概要
主に夏の暑い時期に、自分の方向に風を起こして涼むために使われることが多い。
よく見られるのは持ち手つきの骨組みに紙を張ったもの。他に薄く取り回しが良ければ厚紙や下敷き一枚でもうちわになるし、公の場で配布されているうちわにも、楕円形の厚紙に穴を空けただけというシンプルなものもある。[1]夏の学校で下敷きをうちわ替わりとした方も多いのではなかろうか。
特に閉じる事で収納可能で、扇状に展開して使用するものは扇子と呼ぶ。(→扇子)
調理において、ウナギやサンマなどの魚を炭火や七輪で焼くときにうちわであおぐが、これはおいしそうな匂いを他の場所に散らすほかに、発生する煙を逃がして魚が煙臭くならないようにするという目的もある。
その他
他の目的としては、ファンがアイドルなどに向けた言葉をうちわに書いて、コンサートなどで見せるというものもある。背景は黒、フォントはポップ体が多い。
たまに企業名やイベント名などを書いたうちわを配布し、宣伝を行うことがある。(夏のイベント等)
ただし、候補者・政党名を書いた骨組みのあるうちわを選挙の際に配ると公職選挙法違反となるので注意が必要である。
また、構造が単純なことから紙と細い木材を張り合わせ工作として自作する、真っ白なうちわに好きな絵や文字を自分で書き加える…といった体験・授業が行われる事もある。
扇子と共に夏祭り、和服や着物にも合わせやすいメリットもある。
送風方向に指向性を持たせるため、面形状の一部をかなり直線に近づけたものもある。
歴史
歴史的に記録が残る最古のうちわはエジプトの王を描いた絵画のもので、長い柄の先に鳥の羽を付けたようなものである。中国の北魏、日本の古墳時代ごろにはそれらと形状が似た「翳(さしば)」があり、ただし、「翳す」を「かざす」と読むように、これは貴人の顔を隠すために使われていたものとされており、柄が長すぎてあおぐのには向いていなかったと思われる。
うちわは室町時代末期には現在のものに近い形になったとされる。翳は「は」とも読み、害虫や疫などを打ち払うために使っていたことから「打ち翳(うちは)」となり、「うちわ」と呼ばれるようになったと推測されている。また、戦国時代に頻繁に使われた軍配もうちわの一種であり、正式には「軍配団扇」と呼ぶ。
江戸時代になると団扇には浮世絵なども描かれるようになり、芸術作品として価値のあるうちわも生まれるようになった。明治時代以降は印刷技術がさらに上がり、広告目的のうちわが増加していく。昭和中期までは骨の材質は竹が中心だったが、それ以降はプラスチックも使われるようになっていった。
文字としての扇
なお、扇はもともとうちわを指す言葉だったが、
日本で扇が生まれてからは「扇」だけを指す言葉になっている。
扇風機・換気扇・冷風扇といった送風装置の名前にも含まれている。
その他、扇形など。
関連動画
関連静画
関連リンク
関連項目
脚注
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