のぼうの城とは、和田竜による歴史小説。石田三成による忍城攻めを描く。また、その映画版。
あらすじ
豊臣秀吉の天下統一が目前に迫った戦国時代末期。唯一秀吉に抵抗していた小田原の北条氏配下にあった成田氏の治める忍城の城下で、当主の従兄弟・成田長親は「でくのぼう」を略して「のぼう様」と呼ばれ領民に親しまれていた。
そんな忍城のもとに、石田三成率いる豊臣軍2万強の兵が迫る。領民を加えても僅か数千の兵力しかない忍城におよそ勝ち目はなく、小田原城に向かった当主・氏長からは豊臣軍への内通が命じられていた。が、豊臣軍の使者・長束正家の無礼な振る舞いに、急遽総大将となった長親は籠城戦を決断する。
士気の高い成田軍に、豊臣軍は思わぬ苦戦を強いられる。石田三成は、かつて見て憧れた備中高松城の戦いのように水攻めで忍城を落とそうと決めるが、それに対して長親が選んだ奇策とは――。
概要
2007年、小学館から刊行。2010年に小学館文庫から上下巻で文庫版が出ている。単行本・文庫版とも装画はオノ・ナツメ。
もともとは『忍ぶの城』というタイトルで、2003年の城戸賞を受賞した脚本。これを映画化を前提に作者の和田竜が自ら小説化したものである。和田竜にとっては小説デビュー作。第6回本屋大賞2位、第139回直木賞ノミネートなど高い評価を集め、ベストセラーとなった。
作品の内容は基本的に史実に基づいており、それまでにも同じ忍城水攻めを題材にした作品はあったものの(例:山田風太郎『風来忍法帖』、風野真知雄『水の城 いまだ落城せず』など)、本作の大ヒットにより、戦国時代の合戦の中でもマイナーだった忍城の戦いや、ほとんど全く知名度がなかった成田長親が広く知られることになった。
『美味しんぼ』の花咲アキラによる漫画版も存在する。なんで花咲アキラ? また、甲斐姫を主役にした木嶋えりん作画のスピンオフ『涙切姫~のぼうの城 甲斐姫外伝~』も出ている。
映画版は犬童一心と樋口真嗣のダブル監督、野村萬斎主演。配給は東宝。2012年11月2日に公開され、2週連続週末観客動員1位になるなど、興行収入28億円超のヒット作となった。当初は2011年秋に公開される予定だったが、水攻めのシーンが東日本大震災の津波を想起させるため、公開が丸1年延期になり、水攻めのシーンにも修正が入ることになった。
主な登場人物(カッコ内は映画版のキャスト)
成田家・忍城領民
- 成田長親 (野村萬斎)
- 正木丹波守利英 (佐藤浩市)
- 柴崎和泉守 (山口智充)
- 酒巻靭負 (成宮寛貴)
- 甲斐姫 (榮倉奈々)
- 成田氏長 (西村雅彦)
- 成田泰季 (平泉成)
- 珠 (鈴木保奈美)
- たへえ (前田吟)
- かぞう (中尾明慶)
- ちよ (尾野真千子)
- ちどり (芦田愛菜)
- 明嶺(和尚) (夏八木勲)
豊臣軍
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映画
関連項目
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