概要
愛媛と言えばみかん みかんと言えば愛媛。そう云う方程式が成り立つほどほどみかんに溢れる県、そうそれが愛媛。温州みかん・いよかん・ポンカン・はるか・はるみ・早生みかん・デコポン・甘夏・河内晩柑・ネーブルなどいろんな品種がこの温暖な気候の地で育てられて出荷され食べられています。
みかんジュースがオレンジ色の蛇口から絶え間なく出てきますか?答えはYes。
それほどみかんに溢れている愛媛。みんな頬を橙に輝かせてあなたを待っています。でも最近の悩みは2004年度にみかん出荷量の座をみかん県和歌山に奪われたこと、そしてその出荷量の差はどんどん開いていく…。でも愛媛はくじけない。愛媛はみかんなのだから…。
愛媛のマジメなお話です
実を言えば、出荷量に差が付いたのは和歌山県の頑張りだけによるものではなく、愛媛県側の農業政策によるものである。具体的にいえば、2004年に大不作に陥ってから、特に安価な極早生栽培を切り捨て、他の柑橘類(中晩柑)栽培を奨励したことがきっかけ。そのため、越智郡一帯のみかん産地は「せとか」「はれひめ」、松山近辺は「紅まどんな」「甘平」「せとか」「宮内いよかん」、西宇和方面は「甘平」「せとか」、南宇和方面は「甘平」「デコポン」など付加価値の高い新品種柑橘類の栽培面積を増やしている。だが、これらは農水省が管轄する「みかん」類に含まれない(みかんに含まれるのは温州みかんとカラタチ類だけ)ため、極早生栽培の比率も相変わらず高い和歌山県と比較して、相対的に減少しただけのことである。
更に、和歌山県は大阪府などの大消費地に近いため、観光農園や直売所販売といった業態が成り立つので、主産地の有田近辺だけでなく、紀の川筋沿いにもみかん産地が成立している。それに対し、愛媛県は大消費地から遠いことと周辺県も同様にみかん栽培が盛んなため(福岡も広島も自県がみかん産地)、遠路の大消費地に販売するしか活路がない。そのため、戦後から首都圏を得意先として確固たる地位を築いていた(まっさきに目をつけたのが吉田町である)のだが、近年ここに殴り込みをかけてきた産地がある。それが長崎県であり、糖度14%という県共通ブランド「出島の華」を引っさげ、愛媛県と同様にブランド戦略を勧めている(銀座千疋屋の取引を成功させたり、愛媛と同様のブランド化戦略でシェアを伸ばしている)。そして、古くからの取引先である静岡県、そして和歌山県も近年は首都圏への売り込みを活発化させているため、愛媛県は首都圏という市場を繞って熾烈な争いを強いられているのである。
それゆえ、飽和状態の東京市場だけでなく、京阪神市場に攻勢をかけようとしているが、大阪では和歌山産と佐賀産の市場信頼度が高く、愛媛県産のシェアは10%もない。特に関西で高いブランド力を持つ有田みかんはシナシナにしなびたものや色の悪いB品すらそれなりにいい値段で売られているのに対し、愛媛県産は、それまで瀬戸内産の廉価品ぐらいしか出回ってこなかったためブランドが浸透しておらず、愛媛みかんとならまだしも、真穴や日の丸といった産地や選果場の名前なんて全く知られていない。よって、真穴みかんすらスーパーで特売品として詰め放題で販売される始末(近年はデパートで高級品として販売している場合もある)であり、京阪神圏での売り込みも課題となっている。
尚、1985年の統計資料によると、愛媛県の年間収穫量は40万トンだったのに対し、和歌山県と静岡県は30万トンだった。これが今日では愛媛県が11~13万トンに対し、和歌山県が16~20万トンなので、いかに愛媛県が市場に翻弄されやすい状態なのかがおわかりいただけるだろう。
和歌山県の立場としては
では、和歌山県はみかん県だろうか?実際、有田郡近辺ならそういう自負はあるだろうが、宣伝にあまり積極的じゃない県民性ゆえ、正直な感想「どっちでもええがな(´・ω・`)」という所である。ただ、県民一人あたりのみかん消費量が70個と、ダントツで1位なのも和歌山県であり、県内消費運動も盛んに促している。愛媛県が胸を張ってみかん県を名乗りたければ「自分ら、もっと自分で食えや」とは言いたい(愛媛県は全国5位)。
また、和歌山県も得意客に甘んじ、ただ手を拱いてきたわけではない。1996年には全国の産地に先駆け、糖度センサーを導入し、ブランド品の選別を行っている。また、複数あった集荷場も集約しており、品質の安定化を図っている。更に、値崩れの原因となる隔年結果を防ぐために生産や出荷に工夫したり、また生産調整したりして、ミカン価格の安定化を図っている事実も忘れてはいけない(ちなみに、愛媛県は生産調整を行っていない)。有田以外の産地も売り込みを図ったり、差別化を図ったりしている。
そんな和歌山県がみかん県として知られてなかった理由は、市場戦略的なもので、東京市場を重視してこなかったことによる、ある種、偏向報道の弊害である。そのため、近年は県知事の意向もあり、もっと和歌山みかんを知ってもらおうと東京市場へ盛んに売り込みをかけているが、和歌山県側の悩みとしては、東京都内でのシェアは順調に伸ばしているものの、愛媛県産、長崎県産と比較して単価が低い(つまり安物の産地だと誤解されている)問題を抱えており、有田みかんすら特売品として買い叩かれているケースもあるといい、立場が愛媛と真逆の状態となっている。
静岡県の動向
静岡県民で詳しい人、記述よろしく(無責任)。ただ、静岡県も愛媛県、和歌山県に匹敵する産地であり、1930年代から1960年代まではずっと生産量1位だった。そして、普通温州に至っては今日も1位を死守している。そして、愛媛県産みかんがやってくるまでは、東京市場を牛耳っていたのは静岡県産であった。今日では愛媛県産と九州産に圧されながらも三ヶ日みかんやラブライブみかん西浦みかん、静岡青島みかんといった産地をブランド化し、対抗しようとしている。また、愛媛県より産地が点在しており、出荷時期が長いため、いつ愛媛県と順位が逆転してもおかしくない位置に付けている。尚、名古屋市場で一番幅を利かせているのは静岡産(特に三ヶ日産)であり、競争が激化している東京市場、京阪神市場と比較しても、比較的取引が安定していているのも強みといえるだろう(強いて挙げるなら早生種で熊本県産がシェアを伸ばしている)。
ただ、静岡はみかん県静岡と呼ばれることはない(Googleで検索してもそのキーワードで引っかかった記事はなかった)。むしろ、静岡といえばお茶であり、茶処静岡という絶対的なキーワードがあるからである。
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最後に
愛媛県にはまだまだいろんな特産品があるので忘れないでほしい。たとえばキウイ(全国出荷量一位)、鯛(全国一位)、はだか麦(全国一位)、けずり節(全国一位)などなど・・・。
この他のみかん県
- 熊本県(極早生は日本一、九州市場や名古屋市場を土台とするが、くまモンブランドで売り込みを図る)
- 長崎県(マルチシート被覆率日本一、糖度の高いみかんで首都圏に殴り込み)
- 佐賀県(ハウスみかん日本一、同じくハウスみかん産地の愛知県とデッドヒートを繰り広げる)
関連項目
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