ちゅらさんとは、2001年4月から同9月までNHKで放送された連続テレビ小説である。
概要
連続テレビ小説では初めて沖縄県を舞台にした作品。脚本は数々のホームドラマを手掛け、2011年上半期の連続テレビ小説「おひさま」の脚本も担当している岡田惠和。主演は沖縄県出身の国仲涼子。
主人公のヒロイン・古波蔵恵里が、幼い頃の初恋を機に上京して看護師となり、様々な人々とのふれあいを通して、家族や仲間との温かい絆を描く。個性豊かな登場人物や、本作による沖縄ブームで人気を博し、後に月曜ドラマなどで3作の続編が制作された(但し、主要人物を務めた田中好子と北村和夫が他界したため、残念ながら更なる新作が作られる可能性は低い)。
このドラマの大きな特徴は、ストーリーや登場人物がどこか漫画やアニメ的な展開が多いことである。恵里をめぐる恋愛模様は所謂「お約束」などラブコメ要素が満載であり、今で言うところのツンデレやアホの子といった萌え要素を持つキャラクターも登場している。脚本の岡田惠和は「めぞん一刻」の大ファンであり、「めぞん一刻」以外にも数多くのアニメや漫画の実写版ドラマも作っている。そのため「めぞん一刻」の影響を強く受けた部分が多く見られる。
劇中ではゴーヤを元にしたゴーヤーマンというキャラクターも誕生した。劇中では、恵里の兄・恵尚がグッズにして売り出すが失敗してしまう顛末となってしまう。ところが姿形がかわいいと評判になり、NHKのショップでも多くの商品が作られるなど、リアルでは大ヒットした。後にゴーヤーハニー、ゴーヤーベビーという仲間キャラクターも登場した他、みんなのうたではガレッジセールがキャラクターソング「天下無敵のゴーヤーマン」を歌った。
主題歌はKiroroの「Best Friend」(作詞・作曲:玉城千春、編曲:重実徹)。「長い間」「未来へ」と並ぶKiroroのヒット曲となり、現在でも卒業式や結婚式などでよく歌われている。ちゅらさんのタグが付いた動画の多くは、この曲に関わるものである。
登場人物
古波蔵家
- 古波蔵恵里(国仲涼子)
- 主人公。愛称は「えりぃ」。子供の頃、小浜島を訪れた文也と親しくなり、結婚の約束を誓う。その約束を大人になっても忘れず、医者になった文也を追うようにして看護師となり、紆余曲折の末にめでたく結ばれる。天真爛漫でかなりの天然ボケ(もしくはアホの子)。岡田惠和は「最初から最後までマイペースで、(悪い意味ではなく)成長しない朝ドラヒロイン」と述べている。余談だが、連続テレビ小説の登場人物で、唯一ウィキペディアに個別の記事がある。
- 古波蔵ハナ(平良とみ)
- 恵里の祖母。ナレーションも兼任しており、もう一人の主役とも言える人物。愛称は「おばぁ」。本来は自分の祖母に対する敬称だが、ハナに限り皆からも呼ばれており、名前で呼ばれることはほとんど無い。高齢とは思えない程パワフルで、古波蔵家の男どもが頼りないこともあってか、行動力もリーダーシップも人一倍の完璧超人。まさに高性能ばあちゃんならぬ高性能おばぁである。
- 古波蔵恵文(堺正章)
- 恵里の父。当初は古浜島で民宿経営、後に那覇でタクシードライバーをしているが、お気楽な性格の上に、根っからの怠け者なので収入は当てに出来ない。本当は家族思いで時々含蓄のある言葉もある良き父親なのだが、大抵「良いこと言っちゃたかな~」と自画自賛するので台無しになってしまう。
- 古波蔵勝子(田中好子)
- 恵里の母。まじめなしっかり者で、ぐーたらな夫をよく叱っているが、それも愛情があるからこそ。劇中では静子たちと共にキャンディーズの曲をノリノリで歌おうとする、中の人ネタも見られた。スーちゃんこと田中好子は、国仲涼子やゴリをプライベートでも実の子供のように可愛がっていたと言われている。
- 古波蔵恵尚(ゴリ)
- 恵里の兄。普段は全国各地を渡り歩き、あまり家には帰ってこない。時々儲け話を持って帰るが、ゴーヤーマンをはじめほとんど売れず、在庫の商品を完売するためにまた旅に出るというサイクルを繰り返している。実は勝子が恵文と出会う前に元カレとの間に出来た子だが、それを承知の上で家族からも愛されている。
- 古波蔵恵達(山田孝之)
- 恵里の弟。父や兄姉を反面教師にしたのか、古波蔵家三兄弟では唯一のツッコミ役。ロックミュージシャンを目指し、恵里と同じ一風館に移り住む。いつもは恵里のボケぶりに呆れているが、ここぞという場面では姉思いの面を見せる。放送後、山田孝之がドラマや映画で引っ張りだこの人気役者になったためにスケジュールが合わなくなってしまい、続編が作られるごとに出番が激減し、「4」ではアメリカでロックの勉強中という理由で写真しか出てこない。
上村家
- 上村文也(小橋賢児)
- 恵里の初恋相手。家族と共に古浜島で恵里と出会い、島で和也の死を見届けたことを機に医師になる決意をする。恵里と結婚した後も引き続き医療活動を続け、後に古浜島で診療所を開く。心優しく誠実な人柄で笑顔を絶やさないが、自分が担当した子供の患者が亡くなった時と、恵里が自分の病気を隠していた時は、珍しく感情を荒げていた。
- 上村静子(真野響子)
- 文也の母。初登場時は息子を失う悲運を背負った母親のような印象を受けるが、素の性格は意外と明るく、文也や恵里とは友達感覚で接している。
- 上村和也(遠藤雄弥)
- 文也の兄。重い病で余命幾ばくもなく、人生最後の思い出に古浜島を訪れる。恵里と文也が親しくなるのを見て、二人に結婚の約束を勧めた後、現地で息を引き取る。恵里と文也の人生に多大な影響を与え、夢枕に立ったり、キムジナーに生まれ変わって後述の和也を助けたりする。
- 上村和也(鈴木翔吾)
- 恵里と文也の一人息子、亡き和也の思いを受け継いだ二人によって同じ名前が付けられた。ある出来事がトラウマになって対人恐怖症になるが、恵里が病に倒れた時に母を助けるために奮闘し克服する。柴田にとても懐いている。
一風館の住人
- 桐野みづえ(丹阿弥谷津子)
- 恵里が東京で暮らしている尞「一風館」の管理人。世界各国の料理を作るのが得意。太平洋戦争で未亡人となっていたが、後に島田と結婚する。
- 島田大心(北村和夫)
- 初登場時は自室に引きこもって、クラシックのCDばかりいた。その最中に発作を起こして入院したことから、自分が元医師で周りと距離を置いていた理由が判明。その後は住人達とも打ち解けるようになり、中盤で一風館を去るが間もなく戻り、みづえと結婚した。
- 城ノ内真理亜(菅野美穂)
- メルヘン小説家、真理亜という名前はペンネームである。根は優しい性格なのに、素直になれずついついぶっきらぼうな態度になってしまうツンデレ。恵里の天然ボケにツッコミを入れ、容子からはいじられるのが定番となっている。口癖は「あんたバカぁ?」、基本的に恵里のことを「あんた」としか言わないが、一度だけ顔を赤くしながら恥ずかしそうに「えりぃ」と呼んだことがある。両親からの愛情を受けず、たった一人の最愛の妹を病気で失った時もその最期に立ち会えなかったという辛い過去を持つ。そのためいつも黒服を着ており、本名で呼ばれることを激しく嫌っている。
- 柴田幸造(村田雄浩)
- 厳つい容姿とは裏腹に、温厚で少し気弱な性格。北海道出身で、いつもヨーグルトばかり食べており、愛用しているパジャマも牛柄。よく「似ている…!」と叫んで、突然照明が暗くなる中でスポットライトを浴び、過去の一人語りを始めるのが定番、と言うより劇中における一種のフラグと化している。
- 池端容子(余貴美子)
- 沖縄を訪れた時に古波蔵家と出会い、恵里が上京するきっかけを作った。マイペースなお調子者で、豪快な性格から恵里や真理亜のよき姉貴分でもある。何もないところでよくすっ転び、怪しげな占い相談と転び癖がきっかけで、柴田と結婚する。
北栄総合病院
- 下柳聡子(戸田恵子)
- 婦長、「2」以降は看護部長。看護婦の姿が板に付いているせいか、私服では患者に気づいてもらえない。島田が入院する時に何気ない一言が、恵里が看護婦になる原因となった。本人に関するエピソードがあまりないためか、出番が多い割にはいまいち目立たない。
- 佐々木奈々子(佐藤藍子)
- 恵里の先輩看護婦。ドジばかり起こす恵里に頭を悩ませている。最終回でなぜか恵尚と結婚したが、恵尚がゴーヤーマンの在庫を売るため家を空けることが多いため、あまり顔を合わせない。
- 中町祥子(山口あゆみ)
- 恵里の同期看護婦。恵里とは対照的に何でもそつなくこなせる器用な人間だが、対照的な恵里とすぐ仲良くなる。ロックバンドで活躍する恵達の大ファンで、後に結婚する。
- 西宮遙(小西真奈美)
- 文也の同僚である女医。当初は恋仇の恵里を敵視していたが、恵里と文也が結婚すると身を引いて協力するようになった。ちゅらさんでは数少ないシリアス担当だが、「2」以降は周りに染まったのかコミカルな一面も見られる。
その他
- 兼城昌秀(藤木勇人)
- 沖縄料理店「ゆがふ」の店長。一風館の近所にあるため、住人達のたまり場となっている。容子に片想いしていたが、柴田と結婚してしまったためあえなく失恋に終わってしまう。同役を演じた藤木勇人は沖縄の方言指導も兼任している。
- 島袋正一(川田広樹)
- 恵尚の親友で、「島袋製作所」の若社長。ゴーヤーマンを実際に製作したのも彼。間の悪さに定評があり、いつも大事な場面で古波蔵家にやって来ては邪魔者扱いされる、ある種のフラグクラッシャー。
- 与那原誠(SHINOBU(DA PUMP))
- 恵里の高校時代の同級生。野球部のエースで卒業後は上京するが、肘を壊して野球の道を断念して沖縄に戻った。恵里にベタ惚れしており、彼女が文也と結婚した後も未練がましいため、妻の琉美子には叱られてばかりいる。
- 前原琉美子(前原エリ)
- 恵里の高校時代からの親友。誠に片想いしているが、誠自身は恵里に夢中なのも知っていた。沖縄に帰った誠と結婚して、一児の母となった。那覇に住んでいるため、現在では古波蔵家の人々とも仲が良い。
- 黒島(比嘉栄昇(BEGIN))
- ゆがふの常連客。元々、出来心で恵里の財布を盗んでしまったが、改心したのを機に一風館の住人達と親しくなる。他のBEGINのメンバーが演じる仲間と共に、しばしばゆがふで演奏を披露する。
この他にもゲストキャラクターとして、ベッキーや宮村優子など個性豊かなキャストが登場。また、恵里の同僚看護婦役として、無名時代の高橋美佳子や菊地凛子も出演していた。さらに、ゆがふの常連客や店員役ではダチョウ倶楽部の肥後克広やMAX、主題歌を歌ったKiroroなど沖縄出身の歌手やタレントも多数参加した。
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関連項目
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