『かんなぎ』とは、笑いあり涙あり胸なしのエキセントリックな漫画作品である。
副題は「Crazy Shrine Maidens」。もう副題がタイトルでよいのではないだろうか。
作者は武梨えり。実兄に漫画家の結城心一がおり、クレイジーさだけをスピンオフした「かんぱち」が同じくComix REXにて連載。
アニメーション制作はA-1 Pirctures。後にTHE IDOLM@STERシリーズやSAOも手掛けるなど、やはりこの頃から2008年アニメとは思えない作画を施している。
概要
美術の地区展に出品する為、神社のご神木から木像を掘り出していた主人公の御厨仁は、その偶像を依り代として突如として顕現したなんちゃって神様ナギと出逢う。
ご神木の加護が無くなった仁の住む神薙町には次々に「ケガレ」と呼ばれる黒い虫のようなものが発生し、自らを産土神と称するナギはこれを収める為に奮闘するのだが――
原作では具体的な地域は設定されていないが、アニメでの舞台は作者の出身地である宮城県。
ナギが祀られていた神薙神社は七ヶ浜町の鼻節神社、アニメ1話から登場する駅はJR仙石線陸前高砂駅がモデルとなっており、仁の住む家も高砂駅周辺ということになっている。後に同七ヶ浜町に本当に「かんなぎ神社」 が置かれたり、仙台銘菓「萩の月」に掛けて「ナギの月」が販売されるなど観光資源としても神威を振るった。
2008年10月から12月にかけて、アニメがA-1 pictures制作で放映された。
現在ニコニコチャンネルにて全話配信中(第1話は無料) → 配信元はこちら
2010年より、スピンオフ作品『かんぱち』が同じくComic Rexより兄の結城心一により連載。
2012年にBDBOX(再撮影・HDリマスター版)が発売され、未発売だったサウンドトラックも発売された。新規コメンタリーもあったりするので聴こう。
2014年に実に放送から6年ぶりのドラマCDが限定版9巻に付いた。(脚本は倉田英之。、キャストコメントもある)(※実は2012年に2009年応募の通販ドラマCDVol.2が発送されたりするので実は2年ぶりであったりする。)
2017年7月、Comic Rex 9月号をもって完結した。
主な登場人物
- 御厨仁(みくりや じん) - CV:下野紘
- 本作の主人公。美術部のトゥーピュアピュアボーイ。
- 霊感が強いためナギ曰く「修行を積まなければ見えない」ケガレすらも見えるし、普通に投げ捨てることができる高校1年生。投げ捨てて地面に消えたケガレは浄化したわけではなくあくまで土に還しただけだったらしいが、ケガレの恐ろしさを説明しようとしていたナギを唖然とさせた。
- 美術部の方は色々壊滅的なセンスを見せるが、幼い頃に神薙神社で見かけたナギ(かんなぎ様)の姿をモチーフして作った精霊像のように、木彫りだけは上手。胸は大きい方が好きだが、神様とはいえ同じ屋根の下で暮らすまな板ナギにも思わずドキドキしてしまうなど、中学生レベルのピュアさである。
- 低い身長と中学生っぽい幼い容姿を気にしているらしく、男らしいがっしりとした大男である大鉄を美術の才能と共に憧憬している節がある。仔細あり、つぐみのホモ発言を取り消すために女の子とイチャイチャした結果、最終的には四股男と言われた。
- 股間部分にみょうがが生えているらしい。
- ナギ - CV:戸松遥
- 本作のヒロイン。仁の作った精霊像に突然顕現したパッツンまな板のなんちゃって神様。ダジャレが寒い。
土地神でありケガレが良くない物だとは知りつつ、放置したらどんなことが起こるかなどは知らないなど色々と記憶の欠落が多く、またその失った記憶を取り戻してしまうとナギが壊れてしまうらしい。 - 幼い仁に神薙神社で一度会っているが全く覚えていない。神性が不足している為、テレビで偶然見かけたロリッ子キューティーのステッキから発想を得た祓具・オオヌサを駆使してケガレの浄化を行う(後に神社で幼女向けステッキを振り回す不審者として子供たちに通報される)。
- 事あるごとに鯛などの上等で新鮮な神饌を要求してくるが、代わりのたい焼きの美味しさに感動したり最終的にはうまい棒のようなものをご飯に振りかけて食べるようになったりと非常に庶民的というか貧乏舌である。
- そんなこんなもあって自身が神様らしくないことも自覚しており、最終的には神様としての記憶すらも曖昧な・無力な自分という存在がよく分からなくなってしまい思い余って仁の家を出て行ってしまう。
- 本作アニメ主題歌の「motto☆派手にね!」は監督のやまかんが「80年代のアイドル風に棒で歌って」と指示した通り、昭和風なタイトルと相まって思惑通りダサ可愛い。OP中のナギはアイドルという設定である。
- 青葉つぐみ(あおば -) - CV:沢城みゆき
- 仁の幼なじみで保護者役を担っている同級生。胸はナギよりも神性が高い。
突如として現れて仁の家に住まうナギに困惑しつつ、ナギを仁のお父さんの隠し子だと納得して以後は仲良くなる。
今までは保護者として仁に接して来たつもりだったが、ナギや白亜の登場など、仁を取り巻く環境の変化の中で自身の中に仁に対する特別な感情があることを自覚する。トゥーシャイシャイガールであり、今一押しは弱い。 - 秋葉の入れ知恵で腐女子になってしまい、仁と大鉄がキャッキャムフフな関係であると失言してしまう。本作やスピンオフ「かんぱち」でも根が常識人なだけにつっこみ役を務めることが多い唯一の良心、むしろ神様である。
- 仁のご神木を目撃してしまい、咄嗟にみょうがを連想した。
- ざんげちゃん - CV:花澤香菜
- 川向こうの分社に大薙のご神木を株分けした際に宿った神様で、いわゆるナギの妹。腹黒いが胸の神性はナギを大きく凌駕する。
実はナギのように偶像から顕現しているのではなく、直接涼城白亜(すずしろ はくあ)の身体を依り代としているため、たまに人格が入れ替わったり(ざんげちゃん曰く「休む」)する。地方アイドルとして活動しており、信奉がそのまま神性となるため今では見る影もないナギを半ば見下しており、サディストな性格と相まってあまり相性は良くない。 - 神としての使命感は全くなく、ケガレを祓う為に奔走する様子はない。単純にこの世に顕現して居たいが為にアイドルとして信奉稼ぐ。
- ざんげちゃんが表に出ている間でも白亜の意識はあるようで、白亜の仁への好意を汲み取ってざんけちゃんが仁に言い寄ったり誘惑してみたりと、控えめな性格の中の人はなかなか肝を冷やしている。
- 父親が仁が通う高校の教師・牧師かつ創設に関わった有力者であるため、ナギを生徒として迎え入れる為に色々と手を尽くしてくれたようである。
- OPでもアイドルのナギと熾烈なポージング合戦を繰り広げている。
- 響大鉄(ひびき だいてつ) - CV:星野貴紀
- 美術部の1年生で、特にペインティングナイフを扱う技術に長けた美術の天才。
年齢不相応の巨漢だが、見た目に反して幽霊が大の苦手だったり猫や仁が大好きだったりする。仁の発する保護欲のようなものに段々自制が効かなくなってきており、仁が自らを憧れとして懐いている事を含めてかなり独占欲はある模様。 - 風貌が怪しく、寡黙な性格も相まってよく不審者扱いされたり警棒を向けられたりしているらしい。仁にご神木をあげたのは大鉄で、ナギが顕現するキッカケを作った。良くも悪くも親友思いで仁を大切にしている青年である。
- OPではカメラマンとして活躍しており、ナギの珍妙な仕草にシャッターを押す手を思わず止める。
- 秋葉巡(あきば めぐる) - CV:柿原徹也
- 美術部の1年生で、部室で漫画制作に勤しむ名前そのままのアキバ系。下の名前では呼ばれず、よく秋葉と呼ばれる。髪の毛がプリン。
絵に描いたようなオタク。サブカル的な知識を矢継ぎ早に語ったりするが、一般人を無理矢理引きずり込もうとはせず、割りと空気は読むタイプ。しかしあずかり知らぬところで着々と周りの部員はそっち側に嵌って行ってしまっている。 - 自身の制作する漫画は絵だけは上手いのだがシナリオなどが壊滅的にお粗末で、秋葉の漫画を読んだ貴子や紫乃にこき下ろされるなど完成度は高くない模様。なぜか女性用同人誌(R-18)を学校に持ってきたり色々と危ない人であることは確か。
- OPではナギとレフ板を持つスタッフに醒めた目で見られながら情熱的な演技指導をしている。
- 木村貴子(きむら たかこ) - CV:早水リサ
- 眼鏡のOL 美術部部長。
- 貴子という名前も相まって高校生には見えない、むしろ大学生もキツイい。多分お世辞で26歳と言われそうな外見だが、眼鏡を取ると可愛くなる呪いがかかっている。そして貴子と認識されない。
- 一般人だったが腐女子に犯されていて、今では秋葉でも知らない言葉を使ったりその成長速度が既に危ない。歌が上手く、10話のカラオケ回では普段のBBAでは考えられないアニメ声で熱唱している。
- ちなみに可愛い女の子も好きで人間の繁殖行為の根本を揺るがしかねない存在である。
- OPでは振付師としてナギの盆踊りのようなロケット頭突きのような珍妙なダンスに頭を悩ませている。
- 大河内紫乃(おおこうち しの) - CV:中原麻衣
- 美術部副部長。貴子の友人であらあらうふふなお嬢様。胸の神性は作中最強、ラスボスになりうる大器である。
糸目(そもそも閉じているらしい)で、目を開けると災厄が起こったりビームが出ると噂されている。真夏でも長袖の制服を着用しており、真夏にこたつで鍋焼きうどんを食べても汗一つかかない。 - 歌うと目が開くため、カラオケ回では貴子に歌うのを止められている。腐女子としては貴子と二人三脚で邁進しており、こちらも高貴に腐っているがお嬢様らしく貴子並に露骨ではない。
- OPではメイクアップアーティストとしてナギの談笑を誘っている。
- 毒蝮先生(どくまむし) - CV:八奈見乗児
- 美術部顧問の先生。筋肉が変態的にもの凄く、海回ではその見事な肉体から仁に憧れの眼差しを向けられ、大鉄の立場を危うくさせた。
- 学校の地下をアトリエとしていて洗礼と称して脅かしたりするなど割とお茶目な好々爺。
コミックス
「かんなぎ」コミックスでは、描き下ろしで他のイラストレーターとのコラボレーションピンナップが収録されている。
また、過去の読み切り作品を収録していたりもする。8巻は特装版が発売しており『これっくす』で掲載されたものが収録されていたり、9巻は限定版が発売されドラマCDが収録されている。
巻数 | 合作ピンナップのお相手 | 読み切り作品 |
---|---|---|
1巻 | 武内崇 | ― |
2巻 | 竜騎士07 | 怪傑妖精プニャタ |
3巻 | 樋上いたる | ― |
4巻 | 高河ゆん | ヒルデガルトの城 |
5巻 | 蒼樹うめ | モーリー |
6巻 | 絶叫 | Croquis |
7巻 | なもり | ― |
8巻 | 錦織敦史 | ― |
9巻 | 原悠衣 | ― |
10巻 | 閏月戈 | ― |
11巻 | Tiv | ― |
12巻 | 藤島康介 | ― |
休載・連載再開
2008年12月9日発売の『月刊ComicRex 1月号』にて無期限休載が発表された。
アニメ放送中の原作中断ということもあり、様々な憶測を呼び、ちょっとした騒動にもなった。(詳細はかんなぎ騒動を参照されたし)
理由は武梨が12月号の原稿を上げた直後の11月上旬頃に大病で倒れ長らく自宅療養をしていたため。よって11月9日以降の処女騒動勃発の際にはすでに療養中であったことは明白であるので、ITmediaが唱えていた処女騒動のせいで休載というのは誤り。
本人は病名をこれ以上心配をかけることを嫌って明らかにはしていなかったが、第7巻発売時に単行本のあとがきとHPでクモ膜下出血であったことを公表した。
現在体調は回復している様子で、2011年7月27日発売の『月刊ComicREX 9月号』から連載を再開している。連続3号掲載後、2014年2月以降も隔月で連載していた。
かんぱち
武梨えりの実兄の結城心一より連載されているスピンアウトコミック。ComicRexにおいて2010年より連載されている。コミックスはかんなぎとほぼ同じ装丁であり、2016年に連載終了。全10巻。
カンパチの切り身から顕現したパチがナギの姿を模しており、そこから色々な神々が顕現したりしながら原作のネタを自由に少しずつ話に使っているが、いろいろカオスである。もっとやれ。ゆるゆりとコラボしたことがありその作品名は『ゆりぱち』は限定版5巻の小冊子に収録されている。
アンソロジー
第1巻 | 第2巻 | |
---|---|---|
Illustration (裏表紙掲載順) |
仏さんじょ(表紙) 黒柾志西(あとがきコーナー扉) 高野うい(折り返し) 双龍(総扉) 夜空冬弓(目次) |
石田あきら(表紙) セキスズメ(口絵) 電脳桜蛙団(口絵) 双葉ますみ(折り返し) |
Comic (漫画掲載順) |
結城心一 間狩修 高野うい 黒瀬浩介 春野友矢 米田和佐 水月叶 二階堂ぽち ハラヤヒロ 無一文 セレビィ量産型 ホネ 藤こよみ はずみなりゆき 井本有一 |
結城心一 米田和佐 神武ひろよし 二階堂ぽち うおぬまゆう 須田さぎり みずのもと 才田雅孝 夏大 森 清士郎 セレビィ量産型 宮城タロウ 小林徹郎 内村かなめ 海月れおな 凪庵 安藤ひさ ストライク平助 |
関連静画
アニメ
2011年4月より、TOKYO MXなどで再放送。それに合わせてニコニコチャンネルでも配信を開始した。
アニメのサブタイトルは原作のサブタイトルを二つ以上かけ合わせた物がほとんどな為、だいたいカオスである。
エンディングでは、各話ごとにいろいろなイラストレーターが描いた一枚絵が使われている。
話数 | 動画 | サブタイトル | 原作サブタイトル | エンドカード |
---|---|---|---|---|
第一幕 | 神籬(ひもろぎ)の娘![]() |
第一幕「神籬の娘」 | 門脇聡 | |
第二幕 | 玉音アタック!![]() |
第二幕「玉音を聴いた」 第三幕「Spring Attack!」 |
武内崇 | |
第三幕 | スクールの女神![]() |
第四幕「スクールデイズ」 第五幕「放課後の女神」 |
okama | |
第四幕 | シスターーズ![]() |
第六幕「シスター」 第七幕「シスターズ」 |
樋上いたる | |
第五幕 | 発現!しょくたくまじんを愛せよ![]() |
第八幕「ほのおのしょくたくまじん×2+1」 第九幕「汝の偶像を愛せよ」 第十幕「発現!新たな力!!」 |
蒼樹うめ | |
第六幕 | ナギたんのドキドキクレイジー![]() |
2巻幕間「ナギたんのドキドキショッピング♥」 第十一幕「あの娘はクレイジー」 |
鳴子ハナハル | |
第七幕 | キューティー大ピンチ! 激辛ひつまぶしの逆襲(後篇) ![]() |
(アニメオリジナル回) | - | |
第八幕 | 迷走嵐が丘![]() |
第十二幕「嵐が丘」 第十三幕「迷走学園コメディ」 |
絶叫 | |
第九幕 | 恥ずかしい学園コメディ![]() |
第十三幕「迷走学園コメディ」 第十四幕「恥ずかしい僕の過去」 |
水無月徹 | |
第十幕 | カラオケ戦士 マイク貴子![]() |
3巻幕間「カラオケ戦士マイク貴子」 | 木村貴宏 大河内RICCA |
|
第十一幕 | でも、あやふや![]() |
第十五幕「すべてがあやふや」 第十六幕「でも、ほんとうに」 |
結城心一 | |
第十二幕 | ほんとうにエフェメラル![]() |
第十六幕「でも、ほんとうに」 第十七幕「エフェメラル」 |
あずまきよひこ | |
第十三幕 | 仁、デレる![]() |
第十八幕「仁、デレる」 | - | |
第十四幕 | もしもこんな『かんなぎ』があったら…![]() (テレビ未放映エピソード) |
(アニメオリジナル回) | 武梨えり |
関連動画
アニメ本編(公式配信)
その他
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関連項目
- 漫画作品一覧 / アニメ作品一覧 / 2008年秋アニメ / ニコニコ動画で配信中のアニメ作品一覧
- 御厨仁 / ナギ(かんなぎ) / 青葉つぐみ / ざんげちゃん
- 一迅社 / A-1 Pictures / 山本寛
- motto☆派手にね! / 産巣日の時
- ハロー大豆の歌 / 尻毛屋
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外部リンク
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