ねずみ男とは、ゲゲゲの鬼太郎に登場する主要な架空のキャラクターの一人で、半妖怪である。
その他の意味
本キャラクターを由来としたアップロード者は「ねずみ男(アップロード者)」を参照。
概要
自称ビビビのねずみ男。鬼太郎の親友(悪友)。自称怪奇愛好家、怪奇研究家。300年以上も生き続けている半妖怪で、ローブを纏ったその姿はインド乞食と呼ばれることも。
原作墓場鬼太郎では「下宿屋」より登場する。(ちなみにこの頃は今よりもネズミっぽい顔だった)鬼太郎一家との出会いは作品によって異なり、かつては同窓生だったというものまである。
鬼太郎の仲間ではあるが、仲間意識があるとは言いがたく、常に強い方や儲かる方の味方である。
目玉おやじ「おいねずみ男 おまえ敵なのか味方なのか」
ねずみ男「いまは味方だ」
という会話は、ねずみ男の立ち位置をよく表している。
鬼太郎を親友だと言ってはいるものの、自分の命や金儲けのこととなると平気で裏切る。
むしろ自身の目的のためならば時には鬼太郎を殺すために手を尽くし、「毒を盛る」「ウソをついて敵の元へ誘き出す」「奈落の底に突き落とす」「自殺へ誘導する」など、本当に鬼太郎を殺しかねない展開も多く見られた。
歩く不衛生とも言うべきほどの汚さで、風呂はまるで入っていないうえ、とても苦手意識を持っている。
(しかし温泉に向かうエピソードはたくさんある)
そのため彼が近づくだけで周囲は悪臭に悩まされるのだが、鬼太郎達は慣れているのか鼻を塞いだりすることはない。
他のメンバーと比べると戦闘力に乏しく見えるが、口から吐き出される口臭とロケット噴射のようとすら例えられるほどの屁など、実は強力な武器をいくつか持つ。
また、これは敵に放たれることが少ないものの、「ビビビ!」という効果音による強力なビンタもある。これがビビビのねずみ男の由来でもある。
敵にも味方にもなるキャラクターだが、当時の子供達からは敵役とみなされがちだったのか、アニメにおいて大塚周夫がこのキャラクターを演じていることを大塚明夫が少年時代クラスに打ち明けたところ、「ねずみ小僧」「小ねずみ男」などとからかわれることがあったという。
このように救いようのないキャラクター性をもつが、こうなったのは鬼太郎親子と会うまでは人からも妖怪からも蔑まれてきたという悲しい過去が背景にある。ねずみ男を演じた大塚周夫も、「人間でも妖怪でもお化けでも何でもない存在だから行く場所がなく孤独化して、寂しいからどんどん性格が悪くなっていく」という趣旨のキャラクター分析を行っている。
こうした事情を汲んでからか、鬼太郎は時に激怒して厳しい制裁をくわえたり絶交宣言をすることはあるものの、ねずみ男の悪事を大抵は許してあげている。
一方で目玉おやじはねずみ男が大嫌いで、顔見ればすぐ罵るようなパターンが多い。もっともこれはねずみ男が余計なことを口走ったり、ろくな行動を起こさないためのことであるから仕方ない。
水木しげるにとって、ねずみ男はゲゲゲの鬼太郎では唯一のお気に入りキャラクターであり、鬼太郎以外の怪奇短編にもスターシステムのような形でよく登場する。その場合ヒゲがないことが多い。(彼だけが登場する作品を集めた「ねずみ男の冒険」という文庫本が存在する。)
そのような作品でも大概は詐欺師など悪役であることが多いが、中には神様、フランスから来た腰巻き(昔の女性用下着)デザイナーの「カルダン」、フランス兵の「カルダン」、上忍、俳諧師、バーテンダー、悪徳議員(ただし、ゴミ処理場の臨時職員の妄想内キャラ)など、多彩な立場で登場している。
アニメでの活躍
アニメ版ではその悪辣な個性は若干押さえ気味だが、鬼太郎をよく裏切るという展開には変わりない。
第一期&第二期
第一期の第二話から登場。鬼太郎のことを都合よく「親友」と呼びながら、都合が悪くなるとすぐに裏切る。
演じた大塚周夫の深く作りこまれた演技(大塚明夫談)は、演じている周夫をして「間違いはない」と断言されるほど。
原作同様、この頃はしばしば鬼太郎家に居候していた。
時代がまだ今よりも自由だったこともあり、鬼太郎を裏切る方法も近代より迷いがない。
中には鬼太郎を自殺に追い込んだり、助けると見せかけて奈落の底に叩き落すという酷いパターンすらある。
それでも許してくれる鬼太郎は、まるで仏様のような優しい友人だとしかいいようがない。
第二期では、社会風刺を取り込んだ作風から、死神と並んで彼をメインに進行する話も多く作られている。
衣の色が原作と異なり灰色。この方針は後の第三期でも引き継がれている。
ただし第一期では白っぽくなっており、原作の黄色を彷彿させる設定となっていた。
第三期
すぐに裏切るという点では前シリーズと変わりはない。衣の色は若干青成分が加えられたカラーに。
しかし、鬼太郎の性格が以前よりも正義感が強い設定なので、ねずみ男の断罪シーンが歴代でもかなりすごいことに。
ヒロインの夢子ちゃんに恋しているという設定から彼女が絡むと変にやる気を出すこともしばしば。
また、カロリーヌとの一件は、ねずみ男悲恋物語の一つとして語り草となっている。
この頃になると自分でちゃんとした事務所をどんどん構えたりとある程度自立するシーンがよく見られた。
なお、普段あまりアドリブを入れない富山敬がアドリブをよく挟み込んでいたという、珍しいキャラでもある。
第四期
千葉繁の怪演により、妙にテキ屋ぽかったり、人情話が多かった時代。
時代にあわせてねずみ男の収入方法も変化し、ボロ儲け話だけでなく普通にバイトするエピソードも見られた。
さらに、三期にも増して切ない単発の悲恋回があったりする。
今期からは鬼太郎とともに行動する機会は激減している。
よって、事件先でねずみ男が絡んでいたためにバッタリ再会というパターンへと変化する。これは五期以降でもほぼ同じ。
そのため一切登場しないエピソードすら生まれてしまったが、レギュラーの地位は外していない。
衣の色が初めてアニメでは黄色となり、以降アニメのねずみ男は黄色ということが定着した。
第五期
実質レギュラーから準レギュラーに格下げされた。
しかし、鬼太郎を裏切ることがほとんどだったねずみ男が、歴代随一の友情を見せるなど、友達思いな性格に。
高木渉は第四期で偽ねずみ男をやっていたことがあるが、これが起用に繋がったどうかは定かではない。
準レギュラーということもあり、クレジットも猫娘の下へと初めてのランクダウン。
未登場エピソードもかなり多く、登場してもすぐ妖怪の餌食になって出番終了ということもしばしば。
しかし本作においても正義感が強めな鬼太郎にあって、ねずみ男だけは特別らしく、悪行を働いても「しょうがない奴だ」とばかりに意外にあっさり許してもらえる話もあり、長い付き合いからくる友情が垣間見えるところも多かった。
初代ねずみ男の大塚周夫が演じる白山坊と絡む回もよく見られた。
墓場
映像化作品としては36年ぶりとなる大塚周夫のねずみ男。
それまでにまんがビデオなどで演じる機会はあったものの、この再起用は感慨深いものがあったようだ。
ちなみに、黄色の衣のねずみ男を大塚周夫が演じるのは本作が初めてだったりする。
原典ということもあり、鬼太郎とは友人という関係を築きあげてはいない。
鬼太郎からもトコトン嫌われており、会えば互いに憎まれ口を叩き合っていた。
怪奇愛好家という自称の肩書きは伊達ではなく、怪奇なものを探求するのには懐の銭を惜しまない。
最終回のラストシーンでは仲良く並んで終了するなど、後の展開に通じる終幕となった。
第六期
衣装の色が3期以前の青寄りのねずみ色に変わった。人間と妖怪のハーフであることをかなり強調しており、その生まれを誇りに思っているように語る事もあれば、「妖怪からも人間からも鼻つまみ者なんだよ 俺は」とその生まれと、半妖怪ゆえ戦う力の無いことに強いコンプレックスを垣間見せる事もある。
主に妖怪を使った大規模なビジネスを展開して一度は成功するが、欲深い人間がねずみ男の思惑を超えて身勝手な行動をした結果、利用していた妖怪が暴走してしまい、鬼太郎に助けられるオチで締められる事が多い。ねずみ男も友人として鬼太郎を身を呈して助けたり、精神的に追い詰められ戦意喪失した鬼太郎を殴り飛ばして叱咤し喝を入れる事もある。
歴代でもかなり皮肉屋で毒舌家な傾向が強い。基本的には妖怪にも人間にも冷めた視点を持っていて、他者に情を見せるという描写はほとんど無い。その一方で鬼太郎ファミリーには心を許している描写が目立ち、ファミリーにも比較的大事にされており、恒例だった鬼太郎を裏切る行為すら今期は激減している。
ただ終盤で「裏切る」という行為が物語で大きく関わる事になる。
声優の古川登志夫は5期のオーディションでねずみ男を受けたが落ちており(5期では鬼太郎の兄貴分ポジションである蒼坊主を演じている)、今回念願かなってのねずみ男役となった。
実写、ゲームなどでの活躍
月曜ドラマランド
演・竹中直人
魔笛エロイムエッサイム
演・うえだ峻
松竹実写映画版
演・大泉洋
コナミゲーム版
妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活
鬼太郎らとともにゲストキャラとして出演。満を持して大塚明夫氏が父の演じた役を演じた。
鬼太郎を知らなかった主人公を騙して小金をせしめようとするがめつさを見せる一方で、自らの依頼を済ませるも妖怪退治は主人公らに託し、早々に引き上げようとする鬼太郎に対して、「ここはあいつらに恩を売っておいた方がいいんじゃないのか?」と彼なりに手助けを提案するような様子も見られた。
モチーフにした人物
ゲゲゲの女房に登場する浦木克夫(演・杉浦太陽)は、このねずみ男をモチーフにした登場人物である。水木しげるの少年時代の親友ということになっており、彼の人間性をねずみ男に用いたという独自の設定を利用している。
実際のモデルは水木しげる自身の性格と、貸本時代の先輩漫画家・梅田栄太郎であるとされている。ちなみに梅田は画業を諦めて印刷業に転身し、成功を収めて楽な生活を手に入れたという。
出自と家族
ねずみ男の出自については、エピソードによって設定が変わり、はっきりとしてない。ネズミの妖怪と人間のハーフとも、無人島のはずのネズミの島に生まれたネズミ人間とも、現世とあの世の境に住むねずみ男族の出とも言われる。
家族については、原作「鬼太郎地獄編」で母のマミが、短編「不思議な手帳」にて妹のねずみ女が登場する。
関連動画
関連コミュニティ
関連項目
- 8
- 0pt