ものまね王座決定戦とは、フジテレビ系で季節の変わり目を中心にスペシャル枠で放送されるバラエティ番組。
「ものまね紅白歌合戦」をはじめとする派生番組についてもここで付記したい。
概要
1973年に「オールスターものまね王座決定戦」のタイトルで放送開始。初期はオールスターの名の通り、当代人気歌手たちが(衣装も含めて)他人になりきって歌う様子を楽しむのが主旨だった。
この番組が特に人気を獲得するようになったのは、笑いの要素を前面に押し出したスタイルに特化した「爆笑!スターものまね王座決定戦」が平行して放送されるようになった1985年7月頃からである。
出演者やスタッフが共通しており番組演出も似ているの見分けづらいが、春頃に放送されていたのがお笑い特化型の「爆笑!スターものまね王座決定戦」、秋頃に放送されていたのが純粋に歌唱力や演技力を競う「オールスターものまね王座決定戦」である。
あのねのね、所ジョージ、井上順、松本伊代、榊原郁恵、研ナオコらをはじめとする司会陣の軽妙な進行に加えて、ものまね四天王を中心とした、ただ似せるだけでなくひと工夫混ざった芸と、純粋に歌まねで聞かせる勢力の対決、淡谷のり子の辛口批評、針すなおの似顔絵などが好評を得る。ほぼ同時に、ものまねが芸人のカテゴリーの一種として確立され、四天王がレギュラー出演する番組もスピンオフで作られるなどして、1980年代後半~1990年代前半に一大ブームを巻き起こした。
しかし、四天王の一角を担っていたコロッケが当時の番組プロデューサーと芸風などを巡っての対立し、1992年春に降板。研など当時の主力出演者も続くように降板を申し出て、日本テレビ系のものまね番組をホームにしたあたりから勢いが衰え始め、2000年に放送された「第25回爆笑!スターものまね王座決定戦」「第32回オールスターものまね王座決定戦スペシャル」をもってシリーズは一度終了に追い込まれた。
この後、フジテレビのモノマネ番組は1988年から「新春かくし芸大会」とともに正月の恒例番組として放送していた「オールスター爆笑ものまね紅白歌合戦!!」をリニューアルさせた「爆笑そっくりものまね紅白歌合戦スペシャル」へと引き継がれ、2000年より年末より現在まで続いている。
「ものまね紅白」にリニューアル後は、初期のような歌ネタ主体のスタイルになり、次長課長のような状況のものまねや、顔まねだけのコント形式のネタの割合は減った。また、特番時代から恒例となっていたご本人登場の頻度が上がったのも特徴。
2012年、「復活!ものまね王座決定戦」が放送され、12年ぶりに復活。以降は毎年年末に放送され現在に至っている。
審査方式
基本はトーナメント戦。各ブロックを勝ち上がった1組ずつが決勝を争うが、回によって2ブロック制~4ブロック制があった。主に年1回開催の「オールスターものまね王座決定戦」は3ブロック制、年2~3回開催の「爆笑スターものまね王座決定戦」は2ブロック制。末期は4ブロック制である。
初期では審査員5人の投票で勝敗が決められていたが、後に審査員10人が1人あたり持ち点を10点(厳密には6点~10点の5段階評価)までとした100点満点型に変更。先攻、後攻は別々に採点され、同点になった場合はじゃんけんで勝敗を決められていた。
2000秋のリニューアル後から、現在ものまね紅白や「お笑い芸人歌がうまい王座決定戦」でも使われている、審査員1人あたり3票までの持ち点方式に変更。対戦者2組がその場で同時に審査されるようになった。
日本ものまね大賞
「ものまね王座」番組内での呼びかけに応募した素人を対象にした派生企画。本家同様の審査方法で優勝者を決めていたが、本選での結果に関わらず評判がよかった参加者が本家に呼ばれ、栗田貫一や松村邦洋などプロデビューした者も多い。
主な出演者
司会陣
概要で触れた以外にも、坂上二郎、明石家さんま、ガダルカナル・タカらが務めた時期もある。
2000年秋からは今田耕司、東野幸治とフジテレビの女性アナウンサーという組合わせで定着。
出場者
- コロッケ
- 対象者の特徴を誇張したり、ロボットダンスを織り交ぜたりしたネタはこの頃から健在。しかし、目指していた方向が番組の枠に収まりきらないと判断し1992年に降板。
- 清水アキラ
- 対象者の顔に似せるための工夫として、セロテープや洗濯ばさみなどで自身の顔を加工するなど、ネタ勢の一画。下ネタも多く、コロッケともども、淡谷から酷評されるのは番組のお約束のひとつだった。
- 2000年初頭は、司会者としても活躍した。
- 栗田貫一
- もしもあの人が○○だったら…というネタシリーズも持つが、四天王の中では正統派寄り。じゃんけん決戦に弱く、優勝した時期は1番遅いが、通算優勝回数は4回と歴代3位。現在もものまね王座決定戦に出場する最古の出演者。
- ビジーフォー
- 四天王の中で唯一のユニット。通算優勝回数5回は清水とならぶ歴代最多タイ記録だが、放送当時でも懐かしさを感じる洋楽ネタが中心だったため、実際に似ているかどうか判断しにくい面もあった。
- 布施辰徳
コロッケ降板後、代わりに四天王の一画と称されるようになった人物。笑いの要素がない、いわゆるガチ勢であり、初出場で優勝という快挙を成し遂げている。 - 鈴木末吉
清水アキラも所属してたハンダースの一員。大抵は一回戦で敗退することが多かったが、一度だけ準決勝まで勝ちあがったこともある(しかも驚くことに一回戦目の相手である栗田貫一を倒している)。レパートリーとしては稲川淳二やアントニオ猪木(ちなみに彼が元祖)。特に稲川淳二は、今の怪談の頃ではなく、リアクション芸人だったころのものまねである。 - ラッツ&スター(田代まさし 桑野信義)
ラッツのお笑い部門とも称される二人は、三度の優勝経験を持つ。田代の柴田恭兵などの正統派からバカ殿、小森和子、デーモン小暮風こまどり姉妹などの色物的ネタもこなす。1989年からは田代が司会に昇格したことに伴い、その後はクワマン単独で出演、ルイアームストロング、美輪明宏などの正統派ものまねから竹村健一や和田勉などの髪型に特徴のある人物のものまねなども得意とし、単独で2度決勝戦に進出するなどの実力者である。 - 朝田昌貴
懐かしいネタ(美空ひばりやディック・ミネ)を得意としている。審査員の常連である淡屋のり子のものまねをしたこともあるが、当の本人は「迷惑ですね」と切り捨て 点数も6点をつけられている。なおおなじ6点は同年に後述するしのざき美知もつけられている。もっともこちらは6点が二つもつき、ものまね王座決定戦至上最低の「80点」をつけられてしまう。なおものまね王座決定戦では6点以下の点数はついたことはない。なお、朝田は2004年に死去。
- ダチョウ倶楽部
あくまでも顔まねだけのコントネタが主体だが、リーダー肥後の代表作である森本レオ以降は勝利回数が上がり、2度優勝経験もある。名前縛り(三人レオ(森本レオ ジャングル大帝レオ ウルトラマンレオ)など)のものまねも多い。余談だが、一度だけ現電撃ネットワークの南部虎弾が所属してた頃にも出場したこともある。 - 笑福亭笑瓶
「魔法使いサリー」の登場人物、よし子ちゃんのものまねで強烈なインパクトを残す。初期は「○○といえば玉置浩二」というネタが多く、色物的な立場であった。が、後半からは準決勝に進出するほどの実力を発揮。2000年代初頭はものまねの傍ら、司会者としても活躍した。 - 工藤兄弟
いいとも青年隊としても有名な双子タレント。任天堂のマリオとルイージの着ぐるみを着て披露した「あずさ2号」などアニメや特撮のコスプレを度々披露していた。それ以外は、松村和子、大石円とのユニットでの参加がほとんどだった。 - 松村邦洋
「電波少年」での事前準備なき体当たりロケで人気を得たが、ものまねの隠れた実力者でもある。木村拓哉、阿部寛、堺雅人など、自身の大柄な体型には似合わない二枚目俳優もレパートリーに数えられており、いずれも声だけを聞けばそれなりに似ているがゆえに、なぜその体型であんないい声が出せるのかと苦情を受けることも。番組内では大抵一回戦負けが多く、ネタを間違えたり、曲を間違えるたびに当番組プロデューサー木村忠寛氏に怒られ、「松村!サブまであがって来い!」というやりとりがお約束であった。 - 松本明子
松村と同じく電波少年の司会で有名なバラドル。女ものまね四天王と称されるうちの1人。初期は美空ひばりのものまねを披露していたが、後に松田聖子、フィンガー5、司会の榊原郁恵などのものまねで実力を発揮し、2度の優勝経験を持つ。 - 松居直美
女ものまね四天王の1人。かつて番組スタッフと夫婦だった時期があり、じゃんけん決戦になると「あなた!」と夫のそばへ駆け寄って手を相談する光景も散見された。都はるみのものまねが十八番であった。 - しのざき美知
似せることよりも見せることを重視した、ネタ勢の女子代表とも言える人物。ものまね王座至上最低の80点という記録を持つ(そのときの演目は審査員だった菊池桃子のまねであった)。結婚を機に降板。その後の特番では何度か電話出演していた。 - 篠塚満由美
歌手、作詞家としても活躍していた女四天王の一人。桂銀淑、奥村チヨなどの正統派ものまねを得意としていた。後にコロッケとともに日本テレビのものまね番組に出演する。 - 森口博子
Zガンダムの主題歌で有名なバラドル。工藤静香のものまねで一躍有名となる。出演年数は2年と短いながら、優勝経験を持つ実力者である。 - 斉藤ルミ子
ホコ天出身で素人ものまね番組からの出演。松田聖子のものまねで有名。夏木マリのものまね中にパンツがモロ見えになった伝説もある(余談だが、その時の司会の田代まさしは見やすい位置に足早に移動していた)
- ピンクの電話
西城秀樹「傷だらけのローラ」→「傷だらけのロバ」など、動物をネタにした替え歌と着ぐるみでおなじみ。そのため、審査員の評価も「似ている」ではなく「かわいい」が多かった。 - 中島マリ
似せようとするあまり不気味さを感じさせる化粧や言動が特徴。その誇張ぶりから女コロッケと評されたこともある。 - 星奈々
ホイットニー・ヒューストンの代表曲「I will always love you」のものまねでブレイクしたガチ勢。優勝回数3回は松居とならぶ歴代4位タイ、女性だけなら同数首位である。
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