とある飛空士への誓約とは、犬村小六のライトノベルシリーズで、「飛空士シリーズ」第4作目。全9巻。
イラストは引き続き森沢晴行が担当。ジャンルは「戦争・学園」。
概要
『とある飛空士への夜想曲』に続く「飛空士シリーズ」第四作にして、シリーズ完結編。
2012年9月より小学館ガガガ文庫から刊行されていた。
2015年11月発売の9巻にて完結。また同時に「飛空士シリーズ」完結となった。
主要登場人物に「追憶」、「恋歌」、「夜想曲」に関する人物・描写が書かれており、まさにシリーズ最終作といえる。また恋歌まで謎であった部分が徐々に読者に開示されていく形式が取られている。群像劇とあるように主要人物7人を中心としてたびたび描写視点が変わるのが本シリーズの特徴。
またシリーズを通して登場した水素電池を利用した乗り物はほぼ登場せず、化石燃料(ガソリン)を使用した内燃機関(レシプロエンジン)が主な飛空機・乗り物の原動機となっている。
他3作と時系列が同時進行しているため、物語が進行していくごとに世界観が徐々に広がっていく。特に「恋歌」の重要人物が登場することから物語開始時はイスラと空の一族の取引後と推測されている。
あらすじ
4千以上もの島々が大瀑布を挟みながら存在する多島海。ハイデラバード連合共同体、セントヴォルト帝国、秋津連邦の3国は多島海制覇を目指し幾十年と戦争を繰り返してきた。
親善旅行・文化交流を名目に秋津連邦首都、箕郷を訪れたセントヴォルト親善艦隊は2泊3日の旅を終え祖国に帰還するため飛び立ち、また7名の両国混合の士官学校学生も「親善飛行」として大型飛空艇を操縦、随行していた。
しかし南多島海を侵攻中のウラノス艦隊との遭遇・奇襲をうけ、未開拓の島へと不時着してしまった。
7人の仲間の中にはは互いの父が因縁を持った2人がおり、滅び去った王家継承者がおり、また裏切り者も潜んでいて――――。
登場人物(以下ネタバレなし)
主要人物
- 坂上清顕
- 秋津連邦メスス島出身。可南士官学校3回生。17歳。ミオ・セイラとは幼馴染。黒髪に黒目の容姿。
幼少期にメスス島で暮らしていたが、ウラノスの侵攻で家族を失い、戦争孤児として育ち、可南士官学校へ入学。座学、操縦共に大変優秀な成績を収め、学校の士官候補生代表として、親善飛行のメンバーへ選ばれた。特に航空機操縦は12歳から操縦している為成績はぶっちぎりで良いが、秋津連邦には空戦実技がないため、空戦経験はゼロ。
性格は大変仲間想いで優しく、しかし相手をからかったりする等イタズラ好きな面もある。ウラノスに家族を殺されている事からそれに関わる事に直面すると我を忘れる時がある。
「とある来歴」からイリア・クライシュミットとは気まずい雰囲気になったり深い接点を持つこととなる。親善飛行後はエアハント士官学校へ編入することになる。 - 親善飛行では操縦を担当する。
- ミオ・セイラ
- 秋津連邦所属。可南士官学校3回生。17歳。坂上清顕とは幼馴染。金髪に翡翠色の瞳の容姿。
12歳の頃にメスス島へ引越してきて清顕と知り合った。清顕と共にウラノスへの復讐を約束し、士官学校へ入学。清顕と同じく座学・操縦共に優秀で、士官候補生代表に選ばれる。幼い頃に現在の外交官の父に養子として拾われ、たくさんの兄弟、姉妹に囲まれ幸せに暮らしている。そのため育ちは秋津連邦であるが、国籍はセントヴォルトである。
裕福な環境で育った為か礼儀正しくも年齢相応の少女らしい面を見せ、仲間や友人のことを第一に考え行動する明るく優しい性格。料理が得意でよく皆に振舞う。貞操観念が高い秋津連邦で育った為「その手の話」にかなり疎く、また清顕も同じであるため、よく気まずい空気になったり勝手に変な妄想を押し付けたりする。容姿が整っている上に明るい性格のためかなりモテるが、男性に口説かれただけで鳥肌が立つほどの貞操観念を持つ上に上記の理由もあって一切取り合わない。幼い頃から「フェオ」という賢い鳥を飼っている。
親善飛行後はエアハント士官学校へ編入することになる。 - 親善飛行では偵察を担当する。
- イリア・クライシュミット
- セントヴォルト帝国出身。エアハント士官学校3回生。17歳。セシル・ハウアーとは幼馴染。赤い髪に黄金色の瞳の容姿。
学生にして優れた飛空機乗りで、幼少の頃から英才教育を叩き込まれたせいもあるが、昔から空戦では誰にも負けた事がないほど。秋津連邦では行われていない模擬空戦では最上回生の4回生すら抜いて撃墜数・勝率もダントツ1位で、すでに正規飛空士になって実戦に出てもおかしくないと目される。故に上層部や周囲からは将来のセントヴォルト帝国の撃墜王と期待されている。飛空機に関することには誰にも負けたくないという性格らしく座学も非常に優秀。しかし模擬空戦で偶然で一度だけライナ・ベックに負けている。
まるで氷のような怜悧冷徹な性格で、美しい少女にもかかわらず、寡黙、且つ笑うという事を知らない機械的な態度で他人と接する。集団における空戦でも単独行動が多い。飛空機以外の面では年頃の少女としては無頓着なためか、ギムナジウムから一緒のセシルには色々と世話をされており、当初短髪だったのを伸ばすよういわれたり、服を選ばれたりしている。
「とある来歴」から坂上清顕とは気まずい雰囲気になったり深い接点を持つこととなる。 - 親善飛行では操縦を担当する。
- ライナ・ベック
- セントヴォルト帝国出身。エアハント士官学校3回生。17歳。銀髪の髪に青の瞳の容姿。
飛びぬけて凄い面はないが、満遍なく座学・操縦・模擬戦全て優秀で今回の親善飛行でも代表に選ばれた。あまり目立つことはないが、堅実に実績を残していく。模擬空戦では将来の撃墜王と目されるイリアに偶然一度だけ勝っている。
セントヴォルト人特有の軽く軽薄な態度で水を飲むように女性を口説く女好きな性格。また卑猥な表現やその手の話が好きでイリヤやセシル、ミオ等から嫌悪されている。イリヤ・セシルとは同級生故旧知であるが、イリヤを初対面で口説いた時、ハイキックされ失神、医務室行きになった過去がある。へらへらした外見・性格に見えるが時折仲間を心配する発言をしたり手助けをしたりする。しかし相手に踏み込むことはせずに雑な言葉で馴れ合いを否定する。7人のうちではムードメーカー的存在。「~ってっし」や「っぞ」等訛りのような語尾をつけて話す。 - 親善飛行では偵察を担当する。
- 紫 かぐら
- 秋津連邦出身。箕鄕士官学校4回生。18歳。黒髪に黒目の容姿。
士族の生まれで代々将軍に剣術を教える師範家系に生まれたせいもあり、幼い頃から剣術を仕込まれ腕は一流。常に軍刀を帯刀している。
箕鄕士官学校のトップを4年間誰にも譲らなかったほどの俊才で最上級生ということもあり、指揮能力も非常に高い。仲間内のいさかいを収めたり円滑にする事に優れ、少女であるが外見は身長も高く美少年のように凛としている為、男子、女子両方に人気がある。ただ清顕と同じく秋津連邦には模擬空戦などがなかった為、空戦の経験はない。
性格は大変後輩想いの頼れる先輩を思わせ、どんな緊迫した場面でも冷静さを失わず、泰然とした態度で臨む。また負けず嫌いでもあり、それ故技術向上の修練に余念がない。そして年相応の少女らしい面も時折見せる。親善飛行後はエアハント士官学校へ編入することになる。 - 親善飛行では副長を担当する。
- セシル・ハウアー
- セントヴォルト帝国出身。エアハント士官学校2回生。16歳。イリア・クライシュミットととは幼馴染。茶髪に蜜柑色の瞳の容姿。
まだ2回生だというのにも関わらず自らの努力で抜群の成績を上げ、エアハント士官学校士官候補生代表に選ばれる。航法に優れ、最年少ながらも実直に仕事をこなす。
おしゃべり好きな性格に誰とでもすぐに仲良くなれることから、清顕らともすぐに馴染みエアハント士官学校の生活を教えたり噂話をしたりと話の話題が尽きない子供らしい面を持つ。ギムナジウムの頃からイリヤにべったりだったため彼女のことはかなりよく知っており、イリヤの髪手入れから服の面倒まで女性らしいことを助言・世話をしている。
全員が自身より上級生のためか、常に丁寧語で話す。 - 親善飛行では電信を担当する。
- バルタザール・グリム
- セントヴォルト帝国出身。エアハント士官学校4回生。18歳。金髪の髪に蒼氷色の瞳の容姿。
座学・操縦やその他の分野でも完璧とまで言えるほど優秀な成績を誇り、トップの座をこの4年間1度も譲ることがないほど。しかし模擬空戦では、イリヤについでの成績になっている。
優秀な反面、清顕始め同輩とすら親密に接触しようとせず、常に冷たい態度で接してくる。親善飛行でも必要な指示以外の交流はほぼしようとしない。完全な合理主義者で人間の感情や機微を圧倒的に排他した考えで動き、自身の「野心」の為だけに動く。それ故に対人関係の問題についてはまったく理解することが出来ない。しかしそれを補うだけの努力を他人の影で何倍もしている努力家。 - 親善飛行では機長を担当する。
秋津連邦関係者
- 坂上正治
- 坂上清顕の父親。物語開始前後で故人。元秋津連邦海軍飛曹長。
過去の秋津連邦、セントヴォルト帝国の二国間で起こった「多島海戦争」においての秋津連邦空軍の撃墜王。 - 坂上由美子
- 坂上清顕の姉。物語開始前後で故人。ウラノスによるオデッサ要塞侵攻時に死亡。紫かぐらと瓜二つの容姿をしていた。
- 扇ガ谷晴彦
- オデッサ航空隊航空参謀。中佐。元清顕の父親の部下でありその戦争の生き証人。規律が厳しい秋津人の将校でもかなり大らかな性格。幼少の清顕に、その付き合いから飛空機の技術を教えた師匠の1人。
- 歌国常盤
- 秋津連邦の主要新聞「秋津日報社」の女性記者。生真面目そうな性格で無表情。その取材は自分の意図する方向へ話を進めることしか考えておらず、秋津人の戦意高揚を結果として煽るものばかり書き、清顕へ付きまとう。
- 新田原聯介
- オデッサ航空隊隊員。2等飛空兵曹。東方民の若い飛空士。着任してきた清顕に師事を請う。
- ジャダンバ・ダムバゾリク
- オデッサ航空隊隊員。2等飛空兵曹。西方民の若い飛空士。着任してきた清顕に師事を請う。
- マオロン
- オデッサ航空隊隊隊長。大尉(後に『中尉』との表記ブレ)。央州民。秋津将校には珍しい部下思いの上官で現場指揮をとる。本国には貧しい家族がいる。
- リュウ・ウォン
- 草薙航空隊隊員。特務少尉。央州民で厳しい顔つきの20代半ばの飛空士。努力家であり、愛国者。卓越した空戦技能を持ち、斑鳩を巧に操る。本国に子を身ごもった妻がいる
- 大威徳親王
- 慧剣皇家第1皇子。正式名称は皇太子大威徳義仁親王。慧剣近衛師団団長。
現在の戦を止め民を救えないかと悩む。秋津連邦より皇家のみ守護する独立軍隊、慧剣近衛師団を率いるが、実質中枢は軍部が握っているため「君臨すれども統治せず」状態である。彼自身国の頂点にいながらも手が出せないことを歯がゆく考えている。紫かぐらとは皇家の剣術指南役として幼少期より鍛えあった幼馴染。 - 久遠寺高虎
- 慧剣皇王国内閣総理大臣。実質現在の戦争勅令を出し戦争を継続させている極右政治家。それは戦局に依らず戦争を継続したいという個人の意向レヴェルまでに達している。他2人の重鎮含め3人で決められた方針が、皇王が病床に伏しているのをいい事に国の勅令として出されている
- 紫雪平
- 京凪離宮直衛隊隊長。紫かぐらの兄。幼少期からかぐらの剣術相手をしていたが、快く思っておらず剣を手放し女性らしい生き方をするように説いていた。美男子の上に感情を面に出すことはない。過去の稽古でかぐらは数度しか勝てていないほど剣の腕は立つ。
セントヴォルト帝国関係者
- カルステン・クライシュミット
- イリア・クライシュミットの父親。元セントヴォルト空軍の飛空士。
過去の秋津連邦、セントヴォルト帝国の二国間で起こった「多島海戦争」においてのセントヴォルト空軍の撃墜王。 - イーサン・セイラ
- ミオ・セイラの養父。外交官の仕事をしており、あちらこちらの国へ赴任して多忙な生活を送っている。機能的な問題で夫婦間に子供を持てず、赴任した先々で子供を養子に迎えており、現在では8人いる。
- グレタ・セイラ
- ミオ・セイラの養母。
- ジーモン・ベルナー
- ミッテラント大陸の武器流通を始めあらゆる流通を支配するベルナー財団の跡取り。兄との昔の約束によりジェット戦闘機開発を行っている。
- レオ・ローゼンミュラー
- セントヴォルト帝国空軍最強と言われるヴォルテック航空隊飛行隊長。階級は大尉。初登場時で確実撃墜数56を誇る現代のセントヴォルト帝国の撃墜王。既婚者で娘が1人いる。
浅黒い肌色に銀髪の精悍な顔をした壮年の男性。空戦に置ける考えは理論的且つ割り切った物であるが、常に部下の事を考え、出撃の際、どうすれば部下を死なせずに帰すことができるかを考慮する等、士官には珍しい情に熱い性格。そのため部下達から絶大な信頼を寄せられている。
荒くれ者ばかり集まるヴォルテック航空隊隊員らを馬鹿呼ばわりするが彼らに家族同然のような愛情を持っている。 - エイブラハム・モンロー
- ヴォルテック航空隊司令官で階級は大佐。現場にはめったにでてこないが、重要作戦の場合は直接指揮をとる。論理的思考な一般的将校で隊員ら曰く「頭が堅い」。
- ルル・スコット
- ヴォルテック航空隊隊員。階級一等飛空士。ヴォルテック航空隊のマスコット姉妹でララ・スコットとは双子。ララと共に下品な話題で戦場でも常にふざけた態度であるが、空戦技術は最強の航空隊に恥じない物。外見はララと全く同じであるが左右の髪の結びの違いでわかる。
- ララ・スコット
- ヴォルテック航空隊隊員。階級一等飛空士。ヴォルテック航空隊のマスコット姉妹でルル・スコットとは双子。ルル同様、下世話な話題に軍人とは思えない快活な性格をしているが優れた空戦技術を持つ。外見はルルと全く同じであるが左右の髪の結びの違いでわかる。
- アンディ・ボット
- セントヴォルト海空軍作戦本部多島海方面部局情報課課長。初登場時の階級は中佐。任務に忠実な将校で、部下の何気ない報告も深く思慮し、有益であると判断すれば独自の判断で上に通す、自身の保身よりも組織全体の連携を大切にする珍しい上官。例え手柄がでても奪おうともせずに部下へちゃんと還す人格者。
- ビクトール・カーン
- セントヴォルト多島海艦隊首席参謀。初登場時の階級は准将。セントヴォルト帝国における実質的な多島海方面の「頭脳」で、その作戦立案から連合軍へ大打撃を与えた。
- ラファエル・ドウナー
- セントヴォルト参謀総長。階級は大将。セントヴォルト帝国の事実上の頭脳。下級将校であろうが「天才」であれば引き上げる実力主義者。現在のハイデラバード戦役、第二次多島海戦争構想は彼の立案。
ウラノス関係者
- カーナシオン
- ウラノスに所属し多島海にその名を轟かせる空の王。他の飛空士とは比べ物にならないほどの超エースであり、現代の撃墜王の1人。ノーズアートは「黒豹」。
- デミストリ
- ウラノス王位継承権第1位の王子。保守派に属し元老院の急進派と対立している。
- ゼノン・カヴァディス
- ウラノス外務尚書省次官。一見眼鏡をかけた穏やかな紳士の容姿をしているが、ウラノスにおける外交折衝、秘密工作員の育成・采配などを全世界で行っておりその腕は一流。多島海の覇権を競う国々のみならず、彼らが知らないその他「遠い他国」とも様々な交渉をしており、とある権力者のみが集う組織を運営している。
「飛空士シリーズ」第二作目、「恋歌」の終盤でも登場しており、今シリーズにて再登場。 - ニナ・ヴィエント
- ウラノス出身ではなく、存在すら知られていないほど遥か彼方の国の生まれ。そして彼女の母国で起こったかつての革命の象徴でもある。ウラノスとの交渉により現在身柄を預けてられている。
- 本名はクレア・クルス。「飛空士シリーズ」第二作目、「恋歌」のメインヒロインで今シリーズにて再登場。
- イグナシオ・アクシス
- ウラノスに移住したニナ・ヴィエントを護衛するためについてきた近衛兵の青年。
「飛空士シリーズ」第二作目、「恋歌」の重要人物で今シリーズにて再登場。 - ウルシラ伯爵夫人
- ウラノスに移住したニナ・ヴィエントの家庭教師。一見神経質そうな外見に見えるが、内心ではニナを我が娘のように心配しており、塞ぎこんでいる彼女をどうにかしたいと心配している。
「飛空士シリーズ」第二作目、「恋歌」より再登場。 - アキレウス・カラマキオン
- ウラノス参謀総長。現在の各方面の作戦立案を行っている。しかし統帥権は王にあるため、軍派兵は王の許可がなければならない。
- イラストリアリ教皇
- 聖アルディスタ教皇府長。この世界の聖アルディスタ信者の頂点に立つ人物。先代王オルテガと癒着し、教皇派の勢力をウラノス中枢で強めようとしていた。現在はニナを傀儡とし、自身の権力を磐石にしようとしている。
第二次イスラ艦隊関係者
- カルエル・アルバス
- 元バレステロス皇国第1皇子。シリーズ第2作「恋歌」の主人公。金髪碧眼の美男子。
第二次イスラ艦隊第一航空戦隊飛空隊長。恋人であるニナを救い出すため、多島海の戦役に艦隊を引きつれ清顕の前に姿を現す。気さくな性格をしているが、やや無神経な発言が目立ち、ジョークのセンスも悪い。 - マニウス・シードゥス
- ウラノス第二王子。シリーズ第2作「恋歌」にてニナ・ヴィエントと人質交換としてイスラ艦隊へ乗船した。
第二次イスラ艦隊派遣や敵の戦略、布陣について度々助言を行っていた模様。 - ファナ・レヴァーム
- 神聖レヴェーム皇国執政長官。シリーズ第1作「追憶」のヒロイン。
現在は順調に帝政天ツ上と和平路線を進ませることに成功、国の軍備を縮小し著しい経済発展を遂げている。「恋歌」ではカルエルと接触しており、今回の第二次イスラ艦隊にも帝政天ツ上混合の大規模艦隊を検討しており、すでに先遣部隊が合流している。 - 狩乃シャルル
- 第二次イスラ艦隊第二航空戦隊所属。通称「海猫」。シリーズ第1作「追憶」の主人公。
神聖レヴァーム皇国より先遣部隊として合流していた。カルエルにとっての師匠でもある。 - 吉岡武夫
- 第二次イスラ艦隊第二航空戦隊所属。通称「魔犬」。シリーズ第3作「夜想曲」の主人公「千々石武夫」とヒロイン「吉岡ユキ」の息子。帝政天ツ上の先遣部隊として合流した。
若年ながら海猫に匹敵するほどの優れた空戦技術を持ち、カルエルからは師匠共々「バケモノ」と称されるほど。
父の異名であった「魔犬」を襲名している。 - ルイス・デ・アラルコン
- 第二次イスラ艦隊提督。シリーズ第2作「恋歌」に登場。
イスラ艦隊にてカルエルを援助したかつての「聖泉」発見者。多島海でのウラノスとの決戦に援助を求める。 - アメリア・セルバンテス
- 第二次イスラ艦隊外務長。シリーズ第2作「恋歌」に登場。
美人ではあるが鉄仮面のような表情で会話をする。多島海にたどり着くまでに損耗した艦隊の資金捻出の計画を提案する。
その他登場人物
- アクメド
- 空中傭兵部隊「ワルキューレ」を率いる。多島海にその名を轟かせる現代の撃墜王の1人。
物語開始時にウラノスに滅ぼされた旧シルヴァニア王国王家に仕える「聖騎士」。 - ディジー・オズボーン
- ハイデラバード連合共同体議会の与党党首。ウラノスとは親密であり、航空戦力を外注している。
- セントヴォルト帝
- セントヴォルト帝国を治める皇帝。戦争赤字に悩む国を立て直そうと多島海制覇を急進的に目指す。
- エリザベート・シルヴァニア
- ウラノスに滅ぼされたシルヴァニア王家王位継承権1位の王女。聖騎士アクメドによって救出されたとされるが、あくまで噂で、死亡したというのが通説。
用語など
*原作7巻巻末に著者犬村氏監修の用語集が記載されているので、そちらもご覧下さい。
国
- ヴェステラント大陸
- 北多島海に存在する大陸でミッテラント大陸の北西に位置する。
国境線も定かでなく、地方豪族が王侯貴族を名を語って割拠する紛争大陸。その豪族へセントヴォルト、ウラノスをはじめとした各国の大企業が新兵器の試作機を売りつけ、それに傭兵や飛空士が乗り代理戦争を行っている。同時にその兵器の実験、プレゼンテーションの場と化している地である。
ウラノスの勢力と空中傭兵部隊「ワルキューレ」が各地で転戦を繰り返している。
ミッテラント大陸
- 北多島海に位置する大陸で、セントヴォルト帝国、ハルモンディア皇国、ズウンジン朝が存在する。3国は緊張状態にあり、特にハルモンディアとセントヴォルトはよく小競り合いをしている。
- セントヴォルト帝国
- ミッテラント大陸の南西に位置する大国。首都はセルファウスト。公用語はセントヴォルト語。
大瀑布を挟んだ秋津連邦や国境を接する北のハルモンディア皇国などと利権・天然資源を巡り争いが絶えない。そのため常に軍備増強を行い兵を募っており、国民は重税を強いられている。国内の赤字経済を南北多島海征服にて巻き返そうとしており、近年ではハルモンディア皇国との緩衝地帯に塹壕・トーチカ・要塞など含めた巨大複合要塞「ククアナ・ライン」を完成させ、背後に憂いなく多島海征服へと動き出している。
国民は大変大らかでルールや規則も比較的ゆるい。特に恋愛方面は大変盛んである。人種は金髪碧眼が比較的多いが、赤髪、銀髪、白髪など国特有の容姿はあまりない。
北多島海にエアハント島、マウレガン島等を含む複数の諸島を領土としている。 - ハルモンディア皇国
- ミッテラント大陸の北東部に位置する大国。セントヴォルト帝国とは北の国境線が不明瞭で現在でも広大な平野を緩衝地帯として領有権を主張している。
セントヴォルト帝国のククアナ参謀将校が国境を隔てる長大な巨大複合要塞「ククアナ・ライン」を完成させたために地上侵攻が困難になってしまった。 - ズウンジン朝
- ミッテラント大陸の東部に位置する大国。セントヴォルト帝国、ハルモンディア皇国とはウンロン山脈という非常に標高の高い山々で隔絶されているうえ、多島海の争いに対しては不干渉の立場をとっていることから、他国との交流も皆無に等しい孤立主義国家。
- 秋津連邦
- 大瀑布を降りた「南多島海」に位置する大陸を治める大国。首都は箕郷。公用語は秋津語。
大瀑布を昇った「北多島海」にあるセントヴォルト帝国とは過去に幾度となく多島海征服で争ってきた。
物語開始時には領土であったメスス島がウラノスの侵攻により奪取されている。そのため軍備増強を推し進めている。
秋津連邦はその名の通り、複数の小国家や共同体によって構成されている連邦国家である。大国へ対抗するために1つの政府へ纏まったが、様々な問題を無視した結果、差別・軋轢が生まれている。
連邦は主に、東方民、央州民、西方民の3民族が主流であるが、一千年以上の対立の歴史がある為に軍部・また国民生活内にも今だ民族感情からくる問題が多発している。連邦政府は現在軍部が担っており、軍閥政治による重税を国民にかけ、それを「他国が悪い」と民意扇動している。
比較的第二次世界大戦期の日本(大日本帝国)に似ており、黄色人種に黒髪、黒目の人種が多い。また規律、軍規に厳しく、恋愛にも厳しい。そのため秋津連邦で育った少年少女の貞操観念はかなり堅いものになる。文化においてもカツ丼やとんかつなど日本食に類似するものが多い。
「南多島海」征服を目指しており、物語開始時にハイデラバード連合共同体との「ハイデラバード戦役」と呼ばれる戦争状態にある。 - ハイデラバード連合共同体
- 南多島海の島々で形成されている多島国家。首都はソンブール島にあるイズリオン。
南多島海の多くを治めており、秋津連邦及びセントヴォルト帝国の敵国。現在秋津連邦と戦争状態にあるが、ハイデラバード自体の軍事力は貧弱であり、友好関係にあるウラノスに航空戦力を外注することによって戦局を圧倒している為、セントヴォルト・秋津同盟は実質ウラノスと戦っているのが実情。
議会を掌握している与党、オルグ党党首ディジー・オズボーンはウラノスと懇意であり、ウラノスの軍事力を使うことで多島海制覇を目指す。 - シルヴァニア王国
- 南多島海のサントス島を治める王国。首都はシエラグリード。物語開始前にハイデラバード・ウラノス連合軍の侵略によって滅亡している。カラナクタ島も治めていた。
- クロスノダール
- 北多島海にあるクロスノダール人民政府が統治する国。首都はルブラ。独立国としてセントヴォルト帝国とは同盟を結んでいるが、内情は軍事力も国政も貧弱であり、殆どがセントヴォルト軍が防衛している。島内には広大なセントヴォルト人の外人居住区が存在する。
- ウラノス・ヴァシリシャス
- 現在の南北多島海侵攻をしている多数の空飛ぶ島へ都市を築いている国家。首都は空中都市プレアデス。
ハイデラバード連合共同体に自国の航空戦力、空飛ぶ島に築かれた飛空要塞を貸与することによって利権、人材、外貨、資材等を吸い上げ、国家の繁栄としている。
王政を敷いておりその元に元老院がある。また国政に発言力がある聖アルディスタ教皇府も存在する。信奉しているのは地上の「アルディスタ正教会」ではなく「アルディスタ統一教」である。この統一教に出てくる創生神話に記されている自身らの呼称が「ウラノス・ヴァシリシャス」であり、地上の教えは全て邪教と考えられている。
民族的気質は大変攻撃的であり、地上の国家の世界探索計画などを妨害し続けてきた。そのため、地上の国家は世界の構造を知ることができず、隣接する国家以外の存在も知らず、互いに断絶されている。地上の者達に対して侮蔑の目線を向けており、いずれかはアルディスタ統一教創世神話の通り、「風呼びの少女」によって天を統べるウラノスが地上国家を統べることを国家全体の最優先としている。 - 航空の軍事力は地上の国々から吸い上げた富で形成された大規模な艦隊、12の飛空要塞からなる。
なお、「飛空士シリーズ」第二作目、「恋歌」に「聖泉を守る空族」としてウラノスの「ほんの一部の艦隊」が登場しており、今シリーズで再登場し、その全貌が明らかになった。
地域・組織
- エアハント士官学校
- 多数の優秀な士官・参謀総長を輩出してきたセントヴォルト帝国において帝国一の名門かつ格式高いエリート校。帝国沖合い数十キロの小さな島に存在する。校長はヨセフ・バルトミュラー。
敷地面積はスタジアムが4つすっぽり入るほど広く、学生館、図書館、学生の操縦専用飛空場、「ビッグマザー」と呼ばれる巨大学生寮等、設備は充実しており、生徒数は約4千人。飛空科があるがその他どのような学科があるのかは不明。4年制を採用している。
課業はとても厳しいが、校則・校風は比較的自由であり、学校生活を楽しむこと、また努力することを基本としている。
週末は休日となっており、学生らはエアハント島へ遊びに繰り出したり、勉学をしたりしている。また、分隊ごとに士官室とよばれる休憩室があてがわれ、勉強したり遊んだり、また備え付けのキッチンで夜食を作ったり、夜更かし等できる。
エアハント港には常に南多島海へ行く飛空戦艦が停泊、または係留されている。 - ギムナジウム
- セントヴォルト帝国において7歳~14歳の子供が通うとされる幼年学校。秋津連邦における小学校と中学校を合体させたもの。
- ヴォルテック航空隊
- セントヴォルト帝国最強とされる戦闘機隊。航空隊飛行隊長はレオ・ローゼンミュラー大尉。帝国中の選りすぐりのエースを集めた航空隊。しかし隊員らは色々な事情をもつもので「荒くれ者」ぞろいである。
- ワルキューレ
- 旧シルヴァニア王国近衛戦闘機隊隊長のアクメドが起こした傭兵部隊。「ウラノスと戦う」ことを条件に国へ航空戦力を貸与している。主にヴェステラント大陸周辺空域をウラノス相手に戦っている。
- メスス島
- 坂上清顕の故郷で秋津連邦領。ハイデラバード戦役に備え、「オデッサ要塞」を構えていたがウラノスによるオデッサ侵攻によって焼け野原になり、物語開始時にはウラノス・ハイデラバード連合軍が統治している。
- ツルギ島
- 秋津連邦領の小島。連邦に近く数少ない連邦領島で前線基地であるツルギ基地が存在する。
- キャメロン島
- メスス島に程近いまだ人の手が入っていない島。かつてセントヴォルト帝国が入植しようとした。
- サントス島
- シルヴァニア王国が統治していた島。物語開始時にはウラノスの侵攻により滅亡し、王国の民は多島海へ散り散りとなる。
- ソンブール島
- ハイデラバード連合共同体が統治する島で首都であるイズリオンが存在する。
- エアハント島
- セントヴォルト帝国に程近い小島。島内には名門のエアハント士官学校や、新規鋭の戦艦造船ドッグなどがある。
- マウレガン島
- セントヴォルト帝国の最前線とも言える中規模の島。チャンドラー要塞を構え、帝国最強と言われるヴォルテック航空隊が配備されている。
- クロスノダール島
- クロスノダール人民政府が統治する北多島海最大の島。しかしセントヴォルトの補助をうけているため、実質セントヴォルト領といっても過言ではない。
- パトリオティス
- ゼノンが育て上げた8名からなるS級特殊工作員。特に優秀な子供100名からさらに8名になるまで鍛えられたエリート中のエリート。8名の中で序列があり上位に下位が従う不文律がある。8名はゼノンの指示のままに動き、護衛・潜入工作を行っている。
機械及び機構
- 内燃機関
- 多島海で使われている飛空機、自動車、バイクなど乗り物に搭載されているエンジン。燃料はガソリンを使用する。所謂レシプロエンジン。飛空士シリーズには今作で初めて登場する。
- 本来「内燃機関」とは、燃料の燃焼ガスを作動流体として用いる機関全般を指す用語であり、レシプロエンジン以外に、ディーゼルエンジン、ガスタービンエンジン(ジェットエンジン)、天然ガスエンジンなども内燃機関に分類される。対義語は外燃機関で、蒸気機関、原子力機関などが分類される。
- 今作では特にレシプロエンジンのことを指して内燃機関という語が用いられている。
飛空機は着陸するまで修理・補給ができないため、飛空士はエンジンについての深い知識を持つことが求められ、予備燃料の備蓄などについて気をつけなければならない。可燃性の高い燃料を用いるため、エンジンや燃料系統をやられると爆発の危険性が伴う。- 水素電池スタック
- 飛空士シリーズ全作品に登場するエネルギー源。エネルギーを消費することなく海水を水素と酸素に分解できる触媒を利用して水素を取り出し、その水素を空気中の酸素と反応させることで電力を得る。いわゆる燃料電池のことだが、「エネルギーを消費せずに海水を水素と酸素に分解する触媒」という架空の存在によって、「海水から水素を補給さえすれば無限に電力を発生し続けられる」という特徴を持つ。飛空士シリーズ前3作品では飛空機、飛空艦艇を問わずあらゆる飛空機械のエネルギー源として利用されていたが、今作で描かれる多島海地域では、触媒が非常に高価であることから使用は飛空艦艇に限定されている。
- 揚力装置
- 戦艦や大型艦船を飛行させるために底部へ設置される装置。大規模な水素電池スタックにより揚力を得ている。大瀑布を越える為には飛空機か、揚力装置のついた艦船でなければ移動できない。
秋津連邦海軍
- 村雨
- 秋津連邦海軍の主力として運用される単座戦闘機。20mm機銃と7.7mm機銃を装備する。
- 斑鳩
- 秋津連邦海軍初のターボプロップ戦闘機。セントヴォルトのべオストライクに対抗して航空技術廠が実戦投入した開発中の試作機。塗装も間に合っておらず白銀。
後部同軸二重反転プロペラ、カナード翼、主翼中央を抜くように垂直尾翼がついている。エンジンはターボプロップで最高速度は920km/h。武装は両主翼の付け根に20mm機銃2門、機首に37mm機銃1門。
セントヴォルト海空軍
- エリアドール飛空艇
- セントヴォルト帝国が誇る大型飛空艇で現在の飛空艇では最高性能を誇ると言われる。
全長25m、全幅40m、最大積載量約2t、航続距離6500km、4発の大型プロペラエンジンに両翼は上翼構造。前部、尾部、前部上方、に15mm機銃動力銃座、左右側面に15mm機銃座を備える。 - ベオウルフR4R戦闘機
- セントヴォルト海空軍が運用する主力艦載機。虻に似た機影をしていると表現される。
- グレイフォックス
- 練習機で7.7mm機銃を装備。エアハント士官学校ではこれにペイント弾を装備させ模擬空戦を行っている。
- ベオウルフ
- 単座戦闘機。セントヴォルトで運用されているようだが詳細は不明。
- べオイーグル
- 単座戦闘機。20mm機銃を搭載している。ヴォルテック航空隊へも配備されている。
- レッドゴート
- 複座式の艦上爆撃機。12mm後部旋回機銃を一丁搭載している。セントヴォルト海空軍で索敵機としても使われ、艦上とあるが陸地へも離着陸可能。
- シールセイラー
- 帝国海空軍の爆撃機。1トン爆弾1発、500キロ爆弾を2発懸吊することが出来る大型機。しかし機動性・防御力に乏しく、直掩機がいないと容易に撃墜される。
- ディオクラウス
- 護衛空母飛空艦。セントヴォルト親善艦隊旗艦。
- リヴィエール
- セントヴォルトの超弩級飛空戦艦。46cm主砲を搭載。その他詳細不明。
- レッドディア
- セントヴォルトの超弩級飛空戦艦。46cm主砲を搭載。その他詳細不明。
- べオストライクF1F
- 帝国海空軍初のターボプロップ戦闘機。戦争末期にこのままでは実戦データが得られないと危惧した航空技術廠が無理やり試作機を前線へ投入した。そのため塗装も間に合っておらず銀色の機体。
前部同軸二重反転プロペラ、翼は逆ガルウィング。エンジンはターボプロップで最大馬力2200、最高速度は850km/h。武装は翼に20mm機銃4門、胴体に15mm機銃2門。 - テオドーラ
- 帝国海空軍の新型大型爆撃機。全長30m、全幅40mの爆撃機で爆弾槽には約5トンもの爆弾を積載することができる。武装は上翼、尾部に20mm動力機銃を多数配備している。
対火性・対弾性に優れた装甲で並の戦空機では落とすことも出来ず、また高度8000m巡航可能であるため直掩なしで帰投することができる。
ウラノス
- 三式イドラ
- ウラノスの主力単座戦闘機。上に反り返った両翼から「カマキリ」と呼ばれる。両翼に機銃を4門搭載しているが詳細は不明。
- アイオーン
- ウラノスの最新鋭戦闘機。逆ガル翼に翼に20mm機銃2門、胴体に13mm機銃2門を搭載。旋回性能はべオイーグルを上回る。
- アクタイオン
- ウラノスの急降下爆撃機。
- ゴルゴナ
- ウラノスの最新鋭大型爆撃機。全長20m、全幅30mで耐火性、防弾性に優れ、15mm機銃を機体全体にハリネズミのように武装していることから「空の要塞」と言われる。
- メテオラ
- ウラノスの最新鋭夜間複座戦闘機。機上レーダー、15mm機銃4門、機首付近に32本の迎撃用レーダーアンテナを搭載。レーダーにより夜間の視野不良の中どこまでも追尾するため「夜の王」と呼ばれる。
- カルキノス
- ウラノス第九飛空要塞。多島海方面に派遣されている四つの飛空要塞の1つ。飛空場や対空砲台など多数擁し、圧倒的な制空力をもつ。主にバルセノスと作戦を共にする事が多い。
- バルセノス
- ウラノス第十一飛空要塞。多島海方面に派遣されている四つの飛空要塞の1つ。カルキノスと共に作戦を共にする事が多い。
- レオン
- ウラノス第十飛空要塞。多島海方面に派遣されている四つの飛空要塞の1つ。ジゴスと共に作戦を共にする事が多い。
- ジゴス
- ウラノス第十ニ飛空要塞。多島海方面に派遣されている四つの飛空要塞の1つ。レオンと共に作戦を共にする事が多い。
- 三式アイオーン
- アイオーンを改修しスペックアップしたウラノスの飛空機。詳細不明
- アリスアクトゥス
- 今大戦最強とされるウラノスの単座ターボプロップ戦闘機。セントヴォルトの童話「不思議な世国のアリス」から「光のアリス」、「アリス」、「魔女」と呼ばれる。機首の長いバッタにも似た胴体に、丸みを帯びた風防。戦闘機としては長い主翼から機銃が突き出ている。エンジンは2350馬力。武装は30ミリ機銃2門、17ミリ機銃2門。最高速度はべオストライクの850km/hよりも速い。
- オルテガ
- 世界初の実用ジェット戦闘機。機体名は崩御した前ウラノス皇帝にちなむ。ジェットエンジン2発を両主翼にポッド形式で懸架しており、機体形状は前から見ると三角形。武装は機首に30mmガトリング砲を1門搭載している。圧倒的な高速性能を活かした一撃離脱を得意とするが、必要に応じて格闘戦もこなす。
その他
- 大瀑布
- シリーズ全作に登場する、海を割る巨大な滝。高度差は実に1300mに達する。多島海地方では海を南北に分断しており、上段がミッテラント大陸(セントヴォルト帝国)などがある「北多島海」、下段が秋津連邦、ハイデラバード連合体、その他多くの諸島がある「南多島海」である。
この大瀑布が障害となり、セントヴォルトは南多島海へ進撃するには兵站的に不利であり、また秋津連邦が北多島海へ進出するのも同じ理由から不利となる。
飛空機及び飛空戦艦が発達した要因ともなる存在である。 - 多島海
- 4千以上もの島々と、大小合わせて300以上もの国がせめぎあう海域。大瀑布によって北多島海、南多島海に分断されており、国々の交流の障害となっている。南北多島海を行き来するには飛空機か揚力装置をつけた船舶でしか移動できない。
化石燃料や天然資源を目的に争いが耐えない地域でもあり、ウラノスがハイデラバードを通じて戦争に参加している方面でもある。
ウラノスは現在、多島海方面へ4つの飛空要塞及び機動艦隊を差し向けている。 - 聖アルディスタ
- 多島海のみならず世界中に知れ渡っている創造神。ただ宗派や教義は地域で異なり、しかし統一された教えを持っている。
ウラノスは地上の教義とは違う「アルディスタ統一教」を信奉しており、地上の正教会派とは大きく異なる。
シリーズ第一作「追憶」、第二作「恋歌」にも登場している。 - アルディスタ統一教
- ウラノスが信奉するアルディスタの教義。ウラノス・ヴァシリシャスという呼称はこの創世神話より来ており地上の「アルディスタ正教会派」には「空の一族」と表記されている。
- 神話には古代、アルディスタは天かける箱舟に乗って世界中におのれの「種子」を撒いたとされる。そして「天をすべる」ウラノスは「風呼びの少女」によって「天地を統べる」ようになるとされ、彼らは2千年以上もの間風呼びの少女を探してきた。
世界の全容もしらず曲解された聖アルディスタを崇める地上の人らをウラノスは侮蔑・軽視している元ともなっている。 - 聖泉
- 現在の多島海はその海域の征服で手がいっぱいであり、世界全容の探索は行われはしたがおざなりなもので大瀑布の先がどうなっているのかさえ知らない。それ故世界の中心にある聖泉の存在すら多島海の人達は知ることはない。
本作では名前のみの登場だが、シリーズ第二作目「恋歌」に登場した際には詳細な姿が描かれている。 - ターボプロップエンジン
- セントヴォルトと秋津連邦がほぼ同時期に実用化した、レシプロエンジンとは全く異なる構造の航空用エンジン。セントヴォルトではベオストライク、秋津連邦では斑鳩にそれぞれ搭載された。ジェットエンジンの一種であり、現実においてはターボジェットエンジンよりも後に登場しており、さらに一部の試作機を除いて戦闘機に搭載された例はない。作品中ではターボプロップエンジンが最初に実用化されたジェットエンジンであるが、そうなるに至った理由や経緯などは説明されていない。
- ジェットエンジン
- セントヴォルト帝国海空軍技術開発工廠にて開発中の、レシプロエンジンとは全く異なる構造の航空用ターボジェットエンジン。しかしこのエンジンを搭載した機体が高速飛行した際、機体周辺に超音速と亜音速の気流が同時に発生し(この状態を遷音速飛行という)安定性を失うなど、様々な問題が山積みである。ウラノスが初めて実用化を果たすが、遅れて実用化を果たしたセントヴォルトでは意外な用途に用いられることとなる。
- アリーメン
- 遠い異国の地で食べられている郷土料理「ラーメン」のことで、「アリー」という女性が作ったことからアリーメンという名称がついた。なんの変哲もないラーメンではあるが、初めて食したものは麺を口にした所から一時的に記憶をなくし、空になった容器を呆けたまなざしで眺めているか何処か天井付近を仰いでいるという事態に陥る。さらに「本能の食欲が理性を抑えて欲する」というほどの旨さで体が次から次へとおかわりを要求する。理性で抗おうとすると苦鳴をもらすほど。ある者は天使のようなものを幻視したりし、ある者は3日食べないと禁断症状が現れたりし、「料理とかそういうものを超越している」と言われる。
シリーズ第二作目「恋歌」にも登場している。
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原作
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外部リンク
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