しんぶん赤旗とは、日本共産党内の組織の1つである中央機関紙編集委員会・赤旗編集局が編集し、日本共産党中央委員会が発行する日本の新聞(政党機関紙)である。
概要
1928年(昭和3)2月1日に「赤旗(せっき)」として非合法に創刊される。
以後、発行停止になったり復活したりを繰り返しながら存続し、戦後に共産党が合法化されると同時にようやく安定的に発行されるようになる。
共産党は、日本政界においてたしかに野党たしかな野党として独特の存在感を放っているが、その機関紙であるしんぶん赤旗も、新聞界において独特の存在感を持つ。
近年の発行部数は減少し続けており、2019年8月の紙面で読者数がピーク時の3割程度となる100万を割ったことを報告している。[1]
2つの「赤旗」
赤旗には、日刊紙(毎日発行)の「しんぶん赤旗」と週刊紙(週1回発行)の「しんぶん赤旗日曜版」の2種類がある。
しんぶん赤旗は月額3,400円(2011年9月より)で毎日届けられる。
一方、しんぶん赤旗日曜版は月額800円で購読することができる。日曜版とあるが、実際には日曜より早く配達されることもあるらしい。「しんぶん赤旗」よりもカラー紙面や画像・イラストなどが多用されており、見やすさや読みやすさをより重視したものになっている。
日曜版の発行数は100万部前後で日本で最大部数の週刊紙だが、日刊の赤旗は20万部ほどしかなく全国紙としては採算割れで、月々数千万円以上の日刊の赤字を日曜版の収益でカバーして帳尻を合わせている状態になっている。[2]
(以下、日刊紙については「しんぶん赤旗」、日曜版については「赤旗日曜版」、日刊紙と日曜版の双方を示す場合は「赤旗」と記す)
論調・内容
赤旗は共産党の機関紙なので、論調は基本的に共産党の主義主張に沿った形になっている。いわゆる左派。
しんぶん赤旗は、政党の発行する機関紙であるが、日刊であり、党内のニュースよりも、一般ニュース記事が多く掲載されているのが特徴。
日刊紙の主な紙面構成
- 1面……国内外のトップニュース、もしくは幹部の演説、国会質問について。1面コラムの「潮流」が掲載されている。
- 政治、総合……共産党視点の政治の動きについてや有識者の提言、地方の動きなど。一般紙の社説に当たる「主張」もここに掲載。
- 国民運動……全国の市民団体や労働組合の活動を紹介。
- 国際……海外特派員(ワシントン、メキシコシティ、ロンドン、カイロ、北京、ハノイ、ニューデリーなど)からの記事や時事通信、ロイター通信の配信記事で構成。かなり充実しており、定評がある。
- 経済……共産党視点での経済ニュース。財界に対しては厳しい。最近は消費税に関する話題も多い。
- 党活動……共産党の活動についてのニュース。ここはかなり機関紙っぽいが、逆にここぐらいしか記事がない。
- スポーツ……国内外のスポーツニュース。赤旗曰く「フェアプレーを何よりも大事にして、スポーツの民主的な発展をめざす視点は、一般紙にないものです」と言っているが……
- 社会……いわゆる3面記事。一般紙との違いといえば、容疑者の名前を匿名で報道する所。
- ラテ欄……東京ニュース通信社より配信。なので皇室への敬称がそのままだが、「テレビ・ラジオ欄は東京ニュース通信社から配信を受けています。皇族への敬語表現や容疑者名の扱いは赤旗の立場とは異なりますが配信されたまま掲載します」と断りをいれている。
「権力の番犬」として
親玉の共産党が労働者を重視し、大企業や時の権力者に対して批判的なスタンスを取っているため、赤旗も労働者寄りの視点から有力企業や団体を批判するような報道が中心となる。
その中で、他紙が及び腰になるようなスキャンダルを報道することがあり、それが結果的にスクープとなることも多い。
同様の報道を度々行う夕刊紙や週刊誌がゴシップ的要素を際立たせた記事を載せるのに対して、赤旗はそういったネタをあくまで真面目に報道している。
権力の番犬としての役割を見る限り、共産党員でなくとも赤旗を読むことを考えてみても良いのではないか、と筆者は個人的に考えている。少なくとも聖教新聞よりは社会的に有用な記事を載せていることは間違いない。
もっとも、彼らが根っからの右派嫌いであることをしっかりと認識した上で読むべきではあるが。
赤旗あれこれ
- 犯罪報道は基本的に匿名で行われる。ただし、社会的影響力の大きい事件や共産党と敵対する勢力が起こした事件などの場合はその限りではない。
- 紙面に共産党の活動報告が載る。共産党の機関紙だから仕方ないね。
- 共産党にとって都合のいいことは大々的に書き立てられる。逆に、共産党にとって都合の悪いことは載らない。共産党の機関紙だから(ry
- 軍事記事については軍オタからも高く評価されている。他の大手新聞に比べて飛ばしが少なく、分析や評価も的確であることが多い。開発中だった90式戦車の試作車の写真をスクープしたことがある。
- 選挙前になると赤旗紙面上での共産党の宣伝が増える。「赤旗日曜版」でも同様である。共産党の機関紙(ry
- 新聞に欠かせないラテ欄は、赤旗にもしっかりと存在する。かつては番組表内の内容紹介文も共産党の主義主張に沿った形に改変していたが、現在はやめている。
- 「しんぶん赤旗」には一応、地方面もある。
- 折り込みチラシはほとんど入らないのであしからず。たまに挟まっていてもそれは共産党関係のお知らせだったりする。
- 共産党員全員が「しんぶん赤旗」を購読するように勧められている。……が、実際に全員が購読していたら赤旗の経営はもっと楽になっているはず。
- 共産党の主義、主張を知るには良い物だが、面白半分で取らない方がいい。ガチで公安に監視されます。
- 囲碁・将棋のプロ新人棋戦「新人王戦」や、アマチュア棋戦「赤旗名人戦」はしんぶん赤旗主催である。そのため棋士で日本将棋連盟会長だった米長邦雄は、思想的に正反対の共産党に感謝の意を表している。
課題
赤旗は共産党の機関紙なので今後も安泰……というわけでもない。
赤旗は前述の通り大企業を批判するスタンスを取っているので、大企業からの広告が少ない。おかげで大企業とのしがらみは生まれないのだが、その分、読者からの購読料などへの依存度が高くなってしまう。
読者が多いうちはそれでもいいのだが、現在、赤旗の読者は減少を続けている。
発行部数の減少は新聞業界の全体的な傾向だが、赤旗もその例外ではない。発行元の共産党によると、ここ10年で「しんぶん赤旗」の発行部数は12万部近く減り、現在は24万部程度となっているとのこと。
赤旗の頼みの綱である読者が減ってしまえば、一気に経営は苦しくなる。「しんぶん赤旗」は今年に入って月あたり2億円もの赤字を垂れ流すようになっていた。
最近は「しんぶん赤旗」の赤字を「赤旗日曜版」の黒字で補填していたようだが、共産党は2011年7月に、9月から日刊紙の購読料を月あたり500円値上げし月額3,400円とすることを発表。それでも現状の発行部数では採算が取れず、採算を取れるようにするにはあと2万部近く上乗せする必要がある、と共産党は主張している。
月500円も値上げしてしまうと現状よりさらに読者が離れるのでは……と思ったのは筆者だけではないはずだ。
どうなる赤旗。
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関連リンク
- しんぶん赤旗 (公式サイト)
- 「しんぶん赤旗」日刊紙発行の危機打開のために 2011.7.5
- 新聞用紙代急騰―減ページへのご理解、ご協力をお願いします 2022.12.22
関連項目
脚注
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