みんな違ってみんないいとは、金子みすゞの詩「わたしと小鳥と鈴と」に原典を持つ言葉である。→みんなちがって、みんないい
ニコニコ動画においては、ののワさんの語った名セリフとして百科項目に記載されていたが、先日削除された。
のヮの<みんな違ってみんないい
元来、とかち組に棲息する一人のわた春香さんの名セリフであったと思しきこの言葉は、ののワさんがニコニコ動画においてその人気を増していく経緯をよく現していた。ある時は組み体操を、ある時はいたずらを、ある時はたこ春香と対決を、またある時は春香さんとお買い物を。春香のよそ見というフリーダムな出自を持つののワさんらしく、彼女の立場や性格、行動は全く自由であり、そうでありながら楽しいののワさん世界を構築していった。であればこそこの言葉は、ののワさんワールドに溢れる寛容の姿勢を体現するものとして受け容れられていたのである。
ののワさん人気と不寛容の時代
2009年、空前のMMDブームの到来により、早くから良質のユーザーモデルが用意されていたこともあって、ののワさんは一躍ニコニコの有名人に躍り出る。もちろん、2008年の春香さんの乗馬動画において共演した御三家キャラたち、その一員として登場したことで、各界の注目を集めていたことも大きかった。なんにせよ複数の10万再生↑作品に恵まれ、多くのファンを獲得したののワさんは今、しかし、キャラクターの細分化や設定の厳密化といった困難な事態に直面している。
例えばよそ見をしていないののワさんである「ひひワさん」、あるいは頭身が大きい「ハイパー・ののワさん」といった定義の厳密な適用は、ののワさんタグが包括的にカバーしていた作品群を分割することで視聴者の一覧性を疎外しつつあり、またそれと関連して展開される「ののワさんとは何か」「ののワさんの言葉は何か」といった議論が、界隈の多くのファンの勝手な行動で育ち、明確な定義を持たない「ニコニコ動画版ののワさん」を解剖しようと試みるのである。
ニコニコののワさん、それは寛容の心
のヮのというAAがとかち組で生まれたことは事実だとしても、現在ニコニコ動画や関連サイトで活躍するののワさんは、そこに多くの非わた春香さんが好き勝手に関与したからこそ、ここまで成長したことを忘れるべきではない。踊り狂う3Dモデルは明らかにMMD界隈の作であり、魅力的なののワさん画像はしばしばPixivから輸入されたものである。互いが互いのやることに口を出さず、「ののワさんかわいい^^」というパトスに従って好き勝手にやった結果がこれだという事実を、我々は今一度確認するべきだろう。ののワさんを厳密に定義することは、結局のところ、彼女を春香さんのデフォルメAAに還元するだけなのだから。みんなちがって、みんないいのである。
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