のと鉄道とは、石川県鳳珠郡穴水町に本社を置く鉄道事業者(第三セクター)である。
概要
会社設立は昭和62年(1987年)4月。当時の国鉄能登線が「第3次特定地方交通線」での廃止対象路線に認定され、JR西日本に継承後廃止される所を、地域交通の存続維持を目的として昭和63年(1988年)3月にのと鉄道が継承し鉄道営業を開始する。
出資比率では石川県が全体の約1/3を出資し、沿線自治体分を含めるとその比率は約45%に及ぶ。
能登線単独営業時代は列車の増発等の増収策が功を奏し収支も順調に推移していた。1991年(平成3年)9月にはJR七尾線電化開業(津幡~和倉温泉間)に伴い、非電化区間(和倉温泉~輪島間)をのと鉄道がJR西日本より営業継承したことにより、総延長キロが100kmを上回る路線を保有するに至った。しかし、継承した七尾線非電化区間についてはJR西日本が「第3種鉄道事業者」として線路等の施設を保有し、のと鉄道は「第2種鉄道事業者」として自社車両を運転する方式としたため、施設使用料を毎年JR西日本へ支払う負担が発生したことに加え、石川県能登地方の道路整備が進んだこと、そして沿線人口の過疎化が深刻化したことなどで収支は悪化の一途を辿る。
特に深刻だったのが七尾線の穴水~輪島間で、営業係数が200を上回る(100円を稼ぐのに必要な経費を計数化したもので、100を上回れば収支はマイナスとなる)非効率な収支が続いた結果、2001年3月末で同区間が廃止された。営業開始当初から保有していた能登線も、収支悪化が影響して2005年3月末で全線廃止となった。
現在は七尾線の七尾~穴水間の約33.1kmで鉄道営業を行っているが、前述の通りJR西日本が線路施設を保有している状態に変わりはなく、自社の線路を保有しない鉄道事業者に至っている。
路線一覧
能登線
1988年にJR西日本から分離された区間であったが2005年に廃止されている。のと鉄道は初期はこの路線の運営のために設立された会社である。詳細は能登線を参照。現在は地元の企業が土地を買い取り線路を敷きなおす形で奥のとトロッコ鉄道が運営されている。
七尾線
1991年の七尾線和倉温泉駅以南電化に伴いJR西日本より分離された石川県七尾市の七尾駅から鳳珠郡穴水町の穴水駅までの路線である。かつては輪島市の輪島駅まで路線が延びていたが、前述の通り2001年に廃止されている。
七尾~和倉温泉間はJRとの共用区間であるが、JRは特急列車のみ運行しており、普通列車は全てのと鉄道が運行している。
かつては全線走破する急行列車が金沢駅より運行されていたが、2001年に穴水駅以北での運転を取りやめ2002年には能登線に乗り入れていた急行列車自体が廃止となっている。その為、七尾~和倉温泉間を除き全て普通列車での運転となっており、下り1本が能登中島駅で七尾駅方面に折り返す他は七尾~穴水間の運転となっている。
2015年3月14日に北陸新幹線が金沢まで開業したことを機に、観光客誘致のため、同年4月29日より観光列車「のと里山里海号」(2両編成)の運行を開始。眺望が良い区間での減速または一時停止、途中駅でのミニイベントに参加できるように約10分間停車、アテンダントのお出迎え・お見送り、観光案内、車内販売、記念撮影サービスなどを実施しており、このほか食事付きコースも設定されている。
平日は団体旅行客向けの貸切運行とし、土休日など多客期は個人客も利用可能となるように定期運行(2~3往復)となる。
2024年1月1日の令和6年能登半島地震により穴水駅で駅本屋損傷、レール断裂、穴水駅~能登鹿島駅間で土砂災害、レールの湾曲、西岸駅で駅本屋とホームの損傷、信号機の傾き、西岸駅~能登鹿島駅間で路盤の損傷等の設備損傷が出ており全区間で運休していた(国土交通省 被害状況位置図等)。RAIL-FORCEによる全容把握が行われたが、前述の通り線路施設はJR西日本保有であり復旧するかどうかは下を持つJR次第でもあるため、被災当初は運転再開見込みは立っていなかった
(参考:日テレNEWS
)。
その後、JR西日本が復旧工事に着手することとなり、七尾駅~能登中島駅間が2月15日に運転再開。被害の大きい能登中島駅~穴水駅間は復旧工事を行い4月5日に花咲くいろは等のラッピングを施している編成にて軌道確認の試運転を実施し4月6日に運転を再開した。
「花咲くいろは」関連
2011年に放送されていた花咲くいろはに登場する湯乃鷺駅のモデルが当路線の西岸駅であった事から、2011年7月23日より10月10日まで一部普通列車の車内アナウンスが花咲くいろはバージョンとなっていた。
(当初は9月30日までの運用予定だったが前日行なわれたぼんぼり祭りに参加した人が聴けるように期間を延長した)。
2012年3月24日にNT201号車をアニメ花咲くいろはのラッピングを施し、オリジナルヘッドマークを取り付け車内放送をリニューアルして運行を開始した(西岸駅の穴水方面側1箇所の駅名標も「湯乃鷺駅」に掛け替えられた)。
当初は5月6日までの運用予定だったが好評に付き、現在でもラッピング車両及び日中の一部の時間帯のみ花咲くいろはバージョン車内アナウンスが運用されている。
尚NT201号車のラッピング列車運行は2014年10月13日をもって終了した。
2013年3月9日に花咲くいろは劇場版映画HOME SWEET HOMEの石川県先行公開に合わせNT202号車を
花咲くいろはHOME SWEET HOME号ラッピング列車として運用を開始した。
(3月29日までは車内放送を2011年度の車内放送第一弾復刻版で運用し3月30日より2013年新バージョンの車内アナウンス及び車内装飾を実施)
2014年8月1日よりNT203号車に花咲くいろは及び富山県南砺市城端がモデルのtruetears、福井県坂井市三国町がモデルのグラスリップのキャラが描かれた新デザインのラッピング列車が運行開始した。
(花咲くいろはバージョン車内アナウンスはラッピング車両のみの運用)
NT201号車の花咲くいろはラッピング車両は2014年8月31日をもって運行終了予定であったがファンの強い延長要望により2014年10月13日まで延長された。
(全国から約100件の延長を要望する手紙や要望書が届いた事と第4回湯涌ぼんぼり祭りに来る参加者が乗車出来るように配慮したと思われる)
2016年10月8日にNT204号車に新ラッピングを施した車両が運行しこれまで運行してきたNT203号車の
ラッピング運用は第6回湯涌ぼんぼり祭り翌日の10月10日にて終了した。
なお運用最終日となった10月10日にはNT202、NT203、NT204のラッピング列車3両編成が一往復
運用された(関連動画参照)
ラッピング列車目当てに来られる方は事前に外部リンクの公式HPにて運行日を確認してください。
花咲くいろは車両アナウンスが収録されたオリジナルCD(2011年度版・2012年度版・2013年度版)が
一枚500円で穴水駅で販売中(通信販売は行なっていません)。(販売は終了しました)
駅名一覧
電 化 状 況 |
J R 特 急 |
普 通 列 車 |
駅名 | ■乗り換え ○備考 | 所在地 |
---|---|---|---|---|---|
電 化 |
● | ● | 七尾駅 Nanao |
■JR西日本 七尾線(羽咋駅・津幡駅・金沢駅方面) ○2002年まで急行能登路の停車駅 |
七尾市 |
● | ● | 和倉温泉駅 Wakuraonsen |
■JR西日本特急(大阪駅・名古屋駅・越後湯沢駅方面) ○2002年まで急行能登路の停車駅 |
||
非 電 化 |
● | 田鶴浜駅 Tatsuruhama |
|||
● | 笠師保駅 Kasashiho |
||||
● | 能登中島駅 Nato-Nakajima |
○2002年まで急行能登路の停車駅 ○郵便客車オユ10 2565の保存駅 ○花咲くいろはに登場する小松崎駅のモデル |
|||
● | 西岸駅 Nishigishi |
○花咲くいろはに登場する湯乃鷺駅のモデル | |||
● | 能登鹿島駅 Noto-Kashima |
鳳珠郡穴水町 | |||
● | 穴水駅 Anamizu |
○2002年まで急行能登路の停車駅 ○2005年までのと鉄道能登線と接続 |
|||
能登三井駅 Noto-Mii |
○2001年に廃止 | 輪島市 | |||
能登市ノ瀬駅 Noto-Ichinose |
○2001年に廃止 | ||||
輪島駅 Wajima |
○2001年に廃止 ○跡地は道の駅輪島 |
||||
シベリア Siberia |
○輪島駅跡にある駅名標に書かれている隣駅 | ロシア |
関連動画
外部リンク
- のと鉄道株式会社-TOP
- のと鉄道「花咲くいろは」車内アナウンス車両運行時刻のお知らせ
(ダイヤ改正前の時刻の為ズレがあります)
- のと鉄道株式会社Facebook
- のと鉄道運転士「のとてつ5828」の乗務日誌
(のと鉄道現役運転士のブログ)
関連項目
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