うつつまくらとは、漫画『ドラえもん』に登場する道具(ひみつ道具)である……かもしれない。
概要
同名のエピソード(「うつつまくら」、てんとう虫コミックス第5巻収録)で登場する。「夢と、ほんとをとりかえ」る道具だという。様子を見るに、横についているダイヤルを調節することで夢の内容を変えられるらしい。
新学期初日の朝、早起きをして、宿題は全部終わり、学校の支度を済ませてもまだ時間があるので、予習を始める……という夢を見たのび太。ドラえもんに起こされてみると、夏休み最終日、宿題はひとつもやっていない。せっかくの夢を邪魔されたのび太は泣きわめく。すると、「悪いことしたなあ」と、ドラえもんは「うつつまくら」を出す。「うつつまくら」で再び眠りにつくのび太だった。
再び目を覚ますと、元の夢の通り、宿題も終わっている。登校したのび太だが、遅刻もせず、宿題もしっかりやってあるのにどうにもみんなに信じてもらえない。不愉快になったのび太は、「うつつまくら」で一度は元の現実に戻るが、やはり宿題は面倒。そこで、もう一度「うつつまくら」を使用し、自分が天才となった現実をみる。
天才となったのび太は皆に尊敬され、取材の記者が殺到し、総理大臣が自ら会いたいというほどの存在に。しかし、そんなのび太の下に××国のスパイが現れ、命を狙われる。のび太はあわてて今の状況を夢にしようとし、スパイに気絶させられながらもどうにかうつつまくらを使うことに成功した……。
ドラえもんに起こされて目を覚ますのび太。どうにか助かったようだが、宿題を確認するとやっていない。あわてて「うつつまくら」を出すようドラえもんに飛びつくが、ドラえもんはそんな道具を知らず、しかもまだ夏休みは半分以上残っているという。
今まで経験してきたどれが夢なのかわからず、混乱するのび太であった。
うつつまくらは夢かうつつか
エピソード中でのび太が見た夢(現実)は以下のようになる。
どれが夢か現実かははっきりしないので、いずれも仮に「世界」と呼ぶ。
- 新学期初日、宿題を済ませて予習をする世界(冒頭の夢の中)
- 夏休み最終日、宿題をやっておらず、ドラえもんにうつつまくらを出してもらう世界
- 新学期初日、宿題を済ませて登校するが、みんなに信じてもらえない世界(うつつまくら1回目)
- 夏休み最終日、宿題をやっていないので、宿題をやろうとする世界(うつつまくら2回目)
- 新学期初日?、のび太が天才となる世界(うつつまくら3回目)
- 夏休み前半、宿題をやっておらず、ドラえもんがうつつまくらの存在を知らない世界(うつつまくら4回目?)
このときの解釈としてはおおまかに、「うつつまくら」が存在するか否かで分けられる。
まず、6の世界が唯一絶対の現実であり、残りは全てのび太の見た夢であったとするもの。このとき、「うつつまくら」とはそれ自体がのび太の夢の産物であり、そんなものは初めからなかったということになる。夢オチ。
ある意味一番幸せかもしれない。
次に、(1を除けば)全ての世界が元々は現実であり、「うつつまくら」によって夢とほんと(現実)が入れ替わったとするもの。この解釈では「うつつまくら」は元々(2-5までの世界で)は存在したが、5の世界ののび太が「『うつつまくら』が存在しない世界」を望んで眠った(あるいはダイヤル調節を誤ってそのような世界にしてしまった)ために、道具の存在そのものが夢となり消えてしまったということになる。
この解釈だと、2の世界と6の世界は一致していないため(夏休み最終日が夏休み前半になっている)、のび太は元の世界に戻ることができず、同時にその手段(うつつまくら)も失ってしまったことになる。
それ以外にも「6の世界にも『うつつまくら』は存在するが、ドラえもんがしらばっくれた」、「実は1.を除いてすべて現実だが、『うつつまくら』の存在はでっち上げで、ドラえもんが別の道具で一芝居打った」など、無理やりにでも解釈を作ることはできてしまう(根拠に乏しすぎるが)。明確な解答はそもそも示されていないのである。
結局のところは、どう考えても、誰もが納得するような根拠のある答えは出ないとしか言いようがない。
それがこの作品のポイントかもしれない。
その他いろいろ
映画「のび太と夢幻三剣士」は、夢の中で冒険をするストーリーだが、夢カセット内の登場人物が現実に現れる、ラストのとんでもない位置にある学校など、夢と現実をあいまいにするような描写のある作品であり、恐い作品の話題になると「うつつまくら」のエピソードと並べて挙げられることも多い。
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関連項目
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