『はてしない物語』(Die unendliche Geschichte)とは、ドイツの児童文学作家で知られるミヒャエル・エンデ(Michael Andreas Helmuth Ende)によるファンタジー小説である。1979年刊(日本語翻訳版は1982年刊)。
概要
- 主人公の少年バスチアン・バルタザール・ブックス(Bastian Barthasar Bux)が少年アトレーユ(Atréyu)に移入して異世界ファンタージエン(Phantásien)に迷い込むための小道具が「街角の古本屋に置かれたあかがね色で布張り、中央に尾をくわえた蛇の紋章が捺されている『はてしない物語』という本」であり、実際の装丁は書体に至るまでこの小道具に沿われている。これにより読み進めるにしたがい読者を単なる傍観者ではなく、あくまで当事者の主人公として物語に引き入れることに成功している。廉価なソフトカバー分冊版も存在するが、できればエンデ自身が拘りに拘り抜いた原書の装丁を忠実に再現したハードカバー版をオススメする。
- エンデは1995年に亡くなっているが、2000年代前半にドイツの作家達がファンタージエンをシェアードワールドとして続編や外伝を執筆し「ファンタージエン伝説」(Die Legenden von Phantásien)として6冊が出版された。日本では「ファンタージエンシリーズ」として邦訳が出ている。
- ファンタージエン 愚者の王(Der König der Narren)/ターニャ・キンケル(Tanja Kinkel)2003年刊/邦訳 '06年刊
- ファンタージエン 夜の魂(Die Seele der Nacht)/ウルリケ・シュヴァイケルト(Ulrike Schweikert) 2003年刊/邦訳 '07年刊
- ファンタージエン 秘密の図書館(Die geheime Bibliothek des Thaddäus Tillmann Trutz)/ラルフ・イサウ(Ralf Isau) 2003年刊/邦訳 '05年刊
- ファンタージエン 反逆の天使(Die Verschwörung der Engel)/ヴォルラム・フライシュハウアー(Wolfram Fleischhauer)2004年刊/邦訳 '08年刊
- ファンタージエン 忘れられた夢の都(Die Stadt der vergessenen Träume)/ペーター・フロイント(Peter Freund) 2004年刊/邦訳 '06年刊
- ファンタージエン 言の葉の君(Die Herrin der Wörter)/ペーター・デンプフ(Peter Dempf) 2004年刊/邦訳 '07年刊
映画『ネバーエンディングストーリー』(The NeverEnding Story)シリーズ
- 第1作は1984年に公開。前年に『フラッシュダンス』でアカデミー歌曲賞を獲得したジョルジオ・モロダー(Giovanni Giorgio Moroder)作曲のBGMと、元カジャグーグーのヴォーカリストのリマール(Limahl)が歌う主題歌(日本語版は羽賀研二が歌っていたが、何故か夜の都会を黒いバイクでかっ飛ばすあんちゃんの歌になっている)が印象的である。
- だが、都合により削除・改変されたエピソードやキャラクターが多い。またエンデが出した要求の多くが無視され、原作者なのにスタジオ見学すらさせてもらえなかったという。特にラストシーンはエンデの原作とは180度かけ離れたものとなっており、彼はこのシーンを削除するよう裁判を起こしたが、映画制作側に契約上の不備が無かったために敗訴。結局、クレジットからエンデの名前を外すことで和解が成立するという残念な結果になった。ともあれこの映画はヒットし、独自のストーリーによる続篇も2本作られ(監督は毎度交代)、皮肉にも原作本もかなり売れた。
- ハリウッド式メジャー路線で作られ1990年に公開された2作目『ネバーエンディングストーリー第2章』(The NeverEnding Story II: The Next Chapter)では1作目での反省もあってか、舞台をアメリカ西海岸にするなどストーリーこそ独自の展開だが、テーマは概ね原作に沿うもので実質的に第1作のリメイクとなっており、エンデもそれなりに評価している。
- 1994年公開の3作目『ネバーエンディングストーリー3』(The NeverEnding Story III: Escape from Fantasia)に至っては『ドラゴンボール』の実写映画と原作漫画くらい違うと思ってもらってかまわない。低予算・低興行収入映画であり、ジョークも多く前2作のパロディ映画と言った方がいい。あと、ソフト版の吹き替えキャストのアレさについてはウィキペディアを参照のこと。
- というわけで、いずれもエンターテインメントとしてはSFXやVFXが駆使されている(3作目は除く)それなりの力作ではあるが、文芸作品としては原作とはきっちり分けて評価する必要がある。
- ファルコンは原作・ドイツ語版ではフフア(Fuchur, 福竜の日本語読み「ふくりゅう」に由来)、英語版ではファルカー(Falkor)。エンデのイメージでは東洋の神秘的な竜だったようだが、映画では何故か巨大な胴長の白犬に。映画の宣伝には彼の映像がよく使われ、彼観たさに映画館を訪れた方は少なくないだろう。
……けれどもこれは別の物語、いつかまた、別の時に話すことにしよう。
あらすじ
内気な主人公が本の世界で無敵アイテムをゲットして俺TUEEEEしてたら帰れなくなってなんやかんやあったのちに親父と仲良くなる話。
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関連項目
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