わたし(人類は衰退しました)とは、田中ロミオのライトノベル、またはそれを原作としたアニメ作品「人類は衰退しました」に登場するキャラクターである。
概要
生徒数の減少により廃校になってしまった人類最後の教育機関「学舎」の、最後の卒業生の一人。卒業後に「国連調停官」として、故郷のクスノキの里に赴任してきた。他人からの呼ばれかたは
- 孫ちゃん(祖父の人脈で知り合った人物から)
- 先生(里のお嬢様ABC、クソガキ様生徒ABCから。前者は、「わたし」が学者先生の孫で、学位持ちで、年長だから)
- お菓子ちゃん(学生時代のサークル仲間から。お菓子作りが得意だから)
- にんげんさん(妖精さんから)
など。名前は設定上存在するが、作中には登場しない。これは彼女だけでなく、本作の主要登場人物殆どに言える。
容姿・性格
明るい茶~オレンジ(アニメではピンク色)のロングヘア、170cm以上の長身。十歳を前にして学舎に入学し、10年以上そこに在籍して卒業したので年齢はおそらく二十代前半。見た目の印象は「深窓で薄幸で失意の令嬢」(本人談)だが、祖父曰く「深窓のご令嬢に足る神秘性がスッポリ抜けている」「俗物」。これは親しい人間ならわかってしまうらしく、悪友のYをして「歩く詐欺」と言わしめた。
少々高すぎる身長と太めの眉は本人も気にしており、眉についてはそれを指摘した祖父に「看取りませんよ?」と発言している。
「学舎」を最終学年まで修めた、人類最後の学位持ちの一人(生徒数の不足により廃校になってしまったため)。ただし人類が衰退するとともにカリキュラムも以前より減っているため、彼女曰く「ゆとり世代」。
性格はおとなしめで人見知りが激しいが、親しい人の前では割とズケズケと言うタイプ。
人見知りに関しては、両親に早々に先立たれたこと、いきなり遠い全寮制の学舎に放り込まれたことによる影響が大きい。慣れた環境に他人が入ってくるという状況が苦手で、特に歳が近くて異性だと顕著(学舎は共学だったが、超少子化社会ゆえ一番歳が近い異性で4つ下、しかもその子たちと馴染むのにも数年を要した)。男性には全く免疫がなく、少年にセクハラされた時にはしばらく固まってしまっていた。
もっとも、人見知りに関しては祖父の上司命令の形をとったスパルタ式人付き合いのお陰で改善されつつある。赴任した初期の頃は突然の来訪客に対してほとんど片言でしか応対できない程、重度の人見知りであった(学舎は外部の人の出入りが殆ど無かったので問題なかった)。
もともと身体は弱めだったが、何度も否応なく激務やサバイバルをこなした結果、心身ともにかなりたくましくなりつつある。
特技はお菓子作り。材料集めを含む作り方を、ほぼ独学で習得した。その技術はサークルや仕事で存分に発揮されている。しかし料理の腕はイマイチ。
国連調停官
調停官とは、国連調停理事会による旧人類である人間と、新人類である妖精さんの間を取り持つ夢の架け橋軋轢を解消するために発足した役職である。発足当時はデリケートな難しい問題もあったものの、現在ではほぼその役目を終えている。妖精さんは基本的に人間のたくさんいるところに姿を現さず、かつ人間に対して非常に好意的なので、こちらが干渉しなければ殆ど摩擦自体が発生しないからである。要するに現在は閑職であり、本人の意思次第で怠けようと思えばいくらでも怠けられるらしい。
「わたし」は普段は妖精さんに手製のお菓子を振舞っているだけだが、妖精さん絡みと思しきトラブルにはそれなりに真面目に取り組んでいるようである。そのおかげで、「よくわからない問題はとりあえず調停官事務所に相談する」という認識が里に広まっているようだが。
他の主な登場人物との関係
祖父
「わたし」の祖父。早々に両親をなくした「わたし」の唯一の肉親で、幼少期は彼のもとで育てられた。当時の彼の教育方針は無償必罰のスパルタ式だったため「わたし」にとっては辛いこともあったようだが、それでも信頼はしていたらしく「学舎に入れられた=家を追い出された」ことは子供心に非常にショックだったようで、入学した当時の「わたし」は心を閉ざした悲観的・厭世的な子供だった。
しかし現在では彼がそうした理由も彼女なりに理解しているようであり、概ね良い関係を築いている。「わたし」が泥をかぶった事件の際にも上への報告書内で彼女を責めつつも全力で庇っていたり、彼女が理不尽な要求に反抗して殴られそうになった時にそれとなく威嚇射撃…もとい「銃が暴発してしまった」りと気遣いが光る。ツンデレ。
どうやら「孫は距離感がつかみにくくてあまり可愛がってやれなかった」らしい。もっとも、「うちの孫は褒めるとつけあがり、スパルタ式で伸びるタイプ」とも言っているが。
趣味人であり仕事をしている描写は殆どないが、妖精さん謹製の知能を数値化できる道具によると、才媛であるはずの「わたし」の4倍近い数字を弾きだした。これはカリキュラムや才能の違い以上に年の功が効いているのだろう。「学者先生」と呼ばれているだけのことはある。
「わたし」の食事は彼が作っている他、裁縫で「わたし」の服を繕っているシーンも。
助手さん
調停官事務所で助手として働いている無口な少年。よく勘違いされるが、「わたし」の助手ではなく「祖父」の助手である。しかし、最近は祖父が「わたし」に仕事をよく丸投げするため実質「わたし」の助手のようになりつつある。ちなみに、「わたし」が赴任するより前から働いていたため「わたし」にとっては職場の先輩に当たる。
男性に全く免疫がない「わたし」でも、少年だからか助手さんにはあまり抵抗がないようである。「わたし」にとっては弟のようなものなのだろうが、どうやら向こうにとってはそうでは無いようで…
妖精さん
人間に代わり支配的種族となった、お菓子と人間さんと「楽しいこと」をこよなく愛する謎の新人類。「わたし」の職業「調停官」は、人間と彼らの間を取り持つ仕事である。前任者たちのノウハウなどがゼロの状態から仕事を始めたため、最初の頃は割と洒落になっていない事態に陥ったりしていたが、それらにより身につけたたくましさや機転を徐々に発揮しはじめている。
「わたし」は日常的に妖精さんにお菓子を振舞っているため、忘れっぽい彼らの間でも彼女は有名らしい。その魔法じみた超技術を駆使して様々な「楽しいこと」を引き起こすため「わたし」にとってはトラブルメーカー、しかし自分の力ではどうしようもない事態を打開する最終手段でもある。
Y
学舎時代の悪友。出会った頃は双方に性格に難ありなおかげで反目しあっていたが、とある出来事をきっかけに同盟を組む。Yの秘密を握っていたため「わたし」優位の付き合いだったが、現在ではYはその秘密をおおっぴらにするどころか巨大派閥を作るまでに上り詰めたため、この伝家の宝刀はもう機能しないと思われる。
この世界では交通手段や通信手段も衰退しているため離れ離れになった友人とはもう会えないのが普通だが、Yは国連のヒト・モニュメント計画関係の仕事に就いた影響かクスノキの里で働くことになったため、思いがけず再会することとなる。
関連動画
関連静画
関連項目
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