずよく引用している。クマのぬいぐるみの「プロメテウス」がお気に入り。
- 飯山士郎(いいやましろう)
- 飯山家3姉妹の父。飯山工務店の経営者。真哉の父とは大学時代に友人であった。
- ウォルフガング・キルマン
- オリオンリュート社のCEO(最高経営責任者)。一応真哉よりも立場的には下である。厳つい顔のドイツ人紳士。最近、娘が反抗期であり悩んでいる。
- ルファ・マルティーニ - CV:下田麻美
- 真哉の秘書。父親はドイツ人、母親は日本人のハーフで、英語、ドイツ語、日本語に堪能。
気まぐれで日本に帰ってしまった真哉にあきれながらも、必死で彼のサポートにあたる。 - 大田原(おおたわら)
- 桃香のクラスメイトの粗暴な男子生徒。桃香に気があるようだが、本人からは煙たがられている。真哉や莉子には「ドン・キホーテ」と呼ばれている。作中ではいわゆる「かませ犬」のポジション。
- 笠取徹(かさとり とおる)
- 真哉の父。真哉が小さい頃に他界してしまい、真哉自身は彼の顔を知らない。生前は天文学、とくに宇宙工学を専門とする研究者であった。
オリオン社の衛星たち
真哉はこれらの衛星を、手持ちのスマートフォンで自在に制御することができる。「ロンギヌス」と「トールハンマー」が特によく使われる。
- 対テロ用特殊攻撃衛星「ロンギヌス」
- 宇宙空間から、地球上の任意の座標へ向けて強力なレーザー光線を照射する。精度はとても高く、まるで針の穴を通すように目標を撃ち抜く。別にビーコンを使えば、指定した地点へは照射されないようにしたり、一定時間以上同じ場所にあれば自動的に照射されるようにしたりと様々な使い方ができる。
- 地点電磁波照射衛星「メデューサ」
- 宇宙から地球上の任意の座標へマイクロ波を照射する。元々、地球上の人間が容易に立ち入れないような場所に宇宙から電源を供給するためのものであるが、軍事転用すれば人間を焼き尽くし、電子機器をことごとく破壊する強力な兵器に早変わりする。
- 暴徒鎮圧用衛星「トールハンマー」
- 宇宙空間から指向性を持った強力な音波を射出する。特定の超高周波数の音波を対象に向けて射出し、平衡感覚を失わせることによって鎮圧することができる。ただし訓練を重ねれば、この衛星の攻撃に耐えることができるという。
- 位置探索衛星「フレイア」
- 高性能カメラと電波送受信機能を備えた2000個ほどの小型衛星。互いに連携し、映像情報を地球の基地局へと送る。そして基地局で送られてきた情報を解析し、探索したいものの情報を与えることによって対象の位置を特定できる。軍事転用されれば最強のスパイ衛星となるが、空が曇っていたり対象が建物内にいたりすると検索ができなくなるという欠点も持つ。
- 温度測定衛星「ウラノス」
- 物体から発せられる赤外線を宇宙から観測することができる、超高感度サーモグラフィーを備えた衛星。可視光線ではなく赤外線を観測することで、多少の遮蔽物があったとしても対象を探すことができるという、フレイアの補完的役割を持っている。
- 映像照射衛星「ミーミル」
- まるでそこにあるかのようなリアルで立体的な映像を宇宙から映し出す。元来は、高価なCGに代わるものとして映画業界からの要請で開発された。軍事衛星としては、実際には存在しない兵器や部隊を映し出すことによって敵の目を欺いたり、士気を低下させたりというふうに活用できる。
- 電子情報操作衛星「ゲイボルグ」
- 情報機器や通信媒体に存在する電子データを遠隔的に改ざんできる。一見地味なようだが、高度情報化社会である現代においては使いようによっては世界経済を大混乱に陥れることができるし、敵が使うマイコン制御の兵器を乗っ取って思うがままにコントロールすることも可能。
- オートディフェンサーシステム
- ロンギヌスとフレイアを組み合わせた、個人用防御システム。フレイアによって観測された、50km/h以上の速度で防御対象に近づいてくる物体をロンギヌスによって全て破壊するというシステム。当然ながら反応範囲には限界があり、至近距離で銃弾が撃ち込まれるなどすればこのシステムが作動する余地はない。
関連項目
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