みかん(蜜柑)とは、ミカン科ミカン属の植物、またその植物の実部分の事。日本でみかんと言えば、ほぼウンシュウミカン(温州みかん)の実を指す事が多い。この記事では主にウンシュウミカンに付いて解説する。
曖昧さ回避
- その他の「みかん」については「みかんを含む単語の一覧」の記事をご覧ください。
概要
ニコニコ大百科:植物 ウンシュウミカン(みかん) |
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分類? | ムクロジ目ミカン科ミカン属 | |
学名? | Citrus unshiu Citrus→シトロンのラテン語古名 unshiu→日本語名から |
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ミカン科 Rutaceae? | ||
このテンプレートについて |
ウンシュウミカンは植物としては木に分類される。
その木に成る果物は、日本の代表的な果物とされ、単にみかんと呼べばそれを指す事が多い。原産が鹿児島県長島と推測される事から、欧米では"Satsuma"と呼ばれ、手でむけ簡単に食べられることからかなりの人気がある(テレビを見ながら食べられるので"TV orange"とよばれるというのはガセネタ)。
ウンシュウミカンの名は、柑橘類が有名な中国浙江省の温州(ウェンジョウ・うんしゅう)のイメージにちなんだもので、直接の関係はない。
果実
みかんの皮をむくと中に8-18個の袋(じょう嚢)があるが、これには通常種がなく、薄皮ごと生で食べられる。袋の外側には一般に「すじ」とよばれている部分があるが、正式には「アルベド」といい、食物繊維が豊富。
薄皮をむくと多数のいわゆる「みかんの粒」があるが、これは「砂じょう」といい、果汁が中に詰まっている。
缶詰のみかんの薄皮が余りにもきれいに剥かれているのは、薄い塩酸につけて軟らかくしてから剥いているからである(塩酸はその後同濃度の水酸化ナトリウムで中和するので健康上の問題はない)。物騒な名前が出てくるが、塩酸と水酸化ナトリウムを中和させるとただの食塩と水になるというのは化学の常識である。
食用
生食が最も定番であり、子供の指でも剥けるという皮の剥きやすさが最大の魅力である。ただ、すじやふくろを呑み込むのが苦手という人も多かったが、近年はすじやふくろがだいぶ薄くなっており、呑み込みやすくなっている。また、昔は種も混ざることがあったが、今日種はなくなっている。
また、加工品としては果汁が豊富なのでジュースやゼリーなどに好まれる。産地なら持て余したみかんを毎朝搾ってフレッシュジュースに…ということも珍しくない。
凍らせて冷凍みかんとして食べることもあるが、これは学校給食でおなじみのデザートである。ジュースや缶詰にも加工される。ジュースの世界において、粒がたくさん入っていることは一つのステータスである。
みかんの皮を乾燥させたものを陳皮といい、これは七味唐辛子の材料の一つで、漢方薬にも用いられる。また「マンダリン」の名でカレーなど香辛料にも利用されることもある。陳皮といえば筑波山麓の福来みかんが知られるが、厳密には「カラタチ」である。
みかんを食べる前に、揉んだりお手玉したり自転車のカゴに入れて走ったりすると、刺激によって酸が減少して甘くなるのはよく知られているが、お湯などで温めるのもよい。
栽培と歴史
みかんというと江戸時代にみかんで大儲けした紀伊国屋文左衛門を思い浮かべる人がいるかもしれないが、その時代にはまだウンシュウミカンは普及しておらず、彼が嵐の中、紀州から江戸まで運んだみかんは、現在のものよりずっと小柄なキシュウミカン(C. kinokuni)という種類だった。
日本では明治期から広く栽培され、ナツミカン・ネーブルとともに柑橘類三大勢力をなし、その筆頭であった。戦後にハッサクとイヨカンも台頭してきたが、未だにみかんは王者の座を譲らずにいる。1世帯当たりの果物年間消費量はバナナ、そしてりんごにも抜かれたとはいえ、まだまだ冬の味覚として存在感を呈している。また、みかん生産県ではみかんは買うものではなく、もらうものという認識があるため、消費量は相変わらず高い。
日本では最も多く生産されている果物で、主に暖かい地方で栽培されるが、寒さにもそこそこ耐え、佐渡島でも生産されている。また、みかん産地の特徴といえば、海(場所によっては河川、湖沼)に面した急斜面となっているが、これには3つの理由がある。
1つはみかんは太陽の光を浴びて甘くなるといわれるように、急斜面と水面からの反射光をふんだんに樹木に採り入れているのである(加えて石垣、または白いマルチシートを使っている産地もある)。2つめは水はけの問題であり、急斜面にすることで、地面にしみこんだ水がいつまでも滞ることなく、捌けていくからである(水分がたまりすぎるとみかんが水っぽくなる)。3つめは、みかんは乾燥に強い反面、湿気、そして霜には弱い。そのため、風通しがよくないと湿気が多くなったり、霜も降りたりしてみかんが育たないのである。また、西側と南側の斜面に産地が多いが、これは冬場になっても一日の気温が下がりにくい(温暖な時間が長い)ことが関係しており、実際東向きや北向きの産地より寒害が少なく、乾燥を保つことができる。そのため、これらに該当する産地は収穫の早い極早生種を植えたり、ハウス栽培でみかんを作ったり、別の柑橘類(寒さに比較的強い中晩柑。伊予柑、はっさくなど)を植えたり、他の果樹(特にキウイフルーツ、いちじくが多い)を植えたりしている。
そんなわけで、主要な産地のほとんどは太平洋や瀬戸内海に面した沿岸域で、和歌山県と愛媛県と静岡県が首位を競っており、内外で不毛な争いを続けている。その後熊本県、長崎県、佐賀県と九州勢が続き、愛知県、広島県、福岡県、神奈川県、三重県が上位10位以内を競っている。その他、大阪府、山口県、徳島県、香川県、高知県、大分県、宮崎県、鹿児島県の19府県が主産地として扱われる。ちなみに、西日本で太平洋や瀬戸内海に面して主産地に属しないのは兵庫県、岡山県、沖縄県だけである。また、近畿以西の西日本では鳥取県と滋賀県以外にみかん産地(京都、奈良、島根にも中小規模の産地はある)がある。
最北端は佐渡島南部となっており、ここは明治時代から細々とミカンが自家消費用に栽培されていたが、近年温暖化の影響なのか出荷を行い話題となり、産地にもなってしまった。ちなみに、近年の地球温暖化にそなえ、山形県がみかん栽培に挑戦中らしい(同県で唯一作れない果物がみかんで、果樹王国の誇りに賭けているのだろうが、5℃以下の日が続くと枯死するのに正直無茶しやがって…)。
みかんは千両みかんなんて落語もあるように、昔は冬にしか食べることができない食材だった。また、野菜などが乏しい冬場の貴重な栄養源だったのである。今日でもこたつにみかん(そして猫)といえば、日本の冬の風物詩であり、冬場にビタミンCの豊富なみかんを食することは理に適っている(また、ふくろごと食べることで保温効果も期待できるという)。しかしながら、今日ではハウス栽培の浸透にともない、年中みかんの味を親しむことができる。ハウスみかんでは佐賀県、愛知県、大分県、高知県が多く、熊本県、愛媛県、静岡県、和歌山県でもハウス栽培に特化した産地が見られ、ハウス栽培からもブランド産地やブランド品が誕生しているなど、露地物に遜色ない。また、天候に左右されることが少ないので、安定した品質を見込めるのが強みである(ただし、原油高騰の影響をモロに受けやすい)。一方で、産地では案外、シーズンの冬以外にみかんを食べたりしない傾向が見られる(割高なハウスみかんを買う気がしないから)。
みかんの生産量はコタツの需要低下とともにオレンジ輸入自由化や転作奨励、果物の多様化などによって年々減少を続けていたが、近年は色々と栄養効果が見直されたり(果物で唯一、健康効果を標榜できるようになった)、皮やふくろが薄く、糖度の高く甘いみかんがあちこちで栽培されるなどして、横ばいと微減を続けている。また、個人農家や組合、各JA、共同選果場などの努力もあってブランドみかんがあちこちで開発されている。
みかんの産地とその動向
まずは御三家とも呼ばれている三大産地である和歌山県、愛媛県、静岡県の近況である。
和歌山県
和歌山県は2004年から2016年現在に至るまで国内一のみかん生産県となっている。江戸時代から続く名産地であり、有田市と有田郡擁する有田みかんが全国的に知られている(詰めるだけで売上がアップする魔法の段ボール箱も知られるほど)。そして、実は海沿いの有田市より内陸部に位置する有田川町の方が生産量が多い(防災上の理由もあるから仕方ないね)。「味一みかん」などをブランド化しているほか、新堂みかん、田村みかんなどが、その品質の高さで知られている。有田に続くのが海南市下津町であり、下津(しもつ)みかんは、収穫後に土蔵に貯蔵し、糖度を引き出す蔵出しみかんが特徴、ブランド戦略が有田より活発である。他に、田辺市の大坊地区を中心として、「木熟みかん 天」「天」などのブランドを持つ紀南みかんや「ゆらっ子」みかんで売出し中の由良町、若野みかんなど隠れた名産地の日高川町(旧川辺町)、極早生、早生みかん栽培が盛んなJA紀の里ブランドで知られ、観音山周辺など大規模農園も多い紀の川市(はっさくでも有名)など、至る所にみかんの産地が展開する。ただ、首都圏での知名度が低い(シェアはだいぶ上がった)ことで、今後いかに首都圏にPRしていくかが課題となっている。一方、お膝元の京阪神では絶対的なブランド力と販売網を持ち、特に有田みかんは現地の2~3倍近い値段で高級品として販売され、和歌山以上に共選にブランドがついていたりする(県民は「宮原」とか「マルス」とか知らんから)。また、意外に思われるかも知れないが、他の産地が遠すぎて相手にしなかった北海道への売り込みは最も進んでいたため、今も道内に流通されるみかんの半数が和歌山産である(毎年有田と下津のキャラバンが札幌市場に遠征し、正直下津みかんに至っては大阪よりブランド力が高い)。それから新潟も得意先である(昔、汽車にみかんを乗せて走って行った名残)。
愛媛県
愛媛県は2004年の台風が原因で、みかん生産から他の柑橘に切り替えた影響もあり、以後はずっと和歌山に首位を譲っているものの、依然、柑橘類の生産なら日本一を誇る。また、戦後から南宇和を皮切りに激戦地の首都圏を相手にしてきたため、ブランドみかん戦略が活発である。中でも八幡浜市(とその周辺市町)を持つJAにしうわ管轄の共同選果場ブランドがよく知られる所で、8つの選果場で最高級ブランド(箱の色から黒箱と呼ばれ、県が推奨する”「愛」あるブランド”に選定されている)を持つ。築地市場で毎年最高値を付けるという日の丸共選(向灘地区のみかんで日の丸みかんと呼ばれる。「日の丸千両」が有名)に選果場としては最も知名度が高い真穴共選(真穴は昭和の大合併まで存在した村で、真網代と穴井の集落名から。「真穴みかん」と呼ばれる)、そして「味ピカ」「味ピカ小太郎」ブランドを持つ川上共選(川上も元は村の名前から)が三大選果場といわれ、この3箇所はみかん専門の産地となっている。これに「蜜る」ブランドを持ち、保内という名を捨てた選果場の名前を変えたみつる共選、同管内では最も生産量が多い八幡浜共選、八協共選、伊方共選(伊方町)、三瓶(みかめ)共選(西予市三瓶)と互いのブランドを競っている(あと三崎と磯津がある。三崎は清見タンゴールで有名。磯津は…まあうん)。これらの産地を総称して西宇和みかんとも呼ぶ。西宇和以外も、八幡浜の陰に隠れてしまった宇和島市吉田町を中心とするJAえひめ南もうわの赤箱で名高い名産地で、古くから宇和みかんと呼ばれている名産地。特に玉津選果場のものが知られ、宇和玉津産は人気ブランドとして名を馳せている。「美柑王」「お袋さん」などのブランドもあり、近年は甘平の産地としても名高い。他にも二大産地の八幡浜と宇和島に挟まれた西予市明浜(ここだけ管轄はJAひがしうわで、箱は橙色、ちなみに同じ市内三瓶はJAにしうわ。どうしてこうなった)、島みかんとして知られる松山市興居島(ごごしま)、同じくみかん島として有名な中島、紅まどんなやせとかの産地で知られる越智郡・今治、そしてハウスみかんで知られる伊予・砥部などの産地があり、みかん県の通り名も決して大げさではない。また、伊予柑だけでなく甘平、紅まどんな、せとか、はれひめなどの新品種柑橘類の栽培も盛んで、和歌山県をせいぜいミカンだけ作っていい気になってろと牽制している。出荷先は、関東のほか甲信越方面も多いが、関西市場ではシェアで佐賀県産にも負けるなど苦戦を強いられており、真穴みかんや日の丸みかんの知名度はまるでないと言ってもいい。
静岡県
静岡県は普通温州の生産なら日本一であり、ウンシュウミカンの定番、青島温州の発祥地でもある。産地は大きく分けて、西部、中部、東部に大別される。中でも県西部、浜松市界隈の生産量が多い。とりわけ、名古屋市場など中京圏ではトップブランドとして君臨する三ヶ日みかんが全国的によく知られ、高級ブランドの「ミカエース」や目利きの青果問屋に因む「マルマみかん」が有名。その他、皇室献上の歴史を持ち白柳ネーブルで知られる細江、湖西市にも中尾平、知波田といった産地がある。これに対して県東部にある沼津市の西浦みかんも歴史の古い名産地。寿太郎温州という高糖度の新品種を売り出しており、酸味が強い静岡みかんのイメージを覆そうとしている。更に、沼津市が「ラブライブ」の舞台の一つである関係もあり、コラボしたみかんも売られている(アニメにも寿太郎みかんが登場するシーンがある)。また、静岡青島みかんと名乗っているものがあるが、これはおおよそ静岡市あたりの中部で作られたみかん産地であり、青島温州の発祥地だから名乗っている。他にも清水のミカンとして露地からハウス、その他柑橘類に至るまで全般的に盛んな静岡市清水区や輸出向けみかんの拠点となっている藤枝市、ハウスみかん栽培が盛んな島田市、そして熱海や伊東などの伊豆地方にもみかん産地が点在し、流石は御三家といったところである。中京圏、北陸、首都圏のほか、仙台を中心とする東北地方への出荷が多い。特に名古屋市場では三ヶ日みかんは圧倒的なブランド力を持つ。また、愛媛や和歌山より東に位置するため、旬の期間が長く4月上旬まで露地物のみかんが出荷されている。
九州
熊本県は極早生を中心に9月頃から全国に出荷を始める。熊本市西部の斜面で作られる河内みかん(昔は白浜などのもっと名前がややこしい産地もあった)が名高いが、悲しいかな、大阪産のみかんと勘違いされるので熊本みかんと名乗っていることが多くなった。ここは夢未来みかんという名で4つの選果場を統合して売り出しており、「夢の恵」という厳選ブランドがある。他に、夏目漱石の小説、「草枕」で知られ、同名のブランド品を持つ天水みかん(小天みかん)、デコポンの一大産地として知られ、肥のあかり、肥のあけぼのなどの新品種早生みかんで売り込み中の三角(みすみ)みかんなどが知られ、ほかに金峰(きんぽう)みかん、ブランド志向の天草苓北(れいほく)みかんなどがある。また、八代に高田(こうだ)みかんという紀州みかんのルーツにもなったといわれる古い産地があったが、産地としては大きく衰退している。また、熊本は不知火(デコポン)の産地として有名。なお、極早生の生産は一番多い。主な市場は九州、岡山、中京圏(特に極早生種)など。余談だが、熊本出身の作者、尾田が描く「ワンピース」に登場するナミのおば、ベルメールのみかん畑のモデルは、そのまんま熊本のみかん畑の風景であり(写真でググってみな)、ワンピースとコラボした熊本みかんも販売されている。
長崎県は海に面した山あいの斜面が多く、マルチシート被覆率が50%を超えるなど糖度の高いみかんを多く生産する。そして近年、佐賀県を抜き、全国5位に躍り出たみかん産地で、首都圏を中心に「出島の華」人気が著しい。この出島の華の最低基準は糖度14%という、国内最高水準の規格で、させぼ温州という品種における県共通ブランド。これを主に栽培し、その他「味っ子」ブランドを送り出しているのが佐世保市のJAながさき西海であり、西海(さいかい)みかんと名乗っている。それとは別に、西海市にJA大西海(現在はJA長崎せいひ)があり紛らわしいったらありゃしない、「長崎の夢」「長崎味ロマン」などのブランドで売っている。また、ゼリーで有名なたらみの発祥地である諫早市多良見町はブランド産地として名高い伊木力(いきりき)みかんのある場所で、長崎みかんと言えばこの産地が真っ先に知られた。他に島原、そして県央(大村、川棚など)などの産地ががある。さらには、県共通の袋栽培みかんブランド、「長崎恋みかん」などもあり、愛媛に負けじとブランド戦略が活発である。後追いとか言わないように。
佐賀県は露地みかんの他にハウスみかんの産地が多く、ハウスみかんでは日本一を誇る。露地みかんでは天山山麓と多良岳山麓にオレンジベルトと呼ばれるみかん産地が展開し、それぞれ天山みかん、太良みかんなどと呼ばれている。天山みかんでは「プレミアム天山」「あんみつ姫」「孔子の里」などの地域別ブランドも名高く、太良みかんは産直通販サイト「タラッタ」(ギリシア語で海を指す)による販促が盛ん。対して、唐津市浜崎地区や玉島地区(旧浜玉町)は全国有数のハウスみかん産地となっており、「うまか美人」や「うわばの夢」といった高級ブランドも備えている。…とはいえ産地としての知名度が低く、近年は熊本や長崎などの産地に圧されていたため、県が産地の威信を賭けた統一ブランド「さが美人」で巻き返しを図っている。なお、佐賀県は上の2県と違い、ハウスみかん産地の関係もあって、京阪神、福岡など西日本を得意先としている。
福岡県はみやま市(旧山川町)の山川みかんが名高い(「ハニーみかん」「マイルド130」のほか、博多にはほど遠いのに「博多マイルド」も広く知られる)。また、キウイ生産日本一で名高い八女市立花町(旧立花町)もみかんの生産が盛んである…が、検索してもあたしんちの立花みかんしか出てこない。大分県は、みかん栽培には不利な東側に当たるため、ハウスみかんの産地が発達。中でも斜面の多い杵築市が一大産地で、ブランドみかん「美娘」(みこ)を売り出している。ハウスみかん産地では4月からと、最も出荷時期が早い。日向夏や金柑で有名な宮崎県は極早生の生産が中心だが、近年は通販による売り込みも盛んで、日南市の「ひょっとこみかん」や、宮崎市南郷町の「太陽の雫」ブランドが通販などで人気を集めている。鹿児島県はペットボトルキャップ大の桜島小みかんが知られるほか、日本で最も早生の旬が早い産地である出水市の米ノ津(こめのつ)みかんがある。
中四国(愛媛除く)
広島県は古くから知られるみかん産地で、瀬戸内の島で盛ん。中でも大崎下島の旧豊町を中心とした大長(おおちょう)みかんが有名どころで、「大長エース」は高級ブランド。大崎上島町の石積みかんも有名。ほかに「せとだの五つ星」で知られる瀬戸田(瀬戸田はレモン、ネーブルも有名)、糖度の高い石地(いしじ)みかんで売出し中の倉橋島、高根みかんと呼ばれる高根島(こうねしま)、紅八朔で有名な因島(尾道市)、佐木島(三原市)などみかん産地が集中する。県本土にも産地は点在するが、都市化の影響もあって島嶼部ほど盛んではない。古くは京阪神を中心に、県外に盛んに出荷されたが、今日は地元消費が中心(といっても需要は多い)。しかしながら、一部の高級ブランドは今も京阪神で根強い人気がある。
山口県は周防大島でみかん栽培が盛んであり、みかん鍋なる闇鍋郷土料理もある。香川県は三崎半島に位置する三豊市(旧仁尾町)が中心で、小原紅早生という皮が紅いみかんが有名。産地としては曽保(そお)みかんがあり、四国市場にて高値で取引される。徳島県は萌えマスコット「ちょぞっ娘」(わざわざキャラが動いて喋るPR動画まで作ってしまったたらしい。誰がそこまでやれと…)で宣伝中の勝浦みかんがあり、ここは和歌山県の下津とともに貯蔵みかんで有名な産地。また、阿南市ではハウスみかん栽培が盛ん。高知県は香南市(旧香我美町)の山北みかんが有名で、ここは露地栽培とハウス栽培のハイブリッドであり、年間通してみかんが作られる珍しい産地である。
その他主要産地(伊勢湾、神奈川、大阪)
伊勢湾一帯も温暖な気候を利用したみかん栽培が盛んな地である。愛知県の蒲郡市は唐津市と並ぶハウスみかんの一大産地であり、温泉資源を生かして始められ一大産地となった。蒲郡みかんは地域団体商標となっっており、蒲郡温室みかんというブランド名で首都圏を中心に出荷され、「箱入娘」などの高級品もある。また、知多半島の美浜町や東海市などでもみかん栽培が盛ん。三重県は御浜町を中心に三重南紀みかん(南紀だけじゃ和歌山県と間違えるので)として県単位でブランド化を図っており、中京圏で評価の高い「マルゴ」ブランドの五ケ所みかんのほか、極早生の「みえの一番星」などのブランドがある。
神奈川県も古くからのみかん産地として知られ、静岡に次ぐ東日本で2番目の産地である。新幹線から見える湯河原みかんや小田原市の小田原みかん、片浦みかん、足柄みかんなどがあり、湘南、横須賀などでも生産。主産地としては東端に当たり、日本の産地で最も酸味が強めで、甘い愛媛や長崎のみかんを味がボケているとdisり、酸味と甘味のバランスを売りとしている。また首都圏に近いため、観光農園も多い。
大阪府はかつて、和歌山県に次ぐ2位の産地だったが、都市化と他地方との競争に敗れて縮小したものの、今も泉州の和泉、岸和田を中心にみかん畑が広がる。ただ、ブドウなどに比べブランド化も遅れており、昔ながらの酸味が強めのみかんが多い。そのため、JAXAのクルーに売り出すなど独自の宣伝方法を行っている(そして、採用されたことをPRしているが、他に5産地選ばれていることは機密事項)。また、神奈川と同様に、観光農園も多い(パラダイスで有名な城山オレンヂ園も大阪にある)。
北の国から
また、みかんといえば温暖な地方で育つイメージが強いため、逆に寒冷な場所で育つということはそれだけで話題となる。よって、全国には何カ所も北限の産地があったりする。例を挙げてみると
- 丹後半島の舞鶴市・宮津市 …年間100トン以上の産地としては北限
- 岐阜県海津市南濃町 …年間1000トン以上の産地としては北限
- 福井県敦賀市 …年間50トン以上の産地としては北限
- 隠岐諸島島前の海士町 …緯度としては敦賀より上。年間数トン程度
- 神奈川県 …年間1万トン以上の大規模産地形成としては北限、東端
- 東京都武蔵村山市 …
- 房総半島 …年間1000トン以上の産地としては東端
- 筑波山麓 …年間100トン以上の産地としては東端
- 埼玉県寄居町 …年間50トン以上の産地としては北限
- 群馬県藤岡市鬼石 …最も海に遠い産地。
- 栃木県那須烏山市 …観光農園のある北限
- 茨城県日立市十王町 …観光農園のある北限
- 福島県広野町 …単純に栽培地としては東端(最初から非営利目的)
- 佐渡島 …事実上の北限だが、年間10トン程度
つまり、現在で本当に北限になっているのは佐渡島である。なんでこんなことになったかというと、時代の流れとともに品種改良、栽培技術のレベルアップ、そして気候条件の変化によって、年々北限の産地が移動していっていったからである。また、海沿いより内陸や高地、太平洋側より日本海側の方が寒いわけなので、単純に緯度だけで片付けられない。また、同じ北限の産地でも年間の収穫量は数トンの所もあれば万トン単位の所もあるので、単純に比較はできない。
みんな違って、みんなどうでもいい。
無論、日本の果樹産業で最も生産量が多く、りんごと並ぶ主要産地だけに、過去に産地を調査した書籍、研究資料、文献も非常に多いので、興味があれば目を通してみればいかがだろう。色々と、日本の歴史が垣間見えてくる。
なお、日本以外では韓国(済州島)や中国のほか、トルコ・スペイン・ロシア(黒海沿岸)・南アフリカ・南米・イスラエルなどでも栽培されている。
象徴
ミカンの花は愛媛県の県の花に制定されており、愛媛県で水道の蛇口をひねると出てくるポンジュースもウンシュウミカンの果汁である。
温室栽培がなかった時代は、みかんは秋から冬にかけてしか食べることができなかった。「こたつにみかん(に桃鉄)」は日本の冬の風物詩である。
「腐ったみかん」とは、放っておくと全体をだめにしてしまう人の喩えで、ドラマ「3年B組金八先生」の「腐ったみかんの方程式」のエピソードで広く知られるようになった。
その他・豆知識
- みかんを食べ過ぎると皮膚(特に手のひら)が黄色くなるが、これを柑皮症といい、みかんに含まれているカロテンが原因で起こる。食べるのをやめると自然に元に戻るので健康上の問題はない。健康上の問題がある黄疸とは白目が黄色くならないことで区別できる。
- 鏡餅の上にみかんを乗せるのは、本来乗せる「橙(だいだい)」が「代々」を意味する縁起物だからである。
- 兵庫県赤穂市には「みかんのへた山古墳」という古墳があり、坂越(さこし)湾の海上から見た古墳の形状から名付けられたのだという。
- 摂取すると1日かそれ以上高音が出にくくなったり声質が変わるため声優/歌手/カラオケ等とは相性が悪い。戦国コレクション#2の9:55で歌手志望の家康にみかんに対して注意しているシーンがある。
- 記念日「みかんの日」は11月3日と12月3日。「いいみっか(ん)」の語呂合わせで、全国果実生産出荷安定協議会と農林水産省によって制定された。
ニコニコ動画におけるみかん
鏡音リン
「初音ミク=ネギ」に続くVOCALOID関連アイテムとして、鏡音リンはその髪の色とリボンからみかんのイメージが強かった(他にはタマネギ・たくあん・とうもろこしなどがあった)。それらのイメージのうちには突如出現したロードローラーに蹂躙されたものもあったが、今でも(特に同人誌などでは)みかんがリンの持ちアイテム・小ネタとして登場することはあり、リンといえばみかん、というイメージはファンの間では普遍的なものになっている。
とれたてみったん
key半島西部に位置する和歌山県有田郡湯浅町のとある醤油屋さんのキャラクター。当地の名産である有田みかんをイメージしたデザインになっている。ネット界隈で話題になり、ニコニコ動画にも関連動画が多く存在する。鏡音リンと似ていることも話題になった。詳しくはみったんの項目を参照のこと。
雲雀恭弥
漫画「家庭教師ヒットマンREBORN!」の登場人物。伝説はコミックス16巻のお便りコーナーにある1枚のハガキから始まった…。ナッポーことパイナップル(六道骸)とセットで扱われることが多い。なぜみかんなのかは不明だが、頭が丸いからとの説もある。
呪いの館
ゲーム「呪いの館」で画面外から飛んでくるオレンジ色の球体(当たったらイ゙ェアアアア)をみかんといい、それに似せたコメントからなる弾幕をみかん弾幕とよぶ。
その他
ピカチュウの大乱闘において
LED方向幕製作所ニコ生支部の放送において
主(防護無線)が放送中にみかんを食べ始め、
その結果みかんのLEDや謹賀新年のLEDが製作された。
その1は削除されてみることはできない。
みかんに関連する楽曲
一般の楽曲
- みかんの花咲く丘…井口小夜子、川田正子。終戦直後に流行した国民的童謡。(1947年)
- みかんにkissして…日本園芸農業組合連合会・温州みかんキャンペーンソング。「JUST LIKE A MOTHER」のカップリング曲。(1995年)
- みかんのうたSEXX MACHINEGUNSの楽曲。(1996年)
- みかん…モーニング娘。の35枚目のシングル。(2007年)
ニコニコ動画関連の楽曲
関連動画
関連項目
主な国内の産地…「愛は静かに」と覚えよう。ただし、愛知県と混同しないように。
その他
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- 0pt