北陸新幹線開業に伴う経営分離によりJR東日本から経営分離された旧信越本線の大部分を受け継ぎ運行している長野県の鉄道事業者である。
湘南色リバイバル運転中だそうです。←残念ながら169系湘南色リバイバル編成は2013年4月を以って引退しました。
でも、引退後は坂城駅や軽井沢駅に保存されているよ!
概要
1989年1月17日に北陸新幹線高崎-軽井沢間が、1990年12月24日には続いて軽井沢-長野間がそれぞれフル新幹線による着工が決定された。しかしながら同年同日の「整備新幹線着工等についての政府・与党申合せ」により、「建設着工する区間の並行在来線は、開業時にJRの経営から分離することを認可前に確認すること」が示された。
これにより、並行在来線である信越本線の横川-軽井沢間は新幹線開業時に廃止。軽井沢-篠ノ井間はJR東日本から経営分離されることとなった。この軽井沢-篠ノ井間を引き継ぐために設立されたのがしなの鉄道である。1997年10月1日、同日に開業した北陸新幹線(長野新幹線)とそれに湧く県民の傍らで引き継いだ区間65.1kmの運行を静かに開始した。2015年3月14日からは、北陸新幹線金沢延伸に伴い同じく経営分離される長野-妙高高原間も引き継いだ。
このページ一番下にある並行在来線会社一覧の中では長野市37万人・千曲市5万人・上田市16万人・東御市3万人・小諸市4万人など沿線人口が多く恵まれており、輸送密度も2012年のもので概ね7000程度[1]と並行在来線としては高い水準となっている。一時的には債務超過に陥ったこともあったが2002年にHISから杉野正社長を迎え入れ、就任後わずか3年半で黒字化を達成した。(もっとも社長本人は田中康夫県知事とのイザコザで途中で出て行くことになってしまったが)
さらにJR時代の運行本数が69本だったのを→2014年春ダイヤでは122本 [2]と大幅増加させたり、開業時から新駅を4駅も開業させたり、軽井沢-小諸間での7往復の増発実証運行、更には後述する観光列車「ろくもん」の運行開始など積極的な運営を続けている。
しかし2015年3月14日からは従来のしなの鉄道線ほど沿線人口が多くなく、その上長野県内でも有数の豪雪地帯を通る北しなの線も従来路線と合わせて所有することとなったためこれからの経営に不安が残っている。
2017年3月期決算において営業利益が3億3260万円で二期連続で黒字となった。
2020年7月からJR東日本E129系をベースにしたSR1系を導入し、115系を置き換えている。
2023年3月より最高速度が100km/h(しなの鉄道線)95km/h(北しなの線)から85km/hに引き下げられた。また複線区間の無駄遣いな南海汐見橋線やJR九州若松線を差し置いて今後、数十億円超をかけて、信濃追分―上田間(32・8キロ)と黒姫―妙高高原間(8・4キロ)の複線区間を単線化することも検討している。
路線と車両
路線
2015年3月14日からはJRから新たに分離された北しなの線も受け入れ、2路線で運行している。
詳細はそれぞれの記事を参照。
篠ノ井-長野間
ここまで読んできて何か思わないだろうか? "あれ?篠ノ井と長野の間はしなの鉄道じゃないの?"と。
この区間は篠ノ井線から、はるばる名古屋や大阪から乗り入れてくるJR東海の特急「しなの」や普通列車が乗り入れて来るのに加え、それらに乗車してくる乗客はしな鉄線からの乗客を含めて大抵は長野駅まで乗車するため、しなの鉄道にとっていれば旧信越本線分離区間で一番通過乗客が多く運賃収入で約14億円も見込めるドル箱区間なのにもかかわらずJR東日本が所有している。(実際JR発表の2013年度輸送密度によるとこの区間は27,064[3]と地方路線としては短距離ながらもかなり高い数字となっている)
実はいうとこの区間、当初はしなの鉄道に経営分離される予定だったものの、その「しなの」が通るためJRとの運行調整をしな鉄が担当するのが難しいとか三社に跨ると運行調整が難しいとかとされてしまい結局経営分離されなかった。
その後2009年での県の試算の結果、この区間の経営をした場合なんと約10億円もの赤字を毎年垂れ流すという試算結果が出たため県はこの区間の譲渡を求めるのをやめる方針転換を行った。これは「しなの」が通る場合には今のしなの鉄道の運行システムでは対応できない為、追加経費がかかるためである。
車両
現有車両
- 115系(3両編成6本)
かつては全列車とも3両編成で運行されており、ラッシュ時も3+3の6両編成だったが2013年春のダイヤ改正から2両編成を導入。昼間の時間帯を中心に2両編成が中心となりラッシュ時も3+3ではなく2+3の5両編成での運行となった。なおトイレはどちらも処理施設の関係でついていない事には触れちゃいけない。
さらに2014年度には北しなの線開業に向けてJR東日本から115系3両編成5本を追加で購入し運行を開始した。でもトイレはやっぱりつかなかった。
3両編成の内S8編成は観光列車「ろくもん」として改造を施され運行している。こっちにはトイレがついてるよ!!
2020年より後述のSR1系によって置き換えが始まり2023年3月に2両編成が引退した。
沿線住民待望の新型車両。総合車両製作所のオールステンレスブランドの1つである、sustina23シリーズであり、JR東日本E129系をベースにした車両。バリアフリー対応トイレ付き。
2020年7月からライナー型車両2両編成3本が導入され、平日朝夕のライナー「しなのサンライズ」「しなのサンセット」、土休日の新設有料観光快速「軽井沢リゾート」に主に使用されている。
2021年から2026年に掛けて一般型車両23本を導入する計画であるが、2019年台風19号被害や新型コロナウイルスによる経営悪化により、導入時期や本数の見直しも考えられている。
過去運行していた車両
過去しなの鉄道線を定期運行した車両としては自社所有としては1形式、乗り入れ車両としては以下の2形式が存在した。
- 169系(3両編成4本)
現在、直接保有している車両は115系の一形式のみだが、過去には169系も保有していた。2008年9月には4編成あるうちの1編成(S52編成)がむかしなつかしの湘南色に塗り替えられ翌年3月にしな鉄カラーに戻るも、なんと2010年3月に再び湘南色に戻って運転を再開した。また、S51編成もなんと引退一ヶ月前の2013年3月に湘南色へ塗り替えられた。
しかし、2011年7月1日からはEB装置の関係でJR区間への乗り入れが不可能となってしまい運行区間が軽井沢-戸倉間に限られてしまったことと老朽化もあり2012年にS54編成が引退。2013年3月に残りの3編成が定期運用撤退。2013年4月にさよなら運転を行い、惜しまれつつも全車引退した。でもやっぱり最後までトイレはつかなかった
2011年6月30日までは、朝の小諸・上田→長野へのホームライナー、「しなのサンライズ号」は169系による9両編成で運転されていた他夕方のしなのサンセット号も担当していた。
また、イベントで全編成をつなげての12両編成運転を行ったこともあった。
引退後S51編成は3両全てが坂城駅脇のスペースに、S52編成の軽井沢側先頭車両が軽井沢駅に保存されたが、S52編成残りの2両と、S53・54編成はそれぞれ解体されてしまった。
過去乗り入れていた車両(JR車)
- 115系(3両編成)
2015年ダイヤ改正まではJR所属の115系がしな鉄115系に混じって一日に数本乗り入れてきていた。こちらの115系にはJR車だけあってトイレが設置されており、しな鉄ホームページの全線時刻表で2014年度ダイヤまで"※トイレつき"と書かれていた運用には必ずこのJR所属の115系が当てられていた。
JR車で運行される際には運行区間にかかわらず必ずツーマンで運行される他、ドアチャイムが鳴らないなどしな鉄仕様との違いがいくつか見受けられた。
一方183系/189系はしなのサンライズ号に169系撤退後から2015年3月13日までこの朝の一本ためだけにしな鉄線に乗り入れて使用されていた。
なお、夕方のしなのサンセット号にはしな鉄の115系が当てられていたが2015年のダイヤ改正よりサンライズ号も115系の運行となりしなの鉄道線から撤退した。 この撤退に合わせサンライズ/サンセット号共に200円の乗車整理券が必要だったが整理券も廃止され乗車運賃のみで乗車できるようになった。
2015年3月14日ダイヤ改正を以って両者ともにしなの鉄道線への乗り入れは無くなり、定期運用でJR車がしなの鉄道に乗り入れることはなくなった。
観光列車「ろくもん」
水戸岡鋭治氏のデザインによる観光列車「ろくもん」が115系S8編成を改造した車両で2014年7月11日から運行している。主に土日祝日を中心に運行。名前の由来は上田市ゆかりの戦国武将、真田幸村つながりで「六文銭」から。上田駅では実際に真田の武士達による出迎えもあったりする。しな鉄自前としては初めてのトイレつき車両でもある。
1万2800円の料理付きのコースがあるほか、通常運賃+大人1,000円・子供500円の指定席料金を支払うことでも乗車可能。長野-軽井沢間を約2時間20分~40分で途中駅に停車しながらゆっくり移動する。
同じ並行在来線第三セクターとして、そして同じく水戸岡デザインで食をテーマにして肥薩おれんじ鉄道で運行されている「おれんじ食堂」とは( ゚∀゚)人(゚∀゚ )ナカーマ。
乗車率は運行開始直後の7月末の時点で54%とまずまずの滑り出し。目標の70%にはまだ及ばないがこれからの活躍に期待したい。
森の小リス キッズステーション in 軽井沢(仮称)
旧軽井沢駅舎を活用した「駅ナカ」の開発計画である。幹線開業に伴い取り壊された旧駅舎で元の場所から数十メートル動いた位置に町有施設として再建されている。観光列車「ろくもん」等の利用客の待合所や改札として復活させる方向で、現在町と協議を進めている。形式としては町から貸与される形となる。
名産品を使った飲食店、「ろくもんラウンジ」、プラットホーム周辺に「ミニトレイン」や「レールバイク」、車輪が付いた移動型の店舗などを設置する。
関連動画
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関連項目
並行在来線会社一覧 |
東北・北海道:IGRいわて銀河(岩手) - 青い森(青森) - 道南いさりび(北海道) |
北陸:しなの(長野) - えちごトキめき(新潟) - あいの風とやま(富山) - IRいしかわ(石川) |
九州:肥薩おれんじ(熊本・鹿児島) |
脚注
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子記事
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兄弟記事
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