なにわ筋線とは、南海電気鉄道および西日本旅客鉄道(JR西日本)の路線構想である。
概要
新大阪駅を起点に、大阪都心部を縦断し、難波で南海電気鉄道の路線・JR阪和線へと接続する、という路線計画。
新大阪~梅田~難波~関西国際空港を直結する路線である。
実現すれば、梅田~関西国際空港間が約30分で繋がれることになる。
JR西日本と南海電鉄の相互乗り入れ路線となる予定である。これは、現在の関西空港線と同様である。
実現すれば、南海が、初めてJR新大阪駅に乗り入れた私鉄となる。
90年代から議論が繰り返され、交通局や大手私鉄などの兼ね合いで立ち上がっては消えを繰り返した計画だったが、橋下徹現大阪府知事が就任後、関西国際空港再活性化の機運が高まったことで、2000年代後半になって急激に実現へと近づいている。
既に、大阪府・市、JR西日本、近畿運輸局、関西私鉄大手5社が、この路線の建設について合意しており、現在はルートの決定と建設費の確保が急がれている状態である。
2017年には大阪府・市、JR西日本、南海電気鉄道により2030年度の開業を目指すことで合意され、最終的に2031年春が開業目標となった。さらに阪急電鉄との乗り入れも検討されている。
経路
御堂筋の約800m西を南北に縦断している『なにわ筋』の地下を通る予定。
路線名称も、この通りの名から来ている。
既に大阪環状線内の主要な南北の通りの地下には、大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)が通っており、仮になにわ筋線が実現すれば、環状線内に、都心部を縦断する鉄道路線が6路線(御堂筋線・四つ橋線・堺筋線・谷町線・千日前線+なにわ筋線)存在することになる。
ほぼ確定した区間
の4地点。
大阪市の陸の玄関口である新大阪駅から、都心部である大阪駅を経由して、JR難波駅・南海なんば駅へ接続する予定である。なお、新大阪駅~北ヤード間はJR西日本、北ヤード~JR難波駅・南海なんば駅間は南海電鉄が事業免許を取得し、JRと南海による共同運行と言う形となる。当初はJR西日本は南海電鉄の免許取得に難色を示していたが、南海がJRに使用料を支払うことで合意した。
JR新大阪駅~北ヤード間は、JR梅田貨物線を地下化し、現在地上にある梅田貨物線を流用する案が有力。
これによって、大幅に工費を削減可能だからである。ただし、これとは別に阪急電鉄による地下新線も検討されている(後述)。
JR大阪駅の新駅については、現在行われている再開発に合わせて、JR貨物梅田駅を地下化し、現在の貨物梅田駅の地点に新たに北梅田駅(仮)大阪駅を設置する予定。なお、この駅には将来的におおさか東線も乗り入れ予定。
北梅田駅大阪駅からなにわ筋地下を南下し、JR難波駅に接続する。
既に同駅は、なにわ筋線の接続を見越してホームを地下化している。
南海については南海なんば駅は頭端式ホームとなっていることから、新たに地下ホームを建設することになっている。当初は汐見橋駅に接続して、南海高野線(汐見橋線)への乗り入れも検討されていたが、都市開発の見地から見た場合、ミナミの中心を担う南海難波駅と接続したほうがどう見ても良いと言うことや汐見橋駅接続では黒字化は困難であるとして没になった。
阪急電鉄との直通
2017年に阪急電鉄との直通が検討されていることが報じられた。十三駅に地下ホームを新設した上で十三~北ヤード間に地下新線を建設し、北ヤードで乗り換えもしくはなにわ筋線と直通するとされている。なお、なにわ筋線に直通する場合は線路の軌間が異なることから、阪急は新たな車両を用意する必要がある。
また、この地下新線を現在阪急が免許を保有している新大阪連絡線と接続させることも検討されている。
中継
JR東西線・京阪中之島線・大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)などとの乗換えが可能な中継駅を5つほど建設する予定であるが、他路線との区別化・走行時間の短縮・工費削減などの理由から、北梅田大阪~難波間には中継駅を一切作らないという構想もある。
仮に中継駅を作ることが出来れば、御堂筋線のバイパス路線としての役割も持つことが可能になると考えられるが、関西国際空港へ短時間でアクセス可能、という利点は削られていくことになる。
また、御堂筋線はもちろん、既にそのバイパス路線として存在している四つ橋線などの経営を大きく圧迫することになるため、中継駅の建設については慎重な意見が多い。
最終的に北梅田駅大阪駅~新今宮駅間に中之島駅、西本町駅、南海新難波駅を設置し、西本町駅からJR難波駅への路線を分岐させることになった。
メリット・デメリット
メリット
- 京都・新大阪・梅田から関空へのアクセス改善(+阪和線天王寺~鳳間の改良が必要)
関空快速の導入や、ラピードへのてこ入れなど、関西国際空港の利便性を上げることに苦心してきたJR西日本と南海としては、今路線の建設は、願ったり適ったりのベストな手段である。
また、伊丹空港を廃港して関西国際空港を活性化したい関西財界・大阪府・大阪市などの思惑ともがっつり一致するため、現時点で反対意見はあまり出ていない状態である。 - 同じく新大阪~梅田~難波~天王寺を結ぶ御堂筋線の混雑解消
大阪の都心部を唯一直線で繋いでいる御堂筋線は、現在、大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)の中でも群を抜いて混雑しているが、この混雑が解消されることが期待される。
もっとも、それを目的として建造された四つ橋線の立場がなくなるが……。それはデメリット参照。 - 環状線のダイヤ的混雑解消
同じく環状線であるJR山手線と違い、現在の大阪環状線は、関空快速・大和路快速・関空特急『はるか』・『くろしお』(京阪神~和歌山)などの特急や速達列車が多く乗り入れている。関東で言えば、埼京線と湘南新宿ラインと成田エクスプレスが山手線に乗り入れているような状態で、環状運転を行っている電車は、全体の3分の1以下である。
そのため、これら他路線での遅延・事故の影響を非常に受けやすく、ダイヤの混雑が起こりやすい状態にある。
が、なにわ筋線が実現すれば、これらの特急・快速系統が大阪環状線を経由せずに各路線へと乗り入れられるため、ダイヤ混雑の解消が大いに期待できる。
うっかり寝てしまって気がついたら和歌山、という事態に遭遇しなくて済むようになるかも知れない。
ただ、現状において関空・紀州路快速は大阪駅直結・東海道線乗り換えの需要が高く、北梅田駅経由にすることでこれらの利便性の低下を招いてしまう恐れがあることや、快速系統がなにわ筋線内の各駅に停車(今宮駅のみ通過)すると環状線経由(快速運転の場合)と同じ所要時間となる見込みであり、速達性の面でも優位に立てないため、特急だけなにわ筋線へ逃がして快速系統は原則的に大阪環状線経由のまま維持される可能性も考えられる。
その他、OCATなどの再活用、あるいはバブル最大の負の遺産とさえ呼ばれたりんくうタウンの再活性化なども期待できるが、何より大阪北部と南部のイメージ距離が縮まることが大きい。
橋下知事はこの路線について「必要不可欠」と断言しており、 関西財界全体でも、この路線に対する期待は高まっている。
デメリット
- 大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)の財政圧迫
赤字経営の続く四つ橋線・千日前線の運営を圧迫することが予想されている。また、Osaka Metroのドル箱路線である御堂筋線の利益が減退することも予想されている。
そもそも、四つ橋線は御堂筋線のバイパス路線として建造されたものだが、梅田にせよ難波にせよ妙に乗換えが不便であったことで、御堂筋線の混雑を解消できずにいる。
ちなみに、四つ橋線のトンネルは第三軌条であるため、流用は不可能である。 - 南海の負担が大きい
仮に梅田貨物線を流用した場合、北梅田駅~JR難波駅間の開通、北梅田駅の新設のみで住むJR西日本と違い、南海はJRに対して駅・路線の使用料を払わなくてはならない。
難波以南は、JR・南海それぞれで関空までの路線を持っているが、北梅田以南はJRしか路線を持っていないため、仮に新大阪駅まで南海が乗り入れることになった場合、JR路線への片乗り入れになり、南海側の負担が大きくなってしまう。
かといって北梅田駅までで止まってしまえばこの路線の魅力は半減するに等しい。
JRに比べ、南海は越えなくてはならないハードルが多い。
→これについては北梅田駅大阪駅~JR難波駅・南海なんば駅間は南海電鉄の路線とすることで一応解決している。
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