「へそ天」「ヘソ天」とは、お腹を天井に向けて寝ている様子である。別名「開き」。
概要
猫や犬など愛玩動物の姿態について言い表すことが多いが、人間にも使われる。
野生の動物は、外敵に襲われるか危険性があるため、このような状態で寝ることは少ないと思われる。お腹を空に向けた無防備な状態では、外敵からの突然の攻撃に対処できないため、反撃がしやすい背中を丸めた状態で眼を瞑っている。
また、飼われていても警戒心が強い動物はへそ天では寝ないと思われる。そのため、へそ天は絶対に襲われることはないという安心感の証、周囲の者への信頼感の証とも言える。単に警戒心に欠ける楽天的な性格とも言えるかもしれないが。
寒いときにこういった姿勢を取ることは少なく、暖かい~暑い時期に行うことが多いという意見もあるようだ。
起源
明確な起源ははっきりしていない。
ブログサービス「はてなダイアリー」が2005年9月6日に公式ブログで発表[1]した「はてなダイアリーキーワードから『現代用語の基礎知識2006』に収録予定となった105キーワード」の中に「ヘソ天」があり、「この頃に、それまでよりも広い範囲に伝わった」とは推定できる。
だがそれ以前からの使用例はもちろんあり、例えば俳優・声優の「遠藤憲一」の公式サイト内、飼い犬に関する2001年のページにて「エレキは本日ヘソ天で眠りこけています。」という記載がある。[2]
「国立国会図書館デジタルコレクション」で「へそ天」や「ヘソ天」で調べると西暦1950年代や1960年代には既に「仰向けで何もせず寝転がっている」という意味で使用されていた例が複数確認できる。ただしこの頃は、現在とは異なり主に人間について表現するときに使用されていたようだ。
もつとも、毎日ヘソ天で、天井とにらめつこしている身では、今さら祝いでも息ぬきでもあるまいから、誕生日を思い出すなんて身に過ぎたゼイタクと遠慮していたのかも知れない。[3]
新聞社には年に三回の休刊日というのがあるが、実際にその恩恵に浴せるのは交替勤務のできる本社勤めか、地方ではせいぜい支局までの話である。この三日は、たしかに新聞社の輪転機もストップする。最近はかなりの大事件が起っても、ラジオとテレビがあるから号外さえ出さない。日ごろいそがしい記者諸君も、だからこの日だけはシリに帆かけて遊びにもゆけるし、それこそ"ヘソ天"で寝てもいられる――と思ったら大間違い。そのラジオ、テレビのニュースだって、日本では、ほとんど新聞社の提供である。[4]
ちなみに、この頃には人間の「座るとヘソが上を向くような体型」、つまりある程度恰幅のよい体型について言い表している用例もある。偉人となり長寿を成す一種の「吉相」として記されているようだ。
初期には人について言い表していた「へそ天」「ヘソ天」が、犬や猫の姿態を言い表す言葉として変化して広まったことには何かきっかけがあった可能性もあるが、明確なところは不明。
関連動画
関連静画
関連項目
脚注
- *『現代用語の基礎知識2006』掲載キーワード発表 - はてなダイアリー日記
- *www2u.biglobe.ne.jp/~ENS/kosodatekiD-1.htm
- *『保健同人』1954年11月号、「病床に綴る手紙」
- *菅野長吉『地方記者 (コンパクト・シリーズ) 』1963年
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