うま味(旨味)とは、
- (ーみ)人間の味覚の一種。「旨み」から派生した語。
- 1から転じて利益・面白味など、またそれが多い様を指す。
趣味・ビジネス・役得・利権・特権・犯罪まで様々。悪い意味で使われる場合もある。 - (ーあじ)過去にふたばちゃんねるにいたコテハン(マジレス)がコラされた、とあるAVのタイトルからふたば内に広がった読み方。
である。本稿では1.について記述する。
概要
日本語で「おいしいこと、その味が自分にとって快であること」を意味する「旨み」から借用した用語で、甘味・鹹味(塩味)・酸味・苦味の四元味とは異なる第五の味覚である。
グルタミン酸・イノシン酸・グアニル酸など、呈味性ヌクレオチド類を味蕾が感知することで生じる味覚。
後述するが、「おいしいこと」を意味する「旨み」は、音を借用しただけで異なる概念である。以下、この意味での「旨み」は、混同を避けるため「おいしさ」と表現する。
歴史
洋の東西を問わず、肉や野菜などを煮出した汁が、その食品の「おいしさ」の成分を含んでいることは理解されており、これを利用した料理が発達した。
1908年、池田菊苗は、だし昆布の中からアミノ酸の一種であるグルタミン酸が「おいしさ」の成分であることを発見した。池田はこれを独立した味覚と考え、「うま味」と名付けた。
後にグルタミン酸塩の一つグルタミン酸ナトリウムを取り出す方法で特許を取得し、うま味調味料「味の素」を開発した。
池田がうま味の研究をしたのは、湯豆腐がきっかけであるという。湯豆腐は、伝統的には昆布だしのみのうま味で豆腐を食べさせる料理であり、昆布の成分が独立した味を持つと考えるには最適な料理といえるだろう。
その後、鰹節からはイノシン酸、椎茸からグアニル酸が発見され、これもうま味成分として認知されている。
中国と西洋においては、湯(タン)やグレイビー、ブイヨンなど、肉や野菜の味を煮出した「だし」が存在する。しかし、それらは複数の食材を同時に煮込むものであったため、素材単独の「おいしい味」の成分が存在するという考え方は受け入れられなかった。その「おいしさ」は、塩味や酸味など四元味の組み合わせによって生じるという考え方が強かったのである。
しかし2000年に、舌で味覚を感じる味蕾(みらい)の中にグルタミン酸を感じる受容体が発見され、うま味を舌で感じることができることが立証されたことで、世界的にもうま味への関心が高まることとなった。
英語においても、うま味を意味する単語として"umami"を用いている。ただしそれに代替する単語として"savory"(肉料理の風味がある)"brothy"(肉の煮汁の風味がある) を用いる場合もある。
用語の使い分けについて
「うま味」は、日本語で「おいしさ」を意味する「旨み」から借用した語であることは論を俟たないが、「おいしさ」と「うま味」は異なる概念である。
「旨み」の「み」は、形容詞「旨い」を名詞化する接尾辞であり、和語である。「ありがたみ」を「ありがた味」と書かないのと同様、常にひらがなで書く。
この用法は「さ」も持ち、「旨み」と「旨さ」は同じ意味である。しかし、「旨さ」と「うま味」は異なる。
「うま味」の「味」は、「あじ」を音読みした語であり、漢語(和製漢語)である(熟語全体としては湯桶読み)。「甘味(かんみ)」の「味」と同じく、味の種類を指す。
「甘味」が、砂糖や果糖やブドウ糖やサッカリンやアスパルテームなどの味ただ1種類を指すのと同様、「うま味」は、昆布や鰹節やしいたけの「だし」味ただ1種類を指し、他のいかなる味も表さない。
「旨み」と「うま味」は、後者が前者の洒落で名付けられたという以外に関連はない。
本記事を含め、「うま味」の各種記事では、必ずといっていいほど「『うま味』は英語でも"umami"という」旨の記述がある。しかし、英単語としての"umami"は、「うま味」というただ1種類の味のことであり、「おいしさ」のことではない。「おいしさ」には、good taste, deliciousnessなど該当する英語がある。
英語圏にはumami tasteという味覚の概念は知られていなかったが、deliciousな料理はもちろんたくさんある。したがって、両者を混同し「おいしさを感じるのは日本人だけだ!」とか「外国の料理はまずい!」などと主張する根拠にするのは誤りである。また、umami tasteを持たない「おいしい食品」を、英単語化した「umami」で表現するのも誤解の元である。
「旨み」と「うま味」は互いに関連しないので、おいしくないものでもうま味を含むことがあるし、おいしいものでもうま味を含まないことがある。
例えば、適切に淹れられたコーヒーはdeliciousであるが、そのおいしさは苦味や酸味などによるものであり、umami tasteを持たない。
逆に、すごくまずい料理に味の素をふりかけたものはdeliciousでないが、味の素の分だけumami tasteを含む料理である。
umamiが国内外で認知されるにつれ、英単語のumamiを独立した味覚と知らずに「おいしい日本の食品ですよ」という意味で使い、生化学者から批判を受けることがある。
例えばWBC2013では、バリスタの井崎英典が自身のコーヒーの味をumamiと表現し、Togetter上で生化学者から批判された例
がある。
…ということを考えるに、ニコニコ動画でツッコミの対象となる「うまあじ」という読み方は、混同を避ける意味でむしろ適切なのではないかとも思える。
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